swapオルフェーヴルとトレセン学園   作:ヨルダン東海岸

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フラッシュ 「…」
過教員(グループ名)の指導済みウマ娘のみ集められている…こんな事始めてです…。


その場の全員が、理事長室内でキョロキョロと、周囲を伺うかのように見渡す。

刮目!(空耳)

「」
!移動した…またトリック…?

ズン…
たづなが佇んでいる。

「」
何ですかこの女性は……、誰でしょう…

たづな 「頭を垂れて蹲ってください。」

ドッッ…!!
強烈な圧で、堪らず全員が土下座を組む。

フラッシュ 「」
たづなさんだ…!たづなさんの声だ…っ…、分からなかった…!

ドンナ 「も、申し訳ありません…お姿も気配も異なっていらしたので…」

たづな 「誰が喋って良いと言いましたか?」

ドンナ 「っ…!」


たづな 「ここ1ヶ月あまり__」

ブラスト 「なあ、コレ、やってて楽しいのかゾ?(KY)」
「皆ほんへ待ってるだろうし、さっさと終わらせよ?」

アケボノ 「えぇ…(困惑)」


ライトオ 「では、本編に入って、どうぞ。」







伝説のレースと新たな試練の幕開け

 

 

 

 

 

 

理事長室にて……

 

たづな 「……それで、特訓というのは?」

 

 

四人で横に並んたジェンティル達に、事情を聞くたづな。

 

 

一通り事情を聞いて、複雑な感情を押し殺して一言口にする。

 

 

「あなた達は、彼女が元の世界に帰りたいと思っていると分かってて、こんな事をしているんですか?」

 

 

ブラスト 「そうだよ(便乗)」

 

 

ジェンティル達ではなく、なぜかブラストが返事をする。

 

 

「スワオルさんを元の世界に戻せる可能性がある人物はタキオンさんだけゾ。そして、この前様子を見に行ったら、とても研究を続けられる様な状態では無かったゾ、これはスワオルさんの暇つぶしに便乗している形に過ぎないんだゾ。」

 

 

たづな 「それでも__」

 

 

クイックイ!

ブラストがドンナに目を合わせ、たづなの方に顔を軽く揺らす。まるで「言ってやれ」とでも言わんばかりに。

 

 

ドンナ 「…!」

 

 

ふと思い出した、スワオルの言っていた言葉を。

 

 

「…あの戦いの後、彼女はDustジャーニーが不吉な事を言っていたと仰りましたわ。」

 

 

「「これで終わりだと思わないで下さいね?」……と。これは即ち、Dustジャーニー本人が、あるいはソレ以上の脅威が、この世界にやって来る…、そう捉えるのが自然でしょう。」

 

 

「それで、そのことについて質問したとき、彼女は何と答えたと思います?…「何もしない」、そう答えましたわ。脅威が迫って来ていることを知って尚、ですよ?」

 

 

「Dustジャーニー襲来時であの消耗のしようですから、同じ様な者が現れたら、今度は抵抗するのも簡単ではありませんわ、これは、スワオルさん自身、強いてはトレセン学園そのものの危機に繋がってしまう。ですから、私達の独断でスワオルさんに修行をさせていますの。……すべては、この世界の存続の為に…。」

 

 

 

素晴らしい演技力だ、もしこの場にスワオルがいたら、彼女はジェンティルチームに1145141919点は加点していただろう。

 

 

グリフィンドールに5点減点!(空耳)

 

 

たづな 「ですが、現にこうしてswapオルフェさんはその試練を投げ出して__」

 

 

フラッシュ 「それは絶対にあり得ません。」

 

 

すかさずフラッシュが反論をする。

 

 

「これまでの試練の中で、ダントツに辛かったのは私の試練でしょう、日を追う事に、あの人の傷は増えていきました…、それでも彼女は逃げませんでした。最後まで私と、試練と向き合い、最終的にはクリアしました。今スワオルさんは、試練をクリアするのに必要な時間を過ごしているのだと思います。」

 

 

 

たづな 「…皆さんの気持ちは分かりました、ですが、そういった事なら私か理事長のどちらかには声を掛けるのが基本ですよ。」

 

 

ブラスト 「別に声をかける必要は無いですよね?スワオルさんは誰かの所有物じゃないし、そもそもスワオルさん、修行について何か嫌とか言ってたかゾ?」

 

 

たづな 「いえ?私はそもそも特訓していた事も知らないですし、スワオルさんからも何の相談も受けてないですよ?」

 

 

ブラスト 「ならそれが答えだゾ、もし本気で嫌がってるのなら、たづなさんなり理事長なりルドルフ会長なりに相談して無理矢理辞めさせることも出来た筈ゾ、それをやらなかったって事は、当の本人は満更でも無いって事ゾ。私達に出来るのは、黙ってスワオルさんが戻るのを待つ事ゾ。」

 

 

理事長室に入るまでのオドオドしたブラストワンピースはどこへ行ったのか、持ち前のディベート力が火を吹き始める。相手が誰であっても、どんな内容であっても自身の都合の良いように場面を進めてしまう。それがブラストワンピースの本質である。

 

 

たづな 「っ…!分かりました、話は以上になります。」

 

 

そのまま追い返させる様に4人は理事長室を退室する。

 

 

 

食堂へ移動……

 

 

ドンナ 「はぁぁ〜…」

 

 

らしくないため息をする。

 

 

ブラスト 「元気出すゾ〜、ジェンティルさんのアドリブ、すっげぇ良かったゾ。」

 

 

ドンナ 「アナタが流れを作ってくれたから出来たまでよ。…そうではなくて、まさかたづなさんを敵に回すような事になるなんて思いもしていなかったのよ。」

 

 

アケボノ 「(私何もできなかった〜…)」

 

 

ライトオ 「もうこの二人だけで良くないか?良いだろう!?」

 

 

フラッシュ 「たづなさんに限って、特別何かしてくるとは思いませんが…、それでも不安ですよね…。」

 

 

5人とも、それぞれ似たようで違う感情を抱いていたが、一つだけ同じ事を考えていた。

 

 

 

『スワオルさん(〜)、早く(戻って)来てくれ〜(ください)!』

 

 

 

そして時代は流れる…(1日後)

 

 

 

swapオルフェ 「てりゃあぁぁ!!」

 

「は!はた!てりゃ!」

 

 

Dustジャーニー? 『…』

 

ヒュ!

ヒュ!

スワオルの猛攻を容易に回避していく。

 

 

Dustジャーニー? 『……』

昨日あれだけ言ったのに、まるで成長が見られませんね。ケツイの消耗が激しいからって、ケツイを使ってなければ攻めていい訳では無いんですよ…

 

 

スワオルの学習能力の低さを憂いながら、どんな攻撃を仕掛けようか考えていると…

 

 

ヒュオ!

swapオルフェ 「不意打ち!」

 

 

Dustジャーニーの背後に近道で回り込み、背後から攻撃を仕掛ける。(スワオルが独自に開発した攻撃方法)

 

 

Dustジャーニー? 『!』

先に"そっち"を習得しましたか…

 

 

ヒュン!

こちらも近道で一度距離を離す。

 

 

『…あなたには失望しましたよ。』

 

 

ギュィィィン…!

Dustジャーニー?がブラスターを構え出す。

 

 

swapオルフェ 「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)それ反則だろ!」

 

 

Dustジャーニー? 『うるさいですね。』

 

 

ダァァァァァァ!!

極太のレーザーが放たれる。

 

 

 

swapオルフェ 「ッ__」

 

 

ドゴォォォン!!

炸裂したブラスターは大爆発を起こし、周囲の木々が根こそぎ倒れる。

 

 

パラパラ…

Dustジャーニー? 『……』

 

 

ヒュン!

ボォ!

その場を去ろうとすると、爆発を回避していたスワオルが現れ、Dustジャーニー?の顔面目掛けパンチを振るう。

 

 

Dustジャーニー 『_』

ああ…

 

 

コォォ…!

※swapオルフェーヴルは ケツイで満たされた。

 

 

ドガッ!

フッ…

 

スワオルが拳を当てる直前でケツイを発動させ、命中と同時に解除する。

 

 

ボガァァン!

Dustジャーニー?が地面に叩きつけられる。

 

 

『ああ…』

コレですよ…!これ…!

 

 

乱れた髪を直そうと頭に手を掛けながら、不気味さの消えた、純粋な喜びの笑みを浮かべる。

 

 

スチャ…!

swapオルフェ 「…コレだろ、お前が昨日言ってたのって。」

 

 

Dustジャーニー? 『…おや、気づいて居ましたか。…ええ、コレですよこれ、私が求めていたものは。消耗の激しいケツイを、攻撃の直前で使い、命中と共に解除。こうすることで、最小限の消耗で最大火力を叩き込める…』

 

 

『最も、私はあなたの幻影、あなたの本性は理解していたのでしょう?でも、実際にこうして指摘されないと行動は難しい……、私は、あなたの描いたシナリオ通りにしか動いていません。』

 

 

swapオルフェ 「……でもよ、これが何の役に立つんだ、私はライトオと殴り合いをするわけじゃ無い。」

 

 

スワオルの中では既に答えが出ていた、確かにこうすればケツイに満たされた状態を長くキープ出来る事を。だが、これが何になるのかまでは思考が及んでいなかった。

 

 

Dustジャーニー? 『ふふ…ここまで来たら、もう分かっているでしょう。アナタの武器はその拳とニンジン、そしてブラスター。しかし、それは『トレセン警備員』としてのswapオルフェーヴルの武器…、『ウマ娘』としてのアナタの武器は、他にもあるのでは?』

 

 

swapオルフェ 「っ!」

 

 

Dustジャーニー? 『では、私は行きますね。その内別の形で会うことでしょう、その時は…私を倒す勢いで来てくださいね?』

 

 

スゥ…

ズレた眼鏡の位置をカチャリと直すと、砂埃に混じって空の彼方に消えていった…。

 

 

swapオルフェ 「……」

 

スワオルは、黙ってDustジャーニーの消えていった方角を見つめていた。

 

 

一般通過歩行者A 「おいお嬢ちゃん!大丈夫か!?」

 

一般通過歩行者B 「すごい音だったが、何が爆発したんだ…!?」

 

 

Dustジャーニーがスワオルに残したものは大きかったが、山に残した傷跡も大きかった。

 

 

ギュ…!

拳を握りしめ、その場を離れる。

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

ライトオ 「直進直進直進!!」

 

 

シュダダダダ!!

同じ頃、グラウンドでライトオが走りのトレーニングをしていると…

 

 

ヒュン!

コース上にスワオルが現れる。

 

swapオルフェ 「よう!」

 

 

ライトオ 「ちょわああぁ!!ウマ娘は急にはっ止まれませぬぅぅ!!」

 

 

 

ギキイィィィ!!

 

既の所で停止するが、スワオルはその場から凛々しく立ったまま全く動かなかった、まるでぶつかる前に止まるのが分かっていたかのように…。

 

 

ライトオ 「スワオルさんの怪我無し、よし。私の怪我無し、よし。」

 

 

swapオルフェ 「ライトオぉ〜、久しぶりだなぁ。」

 

 

気さくな挨拶をする。

 

 

ライトオ 「おかえりなさい。まずは一つ、あなたの落とし物です。」

 

 

ライトオから、いつかクシャッとやった日記帳を渡される。

 

 

swapオルフェ 「捨てて無かったのか…(困惑)」

 

 

ライトオ 「捨てろなどとは頼まれていませんので。では、特訓の続きをしましょう。今の私はベストコンディション、前回よりもパフォーマンスに磨きが掛かっています。今私を倒せば、大幅な時短に繋がります。この挑戦、受けますか?」

 

 

久しぶりのトレセン学園の雰囲気に浸る暇もなくドカドカと話を進めていく。だがスワオルは…

 

 

swapオルフェ 「いいゾ〜コレ。」

 

 

挑発も兼ねて言ったつもりなのに、あっけなく承諾してきたスワオルに若干固まりつつ、2人はコースに並び、ダッシュの構えを取る。

 

 

今度は昼という事もあって人が多い。いつかのデュランダルやビリーヴ、一般通過モブウマ娘たちがちらほらと、この並走を観戦している。

 

 

 

パァァ!!

ライトオがコース外に置いていたウマホから、出走の合図が鳴り響く。それと同時に、2人は勢いよく飛び出す。

 

 

ダッダッダッ!

 

 

ライトオ 「!」

なるほど、前回のようには行かないと…

 

ふと見ると、まだ隣にスワオルが居た、何か企んでいるのだろうか。

 

 

短距離を得意とするウマ娘にとって重要なのは体力管理、どの地点で、どのくらいの力を出すのか。少しの調整で、ゴール時のタイムが大きく変わる。

 

 

ダッダッダッ!

 

 

デュラン 「…swapオルフェさんの距離適性は、オリジナルのオルフェさんと同じなら中・長距離。短距離適性のあるライトオさんと並んで走るのは無謀…!」

 

 

ダッダッダッ!

 

 

半分の地点に差し掛かった頃か、ついにスワオルが仕掛ける。

 

 

swapオルフェ 「うおぉぉぉ!!」

 

 

バッ!

ダッダッダッ!

 

 

「!!」

私にスパートを掛けさせたいのか…!いいだろう!!

 

 

「はああぁぁぁ!!」

 

 

僅かにライトオが先頭か、このまま位置を保てるといいが…

 

 

 

ダッダッダッ!

 

「…なんだ…!」

本当にこれだけか…?2日も待って、今のところ変化無し…。

 

 

ライトオは違和感を感じていた、スワオルにレースの知識は殆どない、あそこでスパートを掛けるのも、知識の浅さが顕著に現れてる所の一つだ。だが、スワオルには2日の猶予があった、その2日で知識と技術を得たと思ったら、実際にはこんなレース展開な事に。

 

 

ダッダッダッ!

 

 

「…!」

この人は何を企んでいる…?

 

 

残り4分の1、二人のボルテージは極限まで高まり、その光景に周りのウマ娘達も思わず息を呑む。

 

 

ダッダッダッ!

swapオルフェ 「」

 

 

『『ウマ娘』としてのアナタの武器は、他にもあるのでは?』

 

 

「っへへ…!」

 

 

グンッ!

コォォ!

※swapオルフェーヴルは ケツイで満たされた。

 

 

バァァ!

一歩の歩幅が広がり始める。

 

 

ライトオ 「」

ここでケツイを…!?いや…それよりもっ…!

 

 

スワオルは、大地を踏みしめる瞬間にケツイを抱き、蹴り上げて身体が浮いた一瞬でケツイを解除するという離れ業を、走りながらこなしていた。

 

 

「なにいいぃぃ!!」

学んでいたのは、ケツイの使い方だったのか…!?…だが…それでも…!!

 

 

 

バァァ!

ライトオも負けじと食らいつく。

 

 

ダッダッダッ!

swapオルフェ 「うおおぉぉぉぉぉ!!」

 

ライトオ 「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ブォォッ!!

決着__!!

 

 

 

勝ったのは…俺です!(空耳)

 

 

激しい走りの末、勝ったのはスワオルだった。2着との差、僅か0.5バ身。

 

 

2日前、スワオルを10バ身も離してゴールし、圧倒的な実力差を思い知らしめたライトオの姿はもう、どこにも無かった。

 

 

 

swapオルフェ 「しゃあああ!!」

 

 

勝利の咆哮をあげるスワオル。その姿は、過去の弱い自分を吹き飛ばすかのようだった。

 

 

 

ライトオ 「ハァ…、ハァ……っ…!」

し…信じられん、たった2日で…これ程強く…!一体どんな特訓をしてきたんだ…!?

 

 

 

swapオルフェ 「!」

 

肩で息をするライトオがこちらを見ていたことに気づき、近づく。

 

 

「ナイスプレイ!」

 

 

握手をしようと手を差し伸べる。

 

 

 

ライトオ 「…ふぅ…、流石だ…。」

 

 

コースを外れ、自分の荷物が置いてある所からペンを取り出し、こちらに戻ってくる。

 

 

「あなたが欲しいのは、握手よりも合格のサインでしょう。」

 

 

既に構えられていた日記帳に、スラスラとサインを書く。

 

 

swapオルフェ 「むふ〜。」

 

「じゃ、次の人の所に案内してもらおうかな。」

 

 

 

ライトオ 「先にたづなさんに挨拶をしに行ったほうが良いのでは。」

 

 

swapオルフェ 「えぇ…(困惑)」

 

 

凄く嫌そうだ…。だが嫌いなものというのは、呼んでもないのに来るのがお約束だ。

 

 

たづな 「swapオルフェさん!」

 

 

swapオルフェ 「げ。」

 

今一番聞きたくない声が、横から聞こえてくる。

 

 

「っはは…、たづなさん…。」

 

 

タッタッ…!

たづな 「あなた、今までどこに__」

 

 

swapオルフェ 「何も言わなくて大丈夫ですよ、探らせてください。」

 

 

そう言うとスワオルは、たづなの頭の上に手をかざす。

 

 

たづな 「な、何をしているんですか?私、熱は無いですけど…。」

 

 

 

意識を集中し始める……

 

 

 

実況 『100万円の大レース、王者を決定する第!@#回日本ダービーは、快晴無風の府中競バ場において、7万の大観衆注視の内に開幕しました。』

 

 

swapオルフェ 「???」

 

 

視えてはいけない出来事が視え始める。

 

 

 

実況 『トキノミノル、WIN!トキノミノル、ただいまゴールイン!一着、トキノミノル、タイムは2分31秒1の新記録、これで10戦10勝の偉業を成し遂げたのであります。』

 

 

 

 

swapオルフェ 「……???」

 

 

たづな 「どうかしましたか?」

 

 

ゾワ…!

swapオルフェ 「ッッ__!!」

 

 

最初の…最期の…

 

 

 

    一言!!

      メッセージ!!

 一言!!      あの時実況が観客に!!

 

    実況の秘密!!  

             私は!死ぬまでは死なない!

    一言!!   生き延びる為の!!

         一言!!

 

 

 

怠慢への執着と、不可避の説教との境界でかつてなく目まぐるしく働いた脳細胞が導き出したのは、通常であれば選択し得ないものだった。

 

 

 

「トキ…?」

 

 

たづな 「っ……!!」

 

 

一瞬、場が静寂で包まれるが、すぐにたづなが口を開いた。

 

 

「…理事長に挨拶をして、業務に戻ってください。」

 

 

咎めるわけでも、怒るわけでもなく、たったのひと言。そのひと言きりで、たづなはどこかへ向かっていってしまった。

 

 

swapオルフェ 「…ふぅ〜、助かった…のかな。」

 

 

ヒュン!

やよいの所まで瞬間移動で飛んで行く。

 

 

「や。」

 

やよい 「驚愕!!ノックをしてから入りたまえ!」

 

「…それはそうと、この3日間、一体どこに行っていた!我々は心配で堪らなかったぞ!」

 

 

もうツッコむのも疲れたのか、それとも慣れたのか冷静に尋ねる。

 

 

swapオルフェ 「んー…、…昨日の敵は今日も敵…ってヤツですよ。」

 

 

やよい 「?」

 

スワオルのあまりにも抽象的な表現に、堪らず首を傾げる。

やよい 「説明になっていない様だが…、分かる様に説明して欲しい!」

 

 

swapオルフェ 「だからぁ…、敵から学ぶ事も多いって言うか、強くなったって言うか…。とにかく、ヒミツの特訓をしてきたの!」

 

「そんじゃ!私まだ会わなきゃいけない人いるから!」

 

 

ヒュン!

やけにハイテンションに居なくなる。

 

 

やよい 「…難解!!」

 

 

 

スワオルはライトオの所に戻り、次なる試練の相手の所まで連れて行ってもらう。

 

 

だが、征けども征けども試験官は見えず、苛々したスワオルはライトオに聞いた。

 

 

swapオルフェ 「ねぇ、ライトオまだー?」

 

「ねぇライトオまだ〜?」

 

 

ライトーマーダー♪

 

 

 

校内の廊下に差し掛かかった所で__

 

 

 

??? 「ガブゥッ!!」

 

 

ウマ娘が、噛みついてきた。

 

 

swapオルフェ 「痛ぁア゙!?」

 

 

トモを思いっきり噛みつかれた、凄く痛い。

 

 

 

??? 「……くくっ、…はっはっは!」

 

「わーっはっはっはっはっはっは〜!!びっくりしているのだ、びっくりしているのだ〜!」

 

 

swapオルフェ 「だ…誰?」

 

 

噛まれた場所を押さえながら尋ねる。

 

 

??? 「…なっ!ウィンディちゃんの事、知らない…!?なんだなんだ、失礼な奴なのだ、お前!」

 

「ふんっ!ここに降臨するのは悪の天才、悪の親玉、世界の魔王!シンコウウインディちゃん、なのだ!」

 

「にーっしっしっしっしっ!よーーーく覚えておけー!」

 

 

 

シンコウウインディ、美浦寮に所属する高等部2年。

噛み癖のある狼……ではなくウマ娘。イタズラ好きでヤンチャで、常に誰かに気にかけてもらわないと気が済まない。噛みつくのはかまってほしいアピールなのだが、本人に全くその自覚はなく、ワイルド気取りである。いつも「のだ!」「なのだ!」ロ調で話す。

 

 

ビシ!

決めポーズをした後、どこかへ行ってしまった…。

 

 

swapオルフェ 「どこ行くねーん!」

 

 

ライトオ 「彼女が次の試験官だ。」

 

 

swapオルフェ 「ファ!?うせやろ!?」

 

「試験の前に鬼ごっこするとかどんな試験官だよ…。」

 

 

ひとまず見失わないように追いかける。

 

 

タッタ…!

逃げるウィンディを追いかけているうちに食堂を通りかかる。そこでたまたま休憩から戻ってきた愛木とばったりと鉢合わせた。

 

 

 

愛木 「うおっ!お前、どこに行ってたんだ。」

 

 

swapオルフェ 「ただいま〜!天神↓天神↓天神〜!↓(ドップラー効果)」

 

 

 

答えを聞く前にそのまま走って通過していった…。

 

 

愛木 「あぁ、おい!」

 

 

ヒューン!

 

「…ったく、帰ってきたと思ったら今度は何だよ…。」

 

 

 

タッタッタ…!

追いかけている内に、畑に着いた。

 

 

swapオルフェ 「あんのクソガキぃ…どこ行きやがった?」

 

 

バ!

ウィンディ 「ここまでおいで〜!」

 

 

おしりペンペンで挑発をかましてくる。

 

 

swapオルフェ 「っ!」

冗談じゃねぇぞあのクソガキ!どんな教育受けてやがるっ。

 

 

頭のなかでは焦っているが、まだ私の本能は冷静だ。地面に目を向けた時、真ん中の土だけ周りと色が違った、何か仕掛けてあるのだろう。

 

 

怪しい地面を避けて歩くと…

 

 

 

ブシャァァ!!

 

 

「うぼあっ!?」

 

水鉄砲を発射される。

 

 

ウィンディ 「ウィンディちゃんのお仕置きテリトリーへようこそ〜!まずは、歓迎のスプリング攻撃なのだ!そして〜……足元に注意!」

 

 

swapオルフェ 「え__」

 

ズシーーン!!

結局あの色の違う地面を踏んで、落とし穴にハマる。

 

 

ウィンディ 「下がった所に落とし穴!だから言ったのだー!…あ(唐突)寂しいからお友達もどーぞ、なのだ。ぽいっ!」

 

 

swapオルフェ 「うおぉ〜!蜘蛛投げてくんな!?」

 

 

穴にハマったまま取り乱す。

 

ウィンディ 「…の、おもちゃ〜!にっしっし〜!いーい顔なのだ!」

 

 

swapオルフェ 「野郎っ!」

 

 

ボゴォ!

穴から這い上がり、ウィンディに近づこうとすると…

 

 

ピンッ!

シュルルルル!

「うおおぉっ!?」

 

 

ウィンディ 「だっ〜はっはっは〜!引っかかったのだ〜!」

 

 

足元に何かが絡みつき、勢いよく引っ張られる。一瞬にして天地が入れ替わり、ウィンディの得意げな顔が覗き込んでいた。

 

 

「捕っまっえた♪どうだ、宙ぶらりんの気分は?」

 

 

イラ…

スワオルの我慢に限界が来てしまったようだ。

 

 

ヒュン!

ウィンディとスワオルの位置を近道で入れ替え、ウィンディが宙ぶらりんの状態になってしまった。

 

 

「あ、あれ!?いつの間に入れ替わって…!?」

 

「うわぁああ!これじゃスカートの中まで丸見えなのだ〜!恥ずかしいのだ!降ろせ〜!」

 

 

ジタバタと藻掻くが、ちょっと揺すった程度では仕掛けは解けない。

 

 

swapオルフェ 「おとなしく試験を受けさせてくれるなら、降ろしてあげてもいいけど?」

 

 

ウィンディ 「分かった!言う通りにするのだ!だから降ろしてほしいのだ!」

 

 

swapオルフェ 「いいゾ〜コレ。」

 

 

ロープを切り落とし、宙吊りの状態からは解放される。

 

 

ガ!

ヒュン!

まだ解かれていないロープをウィンディごと瞬間移動し、裏山の崖っぷちに連れてくる。

 

 

ウィンディ 「うわぁ!?な、何のつもりなのだ!?」

 

 

スワオルは崖すれすれで立っているが、宙吊りで持たれているウィンディは完全に崖の外である。

 

 

swapオルフェ 「お前を助けてやると約束したな?」

 

 

そう聞くスワオルの顔には、普段の優しさや甘えでは無い"本気"の表情をしている。

 

 

ウィンディ 「そ…そうだ子分、た、助けて……!」

 

 

恐怖でいつもの口調が無くなる。

 

 

swapオルフェ 「あれは嘘だ。」

 

 

パ!

 

ウィンディ 「うわあああぁぁぁ〜〜!!!」

 

 

スワオルという支えを失ったウィンディは、重力に身を任せて崖下に落下していった…。

 

 

 

swapオルフェ 「…」

 

 

ヒュン!

そのまま学園へ戻っていった。

 

 

 

……

 

 

 

学園に戻るや否や、ライトオに質問をくらう。

 

 

ライトオ 「ウィンディ先輩はどうしたんですか?」

 

 

swapオルフェ 「放してやったよ。」

 

 

スワオルの意味深な返事に、顔に?マークを浮かばせることしかできないライトオ。だが答えを聞く前に、スワオルはまたどこかへ行ってしまった。

 

 

 

そして、その日の夕方。

 

 

 

swapオルフェ 「〜♪」

 

 

ウッキウキでサボっていると…

 

 

ウィンディ 「おい子分!どういうつもりだ!!」

 

 

シンコウウインディがズカズカと現れる。だがその身体は不思議と何事もないように見える、いくらウマ娘の身体が頑強だとはいえ、崖から落とされ、ましてや頭からの落下となれば無事では済まない。にも関わらずウィンディが無傷なのには実は秘密があった……。

 

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁ〜〜!!!」

 

 

ヒュン!

ガシッ!

ウィンディが落下し、地面に激突する直前でスワオルが空中でキャッチし、保健室まで運んでいたのだ。

 

 

 

swapオルフェ 「どういうって…、試練受けなきゃいけないしさ。あと子分っていうのやめろ?」

 

 

ウィンディ 「嫌なのだ!ウィンディちゃんの試練を受ける以上、私はお前のボス!お前は子分なのだ!」

 

 

swapオルフェ 「はぁ〜、もうなんでもいいんだけどさ、試練やろうよ。」

 

 

ウィンディ 「今日はもう帰る時間なのだ!また明日の昼に食堂で待ち合わせするのだ!」

 

 

そういうと彼女は、寮へと帰っていった。スワオルは再びサボりに徹し、帰るまでの時間を潰した…。

 

 

 

……

 

 

 

……

 

 

 

その日の夜8時…

 

 

ピローン!

たづなから連絡があり、そこには夜9時にグラウンドに集合するよう書かれていた。

 

 

「あれ、私たづなに連絡先渡してたっけ」と思ったが、どうやら知らない内にブラストワンピースから連絡先を教えてもらったらしい。

 

 

約束の時間になったのでグラウンドに向かってみると、たづながストレッチを始めていた。

 

 

swapオルフェ 「何用かな?」

 

 

たづな 「…視たんですよね、私の記憶。」

 

 

 

唐突な話の入り方に、今日の頭に手をかざした時のヤツが頭を過ぎる。

 

 

「と言う事は、もう分かってますもんね…。」

 

 

ス…!

そう言って深く被っていた帽子を外すと、隠れていたウマ耳が露わになる。

 

 

swapオルフェ 「!!」

 

「お前…ウマ娘だったのか…!」

そういえば…この前の金庫の時も……。

 

 

 

たづな 「本当は、こうして耳を出す事は禁じられています。…ですが…貴方は私の正体を知ってしまった…今更隠す意味は無いというのと、今日の昼……、ライトオさんとの模擬レース、見ていて私もゾクゾクしていました、ぜひ貴方と手合わせ願いたいと。」

 

 

swapオルフェ 「へぇ…、伝説級のウマ娘から模擬レースに誘われるなんて、名誉な事だ。」

正直、試練とは関係ないからする必要は無いが、あのたづなが本気で私とレースをしたがっている、たづなの強さも見たいし、何より強くなった私を今すぐ試してみたい。こんなチャンス滅多に無いだろう。

 

 

「いいゾ〜コレ。」

 

 

快諾!

 

 

たづな 「ありがとうございます。では…、2400メートルで勝負しましょう。これならあなたの距離適性とも合いますので。」

 

 

swapオルフェ 「たづなはいいのかそれで、人によって違うんだろ距離適性って。」

 

 

当然の疑問をぶつけるスワオルに対し、たづなはひと言…

 

たづな 「私は全距離得意(オールラウンダー)なので♪」

 

 

 

そうして二人はストレッチを終え、コースへ…。

 

 

 

バン!

 

   【パーフェクト・イリュージョン】早川たづな

             VS

   【トレセン学園の英雄】swapオルフェーヴル

 

 

 

かつて無い名勝負が今、ひっそりと行われる…!!

 

 

たづなが置いてきたウマホから、出走の合図が鳴り響く。それと同時に、二人とも走り出す。出遅れのない、綺麗なスタート。

 

 

バッ!

swapオルフェ 「んっ!?」

 

 

いきなりエンジン全開で走り出すたづなに気圧される。

 

 

「」

コイツ…!いきなりスパートを!?そりゃ悪手だろ!?

 

 

 

多くのウマ娘にとって、体力を温存するというのはレース展開を左右する重要な行動…、だが、特定のウマ娘はそれを気にせずガンガンバ体を前に進める、いわゆる"逃げ"。

 

 

ライトオもそれに該当するが、コーナーでの減速もあって本領は後の直線でのみの発揮となった、だがたづなはそうではなかった、最初のコーナーを差し掛かっても速度を落とさず、そのまま曲がり切ってしまう、純粋なレースの経験の差が光るところだ。

 

 

 

「…やっぱ速ぇ…!」

 

 

ダッダッダッ!

 

 

「」

どうする…!?向こうがバテるまで待つか…『攻める』か…!

 

 

ライトオの時とは違い距離が3倍近くあり、迂闊に攻めれば自分がバテてしまう。スワオルの脚質はオリジナルと同じ差しであり、最後の最後に力を発揮にしなければいくらケツイを節約できても体力が最後まで持たない。

 

 

 

たづな 「」

ふふ…、流石に自分の脚質くらいは理解って居るようですね、…少し、いじわるしてみましょう。

 

 

ダッダッダ…!

たづながわざとペースを緩める。

 

 

swapオルフェ 「」

ペースが落ちた…!体力が持たないのか…、それとも"誘って"いるのか…。私が攻めるのは今じゃないだろ…落ち着け…!

 

 

依然としてペースを緩めず、スワオルは走り続ける。

 

 

たづな 「」

あら…引っかかりませんでしたね…。

 

 

ペースを戻す。

 

 

swapオルフェ 「」

体力的な限界では無かった様だ…迂闊に近づいていたら危なかった…。

 

 

そのまま二人は1200メートル地点を通過、後は最後の曲線に入れば一直線。最後までどちらが勝つのか、勝負の行方は未だ知れず…。

 

 

ダッダッダ…!

 

 

「」

そろそろ攻めないと…、だがどのタイミングで差せばいい…!?くそつ…昼のうちにオルと並走でもするべきだった…!2400の走り方なんて分かんねぇ…!

 

 

そんなこんなであっという間に4分の3地点に差しかった、ここしか無いと思ったスワオルは、ライトオと走った時の様に、ケツイを抱くのと解くのを同時に行い一気にスパートを掛ける。

 

 

 

「うおおぉぉぉ〜!!!」

 

 

たづな 「…!」

ここでスパートを…そこからでは体力が持ちませんよ…!?

 

 

スワオルの技を知らないたづなには、自然とその文字列が頭に浮かび上がった。

 

 

残り300m、先頭は未だたづながキープしているが果たして…?

 

 

ダッダッダ…!

 

swapオルフェ 「うおぉりゃあぁぁぁ!!」

 

 

たづな 「」

まずい…私もそろそろ厳しい…!

 

 

ダッダッダ…!!

体力的な限界間際で粘るたづなと、徐々に迫るスワオル。いよいよ残り150m、たづなが逃げきるか、それともスワオルが差すのか?

 

 

 

swapオルフェ 「負けて……」

 

 

たづな 「…!」

既にこんなに距離を詰められて……!?

 

 

swapオルフェ 「たまるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

バオ!

鬼気迫る表情でたづなを横切り、さらなる加速を見せた。

 

 

 

たづな 「っっ__」

ああ……

 

 

 

ゴォォ!

 

ゴール時、一瞬スローモーションになる。

 

 

接戦の末に勝ったのはスワオル、逃げるたづなを見事に差し切った。状況が状況なら、歓声が周囲を飛んでいただろう。

 

 

 

swapオルフェ 「ハァ……ッハァ……!…ッハァ……!」

 

 

手を膝に当て俯いて、肩で息をする。

 

 

たづな 「ハァ……ふぅ〜……」

 

 

たづなは息こそ切らしているもの、スワオル程酷くは無く、正しい呼吸で息を整える。

 

 

ザ…

ゴソ…ゴソ…

持ってきていたスポーツドリンクを手に取り、1本をスワオルに渡す。

 

 

swapオルフェ 「…ん!さんきゅ。」

 

 

ゴク…ゴク…

たづな 「この世界に来てたった一ヶ月とちょっとしか経っていないのに…凄まじい成長速度です、まさか差し切られてしまうとは、流石ですね。」

 

 

ゴク…ゴク…

 

「ぷはあっ!」

 

「それはあんたもだろ…、引退して長いのに、ちょっとのストレッチしただけで、強くなった私よりギリ弱いくらいなんて…!」

 

 

たづな 「ジェンティルさん達の特訓の成果が実ったみたいですね。」

 

 

たづなの言葉に、「なんで知ってるんだ」と、目をギョッとさせて見つめるスワオル。

 

 

「あの人達から聞きました、スワオルさんが元の世界に戻るのとは違う、遠回りをしていると…。でも、ここまでやりきったんだからには好きにさせろと言いくるめられてしまいました。」

 

 

swapオルフェ 「」

あいつら、私が好きでこんな事やってると思ってるのか…(困惑)

 

 

「あ、そっかぁ…。」

 

 

 

少し休憩し、そこでたづなと別れた。帰る前に言われた「今日のことは秘密にして下さいね?」って言葉は、スワオルの頭のなかでぐるぐるして離れない。

たづながウマ娘だった事をなぜ私にバラしたのか、別にそのままでも「あ、この人速い人なんだなぁ」程度の認識で済んだのに。

 

 

ともかくたづなに勝利したスワオルは、部屋に戻るや否や疲れがどっと襲いかかり、すぐさまベッドにダイブして夢の世界へと旅立って行った。

 

 

 

 





2026年8月2日、午前10時15分頃、元競争馬のツルマルツヨシ号が息を引き取りました…。享年31歳、老衰が死因とされています。ウマ娘化された中で最後の黄金世代が亡くなってしまいました……

今までありがとう、ツルマルツヨシ。向こうでスペちゃん達とどうか元気で。


偉大なる名馬の旅立ちに、敬礼。
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