外装はそこそこ大きい、私以外にも警備をやってる人が住んでいるのだろうけど、明日の朝に挨拶しに行こう。私はもう疲れた。
ガチャ
ドアを開けると、僅かながらの湿気と埃混じりの空気が出迎えてくれた。この上なく"不快"、それが第一声だった。そして部屋に入った瞬間に鍵を閉め、何をするわけでもなくベッドにダイブする。
ボスン…!
「ベッドぉぉ……」
疲弊混じりの音吐が、静寂の中に淡く響く。
匂いとかはもうどうでもいい、今は明日以降の動きを考えなければいけない…。
swapオルフェは、布団の上に覆いかぶさったまま暫く考え事をし、そして力尽きた…。疲労だ、彼女は今日だけで移動、解体の為に多くの能力を酷使した、それだけに反動はデカく、彼女には風呂に入ったりご飯を食べたりする余力すらも残っていなかった……。
チュンチュン!チチチチ!
swapオルフェ 「ん………。」
鳥の囀りという目覚ましで起きたら朝になっていた。着替えもせずに寝てしまうなんて、相当疲れて居たのだろうな…私は、…風呂入りたいご飯食べたい、でも寝てたい……。
時刻は7時、いつも目を覚ますと昼の時間になっている彼女にしては早起きだ。
「とりあえず…起きよう。」
風呂とその他の身支度を済ませる。
「今日は何をしようかな…っと……。」
ポケットに手を入れる動作をする。
「………服を買おう、その前にタバコと酒も、今の私には足りないものが多すぎる。」
ひとまずわかりやすいようにリストにまとめておこう。
_____________________
彼女のタスク
☐服の調達
☐タバコ・酒の購入
☐仕事の達成と達成に対する支払いの確保
☐元いた世界への帰還方法の模索
_____________________
大雑把にまとめるとこんな所だろうか、必要なら後から足すだけでいい。
「それじゃ、まずは1番目と2番目、簡単な2つからやろう。」
しかし、ここで早起きが思わぬ悲劇をもたらすことになる、お店はこの時間では開いていないのだ。
「………」
「そう言えば」と、何気なくポストを確認すると中にいくつか紙が入っていた。
「…仕事に関係するような、重要なモノは入ってないようだね、全て捨ててしま……む?」
swapオルフェは一枚の紙に目が行く。そこには《なくそう!未成年飲酒喫煙!タバコ・酒は未成年、身分を証明できない者には、飲まない!吸わない!買わせない!!》なんて書かれた紙があった。
「なんだこれは…これってつまり、身分を証明できないと酒もタバコも買えないってことかい!?」
彼女の居た世界では「くれ」と言ったら金さえ払えば用意してくれたが、この世界ではタバコを買うのも簡単ではない、身分を証明できるものがなければ手に入れることはできないのだ。
「っ…!…いや…落ち着け、まだ策はあるはずだ、何も「自分が買わなきゃ行けない」訳では無い、誰が成年していて身分を証明できるヤツに買わせればいい、我ながら賢い選択だ。」
そうはいっても、堅っ苦しい大人の連中がオグリキャップ君の様に何の深追いもせずに言うことを聞くわけがない、……たずなに買ってもらうか…?あの人は私の事情を知っているし、頼みやすい……いや…だめだ、あんなのが素直に私の言う事を聞いてくれるわけがない、この紙とか絶対たづなさん関係してるだろうしこれもうわっかんねぇな。
ピンポ~ン!
頭の中で考えを巡らせていると、インターホンが鳴る。こんな時間に誰だろうか?
「は〜い今行きます。」
ガチャ!
??? 「おはようさん、朝早くにすまんね。」
ドアを開けると、かなり年めいたおじいさんが立っていた、身長も私より二回り小さい彼がここに何の用があるのだろうか。
かなり失礼な考えを過ぎらせるswapオルフェ。
swapオルフェ 「いえいえ……それよりも…どちら様でしょうか?」
??? 「いやいや、コレは失礼、自己紹介がまだだったな。俺の名前は『愛木道』(あいきどう)だ、以後お見知り置きを。」
swapオルフェ 「ええと…愛木さん…?私になにか用事でも?」
??? 「用事も何も、アンタ、ここに新しく入ってきた警備の人だろ?昨日新人が来るって連絡が理事長から来たのに、一向にその新人が来る気配がないって、こりゃあ挨拶は明日に回すしかないって、んでいま来たのよ。」
頭の中にいろんな事がよぎるswapオルフェ。
swapオルフェ 「あ〜…その節はどうもすいませんでしたね、本当は昨日のうちに挨拶をしておきたかったんですがね、何分多忙だったもので…。」
愛木 「まあ、そんなことはどうでもいいんだ、今日から一緒の職場で働くんだ、"握手"でもしようや。」
スッ…
手を差し伸べて来る。
驚いた、こんな人が警備員だなんて、その体で一体どうやって護るのだろうか、まあ…それはともかくとして…。
ぎゅ!
swapオルフェも相手に答えんばかりと握手をする。一瞬の間を置きswapオルフェから手を離そうとすると…。
swapオルフェ 「」
…!!、手が離せない、どういうことだ?
瞬間、彼女に衝撃が走る。
ウッ!!?
「おッ重い……!!」
ズルドッ!
『《人間はウマ娘には勝てない》。これは走ったら疲れるように、当たり前の事であり極めて常識的な事である。拮抗、とまで持ち込むことは出来ても、決して勝利に至ることはできないのだ』
「……!!?」
自分の半分程の身長しか無い老人相手に成すすべなく地面に仰向けで倒されるswapオルフェ。
愛木 「お前さん、ウマ娘だろ?てことは人間よりも圧倒的に強くて頼もしい、だからこそ俺のことちょっと舐めてたろ、こんな老人が警備なんてできるのかって。」
swapオルフェ 「」
私の考えが全て筒抜けだ、この爺さん…強い…!
愛木 「普通の爺さんなら……」
拳を上げ、勢いよくswapオルフェの顔面めがけて叩き込む。
ビュオォッ!!
swapオルフェ 「ッッ!!避け…!」
スッ…!
すんでの所で拳が止まる。
『しかし、彼はその例外である______愛木道、御歳70にもなるご高齢、しかしその身のこなしは未だ衰え知らず、かつて合気の達人の名を欲しいままにした愛木は、「他人優先、自分劣後」の精神で、しかし自分の技を使うにふさわしい場所を探し続け、人間よりもあらゆる部分が優れているウマ娘の集うこのトレセン学園に30年も前から警備員として働き続けている。』
「こんな仕事、やっちゃ居ねぇよ。」
swapオルフェ 「ッ………!!!」
あまりの光景に開いた口が塞がらないswapオルフェ。
ガシッ!
半ば無理やりswapオルフェを立たせ、立ち去る前に愛木が口を開く。
愛木 「まあ正直、舐めて貰えるのは大歓迎だ、なんてったって…」
こちらに振り向き、ニヤけながら話す。
「その分挨拶がしやすいからな!ふう……お前さんとは仲良くできそうな気がするよ、これからよろしくな!」
そのまま立ち去って行く。
………
すごく凄い爺さんだった、彼も私の【青攻撃】に似た技を使えるなんて只者じゃ無い、今度たづなにでも聞いてみよう。
__時刻は8時を周り、いよいよ生徒たちがこのトレセン学園に向かって登校しだす(あるいは寮から直で向かう)。当然、警備員はこの時には既に配置に付いていて当たり前だ、もちろんこの日も警備員達はもう持ち場に付いている、"ただ一人"を除いて……
そう、swapオルフェーヴル以外は。
「さて…もう考えてても仕方がない、朝ごはんでも食べて気分転換しよう。」
ピュン!
近くのコンビニに"近道"をし、ツナマヨおにぎりと唐揚げ弁当というおっさん的組み合わせを購入し、またすぐ近くにある裏山の山頂まで"近道"をした。
「ここは日光が気持ちいい、時間を潰すのにはもってこいの場所だ。」
誰に言う訳でもなくボソッと呟き、おもむろにしゃがみ倒れ込んだ。
「うん、美味しいね……」
風になびく木々の音が、心の不安を取り除くような気がしてとても心地が良い。そんな感じに過ごして5分ほどが経過した頃か。ベンチに仰向けで、どこかは儚げな顔をしながらおにぎりをパクついていると、女性の声が聞こえてきた。
??? 「唐揚げの匂いはこの向こうからしマース!」
??? 「もうエルったら…こんな時間にこんな所で唐揚げなんて食べてる人なんて……」
ムシャっモグっパクぅ!!
swapオルフェ 「………む?」
swapオルフェの前に目元には、プロレスラーの様なマスクをつけたポニテロン毛のウマ娘と、物静かな雰囲気を持った栗毛のウマ娘が居た。
??? 「居たぁぁ〜〜!?」
??? 「ほぉらグラァス、やっぱり唐揚げ食べてましタ!私の鼻はよく利くんデース!」
彼女たちが学園外の山にいる理由は、つい昨日まで2人で2泊3日の温泉旅行に言ってきたからだ、休日気分で浮かれていたのだろうか、宿が近かったとは言え大遅刻、1秒たりとも無駄に出来ない状況なのだ。
??? 「そうね、それよりも…」
???&??? 『オルフェーヴル先輩!!??』
swapオルフェ 「む、弁当はあげられないよ、私の貴重な栄養補給源だからね。」
??? 「どうしてここに居るんですか!?しかもそんな格好で…!」
??? 「ゴルシ先輩と一緒に何かやらかして、ついに学園を追い出されちゃったんデスか?」
swapオルフェ 「色々と説明したいところだけど長話は嫌いなんだ、今は"オルフェーヴルの身体をした成人済みウマ娘"とだけ行っておくよ。」
??? 「では、アナタはオルフェーヴル先輩では無いと?」
swapオルフェ 「栗毛のウマ娘君、話が早くて助かるよ?君、なんて名前だい?」
さて、知っている名前だといいが…いや、向こうにいたウマ娘は見た目と名前がぴったり一致しているんだ、私が"知っている名前"なんて言った時点で既に私はこの子達を知らないって、ハッキリ分かんだね。
??? 「私はグラスワンダー、グラスって呼ばれてます。」
グラスワンダー、美浦寮に所属する中等部3年。
アメリカ生まれの帰国子女。両親ともども和の文化に憧れて育ったため、生粋の大和撫子になった。物言いはほのぼのと柔らかいが、芯は強く、心の奥底には何事にも負けまいとする確固たる意志を持つ。親友エルコンドルパサーとはルームメイト。
??? 「私はエルコンドルパサーデス!よろしくデース!」
エルコンドルパサー、美浦寮に所属する中等部3年。
覆面をかぶった、ラテン系の情熱ウマ娘。自分こそ世界最強と信じており、それを証明するためにビックマウスで勇躍する。マスクはレスラーの父から譲り受けたもので、これがないと普段の調子が……。親友グラスワンダーとは同室で、よく注意される。
うん、知らない。
swapオルフェ 「グラスにエル……ね、わたしはswapオルフェーヴルだよ。」
グラス 「swap?"入れ替わった"オルフェーヴル先輩…どう言う意味でしょうか?」
swapオルフェ 「詳しいことは話さないよ、それより君たち、トレセン学園の生徒だろう?早く行かないと遅刻しちゃうよ?」
エル 「ケ!?そういえば忘れてましタ!私たち今絶賛遅刻中なんデース!!」
グラス 「そっそれでは!また会いましょう!」
swapオルフェ 「あ、そうだ(唐突)」
キンッ!
慌ててその場を去ろうとする2人を青攻撃で強制的に止めるswapオルフェ。
エル 「身体が……!」
グラス 「動…かない…!」
ウマ娘のパワーを持ってしても、まるで動くことができない。
swapオルフェ 「帰る前に約束してほしい事があるんだ。」
「ここで私を見たことを他の人に話しちゃ行けないよ、じゃ無いと……」
「そ れ 相 応 の 覚 悟 を し て も ら う よ 。」
少しだけ気配を撒き散らす。
エル&グラス 「ッッッ…!!?」
二人にはswapオルフェは見えてないが、後ろから凄まじい気を感じ取った。
ふと体の硬直が収まる。
エル 「はい〜〜誰にも話さないデ〜〜ス!!」
グラス 「約束しま〜〜す!!」
すごい勢いで走っていった2人を見届どけるswapオルフェ。
swapオルフェ 「はあ……ここも通学路だったか…いい所だと思ったのにな……。」
そう呟きながらベンチに横になると、徐々に瞳が重くなっていった……
〜そして〜
ダダダダダダダダ!!
うおおおぉ〜〜!!!
ガラガラガラ!
エル 「ギリギリセーフデ〜〜ス!!」
??? 「ふぇあぁ!?ちょっと!遅刻寸前だとは言えそんな速度で教室に入ったらケガするでしょう!まったく……。」
??? 「おぉ~、今日もキングママが炸裂したね〜。」
??? 「っ!私は一流のウマ娘として当然のことを言ったまでよ、断じて心配なんかしてないわ!」
??? 「にゃはは〜♪キングは優しいね〜。」
??? 「…ッ!!」
グラス 「何とか間に合いました……。」
??? 「グラスちゃんも…2人で寝坊か〜、楽しんでこれたみたいで良かったです!」
一人ずつここにいるウマ娘を紹介しよう。
スペシャルウィーク、栗東寮に所属する中等部3年。
北海道生まれの、素直で明るい頑張り屋。 生後すぐに実母を亡くし、その親友である人間の女性の元に預けられた。 『日本一のウマ娘になる』は2人の母に誓った約束。 憧れたりくじけたりを繰り返しながら、持ち前のガッツで夢に向かってひた走る。
セイウンスカイ、美浦寮に所属する中等部3年。
いつもフワフワと、やる気が行方不明なのんびり娘。しかし結構な策士で、怠惰なのは油断させるためのポーズだったり、本当に怠けているだけだったりする。趣味は昼寝と釣り。猫好きでもあり、よく野原で猫と一緒に丸くなっている。スペシャルウィークらと同期。
キングヘイロー、栗東寮に所属する中等部3年。
『一流』であると万人に認められることを目指す、プライドの高いお嬢様。ウマ娘として、またデサイナーとして一流の母を持ち、いつか見返したいという愛憎混じりの反発心を抱いている。いつも取り巻きのウマ娘たちに囲まれ、キングコールを一身に浴びている。
前述したグラスワンダーとエルコンドルパサーを含めて"黄金世代"と呼ばれることもある。
キング 「二人して寝坊かしら?いいこと?もっと黄金世代としての自覚を持って行動しないと駄目よ!」
エル 「うぅ…キングの言う通りデース…っでモ!"アレ"が無かったら絶対間に合ってましタ!!」
スペ 「アレって言うのは?」
エル 「さっきそこの山で__」
ガシ!
グラス 「エ〜ル〜?」
エルコンドルパサーの肩を割と本気で掴み、ちょっとした殺気も放つ。
エル 「ケ!?」
キング 「そこの山で…何よ?」
エル 「…アッハハ〜、やっぱりなんでもないデェス、エルの見間違えでシタ!」
スカイ 「ふ〜ん…こりゃあなんか隠してるね〜一体何なのか…、ま!そんなこと、後で聞けばいいや。」
グラス 「あの、それよりも……もう授業が始まってもおかしくない時間ですが…。」
何でか時間になっても、先生の姿が現れない。
スペ 「そういえば……。」
キング 「でもその割には先生も来ていないわよ?一体どうなってるのかしら。」
スカイ 「私としては怠ける時間が増えるから、このまま授業が潰れてもいいんだけどねぇ。」
いつまでも始まらないHRにみんながざわついていると……
ピンポンパンポン!
『至急!教室にいるすべてのウマ娘に告ぐ!この後のHRは体育館で行うため全クラス体育館に集合してほしい!』
理事長の唐突の全校朝会宣言、何か意図があるのだろうか。
体育館にて…
やよい 「陳謝!集まってもらって申し訳ない!君たちに話さなければ行けないことが2つあるのだ!」
スペ 「なんだろう…話って…。」
スカイ 「もしかしてセイちゃんが国民栄誉賞受賞しちゃったとか?」
キング 「そんなわけが無いでしょ!このおバカ!」
スカイ 「冗談だってキング〜、にゃはは〜♪」
キング 「っッ!」
やよい 「ではまずひとつ目から!今日から新しく警備の人が加わる事になった!だから今ここで自己紹介をしてもらう!……予定だったのだが……。」
「当の本人がまだ姿を見せていないのだ!」
生徒の殆どがどよめきだす。
ガヤガヤ ワチャワチャ
やよい 「安泰!到着次第また報告する!それまでにもしこの学園の敷地内に"見たことの無い人物"を見つけても無闇に手を出してはいかんぞ!!」
………
一瞬の静寂があった後再びやよいが話す。
やよい 「…そして、2つ目だが、………昨日から高等部3年のドリームジャーニー君が行方不明となっている、まだ公にしている事では無いが、こういう事実があるとだけ受けっとってほしい、もちろん我々も捜索を続ける!かけがえのない生徒を失う、まして1人のウマ娘の人生を狂わせてしまうなどあってはならないと私は考えている!だから何か少しでも情報があったら報告してほしい!そして、このことはくれぐれも他言無用で頼む。」
「ではこれにて全校朝会を終了する!解散!」
再び教室に移動するや否やスペシャルウィークらは、2つの話題で会話が盛り上がる。
スペ 「ドリームジャーニー先輩って、オルフェーヴル先輩のお姉さんだよね?」
キング 「ええ…優等生であるジャーニー先輩が、学園に何も言わずに居なくなったりなんてするかしら?絶対に何か良くないことに巻き込まれたのよ!」
スカイ 「そうは言ってもねぇキング、私たちにはどうする事もできないと思うよ、第一証拠が無いのに理事長達にはどう説明するの?」
キング 「それはっ後で考えればいいのよ!」
エル 「ジャーニー先輩の事も心配デェス!でも、エルは新しく入って来る警備員の人の方が気になりマース!」
グラス 「…」
行方不明のジャーニー先輩……そして、今日の朝山で見かけたオルフェーヴル先輩"そっくり"のウマ娘……名前は確か〈swapオルフェーヴル〉……swapは入れ替わりを意味している……もしジャーニー先輩の事とswapオルフェーヴル先輩の件が繋がっているとしたら…?
でも…だとしたらオルフェーヴル先輩の体は"どこから持ってきた"のでしょう?、オルフェーヴル先輩は普通にこの学園に居るのだから、ジャーニー先輩と入れ替わったとしたらジャーニー先輩の身体がどこかにあるはず……それを学園側が見落とすはずは無い……。
キング 「グラスさん?そんな真剣な顔してどうしたのよ?」
グラス 「あ……ごめんなさい、さっき走ってきた時の疲れが今になってちょっと……。」
キング 「ふーん……そう、だったら早い所整えた方がいいわ、もう先生も戻ってくるでしょうし、疲れたまま授業なんて受けたら頭に入って来るものも入ってこないわよ。」
スカイ 「いただきました!本日2回目のキングママ!」
キング 「だから!私はそういう意味で言って無いから!」
スペ 「グラスさん!」
突然そこそこ大きい声で呼ばれて少し驚くグラスワンダー。
グラス 「ど…どうしたのスペちゃん?」
スペ 「もし、悩み事があるなら私たちが相談に乗るからね!」
グラス 「…。」
そうだ、もう言ってしまえばいいんだ、話せば楽になれるんですから。
「みんなに話したいことがあるんです。」
1日どころかほんの数時間でswapオルフェとの約束を破ってしまうが、実際バレても問題はないし彼女達も年相応の学生だからね、しょうがないね。
エル 「ケ!?」
「グラァス!本気デスか!?」
エル 「ええ…もう隠していても仕方のない事でしょうし、正直学園全体に広がらなければ問題は無いと思います。」
スカイ 「おお〜、そのうち聞き出そうと思っていたから聞く手間が省けた省けた〜♪」
キング 「一体何を話したいって言うのよ?」
グラス 「……では、お願いしますよ、エル。」
エル 「エルがッ!?話しの流れ的にグラスが説明するんじゃ無いんデスか!?」
グラス 「さっきはエルの方から話そうとしていたでしょう?」
エル 「ソレは……そうデース…。」
スペ 「あの……早くほんへ入ってくれませんか?(辛辣)」
ごもっともだ。
エル 「…分かりましタ、覚悟して聞いてくださいネ!さっき、そこの山でとある人物に出会ったんデス。」
キング 「ええ、そこまでは聞いたわよ。」
エル 「誰に会ったと思いますカ!?」
スカイ 「おお〜焦らすね、そんなに凄い人と会ったの?」
キング 「おおかた、たづなさんか理事長あたりでしょ?(適当)」
グラス 「オルフェーヴル先輩ですよ。」
スカイ 「おお〜本当に以外な人物の名前がでてきたね。」
エル 「ケ!?なんで言っちゃうんデスか!?」
グラス 「エルがいつまでも本題に入らないからみんな聞き飽きてしまってるんですよ、特に、スペちゃんが(謎の強調)」
スペ 「オルフェーヴル先輩?でもオルフェ先輩ならさっきの集会にも居たでしょ?」
グラス 「ええ、ですから、私たちの出会ったオルフェ先輩は偽物なんです、実際に彼女も「本物のオルフェーヴルではない」と言ってましたし」
キング 「ふーん…、そんな事がなんで悩みのタネになるのよ?」
グラス 「彼女は自分の事を〈swapオルフェーヴル〉と名乗っていました、そして、さっきの朝会で理事長が話していた『ジャーニー先輩の行方不明』、これが繋がってるんじゃないかと私は思っているんですが…。」
スペ 「……偶然…って言葉では片付けられないですね…コレは!」
スカイ 「そうは言っても、実際にその人に確認してみなきゃ分かんないことだし、とりあえず放課後までこの話は忘れよっか(有能)」
キング 「あら、スカイさんにしては随分マトモな事を言うじゃない。」
スカイ 「失礼だな!(失礼)セイちゃんはいつもいつでもマトモですよーっと。」
そんなこんなで授業が始まり、彼女たちはいつもと変わらぬ時間を過ごした…。
その頃……
swapオルフェ 「ん………」
眠い…喉が渇いた……。ロクな感想がでてこない程意識がまだ朦朧としているがすぐ良くなるって、ハッキリ分かんだね。
おもむろにケータイを見る。圏外にこそなっているが時間表示は生きている、時刻が11時を回っていることに気づいたswapオルフェは服を買いにいった。
何気なくショッピングモールに向かっている最中……
「…しかし、なんだろうねさっきから、この白線の内側を通る大きな乗り物は。」
swapオルフェの居た世界には『車』なんて物は存在しないため彼女からすれば斬新で奇抜で、どこか掴みどころのないものである。
「四輪駆動の鉄の乗り物……これが地下世界にあれば移動がかなりなりそうだ…。」
そんな事を考えながら歩いて、無事ショッピングモールの服屋に着いた。
「さて…薄茶色…いや、オレンジ色のフード付きパーカと…長ズボン…できれば黒の白ライン入りのはあるかな?(期待)」
暫く売り場をうろついていると無事に見つけたので、試着室で着替えてみる
「So cool(意味不)」
即時購入避けられず、と言った所だろうか、私は導かれるようにその服を手に取りレジで会計してもらった。
「これで服の調達はクリアしたね。」
_____________________
彼女のタスク
☑服の調達
☐タバコ・酒の購入
☐仕事の達成と達成に対する支払いの確保
☐元いた世界への帰還方法の模索
_____________________
早速着替えて気分は上々、そんなこんなでお昼の時間になった
「それじゃ……学園の食堂にでも行こうかな。」
人目のない所に行き、瞬間移動でトレセン学園まで移動した。昨日と同じ流れでお茶漬け特盛を注文、受け取り時に場所を考えてなかった事に気づく。
「こういう時は……。」
周囲を見渡すと、オグリキャップ君の姿が見えたので向かう。
「やあオグリ君、隣、いいかな?」
オグリ 「あ、swapオルフェか、……その格好は…?」
swapオルフェ 「これかい?元いた世界での私の服装だよ、ここにタバコがあれば完璧なんだけどね。」
オグリ 「…やっぱり目立つ格好だな…。」
swapオルフェ 「カッコいいだろう?んにゃぴ…やっぱりこの格好じゃないと締まらない。」
暫く食べてるとオグリキャップの方から話しかけてきた。
オグリ 「そういえば、今日から新しく警備員が来るみたいなんだ。」
ビクッ
swapオルフェーヴルに電流走る。
「ふ…ふ〜ん…?そうなんだ?」
オグリ 「ああ、だがその警備員はまだここに来ていないみたいなんだ。」
swapオルフェ「ふ〜ん……せっかく理事長があいさつの場を用意してくれたのに、それを無下にするなんてちょっと信じられないねその人。」
それ私なんだ、とはとても口に出せないswapオルフェ。そして、しばらく会話が無いなと思い、オグリキャップの方を見ると、彼女は私の事をじっと見ていた。
オグリ 「………」
swapオルフェ 「ん?私の顔に何か付いて__」
違う、この子私を見ていない、私の後ろを見ているんだ。あの目線だとオグリ君は私の後ろに"立っている"人を見ているんだ。
刹那、嫌な予感が全身を過る。
バン!!
真横の机が叩かれる。
たづな 「ええ〜、本当に信じられないですよねその方〜♪」
悪い、私死んだわ。
「あっはは…、…たづなさん…こんにちは…?」
まだ手しか見えてないけど怒ってる、顔を見なくても分かる。
……いや、何を今さらぎこちない態度を取る?私にとってサボりは仕事と同じだし、いつもやってることだ。エアシャカールにサボりが見つかってどやされた時、私の態度は変わったか?答えはNOだ、向こうでそうやってた様に、ここでもそうやればいい。
「…ハハ、まあまあたづなさん、気楽に行きまし_」
振り返り様にたづなさんの顔を見上げる。
あ、だめだコレ、ヤバいヤツだ
「……まずは着替えからですよね…。」
瞬間移動した後着替えて戻ってきた。今思うとなんで戻ったのかさっぱりわからない、何か別のチカラが働いたのだろう、そうに決まってる。
たづな 「……」
swapオルフェ 「あ…えっと…どうです?私のスーツ姿、カッコいいでしょう?」
たづな 「……」
swapオルフェ 「…えっと…理事長室に行かないとですよね…?」
たづな 「……」
めちゃくちゃ不気味な笑みを浮かべ沈黙を続けるたづなさんに恐怖しつつあるswapオルフェーヴル
swapオルフェ 「あ…あの…行かないんですか?」
たづな 「……」
スッ…
無言で手を肩に乗せてきた。
「2人で行きましょう?瞬間移動で。」
ハ〜…さしずめ私の有効活用方法の一つなんだろう、どうせそのつもりだったし連れて行こう…。
ヒュン!
食堂から消え、理事長室内に現れる
ヒュン!
やよい 「ッッッ!!衝撃!入るときは合図くらいよこして欲しい!」
swapオルフェ 「すいませんね、私の"近道"にそんな能力は無いんですよ(嫌味)」
「それより、アナタもたづなさんみたいに私の事をどやしたらどうです?」
やよい 「…無益、我々がどう警告しようと、君は変わらぬのだろう、だから私はなるべく受け入れようと思っていてな…(有能)」
たづな 「ですが理事長…!」
やよい 「たづなの言いたいことも分かる、しかし彼女は、異世界から来ている、この世界の常識が全て通じるとは限らない。そんな人にいきなり働けなどと言った我々も悪い部分はある、そう思わんか?たづなよ。」
たづな 「それは……」
やよい 「最初はゆっくりやれば良い、彼女もまたウマ娘、読み込みは早いはずだ、徐々に慣れさせればこういった事は起きない………起きないよな…?」
不安そうな顔で私の事を見てくる。
swapオルフェ 「善処はするよ…。」
やよい 「うむ!では改めて……歓迎!本日から晴れて君は我がトレセン学園の警備員となった!ウマ娘達の輝かしい青春を守ってやってほしい!」
この子、思ってたよりもずっと有能だ、私のサボりを見逃してくれるなんてやるじゃないか。
swapオルフェ 「こちらこそ、よろしくお願いします。」
やよい 「うむ!では学園内を案内してもらおうか!入ってきてくれ!」
??? 「はいはい。」
聞いたことのある声だ、体が覚えている。
ガチャ
ドアが開かれる。
swapオルフェ 「げっ!」
思わず声が出てしまった。
愛木 「よう、疲れは取れたか?」
やよい 「なんと!既に面識はあったのか?」
愛木 「まあな。」
swapオルフェ 「なんでよりによって爺さんアンタなんだ……他に居ただろ適役が…。」
たづな 「オルフェさんアナタなんて口の利き方を…!」
swapオルフェ 「なにか問題あります…?(困惑)」
たづな 「この方は長いことこのトレセン学園で警備員を務めてくださってるすごい方なんです、もっと尊敬の意を込めて接してください。」
何で敬意を込める必要があるんですか(暴論)
愛木 「なに、気にするな、これくらい馴れ馴れしい方が俺的には嬉しいぜ?しごき甲斐があるしな。」
たづな 「そうは仰りましても…。」
swapオルフェ 「本人がそう言ってるんだ、いいじゃないか、もとより、駄目と言われても辞めるつもりは無いけれとね。」
たづな 「…」
やよい 「では…よろしく頼むぞ!愛木殿!」
愛木 「あいよ。んじゃ、付いてきて。」
愛木に学園内のあらゆる主要箇所に案内されたり、関係無い話したりで、気づいたら夕方になっていた。
愛木 「最後にコレを渡しておこう。」
トランシーバを渡してくる。
愛木 「コレでなにかあった時に連絡をする、簡単だろ?」
swapオルフェ 「まあ…使い方くらいはわかりますよ。」
愛木 「んじゃ、もう時間だから帰るわ。」
明日は遅刻せずに来いよ。
swapオルフェ 「気をつけますよっと……さて…。」
長い(永い)
「時間が潰せたのはいいけど、遊べるような時間じゃないかな……」