vsDustジャーニー その1
トコ…トコ…
Dustジャーニー 「…部屋で絵を描くなんて、素敵な趣味をお持ちのようで。」
ヒュン!
ぼそりと呟きながら廊下を歩き、ラモーヌの居る部屋まで"近道"をする。
コンコン!
ラモーヌ 「あら、どなたでして?」
ガラガラ…!
「っ…!ドリームジャーニーさん?」
一瞬動揺するが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「…オルフェーヴルさんに、まずは顔を合わせて上げたらよくって?彼女、ずっとアナタの事を心配していましたのよ?」
Dustジャーニー 「」
なるほど、これが異世界のラモーヌ……、外見の雰囲気は残しつつ、役職だけが変わっている…、ここでの場合、生徒として……
ラモーヌ 「どうしたのかしら?」
Dustジャーニー 「…いえ、すみません、少し考え事を…。…それよりも、ラモーヌさんにお話があります。」
計画を崩さないために、丁寧な口調で話すDustジャーニー
ラモーヌ 「…なにかしら?」
Dustジャーニー 「…あまりいいニュースでは無いのですが…、近頃この辺りを、ウマ娘だけを執拗に狙う"殺人鬼"が彷徨いて居るようなのです。」
ラモーヌ 「…それは私じゃなくて、たづなさんや理事長にまずは伝えるべきではなくって?」
Dustジャーニー 「」
え?たづな?なんでこの世界にもあの女がっ……いや…、この世界が平和な以上、たづなはウマ娘の味方側、…或いは"これから"殺戮を行うつもりなのか……、どちらにせよ、早期に動いて問題は無さそうですね…。
「ええ、そうですね。ですがその殺人鬼は、アナタの様な、妖艶な雰囲気を纏うウマ娘が特に好物だそうで…、ラモーヌさんには充分注意して頂くべく、この様な形で伝える事にしたんです。」
ラモーヌ 「そうだったのね、気をつけるわ。」
Dustジャーニー 「ええ、では私はこれで。」
ガラガラ…!
部屋から出ていく。
ラモーヌ 「………。」
しばらく考えた後、再び絵を描き始めるラモーヌだった…
スタ…スタ…
Dustジャーニー 「第一段階は完了、後は、この世界の私が戻ってきたら殺して…、……。」
…はて、そもそもこの世界の私は、一体どこへ…?…まあ、そんな事今は関係ありません、私の計画には何ら支障もないですから。
Phantomオルフェ 「姉上よ、いつ虐殺を始めるつもりなのだ?」
Dustジャーニー 「そうだね…、怪しまれない様にする為にも、2日後にしようか。」
Phantomオルフェ 「良いのか?奴らに時間を与えてしまっても。」
Dustジャーニー 「大丈夫だよオル、寿命が少し延びるくらいの事だからね。」
なんてことを話していると、向かい側から誰かが歩きながら話す声が聞こえ始める。
タキオン 「カフェ〜、今日の昼ごはんはいつもより多めで頼むよ〜、最近注文が多くてすぐお腹が空いてしまうんだよ〜。」
カフェ 「自分で買って下さい(辛辣)」
「っ……!」
Dustジャーニーに気づくカフェ。
Dustジャーニー 「?」
タキオン 「おぉ〜!ジャーニー先輩ではないか!」
し〜
Dustジャーニーが口に指を当てる。
Dustジャーニー 「ダメですよ、そんな大きな声を出しては。私が戻ってきたことは、明日にでも知らせがあると思います。どうか、公にはしないように、では。」
颯爽と去っていくDustジャーニー。
カフェ 「っ……。」
タキオン 「どうしたんだいカフェ、そんなにチラチラ見て、何か気になることでもあるのかい?」
カフェ 「っ。」
ガシッ!
タキオンの裾を引っ張って走り始める。
タキオン 「ひぎぃ!?何をするんだい!?」
しばらく走って、そのうち走るのを辞めて階段に差し掛かる。
カフェは息を切らしていた、ウマ娘にとってはこの程度の距離では、全力で走っても疲れないというのに。
タキオン 「失礼なやつだな!私だって走ったろう?そんなに負荷だったかい!?」
カフェ 「違います!!」
ハァハァと、息を切らしながら話し始める。
「視えたんです、ハァ…、あの人が…、オルフェーヴル先輩が…。」
タキオン 「???」
何を言っているのかさっぱり分からないタキオン。
「待て待て、今オルフェーヴル君なんて居なかったろう?」
カフェ 「そうじゃありません!ジャーニーさんの後ろを、頭と、手だけのオルフェーヴル先輩が、こちらを見ていたんです…一瞬、目が合いました。私が走ったのは、見られたとバレないよう逃げるためです。」
タキオン 「…ああ…また"それ系"の話か、それにしたって、ここまでビビる必要があるかい?…ん…?待て、オルフェーヴル君が見えたって言ったのかい?」
カフェ 「はい。」
タキオン 「……ふゥン、生きているはずのオルフェ君が、ジャーニーさんのイマジナリーフレンドとして行動している…なぜ?」
純粋に疑問に思うタキオン。
カフェ 「分かりません、ひとまずこの事をswapオルフェさんに…!」
タキオン 「彼女なら今日と明日の2日間休みだ、聞いていないかい?」
カフェ 「(聞いて)ないです。」
タキオン 「ああ…そうだったか…。」
……
Phantomオルフェ 「姉上よ、彼奴、余の事が視えていたぞ。」
Dustジャーニー 「オルの事がかい?まさか。オルは私にしか視えていない筈だよ。」
Phantomオルフェ 「彼奴と目が合ったが、奴は視線を逸らした、余の事が視えている他ならぬ証拠だろう。」
Dustジャーニー 「オルがそういうなら、きっとそうだろうね、私はオルの事を信じてるよ。」
Dustジャーニーはたづなと理事長のところに赴くのだった…
その頃…
ラモーヌ 「………」
ピタリと手を止め、筆とパレットを置き、何処かへ出かけていく。
移動している道中も、早足で、やや緊張している様子だった。
ラモーヌが出かけた先は…
中庭のとある一角のテントにて…
ドトウ 「はわわぁ…!」
フクキタル 「いやはや…!」
前回のエアグルーヴの件で、水晶玉越しに見た空手部のほんへの続きを見ているドドウ&フクキタル。
??? 『よししっかり舌使え舌。舌使って舐めてみろよホラ』
MUR 『ちゃんと二本咥え入れろ~』
??? 『いいねぇー!舌ちゃんと使ってくれよ、気持ちいいわあー!フゥー』
MUR 『おう、いいぞ~、よーし』
??? 『ふぅ~』
KMR 『んっ…んっ…』
ラモーヌ 「あら、空手部なのね、よろしくってよ。」
フクキタル&ドトウ 「びょわぁっ!?」
ほんへに夢中でラモーヌが現れたことに気づかず、2人とも声を上げて驚く。
フクキタル 「ら、ラモーヌ先輩!?どうしてここに…?」
ラモーヌ 「占ってもらう以外に、ここに用がある人が居まして?」
フクキタル 「そ、そうですよね…!では…コホン。」
「ようこそおいで下さいました、アナタの運命、占ってしんぜましょう…!」
シリアスな雰囲気を纏い始める。
ラモーヌ 「そうね…、10日後の私は何をしているのか占って頂戴?」
フクキタル 「分かりました…!では…!」
「フンニャカイキスギ…ハンニャカイクイク……!」
謎の呪文を唱え始める。
「ラッキー…カムトゥミーっ!!」
コォォ…!
水晶玉が薄く光りだす。
「(結果が)で…出ますよ…!」
水晶玉には、黒い空間だけが映っている。
「あれ?」
ラモーヌ 「何も映らないの?そう、つまらないのね。」
席を立ち上がり帰ろうとする。
フクキタル 「あぁ〜!ちょっと待って下さいよ!」
「もう少し期間を絞ってくれたらきっと映りますから…!」
ラモーヌ 「…そう、じゃあ、3日後の私を映して頂戴?」
再び席に着くラモーヌ。
フクキタル 「ハイ!では改めまして…。」
「ホラホライキスギ…ホラホライクイク…!」
「イキスギイクイクヌンヘッヘッ!!」
さっきと違う呪文を唱える。
コォォ…!
水晶玉が薄く光りだす
フクキタル 「で…出ますよ…!」
だが、水晶玉には相変わらず黒い空間だけが映っている
ラモーヌ 「………(無言の圧力)」
フクキタル 「だぁ゙〜もうこうなったらヤケクソです!明後日のラモーヌ先輩の様子を映したまえ〜!!」
薄く光り出した水晶玉に、やっと景色が映り始める。
「やったぜ。」
ラモーヌ 「絵を描いている私が映っているわね。」
ガラガラ…!
フクキタル 「誰か部屋に入ってきたみたいですね。」
カチャ!
「ん、今の音は…?」
「ンマっ!ラモーヌさん、少し慌てているようにも見えます…!…あっ!!」
水晶玉には映っていない"何か"に斬りつけられたラモーヌは、その場に倒れ込み、そのまま動かなくなってしまう。
ラモーヌ 「…コレは…どういう事でして?」
フクキタル 「分かりません…!とにかく…このままだとラモーヌ先輩は、何者かによって明後日に殺されてしまいます…!…ハッ!だから3日後と10日後のラモーヌ先輩は映らなかったんですね…!」
ドドウ 「ふぇ〜…!?救いは、救いは無いのでしょうかぁ?」
フクキタル 「ありません♂、このままでは…。」
ラモーヌ 「そう、分かったわ。」
席を立ち上がり、テントから出ていく前に一言。
「ありがとうね、きっと明後日以降も生きてみせるわ。」
ドトウ 「ラモーヌ先輩…このまま行かせてもよろしいんでしょうか…!?」
フクキタル 「分かりません…、でも…、ラモーヌ先輩には、何か作戦があるのでしょう…!あそこまで余裕で居られるのは、それしか考えられません!」
ラモーヌが次に向かったのはアグネスタキオンの所だった。
コンコン…
カフェ 「ハイ…」
ガラガラ…!
「…!ラモーヌ先輩…?なぜここに…。」
「…いえ、ひとまず中へ、どうぞ。」
タキオン 「おや、変わったお客さんだねぇ、どんな要件かな?ラモーヌ先輩。」
ラモーヌ 「そうね…、……」
……
しばらくして、部屋から出ていく。
その頃…
パチ…!
swapオルフェが目を覚ます。
swapオルフェ 「…今日は天気が悪いなぁ、…この時間に目覚めたのもこの天気のせいか。…にしても、なんか嫌な予感がするな…。」
グダグダ言いつつも、再び眠りにつくのだった…。
その日の深夜、タキオン達の旧理科準備室にて…
デスクトップで睡眠を取っているシュガーライツとエアシャカールの隣で、実験を続けているタキオン
タキオン 「〜〜♪」
小さなライトに照らされた目の下の隈とは対照的に、やけにノリノリに開発を進めているタキオン。
シャカール 「…ンンっ…」
寝ていたシャカールが明かりで目覚める。
「…おィタキオン…、オメェ今日で何徹目だよ…。ケツイは疲れをごまかしてるだけで、回復の効果はねぇ…、いい加減寝ねェとぶっ倒れるぞ…。」
タキオン 「やあ、おはようシャカール君、、でも待って…!、もうじき実験の成果が実りそうなんだ…!!」
シャカール 「…なンでもいいが…体だけは壊すンじゃねェぞ…。」
そして時代は流れる(1日後)
朝早く、どこか遠い場所にて…
ヒュオォ~!
??? 「ん、この風は……。……うん、決まりだ、戻るか__あいつらの所へ。__何か、いい予感がしない。」
再びトレセン学園が映し出され…
ラモーヌ 「…」
ムク…!
「」
今朝は全く眠れなかったわ…、緊張しているのよね…。あの占いが無かったら、今日が私の命日なんですもの。
寮を抜け出し、学園に入ってそのままタキオンの所へ向かう。
コンコン…!
シャカール 「どーぞー。」
ガチャ…
ラモーヌ 「あら、タキオンさんは眠っていまして?」
シャカール 「ついさっき、眠りに付きましたよ、…そンで…、なんの用ッすか…」
ラモーヌ 「昨日頼んだ発信機を取りに来たのよ。(セッカチー)」
ピ!
指を指すシャカール。
「そこに。」
ラモーヌが横を見ると、それらしき物と一緒にメモが貼られていた。
『やあラモーヌさん、おはようだねぇ、この手紙を読んでいるということは、私は多分寝ている、だから説明を書き遺しておいた、じっくり読んでください。
使い方:真ん中の小さい凸を押す、するとswapオルフェ君のデバイスに大音量でラモーヌさんが助けを呼ぶ声が出るようにしてあります(注意⚠️ 関係ない時(特に今)は使わないでください、多分私がしばかれます(切実)』
ラモーヌ 「…貴方の思い、とくと受け取ったわ。」
ラモーヌは部屋を出ていった…
シャカール 「」
なンかシリアスな空気流れたが、別にコイツ生きてっからな?
またしばらくして…、朝6時頃、突然swapオルフェの部屋のドアを、誰かがノックする。
swapオルフェ 「んっ……」
ガチャン…!
ドアを開けると、愛木が立っていた。
swapオルフェ 「…じいさんさぁ、私今日休みなんだけど…。」
愛木 「理事長からの緊急招集だ、すぐ準備しろ、俺は先に行ってるぞ。」
ガチャン…!
swapオルフェ 「ん〜〜なんだよ緊急招集ってぇ〜!!下らない事で私の休日を台無しにするなよぉ…もぉぉ!!!」
しぶしぶ着替えて理事長室へ向かう。
反骨精神で、私服で理事長の所へ向かう。
ヒュン!
コンコン…!
ガチャ…
「入りますよ〜っと。」
中に入ると、愛木や渡ら3人も居る。
やよい 「うむ!みんな集まってくれたな。…陳謝!今日は休みの人も中には居るだろうに、こんな時間に呼び立てて申し訳ない。」
swapオルフェ 「前置きとかいいんで早く要件を言ってください(不機嫌)」
やよい 「ああ!…昨日の情報ではあるのだがな、なんでもこの辺りを、ウマ娘だけを狙う殺人鬼が彷徨いているという情報が寄せられた、生徒の方には今日全校朝会で話し、注意を促すつもりでいる。今後しばらくは、警備の範囲を広げるように!」
swapオルフェ 「殺人鬼…ねぇ…。」
昨日の嫌な予感はコレの事だったのか?ま、私にはあんまり関係がない事だね。他の人に任せて私はいつも通り過ごさせてもらいますよっと。
心の中で、だいぶ悪いことを考えているswapオルフェ。
やよい 「では、解散!」
各々戻るべき場所へ戻ろうとし、swapオルフェもさっさと帰ろうとしていると…
ラモーヌ 「あら、早起きなのね。」
swapオルフェ 「ん、女王サマ。」
メジロラモーヌと鉢合わせになる。
ラモーヌ 「あら、女王だなんて。…ふふ、悪くないわね。でもこっちでは、ラモーヌさんでいいわよ。」
swapオルフェ 「ラモーヌさんは何で居るんですか、ここに(謎の倒置法)」
ラモーヌ 「私が訪ねてきたんだもの、用事がある以外に無いでしょう?」
swapオルフェ 「…ああ、そうですね。…それで、用事とは…?」
ラモーヌ 「それはね……」
……
……
そしてさらに3時間後…体育館にて。
やよい 「報告!皆に話したいことが2つある!」
ガヤガヤ…
キング 「報告?最近何かあったかしら?」
エル 「きっとswapオルフェさんがクビになるって話しデース!(小声)」
スカイ 「それは絶対に無いかな〜、昨日見かけなかったくらいで辞めるって思うのは浅いんじゃない?」
やよい 「まずは1つ目、…これは、本人から直接言ってもらったほうが良いかもしれん。」
段を登り、マイクを握っているのは、昨日のDustジャーニーである。
Dustジャーニー 「どうも、今朝ここに帰ってきました、怪我などはありませんが、皆様にご心配とご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。」
淡々と話し始める彼女が偽物だということには、まだ誰も気づいていない。
マイクを理事長に渡す。
やよい 「では次に、…あまり嬉しいニュースでは無いのだが…、近頃、この付近をウマ娘だけを狙う凶悪な殺人鬼が徘徊しているという情報が入った、今後しばらくは校外への不要な外出は控え、最低2人以上での行動をとるように!」
「では、これにて全校朝会を終了とする!」
朝会終了後、各教室にて…
スペ 「ジャーニー先輩、無事に戻って来たんですね!」
キング 「これで、学園が抱えている問題は全て解決したわけね。」
グラス 「何してるんですかスワオルさん、早く帰らないとお家の人が心配しますよ(狂気の独り言)」
エル 「グラァス!ソレはダメだって私に言いませんでしタ!?」
グラス 「これはハヤヒデ先輩達のネタなのでいいんです(良くない)」
スカイ 「アレもスワオルさん関わってそうだけどねぇ〜。明らかにネタとしてのレベルが突出してるし。」
高等部2年生の教室では…
オルフェ 「姉上は無事に戻られた、ヤツにも報告したいが…、こんな時に限りヤツは居らぬ。」
ゴルシ 「まぁまぁ良いじゃねーかよ、もう一人のオルフェには何時でも言えるんだしよぉ!」
??? 「嬉しいことね、これでようやく、貴方の本調子と手合わせ出来るんですもの。」
ゴルシ 「なんだよドンナぁ、もっと素直に喜べよなぁ!」
ドンナ 「…喜んでいましてよ?」
彼女の名前はジェンティルドンナ、栗東寮に所属する高等部2年。
強さこそが正義、実力至上主義のウマ娘。 自身に対してはもちろんのこと、他者に対しても一切の甘さはなく、冷徹にすら感じられるほど。 敗者に語る言葉なし――それこそが、剛毅なる貴婦人、ジェンティルドンナである。
……そして、昼休み…
実況 『さあ、試合はいよいよ最終盤、バッターは豊選手、えー、スリーボールツーストライク、えー、三塁以上で逆転勝利と、えー、言う事で、えー、スタジアムに緊張が走ります。』
実況2 『豊選手、今回の為にコンディションを整えて来たと、えー、試合前にも申していましたが、バットを握るその手からも、不安と緊張が滲み出ております、果たしてどうなるのか…!』
テーテーテテーテーテーテテテテー
??? 「かっ飛ばせ〜〜!ゆ・た・か!!」
芦毛のウマ娘が、食堂に置かれているテレビの野球中継に向かって応援をしている。
彼女の名前はメジロマックイーン、栗東寮に所属する中等部2年。
名門メジロ家に生まれたお嬢様。優雅ながら思い上がらない性格と品格は、他のウマ娘の羨望の的である。長距離走者としての才覚は一級で、メジロ家にとって特別なレース『天皇賞』の勝利を第一に目指している。休日は同家の者でアフタヌーンティーを楽しむ。
ス…
フオン…!!
ピッチャーが強力なストレートを投げてくる。
カァ~~ン!!
爽快なホームランの音がテレビ越しに食堂に響き渡る。
実況 『打った〜!豊が打った!ぐんぐん伸びていく!ぐんぐん上がっていく!誰も取れない!ホ〜〜ムラ〜ン!!場外ホームランだ〜!!』
実況2 『帰ってきた、豊が帰ってきた!8ヶ月ぶりのホームラン!スタジアムが歓声で溢れています』
ワー
キャー
マックイーン 「やりましたわ!ホームランですわ!」
しばらくして、場面はヒーローインタビューに切り替わる。
インタビューアー 『ホームランによる勝利でした、想い入れ、いかがでしたか。』
豊 『えー、そうですね、8ヶ月ぶりのホームランですので、えー、確実に嬉しいです。』
『えー、僕は、帰ってきました!』
ワー
キャー
野球中継で盛り上がるメジロマックイーンを尻目に……
グラス 「…天気が良くないですね…。」
キング 「昨日から曇り続きよね…、あっ、ウララさん、付属のソースかけ忘れてるわよ。」
ウララ 「ホントだ、じゃあキングちゃん、いいよ!来いよ!胸にかけて胸に!」
自分の胸をジャージ越しに鷲掴みにし、見せつける。
グラス&キング 「 」
キング 「…ウララさん…?どこでそんな事習ったの…?」
ウララ 「夢の中で色々教えてくれたの!これ以外にも、「こ↑こ↓」とか「✝悔い改めて✝」とか「まずウチさぁ…」とか!」
グラス&キング 「……」
2人でお互いを見つめあう。
キング 「ウララさん?それ、あんまり人前でやっちゃダメよ?トレセン学園でその語録は恥ずかしいことなのよ?」
ウララ 「えー、でも…swapオルフェさんもいいぞーコレって行ってたし…。」
キング 「ダメよウララさん!もうあの人の言う事を聞いちゃ!」
結構強めに叱るキング。
ウララ 「え〜…でも、みんなやってるよ?」
キング 「…分かったわ…(絶望)」
グラス 「早期にスワオルさんを追い出せて居ればこんな事には……」
……
……
その頃…
Dustジャーニー 「…さて、時間だよオル。」
Phantomオルフェ 「…やはり標的はラモーヌか?」
Dustジャーニー 「もちろん、順番通りに殺らないとね。」
トコ…トコ…
不気味な笑顔を浮かべながらラモーヌの居る部屋へ向かう。廊下に響き渡る足音は、いつもより大きく響いていた。
コンコン!
ラモーヌ 「…!」
ガラガラ…
Dustジャーニー 「こんにちは。」
ガラガラ…カチャ…
ラモーヌ 「ッ!!」
聞き覚えのある音で咄嗟にDustジャーニーの方を見る。2日前、自分が殺されるという占いで最後に聞いた音だ。そこには、不気味な笑みでフードの下から顔をのぞかせるDustジャーニーの姿が…
ラモーヌは切羽詰まっていた、今この瞬間理解したのだ、あの占いで自分を殺したのは、他でもないこのDustジャーニーなのだと。
Dustジャーニー 「ひどい顔ですね、今朝はよく眠れませんでしたか?」
笑みを浮かべたまま、ゆっくりと歩みをこちらに寄せてくる。
ラモーヌ 「…っ」
カチ…
Dustジャーニー 「随分冷静なんですね、その様子だと、もう分かっているんでしょう?自分の結末が。」
後ろに隠していたナイフを取り出す。
「いくら前と力が同じとは言え、殺り方も揃えたほうが今後の為でしょう。ラモーヌさん、ゲームオーバー、ですよ。」
ラモーヌ 「っ…、…そう。」
Dustジャーニー 「…怖がらないのですか?」
ラモーヌ 「…どうせ何をやっても無駄なのでしょう?なら私は、大人しく運命を受け入れるまでよ。」
Dustジャーニー 「浅いですね。…では、さようなら。」
凶器がラモーヌに振りかぶりそうになる瞬間…
キン…!
swapオルフェの青攻撃で、Dustジャーニーの体がその場で固定される。
Dustジャーニー 「っっ!!」
グオ!!
そのまま窓の方に飛ばされ、地面に落とされる。
パリィン…!
ドゴォ!
バンッ!
swapオルフェがドアを蹴破る。
swapオルフェ 「ラモーヌ!!」
ラモーヌ 「もう、遅くってよ…。」
安心して脱力し、身体をswapオルフェに委ねるラモーヌ。
swapオルフェ 「いいからタキオンのとこに行け!」
ラモーヌ 「ええ…!」
なぜswapオルフェがこうなる事を知っていたか、実はこんな裏話があった!
私がタキオンさんの所に行った時……
回想
——————————————————
ラモーヌ 「発信器、なんて作れるかしら?」
タキオン 「ふゥン…今すぐは無理そうだけど、今は調子がいい、明日には完成させよう。」
ラモーヌ 「ならもう一つ、その発信器と、swapオルフェさんの使っているデバイスを連動させてもらえるかしら?」
タキオン 「…分かった、それもしておこう。」
すんなり受け入れる。
ラモーヌ 「あら、後回しにしなくてもよくって?」
タキオン 「ラモーヌさんが直々に頼みに来たんだ、緊急で間違いないだろう?なら私は、持てるすべての力をもって依頼をこなすだけさ。」
ラモーヌ 「あら、頼もしいのね、嬉しくってよ。でも、気分がいいとはいえ、なぜ他所の依頼を受けようと思ったのかしら?」
純粋な疑問をタキオンに問いかける。
タキオン 「それはね……じゃーん!」
小皿に黄色いキラキラが雑に置かれている。
「見ておくれ、swapオルフェ君が置いていってくれたんだ。私はこの『ケツイ』というものに可能性を見出していてね、深く研究して性質を理解できれば、我々でも生み出せるかもしれない、そんな興奮に駆られてはや5徹目だ、この時を、ケツイがあってswapオルフェ君が居ないこの時をずっと待っていた!私は今、猛烈に気分が良い!」
ラモーヌ 「そう、お熱いのね。」
タキオン 「…というわけだ、明日にはswapオルフェ君のデバイスと接続した状態の発信器をお渡ししよう。」
ラモーヌ 「ええ、頼りにしているわよ。」
——————————————————
別の回想に切り替わる
——————————————————
ラモーヌ 「それはね…」
スカートのポッケから発信機を出して、見せる。
swapオルフェ 「何それ。」
ラモーヌ 「発信機よ、ここを押すと、貴方のデバイスに救難信号が出るよう施されているわ。」
swapオルフェ 「ルドルフから頼まれたの?」
ラモーヌ 「なんの話かしら?」
swapオルフェ 「なんでも無い。…で、何のための救難信号?」
ラモーヌ 「…実は私、今日死ぬかもしれないの。」
突拍子も無い事を言い始めるラモーヌ。
swapオルフェ 「死ぬ?なに、事故るってこと?」
ラモーヌ 「いいえ、私は誰かに殺されるのよ、この学園の中でね。一昨日占ってもらったのよ、嫌な予感がするって理由でね。」
swapオルフェ 「占いだぁ!?当てになりませんよそんなモノ。」
ラモーヌ 「どう言われても、もう接続は済んでいるのよ、もし占いが外れたら、この発信機は処理するから安心して頂戴?」
swapオルフェ 「ほ〜ん。」
——————————————————
回想終了
Dustジャーニー 「くっ…!」
上を見上げると、馬の頭蓋骨を模したブラスターが大量に空中に固定されており、全てのブラスターがこちらを見ている。
「ッッ__」
ダァァァァァァ!!
タッタッタ!
ドゥッ!
swapオルフェも窓から飛び降り、地上に降りる。
ブラスターの着弾地点はまだ砂煙が舞っていて、中がよく分からない。
パラパラ…!
swapオルフェ 「……」
刹那、砂煙の中から赤い光が漏れだす。
ダァァァァ!!
Dustジャーニーのブラスターが砂煙を吹き飛ばしながらswapオルフェ目掛けてレーザーを放つ。
swapオルフェ 「ッ!簡単には倒せないかっ…!!」
ヒュイン!
数本の太いニンジンを地面に生やしてレーザーを止める。
ボコ…バキ…!
外側から徐々にニンジンが欠け始める。
「クソっ…威力が高いしッ…コレに構っていたら……!!」
ビュオッ!!
高速で横からDustジャーニーが攻撃を入れに来る。
「っっ!!」
ヒュン!
瞬間移動で距離を取る。
「ハァ…ハァ…!」
Dustジャーニー 「おや、もうもう息が上がって居るんですか?私はまだ余裕ですよ?」
swapオルフェ 「…それでも私は…やらなきゃ行けないんでね…!」
ボォ…!
ニンジンを数本召喚しDustジャーニーに向けて放つ、それと同時に、自らも相手に向かう。
Dustジャーニー 「ッハハ!」
ギュイィィン…!
ダァァァァ!!
召喚したブラスターでニンジンを消し飛ばす。
swapオルフェ 「!」
ギュイィィン…!
上空へ飛び上がりブラスターを召喚し放つ。
ダァァァァ!
無数のニンジンと、ブラスターが飛び交い、両者の弾幕が衝突する、だが圧倒的なスペックの差で、swapオルフェが徐々に押され始める。
遂にその場に膝をついてしまうオルフェ。
swapオルフェ 「ハァ…ハァ…ハァ…っ!」
Dustジャーニーとswapオルフェでは、体力に差がありすぎて、どうしてもswapオルフェが先にバテてしまうのだ。
服は掠ったニンジンでボロボロになり、もうまともに戦うことすらままならないswapオルフェの所に、Dustジャーニーがゆっくりと近づいてくる。
Dustジャーニー 「そんな状態ではもう戦えませんね、勝てないと分かっていて、なぜここまで必死になれるのでしょう?」
swapオルフェ 「…さぁな…っ、私のワガママだ、…元の世界に帰るために、ここの奴らを利用する…、その為にはアンタが邪魔なんだ…!アンタも私と同じ、異世界からの来訪者…、だが…、アンタのその匂いは!「血」の匂いだ!お前は他のウマ娘達を殺した!どんな事情があれ、この世界に危害を及ぼす可能性のあるお前をそのままにする訳には行かない…!!」
Dustジャーニー 「そうですか。それでは、この世界の行く末を、あの世でしっかりと見届けて下さいね。」
ギュイィィン…!
ブラスターを召喚し、放とうと手をswapオルフェの前に出そうとした時…
ドドドドド…!
ドゴッ…!!
Dustジャーニー 「っ…があ…!!?」
ドゴッ!ドカッ!ズザァァァ…!!
誰かにタックルを仕掛けられ、かなり吹き飛んで地面に転がるDustジャーニー。
ドンナ 「ちょっと通りますわよ。」
画面が引かれ、ジェンティルの全身が映る。
swapオルフェの腕を肩に乗せ、声を掛ける。
「しっかり!アレはどうやって倒せば良くって?」
swapオルフェ 「…君は…っ…!」
ドンナ 「ジェンティルドンナよ、細かい説明は後にして頂戴…!」
swapオルフェ 「ドンナは、パワー系だな…、私が奴の動きを止める、その間にデカい一撃を…!!」
ドンナ 「簡単ですこと…!」
swapオルフェ 「来るぞ!!」
ダァァァァ!!
バッ!
飛んできたブラスターを二手に別れて避ける。
Dustジャーニー 「経験値の分際で…小癪な小蝿共め…!」
swapオルフェはブラスターとニンジンで応戦をし、ジェンティルが打撃でダメージを与えるという作戦に変更した。瞬間移動をドンナに使い、攻撃の当てやすい方に飛ばしながら、ニンジンやブラスターで器用に援護する。
Dustジャーニーも上手く攻撃を捌きつつ、どちらに対しても同じ密度の攻撃を仕掛ける。
「ッ…!このウマ娘、なぜコレほどのパワーと体力が…!いずれにせよこのままだと私がジリ貧で押されてしまう…!こうなっては仕方ありません。オル、相手をして差し上げなさい。」
Phantomオルフェ 「御意。」
ザンッ!
ジェンティルドンナに突然、不可視の攻撃が飛んでくる。頬に傷ができ、血が下垂れ落ちる。
ドンナ 「っ!!」
何…?今どこから攻撃が飛んで来たのよ…!?設置型のニンジン…?でもそれならswapオルフェさんが気付くはず…!
swapオルフェ 「っ…!」
なんだ…?ドンナは今何にやられた…?攻撃はすべて捌けているとは言えないが、あんな傷を負うほどでは無いハズ…!
「ドンナ!その場から離れ…」
「!!」
Dustジャーニーが思いっきり突っ込み、ブラスターで攻撃を仕掛けてくる。
swapオルフェ 「くっ…!?」
再びDustジャーニーとswapオルフェの一騎打ちが始まってしまう。
ドンナ 「っ!この視えない攻撃を…何とかしないと…!!」
Phantomオルフェが攻撃をする瞬間は姿が視えるので、その一瞬で回避に専念するドンナ。
「前後の動きが視えさえすれば……!…そうだわ…!」
バッ!
攻撃を避けたタイミングでグラウンドの砂を拾い、敵に向かって投げつける。
Phantomオルフェ 「くおっ…!目つぶしか…!」
Phantomオルフェの居る場所だけは、砂が浮いているように見える。
ドンナ 「貴方が何であれ、攻撃できるのならそこに「存在している」ということ、砂を被った事で、貴方の場所がよく見えるわ。」
ヒュオ!!
ジェンティルドンナの強烈なパンチがPhantomオルフェを襲う。
ドガァ…!!
Phantomオルフェ 「グハッ!」
ボゴォ!
地面に叩きつけられる。
ドンナ 「トドメですわ…」
拳を振り上げ、下ろそうとすると…
ザシュッ!!
Dustジャーニーがジェンティルに攻撃し、胸から腹にかけて大きな切り傷を与える。
「かはっ……!!」
傷口を押さえ、地面に腕をつくドンナ。
「…swapオルフェさんは……!」
Dustジャーニーにの青攻撃によって動きを固定されているswapオルフェ、既にその身体はボロボロのようだ。
Dustジャーニー 「オル…ひどいケガだ、すぐに直してあげるからね。」
キンッ!
直後、ジェンティルドンナの体が青攻撃で固定される。
ドンナ 「くっ…!?」
クンッ!
Dustジャーニーが腕を勢いよく挙げると、ドンナも連動して空に打ち上がる。
「なっ…!?」
クンッ!
Dustジャーニーが挙げた腕を思い切り下げると、ドンナも勢いよく地上に落下する。
「なあっ…!?」
ドゴォォン!!
ドンナの体に、凄まじい落下のエネルギーが流れる。
「…かはっ……!」
ギュイィィン…!
2個のブラスターがドンナの目の前に敷かれる。
「ッ__」
ダァァァァァァ!!!
放たれたブラスターのエネルギーで吹き飛んで、そのまま校舎の柱部分に激しく衝突する。
ドゴォォン!!
パリパリパリィン!!
窓ガラスが衝撃で割れる。
生徒一同 「きゃああ〜!!」
教員 「み、みなさん!すぐ避難を!!」
窓の近くにいた生徒達は皆廊下に出るが、何が飛んで来たのか気になる生徒達が窓の外を見る。
モブウマ娘E 「ね…ねぇ…あれ、ジェンティル先輩じゃね…?」
パラパラ…
モブウマ娘F 「ジェンティル先輩!大丈夫ですか〜?」
窓枠から声を掛けるも、ジェンティル反応は返ってこない。
「…!!血…!血を流してる!」
学園の生徒達も異変に気づいたようだ。
やよい 「衝撃!今の音は何だ!?」
たづな 「下の階のようです…、私少し見てきます!!」
タッタッ…!
タキオンの所にて…
ゴンゴン!
ガラガラ!
ラモーヌ 「タキオンさんは居るかしら!?」
タキオン 「ここに居るよ。おや、随分慌てていらっしゃるようで…。」
ラモーヌ 「武器よ!武器は無いのかしら!」
swapオルフェとDustジャーニーが校庭でおっぱじめてる事を話す。
タキオン 「…なんだって!?そうなると……、待っていてくれ、後ちょっとで戦える武器が完成するんだ、ラモーヌさんはたづなさんにこの事を話して生徒全員に避難勧告を!」
ラモーヌ 「分かったわ…!」
Dustジャーニーに青攻撃で抑えられたswapオルフェと、横たわったまま動かないドンナが写し出される。
戦いの火蓋は切られた…!これからトレセン学園はどうなってしまうのか…、swapオルフェーヴルとジェンティルドンナの運命はいかに……!?
11月25日(火)未明、三冠牝馬としても有名で、先日繁殖牝馬を引退したばかりのジェンティルドンナ号がお亡くなりになりました。お悔やみを申し上げると共に、ご冥福をお祈り申し上げます。
いくらディープ産駒だからって、早いよ……
ありがとう、ジェンティルドンナ。
さようなら、ジェンティルドンナ。
偉大なる名馬の旅立ちに、敬礼。