時刻は正午を周り、誰もが昼休憩をする時間になった。
swapオルフェ 「」
まさか、この世界にもラモーヌ様がいるとは、世界が違ってもあの貫禄は消えないんだね。
「さて、お腹が空いたね…ええと、食堂近くのトイレは…と」
ヒュン!
移動先のトイレから出てくる。
「」
ここが食堂か、結構広めの空間で安心した…。
「さて…、お茶漬けでもあれば良いんだけれど…お、あったあった。」
swapオルフェは期間限定で販売されているお茶漬けの超特盛を注文した。
すぐ後に頼んだ商品がきて大満足だ。
「むふ〜♪」
「おっと…何処に座って食べるかを考えていなかった(池沼)」
どこで食べようか悩んでいると、ものすごい勢いで食材を平らげている1人の芦毛のウマ娘を見つけた。
ガガガガガ!!
「隣、良いかな?」
??? 「オルフェーヴルか!勿論だ、ちょっと待ってくれ。」
皿をいくつかどかして、席を開けてくれた。
swapオルフェ 「ありがとう、それにしてもいっぱい食べるね。」
??? 「…何を今さら?私の大食いっぷりは学園全域に広がってるはずだが…どうしてあなたが知らないんだ?」
ああ、そこからか……
swapオルフェ 「私は、君たちの知っているオルフェーヴルとは少し違うんだ。」
そんなことを説明しながら自分もお茶漬けを食べ始める。
ズズズズ…!
「ひとまず、私の事は君呼びで頼むよ。」
オグリ 「ああ分かった、では私も自己紹介をしなければな、オグリキャップだ、よろしく頼む。」
オグリキャップ、栗東寮に所属する高等部3年。
地方から転入してきたマイペース娘。地元で連戦連勝し、期待を背負ってトレセン学園へとやってきた。地元の期待を一身に背負い、頑張ろうと思っているが、その言動は天然全開でとぼけている。トレセン学園一の健啖家であり、一瞬で米びつも鍋も空にする。
純粋で単純なコで良かった…オグリキャップ、相変わらず聞いたことの無いウマ娘だ。
swapオルフェ 「ところで、どうしてそんなたくさん食べれるんだい?これから想像を絶するような事でもするのかな?」
オグリ 「これからトレーニングがあるんだ、体力を作るためには食事が大切なんだぞ。」
swapオルフェ 「トレーニング?今この学園で流行ってるのかい?」
オグリ 「…?ウマ娘なのにレースを知らないのか?」
swapオルフェ 「」
レース?ジャーニーがこの前オペラオーのところでナメクジレースをやったって言ってたけどそれのことなのかな、いや、話の流れ的に走るのはウマ娘なのか?
オグリ 「どうした?ボーっとして…」
swapオルフェ 「いや、なんでもないよ、考え事をしていたんだ。」
ズズズズ……
あっという間にお茶漬けを平らげた自分に驚くswapオルフェ。
「おや、もうなくなってしまった……(素)」
この時、swapオルフェはバ生最大の危機に瀕していた…
「さて、お金が無い…(絶望)」
あいにく1円も持ってきてないし、あったとしてもここでは使えないだろう、どうしたものか…。
ふと横を見る。そこには相変わらず凄い勢いで食材を平らげる芦毛のウマ娘がいる。
いい方法があるじゃないか、私の常套手段だ。
「オグリキャップ君、だったかな?ちょっとお願いしたい事があるんだけど良いかな?(迫真)」
オグリ 「何だ?私にできることなら協力しよう。」
よし(良くない)
swapオルフェ 「今私ね、お金を1円も持ってないんだ、だから今日の所はツケにしてほしいんだ。」
オグリ 「文無しか…それは大変だな。分かった、私がお金を払おう!」
心配になるほど単純なコだな……この人の同室さんはちゃんと注意してるのだろうか。
swapオルフェ 「ありがとうね、この借りは必ず返すよ。」
オグリ 「ああ、またな!(適当)」
そう言うとオグリキャップは再び食事を始めた。
swapオルフェは席を立ち上がり、食堂を出てすぐのトイレに入る。
swapオルフェ 「さて……やらなきゃいけないことが増えたね……だから約束は嫌いなんだ(怠惰)」
ヒュン!
学園敷地内近くの林に瞬間移動するswapオルフェ
トコ…トコ…
「地域図かなにかあれば良いんだけど。」
大人しくアグネスタキオンのパソコンから地域図を出してもらえばよかったと内心思うswapオルフェだった(小並感)
林を出てすぐに掲示板を見つけたので近づくswapオルフェ。
swapオルフェ 「ここはどこで何が近くにあるのか……ん…?」
『株式会社〇〇 求人中!月給20万!《私たちと一緒に働きませんか♪》』
求人募集の広告が張られていた、仕事内容が書かれていなかったのが惜しいが、写真を見る限り解体事業なのだろう、確信は無いが。
「丁度いい、これならお金も貰える…。仕事の掛け持ちをしていいかどうかは分からないけど…。」
「この先3キロ直進…か、さすがに一括ショートカットはできないかな。」
建物の隙間にワープしながら3キロ進み、目的の場所まで移動する。
「ここが広告を出していた会社だね、中に入って色々聞いてみよう。」
ガチャ!
周りを見てみると、大人が何人か明日が怖いかのような雰囲気で座っている。
会社員 「いらっしゃいませ。」
swapオルフェ 「ちょっと聞きたいんだけれどいいかな?」
会社員 「はい、何でもどうぞ。」
swapオルフェ 「掲示板にここの求人の張り紙を見つけてね、ここで雇ってほしいんだけれど、どこにいけばいいですか?」
会社員 「雇うって、君をかい?っはは、ちょっと君には難しいと思うな、でもまあ…少し待っててください。」
今すごくバ鹿にされた気がする、そりゃ私は女性だけどそれだけで難しい認定されてしまうのは何ともやるせない気分だ…。
3分程待った頃、受付の人から声が掛かる。
会社員 「おまたせしました、あちらの部屋でお待ちいただけますか?」
案内された部屋でしばらく待つことになった。
swapオルフェ 「……こういう待ち時間にタバコを吸えないのが辛い、非常に辛い。」
5分程待っていたら、ドアが開いて人が入ってきた。
??? 「お待たせしてしまいすみません。」
swapオルフェ 「いえいえ、こちらこそいきなり押しかけてしまい…。」
??? 「……自己紹介がまだでしたね、私は株式会社〇〇の社長を務めている旗楽と申します。」
とても丁寧な挨拶だ、名刺を持っていない自分が惜しい。
swapオルフェ「私は……オルフェーヴルといいます、よろしくお願いします。」
旗楽 「ふむ、オルフェーヴルという名前、そしてその頭についてる耳…君はウマ娘だね?」
swapオルフェ 「ええ、とは言っても生徒ではなく、トレセン学園で警備員として働いています。(まだ働いてない)」
旗楽 「へぇトレセン学園で!それだとやっぱり給料も良くて働きやすい環境なんじゃないのかい?」
swapオルフェ 「ええまあ…、でも私がここで働きたいのは、環境なんかの理由では無いんですよ。」
旗楽 「どうしてウチで働こうとおもったんですか?」
swapオルフェ 「そうですね……、単刀直入に言うとですね旗楽さん、『今すぐ月給である20万円を払ってほしい』と言われた場合、どの様な条件ならその交渉の内容を飲んでくれますか?」
旗楽 「今すぐ月給が欲しい…か、そりゃあ一ヶ月分の仕事をしてもらわないと払えないね。」
swapオルフェ 「そうですか、ではその『一ヶ月分の仕事』というのは具体的にどの様な仕事があるのでしょうか?できれば建物換算で教えてくれると幸いです。」
旗楽 「建物換算で?ん〜…そうだな〜、一軒家なら2軒分、マンションとかオフィスで一軒分かなー…。」
swapオルフェ 「…ではそれを『1日で行えば』20万円が手に入る、ということでよろしいでしょうか?」
旗楽 「う〜ん、それはそうだけど、重機や人数のアドバンテージがあっても一ヶ月かかるんだよ?いくらウマ娘でもそれはできないんじゃないかな。」
swapオルフェ 「…わかりました、では直接見てもらったほうが良さそうです」
旗楽 「…というと?」
swapオルフェ 「旗楽さん、これから解体する予定の物件の場所を教えてもらってもよろしいでしょうか?」
旗楽 「それはいいけど、どれも結構大きいよ?(期待)」
いくつかの取り壊し予定のリストをみて、適当に抜き出して提示する。
swapオルフェ 「このマンションを今日中に取り壊せば20万お支払いして貰える、ということでよろしいでしょうか?」
旗楽 「…いや、君だけ特別、というわけにも行かないんだ(矛盾)、他の人だって働いてるからね。」
swapオルフェ 「では、このマンションも一緒に解体すれば構いませんか?」
真横にあったもう一枚の写真も揃えて提示する。
旗楽 「ヌッ(迫真)」
正直彼女の言っていることが本当かどうかは分からない、けれどもし、本当に解体してくれるなら実質2ヶ月分くらいの仕事になる…、もし本当にやってもらえるなら他の人にとってかなりの休息になる……ぬぅ〜どうすれば……。
「……わかりました、ただし条件があります。」
swapオルフェ 「どんな条件でしょうか?」
旗楽 「私もその現場にいきます、私の目の前でこの2軒を解体できたならば約束通り20万円はその場でお支払いしましょう。」
swapオルフェ 「では交渉成立ということで……さっそく現場に向かいましょう。」
旗楽 「車は私がお出ししましょう、入り口の方で待っててください。」
swapオルフェ 「ええ、ありがとうございます。」
わざわざ車を出してくれるなんて嬉しいことだ、移動の手間が省ける。
入り口の方に移動してしばらく待つこと数分…。
旗楽 「おまたせしました、どうぞお掛けになって。」
swapオルフェ 「はい♪」
ブルルゥン…ブルルォォオオン…!
swapオルフェが助手席に乗ると、車は発進し、解体現場へと向かう。
「そういえば、場所も聞かずに解体したいとは言いましたけれど、ここから近いんですか?」
旗楽 「ええ、2つともそう遠く離れてませんし、なんならこの2つ同士も近いですよ。」
…それから、しばらく無言が続いた。
「そういえば。」
先に静寂を破ったのは旗楽の方だった。
「ここで働くって言ってたけど、君歳はいくつなのさ?」
swapオルフェ 「……そうですね、タバコを嗜める歳…とだけ知ってもらえれば。」
旗楽 「ふ〜ん…そしたらさ。」
「ウマ娘だからやっぱ、なんかスポーツとかやってるの?すごい体ガッチリしてるよね。」
swapオルフェ 「…特にはやっていないですけど…トゥレーニングはし、やってます。」
旗楽 「え、週に何回くらいやってるの?(純粋)」
swapオルフェ 「シュー(週)……何回って言う感じじゃ無い……でも頻繁にやってますね。」
旗楽 「あ、そうなんだ…(適当)」
そんなこんなで一箇所目の解体予定の現場についた。
「ここをこれから解体するんですが…大丈夫そうですか?」
swapオルフェ 「ええ、何も問題はないですよ、ただ…」
ポケットから目隠しをとる。
「ここで目隠しをしてくれませんか?」
旗楽 「えなんで目隠しが必要なんだ?(正論)」
突然目隠しを渡されて困惑する旗楽。
旗楽の言っていることは至極当然な事である、この状況で目隠しなんて絶対に使わないからだ。
swapオルフェ 「あまり人に見られると面倒なことになるんですよ、まあ、言葉を変えるとするならば『警告』でしょうかね。」
彼女の言葉と共に、周囲の空気が少しだけ重くなった。
旗楽 「……!」
swapオルフェ 「」
念は押した、もう彼がどんな返しをしてきても大丈夫だ。
旗楽「…わかりました。」
目隠しを装着する。
「付けましたよ?」
swapオルフェ 「ありがとうございます、旗楽さん。」
旗楽 「……」
彼女は一体何をするつもりなのだろうか、目隠しが必要な事といえば何かあるか、旗楽はこっそりと目隠しを上にずらし、様子を見てみることにした。
swapオルフェが、ゆっくりと目を閉じる…。
キンッ!
再度目を開くと彼女の右目には青い光が纏っていた。右手を前に勢いよくかざすと、前方のビルに薄青色のオーラのようなものが付与され、左手を上に上げると、swapオルフェは周囲に巨大な馬の頭蓋骨のようなものを召喚し、瞬く間にビルの下に移動しレーザーを照射する。
ダァァァ!!!
最初の一撃目でビルの下層が散り散りになったが、swapオルフェが押さえているので倒壊はしない。
キンッ!
再びswapオルフェが右手を下にゆっくりずらすとビルも連動してゆっくりと降下していく。
ズズズッ…!
ゆっくりと横倒しにしていき、やがて完全に横敷になる。
swapオルフェ 「確認ですが、ビルは粉々にしても大丈夫なんですか?こういうのって普通鉄とかの資源を分けるものだと思うのですが(全然知らない)」
旗楽 「ッ………っ……!!」
swapオルフェ 「旗楽さん?どうかしましたか?」
旗楽 「……ん?ああ、ごめん、ちょっと考え事してた。そうだね、ガラスとか木材、金属とかコンクリートなんかをカテゴライズする必要があるね。」
「…思えば、それらを持っていく車両を持ってきていなかった、最悪解体だけでもいいよ、分別なんて人数がいればできることだし。」
俺は何を見せられたんだ?あのレーザーは何だ?あの照射装置は何だ?そして彼女は何なんだ??
swapオルフェ 「では、お言葉に甘えて解体するだけにしましょう。」
キンッ!
横倒しになったビルの窓枠だけが青く光る。
グンッ!!
ガゴンバァ!!
彼女が右手を上に上げると、窓枠も一緒に上昇しビルの一部から外れる。同じような事を彼女は木材・ガラス・金属でもやってみせた。しかし問題はコンクリートだ、いわばコンクリートとはビルそのもの、普通は重機を使ってゆっくりバラすものだが、彼女はどうする…?
キンッ!
横倒しになっているビルそのものがもう一度青く光る。
グググ…!!
彼女は右手を少しずつ上に上げている、重さによって持ち上げやすさが違うのだろう。
ゴゴゴゴ……!!
ビルも一緒に上に上昇する。
クンッ!
勢いよく右手を下ろすswapオルフェ。
ドボロバァッ!!
ビル全体にヒビが入るが崩れる気配は無い。
旗楽 「」
なるほど、ビルの重さを利用して自然落下で解体したのか、現実では絶対にありえない。彼女だからやって退ける事なのだろう、俺はそう思い込むことにした。
swapオルフェ 「…ふう…これで出来ることは全てやりました、次の現場に行きましょう」
旗楽 「ん?ああ、もう終わったの!?」
swapオルフェ 「ええ、目隠しを外してその目で確かめると良いですよ」
俺はさっきの光景を見ていたが、あえて目隠しを付けていた定で話を進めることにした。
旗楽 「ほ…本当だ、綺麗さっぱり解体されている、分別もちゃんとできてるし……すごいよ君…!」
swapオルフェ 「ふふ…お褒めの言葉感謝します。」
旗楽 「そ…それじゃあ、次の現場に移動しようか(震え声)」
swapオルフェ 「ええ、お願いしますよ。」
そして彼女は移動先の現場でも同じようなことをしてビルを解体した。
すっかり日も暮れてしまった帰り道、車にて。
旗楽 「今日は助かったよ、まさか本当に1日で2軒も解体できちゃうなんてね。」
swapオルフェ 「喜んでもらえて何よりですよ、それよりも…」
一瞬黙り込んで…
「今日見たことは他言無用でお願いしますよ?」
旗楽 「もちろん…あんなの人には話せないよ、まぁもし話したとしても『夢だろ』で済まされると思うけどね。」
見ていたのがバレてしまっていた。
swapオルフェ 「どうでしょうか、噂と病気は一瞬で蔓延するものです、そんな物を話しても良いことは何一つありません、やめようと「思い立ったら吉日」ですから。」
なにか、彼女には隠さなければならないことがあるのだろう。生憎俺は人の秘密を暴くなんてのは趣味じゃない、俺だけの秘密、ということにしておこう(小並感)
「あっはは、そうだね。」
現金は会社に着いてから渡そう。それと、しばらく他の人達に休暇をあげないと、コレはコレで忙しいゾ〜汗汗。
そして、何事もなく戻ってきて…。
「今日は本当にありがとう、これ、約束のお金だよ。」
彼女が札束を受け取ると、慣れた手つきで数え始めた。
swapオルフェ 「1、2、3…………20。ええ、確かに受け取りました、それでは私はこれで。」
旗楽 「ああっ待って!」
急いでswapオルフェを止めたのでなんとか飛んでいく前に彼女を止められた。
swapオルフェ 「どうかしましたか?」
旗楽 「これ、会社の連絡先とICカード、改めてよろしく頼むよ。」
swapオルフェ 「ええ、ありがとうございます。」
しばらく考え込んだ後、swapオルフェが口を開く。
「旗楽さんには、私の本当の名前を教えておきます」
旗楽 「本当の名前?いやぁ気になるな。」
swapオルフェ 「私は……
」
オルフェーヴルに"姉上"と呼ばれたことを思い出す。
姿はオルフェーヴル、性格なんかは姉上…すなわちドリームジャーニー、つまり私はこの世界のオルフェーヴルとは対照的な存在だ、まるで"入れ替わっている"ように…入れ替わって………
ッッッ!!!
「…私の名前はオルフェーヴル、そして……」
「____」
ヒュン!
旗楽 「……はは…、ちょびっと変わった名前だなオルフェさんの本当の名前…。」
何回かの"近道"を経てトレセン学園に戻ってきた。
swapオルフェ 「さて、あのコの部屋はどこにあるのかな?」
しばらく学園の廊下をうろついていると1人のウマ娘が話しかけてきた。
??? 「おっ、オルフェーヴルやないかい、こんなところでどないしたんや?」
「背の低い 関西弁の ウマ娘」。swapオルフェ、心の俳句……なんて事をしてる場合ではない。
彼女に聞いてみよう、知っているかどうかは分からないが…
swapオルフェ 「キミ、オグリキャップって名前のウマ娘の部屋を知らないかな?部屋の場所を聞くのを忘れていてね…」
??? 「」
は?コイツウチのこと今なんて言うた?キミ言うたのか?なんでオルフェーヴルがウチの名前を知らへんねん、ま、ええか(適当)
「ほんならアンタ、ウチが声かけて正解やったな。ウチはアイツの同室なんや。」
swapオルフェ 「丁度よかった、それなら部屋に案内してくれないかい?」
??? 「…そりゃ構わへんけどアンタ、オグリとどんな関係なんや?」
swapオルフェ 「彼女とは食堂で知り合ってね、お礼を言いに行きたいんだよ。」
??? 「……わぁったで、ほんなら付いてきぃや。」
謎の芦毛のウマ娘に言われるがままについていくswapオルフェ。
swapオルフェ 「」
この人が彼女の同室の人か、オグリ君とは違って隙のない、よく練り上げられた空気を持っている…
??? 「…なあ。」
不意に質問を投げ掛ける。
swapオルフェ 「どうかしたのかい?」
??? 「アンタって、ウチのことホンマに知らへんのか?」
swapオルフェ 「…うん、何も知らないよ、私はキミの知ってるオルフェーヴルとは別人だからね。」
何を言うとるんやコイツは…
タマモ 「…ほんなら、自己紹介せなあかんな。ウチはタマモクロスや、よろしく頼むで?」
タマモクロス、栗東寮に所属する高等部3年。
関西弁バリバリのチビっ娘。体こそ小さいがまさに気力の塊で、日常でもレースでも隙あらばツッこんでくる。金銭的に恵まれない環境で育ったが、それを理由に負けてたまるかと奮起し続けるハングリー精神がパワーの源。ボケ担当のオグリキャップとはいいコンビ。
タマモクロス、やっぱり聞いたことのない名前だ。
swapオルフェ 「私は…向こうに着いたら言おうか。」
やがて彼女の寮室に着く。
ガチャ
タマモクロス 「戻ったでオグリ。」
オグリキャップ 「おかえりタマ、…む?君は!」
なぜここに居るのかと、驚いたような表情でswapオルフェに言葉を向ける。
swapオルフェ 「やあ、オグリ君。」
タマモクロス 「んあっコイツか?なんでもオグリに用があるっちゅうねん、廊下うろついてたから連れてきてもうたわ。」
オグリ 「私に用事…?この時間だと、あらかじめ外出届けを出してないと出歩くことは不可能だぞ?」
swapオルフェ 「大丈夫、ここで済ませられる事だからね。」
そう言うと彼女は、おもむろにポケットに手を突っ込ませ、雑に折られた紙幣の一部を渡してきた。
オグリ 「こ…コレは?」
オグリキャップが曲がった紙幣を水平に直すと、それは一万円札だった。
タマ 「ちょいちょいッ!何やねんコレは!」
オグリキャップとタマモクロスはかなり困惑しているようだ。
swapオルフェ 「おや??どうして君が困惑してしまうんだい?」
オグリ 「…もしかしてだが、これは今日の昼ご飯のお礼なのか?」
swapオルフェ 「食堂を出る前に言ったろう?この借りは必ず返すって。」
タマ 「ちょい待てオグリ、アンタこいつに昼メシ代タカられたんか!?」
とんでもなく人聞きが悪いが、三人称視点からみればそういう風に捉えられてしまうのも無理はない。
「オグリなぁ…アンタは純粋すぎるんや、その純粋さに付け込んでエラいことさせてこようとする連中も居るんやで!」
オグリ 「だがタマ…彼女はあの時、"本当に辛そうな目"をしていたんだ、放って置くなんて私にはできなかった!」
swapオルフェ 「ッ!……あの時私は…そんなに辛そうな顔をしていたかい?」
オグリ 「ああ…多分意識していなかったろうけれど、あの時、君はそういう顔をしていた。」
言われて初めて気づく、自分の心、swapオルフェはあの時…いや、今この瞬間も"焦って居る"のだと、知らない環境に放り込まれ、無理している自分を理解し、彼女が行った行動はひとつだ。
swapオルフェ 「……ふふ…どこまでも、純粋なコだね、オグリ君は…。」
笑った、周囲の不安を煽るためではなく、自分を鼓舞する為に
「…ッ…ハハっ!たまげたたまげた…!まさか自分がそんな顔していたなんてね…!」
swapオルフェの口調がどんどん崩れていき、やがて収まる。
「…さて、もうここに用は無いかな、私は帰るとするよ。」
タマ 「あっ、おい待てィ(江戸ッ子)」
swapオルフェ 「あれ、何かし忘れたことなんてあったかな?」
タマ 「アンタの名前をまだ聞いとらんやないかい、ここ来る時ウチに名前言う事、まさか忘れたなんて事はないよな?」
忘れていたとは言えないswapオルフェ。
swapオルフェ 「ああ…私も今それを言おうとしたところだよ(大嘘)」
動きの若干のぎこちなさをタマモクロスが感知できない訳もなく、彼女はクソデカいため息をついた。
タマ 「…んで、なんや、アンタの名前、オルフェーヴルやないんかい。」
オグリ 「私の時もはぐらかされてしまったからな…気になるぞ!」
タマモクロスとオグリキャップは飴を目の前に出された子供のようにswapオルフェとの距離を詰める。
swapオルフェはおもむろにポケットに手を突っ込み後ろを向いたまま口を開く。
swapオルフェ 「私の名前はオルフェーヴル、………それと…」
タマモクロス達の側に体の向きを変えて一言口にする。
「"swapオルフェーヴル"」
ヒュン!!
2人の芦毛のウマ娘の前からswapオルフェが跡形もなく消える。
タマ 「ファ!?」
オグリ 「すわっぷ……?入れ替わりということか…?」
タマ 「いや!注目するとこそこちゃうやろ!?今の見たか!?消えおったで!?ウチらの目の前で!!なんでそんな冷静な顔しとるんや!」
オグリ「いや……昼に食堂で会ったときからおかしな人だとは思ったがそれ以上のことは……瞬間移動できる事も初見だが…彼女だからって思えば不思議では無いと思うぞ?」
タマ 「不思議やわ!おどろきもものきさんしょの木やわ!!」
オグリ 「タマは…細かいことを気にしすぎだぞ……。」
タマは 「……せやな、また今度アイツに会ったら取っちめて色々聞き出したる…覚悟しときいや!」