「前回、トレセン学園の警備員、swapオルフェーヴルさんに、温泉郷の危機を救ってもらった所で話が終わりましたね。」
「PR動画、早く見たいわね…。」
ユノハナ 「女将さん、あの方、本当に瞬間移動出来たんですね、疑ってすみませんでした…。」
健子 「…普通はあの反応をするものよ。何も間違っていなかったわ。」
ユノハナ 「女将さん…!」
健子 「それじゃあ、続きをどうぞ。」
…あれから4日が経過した。学園に大きな出来事は無かったが、スワオルにとっては偉大な一歩があった。
アケボノ 「ボーノ〜!」
ググゥ~…!!
swapオルフェ 「うぐわぁぁ〜〜!!」
「ぐっ……くくぅ……!」
アケボノ 「うんうん、順調だね!」
伸ばすのをやめ、立ち上がって荷物を取りに行く。
swapオルフェ 「ど…どうした…?」
アケボノ 「swapオルフェさん、合格だよ!」
欠けた日はあったが、最終的に一週間参加したので、合格をもらうことが出来た!と、いうことでアケボノが何かを渡してくる。
swapオルフェ 「え、何これは…(困惑)」
折り紙で作られた小さな冠。アケボノ曰く、合格のサインらしい。フラッシュの時といい、何かを達成したときに物を渡すのが流行っているのだろうか…。
まあいいや、とにかく…
「獲ったど〜〜!!」
アケボノ 「おめでと〜!!」
パチパチと、祝いの拍手が送られる。
swapオルフェ 「じゃ、次の人の所へ案内してください。」
ころころと情緒が変わるスワオルのことは無視して、次の試練の人の場所へ案内するアケボノ。
案内されたのはグラウンドだった。この時間はまだ朝練をしているウマ娘が多く、誰が誰かなのか分からないスワオルは、ただ黙ってアケボノの後ろを付いていく。
アケボノが立ち止まったので前に出てみると、三人のウマ娘が模擬レースを行っていた。
??? 「く…2人とも…やっぱり早いな……!!」
??? 「おぉぉぉぉ!」
??? 「隙あり!四の剣,ディオニュシウスの雷載!」
「やぁあああああああッ!!」
ダッダッダッダッダッダ!!
最終的に勝ったのは、金髪ポニーテールのウマ娘だった。すごい走りだったと感心すると同時に、試練について教えてもらおうと近づく。
swapオルフェ 「すごい追い上げだったな、もしかして試練って君に勝つことだったりして?」
??? 「あなたは…新人の警備員…、いや、トレセン学園の英雄、swapオルフェーヴルさんでは無いですか!」
「お会いできて光栄です、御自ら私の元へ、模擬レースの視察を…!」
swapオルフェ 「いやそんな(事より早く試練の内容を)…」
アケボノ 「お疲れ様です、デュランダル先輩!」
持っていた飲み物を渡す。
デュランダル、栗東寮に所属する高等部1年。
騎士道精神に溢れ、礼節を重んじるウマ娘。 剣のごとく“鋭く切れる末脚”を追い求めている。 物語のような素敵な騎士として、忠義を尽くすべき王――運命のトレーナーと出会う日を夢見ているのだとか。 常に礼儀正しく気品ある振る舞いを心がけている。
「そして……ライトオ先輩!」
カルストンライトオ、栗東寮に所属する高等部1年。
生真面目かつクールな佇まい――の、直線番長! 『最高速』を追い求め、その頂に辿り着かんと愚直にストイックに邁進する、猪突猛進系ウマ娘。 1番速ければ誰よりも速い。つまり最高速です! とにかく素直で真っ直ぐなので、感情も行動もなにもかもが率直なタイプ。
ライトオ 「く…情けない。こんな…」
??? 「はぁ…はぁ……。」
swapオルフェ 「君もいい走りだったゾ〜コレ。」
スポーツドリンクを手渡しする。
??? 「どうも…。」
誰からも説明が無いので変わりに説明しよう。彼女の名前はビリーブ。栗東寮に所属する高等部1年。
確固たる信念を持つ、職人気質のウマ娘。 黙々と努力を重ね、丁寧かつ完璧な仕事をこなす忍耐力、持続力の持ち主である。 スピードにはこだわりがあり、『持続してこそ速さ』という信念のもと、短距離路線を邁進する。 実は、かなりのおじいちゃん子なのだとか。
swapオルフェ 「ボーノ、誰が私に試練を?」
アケボノ 「こちらのライトオ先輩!」
swapオルフェ 「え?その子?こっちじゃなくて?私こっちの方がいいんだけど…。」
私情を挟みまくるスワオル。
アケボノ 「つべこべ言ってると可動域倍にする勢いで伸ばすボノよ?(脅迫)」
アケボノの洒落にならない脅しに「アッハイ…」と萎縮する。
ライトオ 「貴方が話に聞いていた、swapオルフェーヴルさんですね。今日からあなたの試験官を務める、カルストンライトオです。よろしくお願いします。」
「早速試練を…、と言いたい所ですが、私は今疲れています。ですので、明日の朝5時にここに集合してください。」
swapオルフェ 「ファ!?5時!?」
ライトオ 「文句は言わせません、課っせられた試練は、黙ってこなすのみ。」
swapオルフェ 「…」
早起きは基本だってか?アホなんじゃ無いのか、フラッシュといい、コイツといい。私は試練をクリアしてさっさとこの世界からおさらばしたいだけなんだよ?
ライトオ 「では、また明日会いましょう。」
swapオルフェーヴルの新たな特訓が、今始まる…!
YО・KU・ZI・TU☆
ジリリリリリ…!!
カッッ!!
バッ!!
シュババ!
アラームが鳴った瞬間に目を覚まし、バッと起き上がると、短い時間で身支度を整える。これはフラッシュとの特訓で自然と身についた、早起きの癖である。
ウマホを確認すると、4時45分の文字が浮かぶ。
swapオルフェ 「…」
少し早いけど、準備運動も兼ねるとこの時間が丁度いいかな。
なんて事を考えつつ、昨日言った待ち合わせの場所に瞬間移動で向かう。
ヒュン!
寒…!
もう一枚何か着といたほうが良かったかな…。
朝の寒さに凍え、小刻みに体を震わす。それから少し経ってライトオがやってくる。
ライトオ 「私よりも早く来ていましたか。…くっ!悔しい!!」
swapオルフェ 「あれ?なんか早くない?まだ5時なって無いけど。」
ライトオ 「気にする必要はありません。私が来たときが集合時間ですので。」
「コホン…、では、試練の内容を説明します。貴方が達するべきことは、私を速さで追い抜くことです。」
swapオルフェ 「……ん?」
ライトオ 「私を速さで追い抜く、と言いました、聞こえませんでしたか?」
swapオルフェ 「いや…聞こえてるよ?聞こえてるけどさ…無理よ?」
ライトオ 「やってもいないのに、無理だなだと。私は貴方の試験官、貴方ができないことは言いません。」
swapオルフェ 「これ何の試練?(憤怒)」
ライトオ 「瞬間的な爆発です。人はそれを"領域"(ゾーン)などと呼びますが。」
swapオルフェ 「…いいよ、さっさと終わらせようや。」
コォォッ…!!
※swapオルフェーヴルは ケツイで満たされた。
ライトオ 「なるほど、それがケツイですか…。では、やる気がある内に始めましょう。」
そうして二人は直線コースに並び、ダッシュの構えを取り始める。
しばらくして、直前でコース外に置いていたライトオのウマートフォンから、開始の合図が響き渡る。
バァッ!
スワオルが、いきなりラストスパートの勢いで飛び出し、そのまま先頭を走り抜く。
ダッダッダッ!!
swapオルフェ 「あっはっは〜!!」
レースはなぁ!単純なんだよ!戦略もクソもねぇ!先頭を走っていたヤツが勝つ!それだけなんだよぉ!!お前は確かに速いかも知れねぇけど、先頭を走ってなきゃ意味ないよなぁ!!
ダッダッダッ!!
ライトオとの差はどんどん開き、残り半分を切った。
「先頭にも!横にもライトオは居ない!勝った!!」
違和感……
一瞬、スローモーションになる。
「何だ…?」
あれから今日に至るまで、めちゃくちゃトレーニングしたから、また派手に転ぶなんて事は無い…。ケツイによるバフの付与も完璧、…なのに…何だこの違和感は…。
ドドドドド…!!
ヒュン!!
すぐ真横をライトオが通過する。
ライトオ 「そんなものか、英雄よ。」
swapオルフェ 「何ぃィィ!!?」
そう話している内にも、2人の距離は1バ身、2バ身と離れて行く。
ライトオ 「瞬間的に出せるスピードは、まだまだこんな物では無いぞ!はあぁぁぁぁ!!」
ダッダッダッダッダ!!
ライトオのスピードがさらに上昇し、スワオルとの距離をぐんぐんと離していく。
swapオルフェ 「まさか…!そんなっ……!」
先程まで目と鼻の先に居たライトオが、今は背中が小さく見えるほどまで離れている。
「ちくしょおぉぉぉぉぉ〜〜!!!」
一着はカルストンライトオだった。swapオルフェーヴルとの差、脅威の10バ身。
「ハァ……ハァ……!!」
負けた……!
ただの敗北では無い。完膚なきまでの敗北。それはさながら、強者が弱者を蹂躙する光景そのもの。スワオルはこの時、初めて敗北感を味わった。五臓六腑に染み渡るほどに…
ライトオ 「息を整えて下さい、休憩している時間などありません。」
swapオルフェ 「…!」
ライトオ 「私も息が苦しくなっています。私を倒すなら、今が絶好のチャンスです。」
swapオルフェ 「…いや、もういい。」
ライトオ 「…はい?」
swapオルフェ 「君の実力はよーーくわかった。降参だ、私はもうやめとく。」
ライトオ 「何を及び腰に。弱虫、毛虫、グソクムシ。たった一度の挫折で、何を弱気になっているので__」
swapオルフェ 「うるせぇッ!!」
スワオルの怒号が朝の寒さに乗っかり、学園全体へ響き渡る。
「どいつもこいつも人のことをバカにしやがって!!何が必要な試練だ!くだらない。」
「やめたやめた、もうやってられるか。こんな事。」
ポケットから日記帳のようなものを取り出し、くしゃりと握りしめた後、地面に向けて投げつける。
ライトオ 「待ってください、どこに行くつもりですか。」
swapオルフェ 「お前には関係無い…!」
そういうとスワオルは、ズカズカと向こう側に歩き始め、すぐに瞬間移動で別の場所に行ってしまった…。
ライトオ 「…」
!
何か落ちている、ついさっき彼女が投げつけた物だ。
私はすかさずメモのページをめくり、中身を確認した。そこには己を鼓舞する言葉と、誰かのサイン、バッジ、折り紙の冠が丁寧にテープで止められていた。
「…」
そして、時刻は朝7時を周り、警備員達が朝礼で集まっている頃…。
たづな 「…あの人はまたサボりですか?」
愛木 「ははっ、気が向いたら来るだろ。…まあ、催促くらいはしに行くか…。」
愛木は一人朝礼を抜け、スワオルの部屋に向かう。
コンコン…!
ピンポーン!
愛木 「…?」
何だ…反応が無い…?
ふと、ドアの取っ手に手を掛けて引くと、ガチャンと、ドアが開き始める。
「……!!」
「大丈夫か〜?」
ドアを開き、中に進む。様子を伺いながら一歩ずつ進みリビングまで着くも、誰も居ない。
「…隠れている様子もない。部屋の鍵も掛けず、アイツはどこに行ったんだ……。」
ひとまず、この事をたづな達に報告する。
たづな 「居ない…、一体どこへ…。とりあえず、彼女に連絡を入れて下さい!」
愛木 「…あいつの連絡先持っとらん。」
たづな 「はい!?あれだけ仲親しげにしているのにですか!?」
たづなの言葉に、「ああ」と、素っ気ない返事をする。
「…では、理事長!」
やよい 「あ…、いや。…実は私も持っていないのだ…。」
誰一人スワオルとの連絡先を持っていない事にたづなは、「こんな事が起こるなら居酒屋に誘ったタイミングで連絡先を交換しておけば良かった」と、後悔の言葉を心の中で零した。
「…いいでしょう。では、生徒の人たちに聞いてきます。」
スワオル、淫夢、距離感のバグ。この3つを持ち合わせている人物は1人しかいない。
たづな 「ブラストワンピースさん!」
ブラスト 「ん?たづなさん、どうしたんだゾ?」
早速用件を伝える。
「わ…分かったゾ…!」
LANEに連絡を入れるも、既読すら付かない。続けて電話をかけるも、やはり繋がらない。
「連絡付かないゾ!うーん、この。」
たづな 「私たちに何も言わずに、一体どこに…?」
その頃スワオルは、1人寂しく道を歩いていた。なるべく遠くを目指すために。
swapオルフェ 「…私は……私は…__」
私は戻りたかった、怠惰で億劫な昔の私に。
…いつからだろうか、この世界に居心地の良さを感じてしまったのは。気に入らなかった、知らないうちにアイツらの影響を受けて変わっていく自分が。
私ともあろうものが悪くない気分だった、仕事を与えてもらうことが。だからタキオンを頼り、元の世界へ帰る必要があった、だがそれももう叶わない。おかげで気分が悪い。
スワオルは今、駅に向かって歩いている。ここの最寄り駅は、武蔵野線の北府中駅である。そこから乗り換えを2回挟み、電車に揺られること約40分。着いた駅は……
(〜♪)
YAJU&Uのサビの電子音が駅構内に流れる。
シュー…
ゴトン……ゴトン…ゴトン……!
下北沢。歴史ある商店街と、現代風の商業施設が織り成す過去と今の交わる街。だが、最近の若者にとっては聖地巡礼のスポットとして人気の場所となっている。
駅からしばらく歩き…
swapオルフェ 「ええと、この辺だったような…。」
緩やかな坂の住宅街に、それはあった。
トコ…トコ…
「こ↑こ↓か。」
野獣邸。かつてホ◯ビデオに出演していた、野獣先輩の家として登場した場所。以来、多くの淫夢厨がこの性地(聖地)を訪れている。
「はぇ^〜、すっごい…」
少しだけ、心が落ち着いた気がした。聖地のパワーがチャージされたからなのか、それとも学園から離れたことで気が楽になったのか。
いずれにせよ、いつかはあそこに戻らなきゃ行けない。それまでに強くなって、ライトオを倒せなければ、その時は……
「ンアーッもうっ!どうすりゃ良いんだよ!」
力は充分にあった、ではなぜ負けたのか。それを解明するべく、スワオルは山へと向かった。
山の名前は高尾山、日本に住んでて、知らない人は居ないであろう有名な山。距離もそこまで遠くなく、標高も高すぎず低すぎずの本格的な登山を楽しめる山である。
なんやかんやあって1時間後…
「よし、Here we go(じゃあいいゾ)」
高尾山入口に到着した。ここからの移動方法は、徒歩とケーブルカーの二択だが、スワオルはマップを参照に、近道をしながら徒歩で登ることにした。
周りの人間やウマ娘にバレないよう、トイレや物陰で近道を使い続け、本来2時間ほど掛けて登る所を、20分弱で登りきった。
「うん!(空気が)美味しい!」
圧巻の景色。生まれてから今日まで、どこに行っても見れなかった景色が、スワオルの前に広がる。街を見下ろすその姿は、さながら自分が巨人になったようだった。
「さて、高い山に来たら、やりたい事は一つ…。」
人気のない、ひらけた場所に行き、その場に座り込んで座禅を組む。
「………」
己を見つめ直す事で、勝利の方程式は導き出されるのだ。そして、想像は現実を超えてやって来る…。
振り返ると、そこにDustジャーニーが居た。とは言ってもこれはスワオルにしか視えていない。スワオルがイメージしたDustジャーニーだからだ。
咄嗟に身体が動く、目の前の幻影を倒す為に。だが勝てるビジョンが無い以上、Dustジャーニーの幻影を倒すことはできない。Dustジャーニーのパンチやキックが容赦なく放たれ、スワオルは地に伏してしまう。
「ぐふっ…!」
そこに居るはずの無いものから、ダメージを受けてしまう。普通に考えて、何もない所でダメージを受ける事など無い。だが考えて欲しい、例えば、口の中にレモンと梅干しのスライスがある状況を想像してみよう、実際に口の中には何も無いのに、自然と唾液が溢れてくるだろう。これが思い込みの力だ。
Dustジャーニー? 『少し…強くなりましたね、ですがまだまだですよ?』
swapオルフェ 「ッ…うるせぇ…!」
ヒュオ!
間髪入れずにDustジャーニーが攻める。
「ッ…!!」
ドゴォッ!
強烈な蹴りがHITし、衝撃でスワオルは崖すれすれまで吹き飛ばされる。
「ぐっ…!?」
Dustジャーニー? 『何をしているんですか?早く攻めてこないと、そのまま落っこちてしまいますよ?』
swapオルフェ 「ッ…!やかましいわ!」
バッ!
拳を握りしめ、Dustジャーニー目掛けて勢いよく飛びかかる。
「はあぁぁ!!」
スカ!
拳が当たる寸前で回避し、隙だらけのスワオルに刈りを当てて転ばせる。
「うっ…!?」
スワオルが転倒している所を、Dustジャーニーは拳を振りかざして追撃を仕掛ける。
「っッ!!」
ヒュン
ドゴォォン!!
咄嗟に瞬間移動で上空に飛ぶスワオル。今のパンチの衝撃で、地面にはひび割れが起きていて煙が立ち込めていた。
やがて煙が晴れるも、Dustジャーニーの姿はどこにも無かった。
「っ!どこだ…どこに行ったっ…!?」
周囲を伺うも、姿を見せる様子は無い。それもそのはず、Dustジャーニーはスワオルの真上に居るのだから。
Dustジャーニー? 『ふんッ!!』
swapオルフェ 「しまっ__」
ドゴッ!
バゴォォン!!
咄嗟に振り返るも遅く、背面に強烈な一撃をいれられ、地面に激突する。
「ぐっ……くく…ッ!!」
Dustジャーニー? 『どうしたんですか?前に私と戦った時は、こんなものでは無かったでしょう?』
『ケツイはどうしたんですか?』
swapオルフェ 「っ……!」
やっぱり、コレ相手に手加減は無謀か。
スゥー…
コォォッ…!
※swapオルフェーヴルは ケツイで満たされた。
「強くなった私を、お前の脳裏に刻んでやる!」
Dustジャーニー? 『…』
…以前よりもケツイの純度が上がっている…?
『なるほど、前回の様には行かないと…。』
バッ!
先制攻撃を仕掛けたのはスワオルだった。だがDustジャーニーはその攻撃を楽々回避し続ける。
ヒュ!
ヒュ!
Dustジャーニー? 『…』
ふむ…、どう伝えるべきでしょうか…。
スワオルの攻撃を捌きながら、何か別のことを考えるDustジャーニー。しばらくして戦いのボルテージが上がり、スワオルがブラスターを召喚したタイミングで至近距離まで近づき、腹に一撃入れた後、尻尾で顔を叩いて吹き飛ばす。
ズザァァ!
swapオルフェ 「ぐっ……あがッ……!!」
その内ケツイは切れ、立つこともままならなくなる。
Dustジャーニー? 『…貴方のそのケツイ…、前々から思っていましたが、随分燃費が悪いようですね。ケツイの純度が高まったことで、さらに持続時間が少なくなっているのでは?』
swapオルフェ 「ぅっ…ァァ…っ……!」
Dustジャーニー? 『アナタの動きには無駄が多すぎるんです、だからすぐにバテてしまうんですよ?』
『今回の敗北が、大きな成長に繋がることを期待していますよ。』
そういうとDustジャーニーの幻影は、静かに消滅していった…。
swapオルフェ 「ハァ……ハァ……、っ…やりすぎだろ…これは…っ…!」
ヒュン!
近道を使って、登山道にある休憩所のトイレに移動し、個室から出た所でベンチに直行した所で猛烈な睡魔に襲われ、意識が途切れる…。
次に目が覚めたとき、空模様は夕暮れに染まっていた。寒さが身体に染み入り、小刻みに震えて止まらない。
swapオルフェ 「寒…、今何時よ…。」
時刻は5時5分を示していた、電車に乗って、帰るころには7時になっているだろう。そう思ったスワオルは、帰る前に汗を流そうと、銭湯に寄ることにした。
ヒュン!
ゴソ…ゴソ…
受付を済ませ、適当に着替えを済ませた後、浴場に入る。
カンコーン!
「」
あ〜^いいっすねぇ〜。
汗、疲れ、痛み。一通り身体を洗うことである程度スッキリした。これで上がっても良かった、ある部屋を見つけるまでは。
「」
このドアはなんゾ?
部屋の張り紙には〈サウナ〉と書かれている。
早速部屋に入る。
ゴォォォォォ…!
「」
ぬぅおおぉぉぉ!?あ、熱い…!
部屋中が熱と湿気で覆われていて、逃げ場が無い。だが、不安がるスワオルとは対照的に、周囲の人やウマ娘は何食わぬ顔でシーツの敷かれた床に座っている。
「」
ここに座れということか…?
黙って空いてる床に座り込み、正面のテレビを見続ける。しばらくしたら、身体中から汗が出て来る。
「」
ハァ……ハァ……、か、身体が…熱い…。
10分程経った頃か、限界を感じたスワオルはサウナを飛び出し、水風呂へ直行する。
「ぁ〜〜っ!!」
熱々の身体を冷やし、堪らず声を漏らす。
30秒もすれば身体は冷え切り、今度は熱を求める、だがその前にやることがあるらしい。
外に出て椅子に座り、冷たい空気に身体を晒す。こうすることでなんか…こう…良いことがあるようだ、コレを世間では〈ととのう〉と言うらしい。
割と直ぐに屋内に戻る。乾かしすぎると汗の出が悪くなるらしい。
そんな事を3回繰り返し、紆余曲折あって帰り道…
「あぁ〜^たまらねぇぜ!」
ベストコンディション、今の状態を一言で表すならそれだろう。後はご飯を食べて寝れば、明日を心地よく過ごすことができる。…のだが…。
「学園に帰ってもなぁ…。」
実質家出状態なのと、今戻ってもライトオに勝てないという詰み状態。寝泊まりできるところが無いか調べてみると、近くにホテルがある様なのでそこに向かう。
ヒュン!
……
フロントで受付を済ませ、部屋の前まで移動して鍵を開ける。
「警備員用の家より心地いいの良くないと思います。」
ふかふかのベッドに立派な家具。私が知っているなかで、最も環境の整った居心地の良い部屋だ。この部屋で暮らしていいのなら、もう少しだけ頑張れる気がする。そんな邪念が横切るが、今の私にできるのは目の前にあるものに身を寄せることだけだ。
コンビニでご飯を買って、食べ終わることには時刻は8時を回っていた。
こんな日はさっさと寝てしまおうと、布団に潜る。静寂と温かさに包まれ、すぐ眠りについてしまった。
……
……
「……ん。」
目を覚ますと昼になっていた。早速ホテルを出て、昨日も行った高尾山へ向かう。目当ては勿論、あの人気のない場所。
13:22 swapオルフェーヴル 現着
「私、久しぶりです。」
Dustジャーニー? 『それは本当です?』
swapオルフェ 「ソカモナ!!」
ヒュバ!
ヒュバ!
いきなりボルテージMAXの戦いが始まる。
ヒュン!
ヒュン!
互いが互いの隙を突いて攻撃を仕掛ける。
Dustジャーニー?の攻撃が当たる一方、スワオルの攻撃は命中する前にはたき落とされたりで、全て防がれてしまう。
swapオルフェ 「ぐっ……!」
なんでだ…コイツと私で何が違うんだ…?まるで一手も二手も先を読んでるような感覚だ…。
「っ…!かぁぁぁッ!!」
※swapオルフェーヴルは ケツイで満たされた。
「はたたたぁ!てりゃ!」
ヒュババ!
Dustジャーニー?に猛攻を仕掛けるも、全てその場で回避されてしまう。
ヒュオ!
バ!
Dustジャーニー?が距離を離したと思ったら、急接近してくる。攻撃に備えてスワオルはガードの構えをとる。
「…?」
目の前でDustジャーニー?が消える。
「っ…??」
どこに行った…?
ド!
急に頭に重みが加わる。Dustジャーニー?はスワオルの頭上に居た。
「っ…このッ!!」
ガバッ!
足を掴もうと両手を伸ばすが、既の所で回避されてしまう。そして、隙だらけになったスワオルにDustジャーニー?は肘打ちを仕掛ける。
ドゴォッ!
「あがっ……う…ぐ…!!」
ズ…
顔を強張らせながら腹を手で抑え、ゆっくりと後ずさりする。
ボゴォ!
「っ……!?」
気づかぬ内に崖際まで来てしまい、足元が崩れてスワオルが落ちそうになる。
パシ!
ヒュオ!
既の所でDustジャーニー?が手を掴み、そのままスワオルを上に放り投げる。
ボガァン!
「う……」
Dustジャーニー? 『…あなた、ケツイを使うとてんで弱くなりますね。』
振り向きざまに声を掛ける。
swapオルフェ 「…なんだと…!」
Dustジャーニー? 『理解しているかどうかは分かりませんが、ケツイは攻めに転用するためのものではありませんよ?』
swapオルフェ 「っ…!」
Dustジャーニー? 『昨日もそうでしたが、あなたケツイを抱いた直後に私に猛攻を仕掛けてきましたが…本来ケツイは守り、待ちに徹底するためのものですよ?そのしぶとさが武器になる事はありますが…、あそこまで分かりやすく突っ込んでは、ケツイの効力を最大限使用することができなくなります。』
swapオルフェ 「っ…でも、ああでもしないとお前を倒せないんだよ!ここじゃブラスターも使えないしよぉ!!」
Dustジャーニー? 『それは私も同じです。同じ条件なら、単に実力の高いものが勝つ…。』
『しかしケツイは違います、消耗の激しい技は、使い所を間違えれば身を滅ぼす…、どういったタイミングで使うか、それを理解できれば、自ずと勝利は見えてくるはずですよ。』
そういうとDustジャーニー?は静かに消滅していった…
swapオルフェ 「…タイミングとか…分かんないよ…。」
しばらくその場で倒れ伏せて、息が整った所で山頂の休憩所まで近道をする。
「……」
何だよタイミングって、どっかで手抜いたらいいってか?そんな事したら__、……いや、どうかな。」
何かをひらめきかけたが、まだその答えは出てこない…。
同じ頃、トレセン学園にて。
ブラスト 「たづなさん、スワオルさんは見つかったかゾ?」
たづな 「いえ…、全く見当も付きません……。ジャーニーさんに続き、スワオルさんまで行方不明になってしまうとは…。」
2人で深刻そうな顔をしながら首を傾げていると…。
トコ…トコ…
ゴルシ 「オルフェ!アイツは今日も休みなのか!?」
オルフェ 「知らぬ、何かあれば、ヤツから連絡がある。」
トコ…トコ…
この二人もまた、スワオルが居ないことに不信感を抱いているようだ。
そのまま二人が通り過ぎるのを見届け……
ブラスト 「スワオルさんは皆から必要とされてるって、はっきりわかんだね。」
たづな 「ええ…、居なくなって気づく事もあるんですね…。」
ブラスト 「お、たづなさんも寂しいのかゾ?やっぱ好きなんすね〜。」
同じ頃、高等部1年の教室にて…
ルビー 「(お腹が空いたので食堂に向かう私…)」
ダンツ 「ポッケちゃぁん、駅前の人参オッチャホイが美味しいって話してたんだけど、放課後一緒に行かない?」
ポッケ 「お、そうだな(適当)」
和気藹々と会話が繰り広げられている中、黙り込んで何かを熱心に黙読しているウマ娘が居た。
ライトオ 「……」
デュラン 「あら、あなたが熱心に読み物をしているなんて珍しいわね。見せてもらってもいいかしら?」
デュランダルの声に「ああ」と返すと、半分スペースを空けてあげる。
ライトオが読んでいたのは日記だった。日記にはその日行ったトレーニングや、そのトレーニングを担当したウマ娘の拙い似顔絵が描かれていた。
「これは…日記?いつの間に日記なんて書くようになったの?」
ライトオ 「いや、これは私の日記では無い。」
デュラン 「え?」
ライトオの発言に、分かりやすく驚く。
「じゃあ、これは誰の日記なの…?」
ライトオ 「swapオルフェーヴルさんの日記だ。」
明かされる衝撃の名前。
デュラン 「どうしてライトオさんがあの人の日記帳を…?落とし物なら、職員室にでも届ければいいでしょう?」
ライトオ 「この前、トレーニングの後に落としていったんだ。あの様子だと、しばらくここには戻って来ないと判断して、拾った私が預かっている。」
デュラン 「それでもよ!忘れ物は届ける、それがマナーでしょ!?」
ライトオ 「…わかった、そうしよう。」
ド正論をかますデュランダルと、特に何の反論もせずに従うライトオ。
そして、2人で日記帳を渡そうと、たづなさんの所に向かう。食堂に差し掛かった所でブラストワンピースとたづながいたところを見つける。
同じタイミングで、ジェンティルドンナが現れる。
ドンナ 「…そう、まだ見つかっていないのね…。」
彼女もまた、スワオルの事が心配の様だ。
ライトオ 「たづなさん、落とし物を預かってください(直球)」
たづな 「はい。」
ブラスト 「誰の日記帳ゾ?」
たづながポケットにしまう直前でブラストが質問をする。
ライトオ 「swapオルフェーヴルさんの日記帳です。」
バ!
スワオルの名前を聞いた途端、三人の目つきが変わって詰め寄る。
たづな 「どこで拾ったんですか!?」
ドンナ 「いつ拾ったんですの!?」
ブラスト 「どうしてスワオルさんのだって分かったのかゾ!?」
ライトオ 「昨日の朝5時、グラウンドで私と2人で特訓をしているときに目の前で落としました。」
詰め寄る三人に臆さず、要点だけを的確に答える。
ブラスト 「目の前で落としたのなら、どうしてその時に届けなかったのかゾ?」
ライトオ 「ええ、私も届けようとしました、ですが、教える前にあの人は行ってしまいました。…いえ、正確には消えてしまいました。」
たづな 「どこに行くなどは言っていましたか?」
ライトオ 「「お前には関係ない」とだけ言って、消えてしまいました。」
ブラスト 「スワオルさんに嫌われる事とかしましたかね?」
ライトオ 「特には何も。私は話の通り彼女に試練を課しただけです
。」
「そうですよね?ジェンティル先輩。」
ドンナ 「………」
顔はいつも通りだが、若干目を逸らして居るようにも見える。
たづな 「何か知っているんですか?」
ドンナ 「……ええ、事の発端までは熟知していますわ。」
たづな 「……」
直後、場の空気が重くなり、たづなが一言口にする。
「この件に関わった人物全員を理事長室に集めてください。」
ドンナ 「……!」
ブラスト 「あ〜あ、私知〜らないっと。」
ガシ…!
たづな 「ブラストさんにも来てもらいますよ?」
どこかに向かおうとするブラストを止める。
ブラスト 「私関係無いゾよね?(キレ気味)」
たづな 「関係ないかどうかは、向こうで聞きます。」
ブラスト 「あ、そっかぁ…(諦め)」
たづなさん相手には強く出れないブラストワンピース達。
ということで、ジェンティルは指導者達にLANEを送った。
LANEのグループ名は〈過教員(かきょういん)〉
—————————
ドンナ 『大変なことになりましたわ』
フラッシュ 『どうしたんですか?』
アケボノ 『力になりますよ〜!』
ドンナ 『スワオルさん行方不明の件で、私たちが疑われていますの、皆で誤解を解くために理事長室に来て欲しいですわ』
フラッシュ 『承知しました』
アケボノ 『ガッテン!』
—————————
…こうして、すべての役者が揃った…、一体彼女達はどうなるのか。そして、swapオルフェーヴルは戻ってくるのか…!?