ラモーヌ 「前回のあらすじ」
「前回、フラッシュさんの特訓を終えたスワオルさんが、次の指導者のヒシアケボノさんに新たな特訓を課っせられて、悪戦苦闘する所まで行ったわね。」
「それにしても、あのラーメン、とても美味しかったわ、また食べたいわね…。今度スワオルさんを誘って、一緒に行こうかしら。」
「それじゃあ、続きをどうぞ?」
swapオルフェ 「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!(レ)」
朝から脚を伸ばされ悶絶する。常々思っていたのだが、なぜこんな目に遭わなければ行けないのか、もうこんな事辞めたいし、帰れるなら今すぐ帰りたい。そんな感情をぐっと押し殺し、今日も特訓に励む。
アケボノ 「ボーノー!」
swapオルフェ 「蟹になりたい!蟹になりたいね!」
痛みのあまり、訳の分からない事を言い出す。
……
伸ばす特訓が終わり、2人は日常へ戻る……
その日の昼頃、学園全体で非常時を想定した不審者対応訓練が行われた。
トレーナーや教員、警備員はそのまま事務員役に、生徒達もそのまま生徒役に。そして、犯人役になったのはスワオルだった。
尚、スワオルを犯人役に推薦したのはほかでも無いグラスワンダーその人である。
ガヤガヤ…
スペ 「ねえ、今日の不審者の訓練って、誰が犯人役とか知ってる?」
グラス 「スワオルさんですよ、私が指定したんです。たづなさんも理事長もすんなり受け入れてくれましたよ。」
スカイ 「うわっ…(引き)」
グラスの何気ない邪悪な配慮に、思わずドン引くスカイ。
キング 「誰が犯人役でも関係ないわ、そもそも、本当にこの訓練って必要なのかしら、私達はウマ娘なのよ?力も速さも、人間とは比べ物にならないのよ?」
スカイ 「自分達の力に慢心していると、緊急時に動けなくなっちゃうよ?ほら、人間よりステータスが高い分、突然の事に弱いわけなんだから。」
自分の事、強いてはウマ娘の事をよく理解しているスカイ。
エル 「でモ、やっぱり訓練なんて要らないと思いマース!私達は、その突然の事すらもなんとか出来るんですからネ!」
エルコンドルパサーが自信満々に語っていると…
ガラガラ…!!
swapオルフェ 「おいゴルァ!降りろぉ免許持ってんのかァ!!」
ナイフを手に持ったスワオルが、スペ達の居る教室に、ドアを勢いよくスライドして入ってくる、あまりの迫真っぷりに、その場の全員が驚いて肩をビクリと震わせた。
教員A 「」
ここで、刺股の出番よね…!
「はぁぁ!」
待ってましたと言わんばかりに刺股でスワオルを押し倒そうとする。だがスワオルは、その刺股に軽く触れて軌道を横に反らし、教員が無防備になった所を首にナイフを突き立てる。
swapオルフェ 「何抵抗してんだよ、生徒を体育館に誘導するんだよ、あくしろよ。」
教員A 「ひ…」
直後、部屋の空気が重くなる。
キング 「ね…ねぇ、これ…訓練なのよね…?」
普段から、スワオルさんは変わっている人だとは認識しているわ…。でも目の前で、先生の首にナイフを突き立て、脅迫しているというのは、にわかには信じられない光景だわ…
swapオルフェ 「ブルァァ!ざけんじゃねーよオォイ!!誰が大声出していいっつったオイオルルァ!!え!?」
「もう許せるぞおいィ!!」
バァン!!
教卓を叩き、大声で威嚇するスワオル。
「ちっ…、お前らクルルァに付いてこい。」
キング 「(クルルァって何かしら…?)」
辞書を引いても出ないような、珍妙な言葉の意味も説明されず、彼女は生徒と教員を縦一列に並ばせ、歩かせる。
swapオルフェ 「おい足元しっかり見ろよ、気をつけるんだよ、あくしろよ。」
言い方こそキツいが、その言葉のチョイスは、どこか生徒達を気遣っているような、優しさが滲み出ていた。
教員が先頭で、体育館に向かわせる。
一連の流れを理事長室で監視していた2人は…
やよい 「疑問!何が起きているのだ?こんな事想定には入っていないぞ!」
たづな 「まさかスワオルさん、また勝手に色々やってるんじゃ…。」
たづなの思っている通り、スワオルは余計な事をやっている。本来なら刺股で抑えられて「ぐえ〜やられたンゴ〜」で終わりだったのだが、それではつまらなかったのか、彼女はめちゃくちゃにやり出したのだ。
そして、あろうことかスワオルは、これを全クラスで行い、全校生徒、教員を体育館に集めた。
しばらくして、武装したトレーナー達が体育館に入って来る。彼らはたづなさんに連絡を貰い、学園内にある箒、塵取、バケツなどあらゆる武器になるものを装着して入って来た
ルビトレ 「(生徒達が体育館に拉致されたから助けに来た俺…)」
確かにたづなさんの言う通り、生徒達が体育館に集められていた。だがその雰囲気は、とても拉致されたような空気ではなく、むしろ日常に近い、全く緊迫感の無い光景。
ルビー 「(トレーナーさんが助けに来てくれて安心する私…)」
ルビトレ 「(ルビーが助けての一言も言ってこない、もしかしたらダイイチルビーはこの先トレーナーを変えるつもりなのかもしれない。)」
クソボケを披露するルビトレ。
タイトレ 「今すぐ降伏しろ!お前は囲まれている!」
先頭に入り、声高らかに言い放つ。
swapオルフェ 「……」
ヒュン!
武器を構えるトレーナー達の前まで移動して、ゆっくりと歩み寄る。その間に他のトレーナー達もスワオルを取り囲み、逃げ道を無して行く。
ブラトレ 「こちらも乱暴はしたくない、武器を捨てて伏せるんだ…!」
テンプレワードを口にしてなだめる。
swapオルフェ 「…」
「はぁ…」とため息をし、その場でナイフを落とし、軽く蹴ってトレーナー達の所に飛ばす。
「たづなさ〜ん、聞こえてるんでしょう、こういうのなんですよ、非常事態って。」
トレーナー達が無線を持っている前提で話し始める。
「想定された非常事態は非常とは言わない、だって今起きることが分かっているんだから。分からないから非常事態なんですよ。」
「でも、想定された出来事の中にも非常事態はある。想定と違うこと、ましてや私みたいに教員にナイフを突き立て、生徒全員を体育館に向かわせるなんてのは、それは非常事態だ。」
「何が言いたいかを分かってくれとは言わない。でも…、もっと危機感を持ってやるべきじゃないでしょうか。こんなご時世ですから。」
実際、鋭い指摘ではある。スワオルがいる時点で、ほとんど生徒や教員に手を出すことが出来ないし、もしそういった人物が現れるのなら、それはDustジャーニーと同じか、それ以上に強い侵入者のみ、そういった者が侵入した場合、やらなければいけないことは迅速な避難である。
事実Dustジャーニーの時も、彼女がスワオルの対処に集中していたから犠牲は無かったが、やろうと思えばスワオルを無視して、生徒達を殺すこともできた。あの時はスワオルやラモーヌの迅速な行動が生徒達を救ったが、準備期間無しにあんなのが現れたら……
そんなこんなで、スワオルは体育館から出ていき、たづな達の居る理事長室へ向かった。
コンコン…
ガチャ…
「にょっす。」
ドアを開けて入ってくる。
開口一番、たづなに「なんのつもりですか」と聞かれるスワオル。
「なんのつもりって…、甘ったるい侵入者ごっこはやめて、ちゃんとしたことをしようって、…もしかして、何も聞こえてませんでした?」
たづな 「はい、カメラで見てはいましたが、マイクや無線は無いので、発言の内容まではさっぱりです。何かこの訓練に不満が?」
たづなの反応に「はぁ」とため息をもらし、トレーナー達の前で言った言葉をそのまま伝える。
やよい 「…うむ、それを言われてしまえば、何も言い返せん。だが、swapオルフェ殿の言う"非常時"、我々が何をどうすれば良いのか…、ここにはまだ議論の余地がある。対応訓練を始める前に、君に一声かけても良かったかもしれん、それは私たちの責任だ。」
swapオルフェ 「でしょ?またDustジャーニーみたいなのが来たら、今度は死人が出るかもよ?」
この件については、近い内に同じ訓練をする前に、スワオルと相談しながら行う事で解決した。
…だが、たづなもやよいも、スワオルがこんな行動に走ったのは何か別の理由があると考えていた。パッと思い浮かんだのは、仕事による疲労。Dustジャーニーを退けたスワオルには、想像もできないようなストレスと疲労感があるだろう。
そして、その功績を称え…というかキチゲ解放のために理事長が取った判断は……
その日の夜…
湯けむりに遮られつつ、瞳に映るは二つの月。一つは夜景を照らすもの、一つは水面に浮かぶもの。今、水面に浮かぶ月が乱されようとしている。
温泉のドア『ババン!ババン!バンバン!(迫真)』
swapオルフェ 「ひゃっほ〜い!」
バシャア~ン!!
人気のない湯船に飛び込んで、ダイナミックに入浴する。
ブラスト 「おっ、温ったかいか〜?」
swapオルフェ 「大丈夫っすよ、バッチェ温まってますよ。」
ちゃぷん…
トラン 「おっ、いいゾ〜これ。」
スカイ 「」
なんでセイちゃんここに居るんですか?(自問自答)
アキュート 「ひゃあ〜あったまるねぇ〜…。」
フラワー 「温泉なんて久しぶりです♪」
スワオルとは対象的に、落ち着いてゆっくり入り始める。
『ゆこま温泉郷』
それは、かつては賑わいを見せたURAの保養施設。だが今は、時代と共に寂れゆき存続の危機に瀕している。
彼女達をここに招待したのは、swapオルフェと、それに同行するに値する精鋭を揃えて慰安旅行をしてもらうため。………というのは建前で、本当の目的は__
『①:swapオルフェ及び淫夢厨(又は予備軍)の学園からの隔離』
『②:衰退の危機に瀕している温泉郷を、swapオルフェの特殊能力で救ってもらうrо物理的に金を流して間接的に危機を解決する』
の二つであり、金、力技、大人の事情の3点セットというエグゾディアが完成してしまった。
この間接的追放メンバーに選ばれたのは
『筆頭にして、元凶:swapオルフェーヴル』
『野獣因子を継承せし者:ブラストワンピース』
『ウンスの擬人化:セイウンスカイ』
『淫夢はコミュニケーション:トランセンド』
『湯船に映る灰の砂:ワンダーアキュート』
『対淫夢制御装置兼特効薬:ニシノフラワー』
スワオル、ブラスト、スカイ、トランは淫夢厨(予備軍含む)枠として、保護者としてワンダーアキュート、スワオル達の抑制剤としてニシノフラワーが参加している。
フラワーが居ないと学園が心配になるが、ルドルフやカレンチャンといった強豪が残っているので、少なくとも感染が拡大することはないだろう。
その頃隣の湯船、男性風呂にて…
ブラトレ 「ふわあああ疲れたもおおおん…」
トラトレ 「あ〜^いいっすねぇ〜」
セイトレ 「いやもう疲れましたよ〜。」
アキュトレ&ニシトレ 「はぁ〜…」
陽気なブラトレ達とは対照的に、どこか浮かない顔をしてため息をつくアキュトレとニシトレ。
トラトレ 「おっ、どうしました?ため息なんかついて…。」
後輩を心配する先輩の鑑。
ブラトレ 「折角温泉に来たんだから、もっと温泉を堪能しましょうよ。」
ニシトレ 「あっはは…、すいません…。ちょっと最近の学園の事でウチの担当が…。」
セイトレ 「フラワーちゃんがどうかしたんですか?」
ニシトレ 「いや…その、最近学園で淫夢が流行ってるじゃないですか…。それでフラワーがちょっと…、そういうのダメな子なので…。」
アキュトレ 「俺の所もそんな感じですよ。いや、特段ダメとかってわけじゃないけど、できればそういう事はあんまり理解って欲しくないというか…、発育上良くないなって思って…。」
ニシトレ 「先輩方の方は、なんかそういう悩みみたいなのがなくて良いですよね。」
ブラトレ 「めちゃくちゃ悩んでますよ!?体つきもすごくて、ただでさえ距離が近いのに、淫夢のせいで俺は理性が崩壊しそうだよ…。この前なんか、「見たけりゃ見せてやるよ」って言われて、下着見せられましたし…。」
「はぁ…、近い内にタイトレさんを誘って、カレトレさんから【鋼の意志】教えてもらわないとな…。」
いつぞやの事を話し始める。
セイトレ 「まあ…ブラトレさんは頑張ってる方ですよ。ブラストちゃんにそんな事毎日されてたら、俺だったらセルフ去勢しないと多分耐えられませんもの…。」
トラトレ 「ウチはそういうのは無いですね…、元より淫夢を知っている子なので、良いことと悪いことの区別がついているので。…まあ、危うい時はありますが…。」
「というか、セイトレさんの方はどんな感じなんですか?」
セイトレ 「いや…、俺の所はあんまり…、というか、全然そういうのはしてこないですね。」
グラス達の前であれだけ淫夢に勤しんでいるスカイは、トレーナーに対しては何もしていないというのが驚きだ。
ブラトレ 「へぇー、意外ですね、スカイちゃん、学園じゃ結構淫夢取り入れてる子だって聞いたけど、セイトレさんにはしてないんだ。」
セイトレ 「まあ…、グイグイこられても困るというか、このままでいいっていうか…。」
男性風呂の方では、他愛もない会話で盛り上がるのだった…
そして、風呂から上がるや否や、浴衣に着替えて大広間へ向かう。通路を吹き抜ける冷たい風が、風呂上がりの体をいい具合に冷やしてくれて気持ちが良い。
swapオルフェ 「ンアー!人が少なすぎます!」
ブラスト 「(場の空気)冷えてるか〜?」
大広間には自分たち以外に誰も居らず、ほぼ貸し切り状態だった。とりあえず全員で真ん中の席についてしばらくしていると、テンツクテンツクと、マラカスの鳴る音が聞こえ始める。同時にマラカスの音に合わせて、誰かが手拍子をしている音が聞こえ始める。
ヴィイィィン…!
舞台の幕が上がる。どうやらこの音を奏でていたのは2人らしい。
??? 「__ゆ〜〜〜こまぁ、よいとこぉ……♪__良い湯だよぉぉぉ……♪」
「ハァ〜〜ウマウマ!」
swapオルフェ 「ファ!?」
唐突に始まる謎の歌に、その場の全員が困惑する。
??? 「__ゆ〜〜〜こま温泉んん〜〜……♪ぴょいや!そいそい!」
しばらく簡易無量空所を堪能するスワオル達。
swapオルフェ 「…」
デン!(WindowsXPのエラー音)(宇宙swapオルフェ)
ブラスト 「…」
テテ↑テ↑テッ↓テン!(samsung着信音(クソデカ音割れ))(宇宙ブラスト)
スワオルとブラストは、口をあんぐりと開けっ放しで、どこを見ているのかも分からない目で硬直している。
トラン 「…」
ブゥン!(トレーナーの方を真顔で見てvine boomのクソデカサウンド)
ブラトレ 「…」
テレテテレーーテレー(what bottom text)
アキュート&フラワー 「……」
その他トレ 「(な…なんだ……!?)」
??? 「女将っ、ウケてます。」
??? 「うむ。」
swapオルフェ 「」
私達は、とんでもない所に来ちゃったのかもしれない。
??? 「__ええ、みなさま。お目汚しを失礼いたしました。今のは当温泉郷に伝わる伝統の"湯ふみ歌"。」
「申し遅れました。私、「ゆこま旅館」の女将、保科健子と申します。」
緑色の着物姿の厳格ある女性がそう話す。
??? 「そして私は、その後継として修行中の…ユノハナブルームと申します。」
「いわゆる、若女将というものです。どうぞ、よろしくお願いしますね♪」
女将とは対象的に、肌色の着物姿のやんわりとした印象をしたウマ娘がそう話す。
人とウマ娘が、こんな辺境の地に旅館を構え、この不景気の中でやって行けているのは不思議だ、裏でぶっといパイプが繋がっているのだろう。スワオルは訝しんだ。
この後も、この温泉郷がウマ娘達のリハビリ・リフレッシュの為に温泉療養を突き詰めていた事。保養の極意とか、この2人が元は担当とトレーナーだった事とか。…まあとにかく色々と教えてもらった。
そしてその日の夜遅く、生徒達とトレーナー達はすっかり眠ってしまっているようで、声一つ聞こえてこない。
そんな中スワオルは、まださっきの大広間に居た、どうやら人を待っているようだ。
健子 「お待たせしました。」
swapオルフェ 「うす、前置きはいいので、早く本題に入りましょう。」
健子 「ふふ…、そんなに焦せる事は無いでしょう?」
「…では。……既に、やよいさんからこの旅館の状況は聞いているでしょう。」
swapオルフェ 「(聞いて)ないです。」
スワオルの一言に「えっ?」と情けない声を漏らす健子。
健子 「コホン…、現在、このゆこま旅館は危機的状況に陥っています、そこで、この状況を打開するべく、多方向にSOSを求めました。そしたら、トレセン学園の理事長、秋川やよいさんから「適任がいる!!」…と。」
swapオルフェ 「それで私が招待されたってわけ?あ ほ く さ 。」
「あんのクソガキめがぁ…何が慰安旅行だ。」
心の声がダダ漏れになるスワオル。無理もない、無料で温泉に招待されてウキウキだったのに、蓋を開けてみればまた仕事なのだから。
健子 「……(引き)」
swapオルフェ 「失礼、話を戻しましょう。…要約すると、この旅館の危機を救ってほしい…と、…いいゾ〜コレ。」
心の思いとは逆に、すんなり快諾する。何か企んでいるのだろうか。
健子 「本当ですか…!ありがとうございま__」
swapオルフェ 「ただぁ〜〜!!」
健子のお礼の言葉に被せる様に言い放つ。その声は部屋中を反響し、一瞬の静寂をもたらす。そして、静かになった所を再び話し始める。
「ん〜〜、こちらとしてもね、仕事なのでね、やっぱりそれに見合った対価が欲しいんですよ。勿論お金は要りません、持ってるので(嫌味)」
「あぁ、温泉に無料で入れてくれるってのも無しですよ?別に私は払ってもいいですけど。」
提供できる選択肢を先に潰すスワオル、果たして彼女が欲しいものとは…?
健子 「では…何を望むのです…?」
swapオルフェ 「タバコ(即答)、お金は買いに行く時に渡すから、あとお釣り要らない。…一日一箱、種類は問わないです。」
「あ〜、大丈夫、吸う時はちゃんと外で吸うから、温泉旅館だもの。」
妙な所で礼儀をわきまえているスワオル。怒涛の言葉攻めに健子は声を出せなかった。
健子 「……」
話に聞いた通りね…
〜回想〜
swapオルフェ達が招待される前に、こっそり理事長とたづながこの旅館に立ち入っていた。
やよい 「……そうであったか…、心配無用!ならば使いをここに寄越そう!彼女ならこの問題を必ず解消してくれるであろう!」
健子 「彼女…とは一体…?」
やよい 「学園の警備員に、swapオルフェーヴルという新しく入った警備員が居るのだが、その人は不思議な力を使って学園の事態を解決したり、…あるいはより深刻化させたり……。…とにかく!swapオルフェ殿にかかれば万事解決間違い無し!」
健子 「尽力感謝します…!」
やよい 「…ただな、彼女は少し気性が荒いと言うか…社会適合性が無いというか…、こんな事を当人には言えないが、一癖も二癖もある、扱いの難しいヤツなんだ!」
ボロクソに言われるスワオル、表面上では受け入れてはいるが、やはり思う所も多いのだろう。だがその裏の感情は決して当人には見せない、子ども(?)でありながら、大人顔負けの心構えをしている、それが理事長、秋川やよいなのである。
「もしかしたら、とんでもない要求をされるかもしれない。だが…、なるべくその条件を飲んでやってはくれないか?」
「今の彼女の状況を垣間見ると、要求してくるものは恐らく__」
〜回想終了〜
健子 「」
流石…としか言いようがないわ。
先見の明を立てていたやよいを心の中で尊敬しつつ、気持ちを察する健子。
「分かりました、それでこの旅館が救えるのなら、私は協力を惜しみません。」
swapオルフェ 「流石女将、賢明な判断ですよ。」
「では、今日はこの辺りで…。」
ヒュン!
健子の前からスワオルが消える。
健子 「消えたっ…!?」
ユノハナ 「どうしましたかー、女将ー_」
あくびをしながら大広間にやって来たユノハナブルーム、どうやらさっきまで温泉に浸かっていたようだ。
健子 「…今、そっちにswapオルフェさんが行かなかった…?」
ユノハナ 「いえ、見ていませんが…。こんな時間にさっきまでここに居たんですか?」
トレーナー現役時ですらあまり見たことのない、焦りと戸惑いのある顔をする女将に、私は思わず疑いの言葉を掛けた。
健子 「…ええ。けど、突然消えてしまったのよ。」
ユノハナ 「まさか、ウマ娘が突然消えるわけ無いじゃないですか。足音なり風なりが絶対残る訳なんですから。」
常識的に考えて、いきなり人が消えるわけが無い。そう、"常識的"には。健子が見た光景は事実であり、覆しようの無い出来事。だが常識や現実的なんて言葉では説明できないような、そんな不可思議な瞬間を、健子は確かに目撃した。
健子 「……」
見間違い…?いえ、そんなはずは無いわ、確かに今の今まで、私の目の前にswapオルフェさんが居て、ついさっきまで話していたんだもの…。
この事については、また明日聞いてみることにするのだった…
その頃swapオルフェ
ヒュン!
swapオルフェ 「あ…」
スカイ 「へ……?」
部屋に近道をすると、なぜかセイウンスカイがベッドを敷いて寝ようとしていた所に来てしまった。
部屋割りはどうなってんだ部屋割りは!
「え…今…どこから入ってきました……?」
音もなく突然スワオルが現れたのだから驚くスカイ。
「」
……そういえばあの時も……。
トイレの個室に入っていたら、突然ダイイチルビーとswapオルフェの声が聞こえ始めて、会話をしていた事を思い出した。
「スワオルさん…、私に…私たちに何か隠していますよね?」
真剣なまなざしで問う、だが彼女が見せたのは戸惑いでも焦りでも無く、余裕の表情をした顔だった。
swapオルフェ 「あ〜あバレちゃった、もうどうなっても知〜らないっと。」
「そう、私実は瞬間移動が使えるんだ、距離に限界はあるけど、知っている所ならどこでも行けるんだ。」
やけに楽観的に、かつ淡々と答え始めるスワオル。
スカイ 「……それって……寝坊しそうになった時も移動時間を気にする必要が無い……ってコト!?」
swapオルフェ 「そうだよ(便乗)」
なんか予想と反応が違うな…(困惑)
スカイ 「スワオルさんが瞬間移動を使えることって、どれくらいの人が知ってるんですか?」
分かりやすく興奮して質問攻めをする。
swapオルフェ 「どれくらいって…、…たくさんの人。」
抽象的な答えを出してくるスワオルに「具体的に何人くらい?」と質問するスカイ。
「ええっとぉ…、10人以上だから…たくさんです!」
スカイ 「なんですかソレ…。」
へぇ~瞬間移動か〜、これを上手く利用しない手は無いよね。
「じゃあスワオルさん、早速その能力で行きたいところがあるんですがそれは大丈夫なんですかね?」
swapオルフェ 「この時間に?どこも空いてる場所なんてないと思うよ?」
スカイ 「ちょっと学園に戻るだけですから、ね、ちょっとだけ。」
swapオルフェ 「はいはい…」
あえて詳細は聞かず、スカイを連れて行くのだった…。
その頃のトレセン学園、スカイの寮室にて…
ヒュン!
スカイ 「ローレルさん、おやすみなさい。」
ベッドで寝ている同室のサクラローレルに、甘く囁く。
ローレル 「ん…、おやすみ、スカイさん……。」
ヒュン!
「……っ!!?」
バッ!
飛び起きて周囲を確認してみるも、そこにセイウンスカイの姿は無い。
「え、スカイさん?今のって…。…寝ぼけて幻聴でも聞こえちゃってたのかしら……。」
再び眠りにつく…
スカイ達は旅館の寝室に戻って来ていた。
スカイ 「あっははは!コレ面白いですね、グラス達が知ったら絶対びっくりしますよ。」
swapオルフェ 「間違いない。…ていうか、瞬間移動してまでやりたい事がおやすみの挨拶なんて、ロマン無さすぎない?(正論)」
スカイ 「挨拶っていうか、いたずらですよ、人が驚く反応を見るの、私結構好きなんですよね〜。」
swapオルフェ 「あっ、ふ〜ん…。」
そんなこんなで、2人も眠りにつくのだった。温泉の流れる音と、鈴虫の鳴き声が心地よく、ちょうどよい涼しさもあってその日はよく眠れた。
そして翌朝…
彼女達の朝は早い、学園に戻る時間も考慮し、いつもより30分早く起き、学園に戻って行った。スワオルが目覚めた頃には、部屋には誰も居らず、布団はきっちりと畳まれていた。
swapオルフェ 「んん…、んふぅ〜…。…あれ、スカイ?」
周りに誰も居ない事に困惑しつつも、ひとまず私服に着替えて女将か若女将を探す。しばらくうろうろしていると、フロントにユノハナブルームが居るのを見つけ、話しかける。
「おはようございます、早いですね…。」
片方の手でボリボリと頭を掻きながら声を掛ける、その足取りは、酒の回った時そのものだ。
「ふわぁぁ…、皆はどこいったんですか…。」
あくびをしながら聞く。
ユノハナ 「おはようございます、swapオルフェさん。皆さんだったら、学園に戻りましたよ?」
swapオルフェ 「ファ!?あいつら泊まってるんじゃ無いの!?」
ユノハナ 「はい、泊まるのは昨日だけでして。でも、夕方になったらまた戻って来て、温泉に浸かった後、また学園に戻って行きます。」
swapオルフェ 「朝は学園、夜は温泉……ってコト!?」
なんだ…?余計に理事長のやりたい事と人選が分からん…、スカイ達ウマ娘とそのトレーナーの療養は表面上のフェイクで、私を学園から隔離するのが本命なのか…?(名推理)
ユノハナ 「それより、女将さんが探して居ましたよ、お願いしたいことがあるそうです。」
swapオルフェ 「女将さんはどこですか。」
素っ気ない返事をする。
ユノハナ 「今は談話室で待っているはずです。……それと、一つ聞きたいことがあるんですがいいでしょうか?」
本題を逸らしてまで聞きたいこととは何だろうか。気になったのでスワオルは話が終わるまで待つことにした。
「swapオルフェさんって、…瞬間移動……とかって出来ますか?……すみません、変な質問しちゃって…」
swapオルフェ 「出来るよ。」
スワオルの一言に固まるユノハナ。
「じゃ。」
ヒュン!
ユノハナの目の前からスワオルが消える。
ユノハナ 「っ!?」
本当に…消えた……、昨日女将が言っていたのは事実だったの…?
その問いに答える物は何も無く、肌をくすぐるような涼しい風だけがその場に広がった。
ヒュン!
swapオルフェ 「ども。」
ノックもせずに、いきなり部屋に移動してくる。
健子 「っ!?…驚かせないでくださいよ。」
swapオルフェ 「呼んだ?呼んだよね、いや呼んだ呼んだって。」
ダル絡みし始める。
健子 「まあ、構いませんよ。…それでは、"仕事"の話をしましょう?」
部屋の椅子 「デデンデンデデン!(ターミネーター)」
椅子を引っ張ってきて、対面形式で話す。
swapオルフェ 「そうっすね。…それで、私は何をすればいいんですか?」
そういうと健子は、スワオルを何処かへ連れて行く、そこは草も生えていない、硫黄の匂いが鼻の奥をツンと刺す、旅館から少し離れた山奥。
健子 「ここよ、アナタにして欲しい仕事は、ここで温泉を掘る事です。」
スワオルは間髪入れずに持ってきたハンカチを辺りのお湯で濡らし、健子の顔面目掛けて投げつける。
ベチン!
健子 「チェム!(痛い)」
swapオルフェ 「温泉掘れってさぁ…、バカにしてんのか?」
無理もない。ろくな機材もなく温泉を掘れなんて言われたら、キレてもおかしくはない。
健子 「この辺りは、比較的高い場所に源泉が眠っているのです、元より大型機材の導入が難しい立地ではありますが、掘削難易度は高くは無いはずです。」
そういうと健子は、旅館の方へと足を進めていった。
swapオルフェ 「」
お前は何を言っているんだ。…いや、こいつら多分、ここ始めた時は人力で掘ってたろうし、実は楽勝か?
ギュィィィン…!
胸の思いを全てブラスターに込めて地面に向けてぶっ放った。
ダァァァァ!!
2m大の大穴が開く。
健子 「っ…!?」
そこで聞こえるはずの無い大きな音に、たまらず振り返る。スワオルの元に駆け寄ると、そこには大穴が空いていた。
そこからスワオルが軽く穴を覗き込む。
ゴゴゴゴゴゴ…!!
swapオルフェ 「!」
ブパアッッ!!
温泉が噴き出る,
スワオルの顔にかかる瞬間、一瞬世界の時が止まり、同時にRoundaboutが流れ、画面左下に『To be continued』のテロップが現れる。
そして時は動き出す…
swapオルフェ 「アツゥイ!!!」
熱さに悶え手顔を抑えるスワオルを、さっき投げ付けられたハンカチで拭く健子。
健子 「大丈夫ですか…?」
swapオルフェ 「いいから…、次行きましょう…!」
温泉の湧く場所は全部で三箇所、後二箇所もスワオルは同じやり方で、同じ展開で温泉を掘り当てた……
……
……
そして、その日の夕方…
ピローン!と、スワオルのウマホに一通の連絡が入る、見てみるとブラストワンピースからだった。
LANEのやり取り画面
————————————
ブラスト 『お疲れ様だゾ』
『お迎えをお願いしたいんですがそれは大丈夫なんですかね?』
swapオルフェ 『いいゾ〜コレ』
————————————
そうして、ブラストら5人を迎えに行く、温泉に着くや否や、5人は更衣室で着替えて温泉を堪能し始める。
風呂場のドア 『ババン!ババン!バンバン!(ドリフターズ)』
チャプン…
ブラスト 「なんか、昨日入った時よりも体にいい気がするゾ〜…。」
スカイ 「お湯が身体の芯に染みるというか…」
トラン 「入った瞬間からリラックス出来るよね〜…。」
5人全員が温泉の変化に気づいた、スワオルの努力は無駄では無かったようだ。
アキュート 「…所で、swapオルフェさんはどちらに…?」
フラワー 「そう言えば…」
迎えの時は一緒に居たスワオルが、いつの間にか居なくなっている、皆てっきり一緒に入ると思っていたが、どうやら間違いらしい。
その頃スワオルは、応接室に居た。
swapオルフェ 「…さて、仕事はこなした、例のモノは用意出来てますね?」
健子 「ええ、…種類は問わないと仰りましたので、現役トレーナー時、他の先輩が吸っていたのと同じ種類のタバコを用意させてもらいました。」
そういう健子はタバコを差し出し、ニヒルな笑顔を浮かべる。
swapオルフェ 「交渉成立、また明日もお願いしますよ。」
ガチャン…!
早速タバコを嗜もうと、意気揚々と部屋から出ていった。
健子 「……」
寝室にて…
swapオルフェ 「♪」
カチン…!
シュボ…!
スゥー…
部屋のテラスで、火を付けてタバコを思いっきり吸う。
「あぁ^〜」と、喜びの声を上げる。吐き出した煙は湯けむりと混じり、夜の空へ消えていく。それを半目開きで見届け、こんな日が元の世界に帰るまで続けばいいと、心の思いを夜景に零すのだった。