swapオルフェーヴルとトレセン学園   作:ヨルダン東海岸

4 / 22
swapオルフェがこの世界に来てからもう2日が経とうとしている……

愛木に学園内を案内してもらったswapオルフェは、着替えた後再びグラウンドに戻ってきた。



swapオルフェーヴルとトレセン学園その4

 

 

??? 「よぉ〜し!ウララ頑張るぞー!」

 

オルフェ 「どれ、王が見てやろう。」

 

 

おや?もう夕陽が登っているというのに、オルが見知らぬウマ娘と何かしているではないか。

 

 

 

swapオルフェ 「やあオル。」

 

 

オルフェ 「む、姉上。……その格好は一体…?」

 

swapオルフェ 「これはね、元いた世界の私の私服だよ、同じ服がこっちの世界にもあってよかった。」

 

??? 「えぇ〜!?なんでオルフェちゃんが2人いるの!?」

 

 

ピンク髪のポニーテールをなびかせた背の低いウマ娘が私に話しかけてくる。

 

 

swapオルフェ 「ん〜?実はね、ずっと昔、私たちは一心同体だったんだ、でもある日レースに出る時、悪の心を捨てなきゃ行けなかった、そしてその一人は善の心と、悪の心を持った2人に分裂したんだ、そして、私こそがその悪の心から生まれたオルフェーヴルだよ。(大嘘)」

 

 

オルフェ 「虚言を述べるでない…。」

 

??? 「ふーん、じゃあ悪いオルフェーヴルちゃんで、悪フェーヴルちゃんだね!」

 

swapオルフェ 「」

理事長と言い、この子と言い。なかなかどうしてアホみたいなネーミングセンスをしてるのだろう。

 

 

swapオルフェ 「君の名前を教えてほしいな?」

 

ウララ 「私はハルウララだよ、よろしくね!」

 

ハルウララ、栗東寮に所属する中等部3。

いつでも連戦連敗……。才能はないが、決してくじけないウマ娘。故郷の高知で走っていたが、もっとワクワクしたいと思い、トレセン学園転入を目指す。試験はボロボロだったが、持ち前の明るさで面接入学を果たした。ウマ娘たちを元気づける愛されムードメーカー。

 

 

swapオルフェ 「よろしくねウララちゃん、あっそうだ(唐突)ウララちゃんにこれあげるよ。」

 

ポケットからケースを出す。

 

オルフェ 「まて姉上、それはならぬぞ!」

 

スッ… パク

小さなケースの中から白い棒状のものを出して咥える。

 

swapオルフェ 「大丈夫だよオル、ココアシガレットだからね。」

 

オルフェ 「……左様だったか。」

 

ズモ!

ハルウララの口に半ば無理やりココアシガレットを咥え入れる

 

ウララ 「うっ!?」

 

swapオルフェ 「タバコが吸えないって言うのは大変だよ、こういうので形だけでも紛らわせないとやってられない。」

 

暫くワチャワチャしていると1人のウマ娘が近づいてきた。

 

キング 「ちょっと、あなた達何してるのよ。」

 

 

オルフェ 「キングヘイローか。ウララの事なら心配無い、余とトレーニングしたばかりだからな。」

 

キング 「じゃあ、そっちのいかにも怪しい人物はどちら様で?」

 

swapオルフェに矢印が刺さる。

 

ウララ 「うぅ〜…ウララあんまりコレ好きじゃないよぉ……やめてよぉ…(絶望)」

 

swapオルフェ 「ホラホラぁもっと美味しそうにしゃぶれよぉ、嬉しいダルルォ!?」

 

 

オルフェ 「…姉上、もう時間だ、私たちは寮に帰らねばならぬ。」

 

キング 「え…?オルフェ先輩?姉上って……」

 

ウララ 「キングちゃーん!」

キングヘイローに思いっきり抱きつくハルウララ。

 

swapオルフェ 「おや?ウララちゃんの知り合いかな?」

 

 

キング 「…嘘…でしょ…!?」

なんでオルフェ先輩が2人居るのよ!?それにさっき姉上って……オルフェ先輩の姉……ジャーニー先輩は行方不明になったんじゃ!?

 

 

ふと、朝にグラスワンダー達が言っていた事を思い出し、大きな声を出したくなる気持ちを抑え、冷静に口を開く。

 

 

「…あなた、今朝裏山で、マスクを付けたウマ娘に会わなかったかしら?」

 

 

エルコンドルパサーの事だろうか。

 

swapオルフェ 「……なるほど、さしずめ彼女たちが口を割ったというところか。ああ、会ったよ。」

 

 

キング 「……どうして嘘をつかないの?」

 

swapオルフェ 「利点が無いからね、そんな嘘付いても。」

 

 

しばらく考えた後キングヘイローが話そうとすると、一人のウマ娘が話に割って入る。

 

 

??? 「君たち、外出届けを出してないなら、そろそろ寮に戻らないといけないよ。」

 

フジキセキ、高等部2年生、スペシャルウィークやキングヘイロー、オルフェーヴル等の属する寮 栗東寮の寮長である、そのカリスマ性と顔の良さからかファンが多い。

 

 

キング 「フジ先輩…すぐ戻ります、さ、ウララさんも。」

 

ウララ 「うん!オルフェちゃんじゃあねバイバ~イ!」

 

 

オルフェ 「うむ、また明日な。」

swapオルフェ 「ばいばーい(^_^)/~」

「がわ゙い゙い゙な゙ぁ゙ヴラ゙ラ゙ぢゃ゙ん゙。」

 

オルフェ 「不穏な声を出すでない…」

 

 

フジ 「さて、君たちも…_」

 

 

不意にswapオルフェがフードを外す。

 

 

「…なに…!?」

 

 

冷静沈着なフジキセキは、夕陽に照らされる2人のオルフェーヴルの姿に驚いた。瞬間、彼女が取った行動は"警戒"だった。

 

 

「君は誰かな?見たところ本物のオルフェーヴルさんでは無いみたいだけど?」

 

swapオルフェ 「名を聞く前に、まずは名乗るのが礼儀だろう?」

 

 

こんな時でもswapオルフェは自分を崩さない、雰囲気なんて関係ないのだ。

 

 

フジ 「っ…!!……そうだね、悪かったよ…フジキセキ、私の名前だよ。」

 

 

フジキセキ、…まあ、フジさんっていえばいいのかな。

swapオルフェ 「swapオルフェーヴル、オルフェーヴルとは似て非なる存在だよ。」

 

 

フジ 「…それで、君は何をしにここへ?」

 

swapオルフェ 「こっちが知りたいくらいだよその言葉、というか、たづなやルドルフから何も聞かされてないのかい?」

 

フジ 「…いや、来客があるなんて話は聞いてないね。」

 

 

ここの上層部は無能だって、ハッキリ分かんだね(暴論)

 

 

swapオルフェ 「そう。」

 

フジキセキの方とは逆の方向に向かって歩き始めるswapオルフェ

 

フジ 「待った!どこに行くんだい!」

 

swapオルフェ 「帰る。……それと、君のその手に持っているものはなんだい?」

 

フジ 「手…?私は何も持ってなんか……」

 

 

ふと手を見ると、紙くずが握られていた。

 

 

「あれ……?」

 

swapオルフェ 「ほどいてごらん?」

 

クシュ…クシュ…

破けないように丁寧に紙を広げる。

 

 

フジ 「…こ…これは……!?警備員契約書じゃないか…!しっかりと理事長のサインまで…!!…まさか、今日朝会で仰っていた新しい警備員って…!」

 

swapオルフェ 「そういうことだから、よろしくね。」

 

フジ 「まっ、待って!」

 

 

思わず手を伸ばすと、その手にはさっきの書類は握られていなかった。

 

 

「あ…あれ…?」

 

オルフェ 「安心しろフジキセキ、奴は信用は出来る、今の書類も奴の芸の一つだ。」

 

フジ 「…なるほど、エンターテイナーでもあるこの私が、まんまとやられてしまったわけか…。フフ、面白い人だよ君は。」

 

オルフェ 「余では無い。…が、辿ったかもしれない別の未来の余ではあるのかもしれぬな。」

 

 

 

その場を去っていくswapオルフェの背を見ながら、なんてこと無い会話をし、その後2人も去っていくのだった。

 

 

 

 

そして翌朝……

 

トレセン学園in体育館

 

 

 

ガヤガヤ…!

エル 「朝から朝会なんて面倒デース!」

 

スカイ 「昨日新人の警備員が来るっていってたしその紹介じゃない?」

 

 

やよい 「あー、これより朝会を始める!皆静まれ!」

 

一瞬で体育館は静寂に包まれた。

 

やよい 「報告!昨日話した「新人警備員」が今ここに居る故に自己紹介をしてもらおうと思う!」

 

ルドルフ 「…」

ラモーヌ 「…」

シリウス 「…」

エアグルーヴ 「…」

ブライアン 「…」

オルフェ 「…」

??? 「…」

フジ 「…」

キング&グラス 「…」

 

たづな 「…」

 

やよい 「では!入ってきてくれたまえ!」

 

 

トコ…トコ…

 

 

swapオルフェ 「皆様初めまして、今日からここで警備員を務めさせていただくswapオルフェーヴルです、未熟者につきご迷惑をおかけしてしまう場面もあるかもしれませんが、よろしくお願い致します。」

 

 

スーツ姿のビシッと決まったswapオルフェが、丁寧な物言いで挨拶をする。

 

 

たづな 「…!」

 

 

なぜここまでたづなが驚いているのか、それはswapオルフェがこれまでたづなの前で見せていた態度からは、想像もできないほどの丁寧な自己紹介をしたからである。

 

 

パチパチパチパチ

生徒達が拍手をしだす。

 

 

 

グラス 「……は?」

 

 

やよい 「懇願!これからよろしく頼むぞ!ではコレで本日の朝会は終了する!」

 

 

 

各自教室に戻り………

 

エル 「グラァス!あの人、自分で内緒って言ったのに自分からバラしに行ったデース!」

 

グラス 「えぇ…信じられません(憤怒)」

 

キング 「…あの人、ここで働くことになったのね。」

 

スカイ 「どしたのキング?なんか知ってそうな言い草だけど。」

 

キング 「ええ、知ってるも何も、昨日あの人に会ったのよ、校庭でね。」

 

 

スペ 「swapオルフェさんはどんな人だったんですか?」

 

キング 「あの人、ウララさんが嫌がってるのに無理やりココアシガレットを食べさせようとしたのよ!「ホラホラァ、嬉しいダルルォ!?」って!思い出したらイライラして来たわ!それに聞いて!隣にオルフェ先輩がいたのにあの人を止めなかったのよ!」

 

 

グラス 「やっぱりオルフェ先輩と…」

 

スカイ 「そういえばグラスさ、昨日swapオルフェさんがジャーニー先輩と関係あるって言ってたけど確認しに行けば?」

 

グラス 「いえ…"スワオル"さんも仕事で大変でしょうし…」

 

キング 「"スワオル"って何よ。」

 

 

変わった略し方に突っかかるキング。

 

 

グラス 「あ…、swapオルフェさんだと長いと思ったので縮めてスワオルさんです、変でしょうか…?」

 

スペ 「それ、名案です!あと、スワオルさんに会うならお昼がいいんじゃないですかね(名案)」

 

 

スカイ 「ん〜…スワオルさんがお昼をここで取ってるかにもよるよね、実際グラス達が見たときはコンビニの弁当を裏山で食べてたわけだし。」

 

 

キング 「…さっきからスカイさん、肯定的な言葉が聞こえないけのだけれど、何か事情でもあるのかしら?」

 

スカイ 「別に?私もスワオルさんとは話してみたいけど、自分から行くのは面倒ってだけだよ。」

 

 

エル 「そうと決まればお昼まで授業頑張るデース!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウマ娘』。彼女たちは、走るために生まれてきた。

ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継いで走る───。

それが、彼女たちの運命。

この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にもわからない。

彼女たちは走り続ける。

瞳の先にあるゴールだけを目指して───。

 

 

 

 

 

コォォォォ…!!

 

 

??? 「っ……はて、ここはどこでしょう?」

草木を揺らす微風と、岩に染みた寒さで目が覚める。周りを見渡すと森林と崖、後ろには何か遺跡のような建造物がある。

 

 

彼女の名前はドリームジャーニー、トレセン学園(日本ウマ娘トレーニングセンター学園スクールの略)、栗東寮に所属する高等部3年生。

 

物腰柔らかな優等生で、オルフェーヴルの姉。 幼い頃に出会った“アネゴ”に強い影響を受けており、彼女の語る“旅の果て”を見るためにレースを走っている。 誰に対しても丁寧に接するその柔和な微笑みは、気遣いに満ちているように見えるのだが……?

 

 

 

ドリジャ 「ひとまずはこの建物で寒さを凌げると良いのですが…。」

 

岩から地面に足をつけ、入り口でノックをする

 

コンコン…

※しかし、誰も来なかった。

「ふむ、この音の響き、かなり奥行きがあって主人には届いていないのかもしれません。」

 

 

ズゾァ ズゾァ…

「それにしても…なぜ私はこんな雪景色の中を学園の制服姿で…?丁寧に眼鏡まで添えてある…寝る前には必ず外す眼鏡が、なぜ目が覚めたらついているのでしょうか。」

 

 

独り言をつぶやきながら、僅かに雪の積もった道を進んで行く。しばらく進むと、木製の橋と大きなゲートが現れる。

 

 

「良かった、少なくともここには誰かが居るのでしょう。さっきの建物はともかく、コレで明確に人が暮らしている事が分かりました。」

 

 

 

彼女は安堵しながら淡い笑みを浮かべ、やや慎重に橋を渡り、そこそこ開けた場所に出る。そこには屋根付きの小さな屋台のようなものがあり、すぐ横にはちょうど彼女と同じくらいの大きさの観葉植物がある。辺りを見回し、進もうとすると、向かい側から見覚えのあるウマ娘が歩いてくる。

 

 

 

スタスタ…

「あ……あ……なぜ私が……?」

あまり衝撃にドリームジャーニーは声が出なくなる。

 

 

 

ズゾァ ズゾァ

??? 「……誰だ!こんな所に鏡を置いたやつは!ゴージャスなこのジャーニー様の姿が丸わかりではないか!!」

 

 

ファビュラスな服装と、ファンネルの様なダイヤの髪飾りを身に着けたウマ娘がポーズを決めながらそう話す。

 

 

ドリジャ 「え……?」

彼女は私を鏡だと思っているのでしょうか?それよりも彼女、今自分をジャーニーだと仰りました……

 

 

ジャーニー? 「ん?ん〜?」

 

 

どんどんドリームジャーニーに酷似した姿のウマ娘が近づいてくる。

 

「格好が違うではないか!この出来損ないめ!こんな中途半端なイタズラが出来るのはオルフェのヤツだけだ!!」

 

 

ドリジャ 「あ…あの〜…」

 

ジャーニー? 「口を利いたぞこの鏡!どうした、このジャーニー様が答えてやろう!」

 

ドリジャ 「まず、私は鏡ではありません。」

 

ジャーニー? 「ほう、とするとつまり?」

 

ドリジャ 「私はこの通り、生きています。」

 

 

適当に動いて、生きていることを証明する。

 

 

ジャーニー? 「何!?貴様、余を騙したな!」

 

 

ドリジャ 「いえ…そんな失礼な事しないですよ。」

というよりも、アナタが勝手に鏡扱いしたんじゃありませんか…。

 

ジャーニー? 「ふむ、まあ良い。それで?貴様の名前はなんだ?」

 

 

突然態度が変わった自分そっくりの彼女に驚きつつも口を開く。

 

 

ドリジャ 「私はドリ……、……。」

 

ジャーニー? 「む…?よく聞こえなかったぞ?」

 

 

 

ドリジャ 「」

この場で私が"ドリームジャーニー"であることを明かして良いのでしょうか、彼女が知ればきっと混乱してしまう。それを回避するには嘘の名前を言わなければいけない、ちょうどいい名前は無いものでしょうか…。

 

 

ジャーニー? 「おい、具合でも悪いのか?」

 

 

しばらく考えた後、名案が浮かぶ。

 

 

ドリジャ「」

これなら良いでしょう、……"アネゴ"、お名前、お借りしますよ。

「…リョテイ。」

 

ジャーニー? 「?」

 

ドリジャ 「キンイロリョテイ、それが私の名前です。」

 

ジャーニー 「キンイロリョテイか!余と同じてゴージャスな名前だな!気に入ったぞ。」

 

 

リョテイ 「お気に召してくれた様で何よりですよ。」

 

ジャーニー 「余はドリームジャーニーだ、気さくにジャーニーとでも呼ぶと良い。」

 

 

リョテイ 「よろしくね、"オル"」

 

 

格好と口調が私の口を狂わせ、思わず自分の妹の名前を出してしまった。

 

 

ガシ!

両手で肩を掴まれる。

 

ジャーニー 「貴様…オルフェの何を知っている。」

 

 

リョテイ 「」

 

何を、とはどういう意味だろうか。オルと私がどんな関係という話なのか、それともどうしてオルの事を知っているのか、ということなのか…

 

「何が…も何も無いですよ、私とオルは姉妹ですから、アナタの事をオルと言ってしまったのは、口調と格好が似ているからですよ。」

 

 

ジャーニー 「…」

 

 

しばらく腕を組んだまま顔を下げ、目を閉じる。

 

 

「どうやら本当に何も知らなさそうだな。」

 

 

リョテイ 「?」

 

何が?という勢いで首を傾げる。

 

 

ジャーニー 「…我が姉、オルフェーヴルは昨日から行方不明なのだ。」

 

リョテイ 「…!そうでしたか。…何か心当たりやオル……失礼、オルフェさんの行く当ては探しましたか?」

 

 

ジャーニー 「当然だ!行きつけの店、各見張り場所、もちろんアイツの部屋も。……だがヤツは見つからなかった…、今までも何日か家を離れることはあったが、その時は必ず余に一言があった、だが今回は何もない!まるで突然居なくなったかのように行方をくらませたんだ。」

 

リョテイ 「ふむ…、一応聞いておきますが、ウマホで連絡はしてみたんですか?」

 

 

ジャーニー 「ウマホ…?なんだそれは、ケータイとは違うのか?」

 

 

信じられない言葉が彼女の口から放たれる。

 

 

リョテイ「」

 

インターネットの普及した今世において、ウマートフォンを知らない人がいるでしょうか?形ならまだしも存在そのものを知らないというのはいささか妙ですね…

 

 

「ウマホというのはですね…」

 

 

おもむろにポッケからウマホを取り出す。

 

 

「」

…やはりウマホも入っていましたか、私をここに移動させた人物はなかなか良い性格をしてますね…

 

 

ガシ

ジャーニーがおもむろに薄い板を取り上げる。

 

 

ジャーニー 「なんだこの板は、こんな物でどうやって連絡する。」

 

 

軽くトントン叩いてみたり上下に振る。どうやら本当にウマホの事を知らないようだ。

 

 

サイドにある凹凸をカチカチすると電源が付く。

 

 

ジャーニー 「お、付いたぞ!」

再び画面を軽くトントンしたりスワイプしていると、ロックの解除画面が出てくる。

 

ジャーニー 「何!パスワードを入力しろだと?」

 

リョテイ 「ええ、防犯上ウマホには、ロックを設けることが推奨されてます。もちろん他人には分からないものなので、アナタに解除はできません。」

 

ジャーニー 「解けたぞ。」

 

 

リョテイ 「!!?!!?」

 

ジャーニー 「何を驚いている、余と同じパスワードではないか、オルフェの誕生日をパスワにしよって…。」

 

 

リョテイ 「………良くも悪くも、私達は表裏一体の存在なのですね。」

 

ジャーニー 「顔つき"だけ"な!ゴージャスさも眩しさも余の方が上だ!」

「……だが、電波が来てないようだぞ?」

 

 

リョテイ 「無理もないでしょう、ここは"異世界"ですし。」

 

 

彼女がそう断定出来るのは、「もう一人の自分」が存在しているからである。世界は広い、こんな風な雪景色の中に佇む遺跡や人の跡はどこかにあるかもしれない。しかし、自分という存在はたった一つだ、「世界には同じ顔の人が3人いる」とはよく言うが、そんなレベルでは無い、同じメガネ、同じ髪色・髪型、同じ背丈。口調と格好が私の妹寄りなのは妙だが、偶然では説明しきれない。そこから導き出される答えは、"異世界"だ。

 

 

ジャーニー 「異世界だと?どういうことだ。」

 

 

リョテイ 「…私の格好、これはトレセン学園というウマ娘の通う場所の制服です、ご存知ですか?」

 

ジャーニー 「トレセン学園…いや、そんな場所聞いたことが無いな。」

 

 

リョテイ 「でしょうね、……あの。」

 

ジャーニー 「何だ?」

 

 

リョテイ 「どこかに暖を取れる場所は無いでしょうか、いきなりこの世界に来たもので、着替えも済ませられなかったのですが。」

 

 

小さな体を震わせらせながら話す。

 

 

ジャーニー 「うむ、ならば余の家に……、…否、この時刻であれば"スイーピーズ"が良いか。」

 

 

初めての知っている響きだ、スイーピーは、スイープトウショウさんの名前を…略した名だ、しかし「ズ」とはどういう意味でしょうか?

 

 

「余に付いてこい!」

 

 

しばらく雪道を進み、道中ジャーニーが作ったパズルも攻略し、大きな橋を渡る。

 

「ここが余の住んでいる町、スノーフルだ、そして…」

 

 

しばらく一直線の雪道を歩き、一軒の店の前で止まる。

 

         スイーピーズ

上の看板には大きく《Sweepys》と書かれている。

 

 

リョテイ 「ここがそのスイーピーズという名前の場所ですか?」

 

 

特に何の反応もなくリョテイを連れて店に入るジャーニー。

 

チリンチリン…

 

 

このお店は1960年代のアメリカの酒場を連想するようなオシャレなお店だった。

 

 

「お前たち、オルフェは見つかったか?」

 

クラウン 「ジャーニー、悪いけど、まだ見ていないわ。」

フラワー 「(どうしよう、まだ見つかってない…。)」

 

 

チケット 「オ゙ル゙ブェ゙ざん゙どごい゙っ゙ぢゃ゙っ゙だの゙ぉ゙ぉ゙!!」

ローレル 「ぜんぜん見つかりません…。」

 

アルダン 「ジャーニーさん、さっきも来ませんでしたか?」

ドーベル 「まだ休憩終わってないのよ!」

 

ジャーニー 「別にいいだろ!早く来ることに越したことは無いからな!」

「まあ、5分前、というのはいささか早すぎるかもしれぬがな。」

 

 

「スイープ!オルフェは!」

 

スイープ 「さっきもそれ聞いてきたわよね!?まだ来てないわよ!」

 

 

ジャーニー 「悪いスイープ、トイレ借りるぞ。」

 

スイープ 「奥行って右。」

スサササ…

 

 

置いてかれたジャーニーはやや落ち着かない態度で周りを見渡す。

 

 

右側にはカルストンライトオ、メジロドーベル、メジロアルダン、ニシノフラワー、サトノクラウンさんがおり、みんなそれぞれ自分の知っている格好と全然違う身なりをしている。

左側を見てみると、右上のカウンター席にダイワスカーレット、右真ん中の座席にはウイニングチケット、その下の席にはサクラローレルさんが座っている。

 

 

リョテイが何より気になったのは、正面カウンター席の左側に居るライトハローの存在だ。

 

 

ひとまず空いていたカウンター席に座り、置かれていたメニューを開いて見る。

 

手軽に食べられるような物は多く無く、無難にクッキーを頼むことにした。

 

 

「あの、スイープさん?クッキーを一つ頂きたいのですが。」

 

 

スイープは手に持っていたグラスと布巾をその場に置くと、無言で奥の部屋に行ってしまった。

 

 

「」

異世界の方々はあまり態度が宜しくないですね、一般的な暮らしでここまで差が生まれてくるものでしょうか。

 

 

ライト 「あ、あの…!」

3つ隣の席にいたライトハローさんがいつの間にか隣の席に居た。

 

リョテイ 「…!どうしましたか?」

 

 

ライト 「あの…、お姉さんの…オルフェーヴルさんの件は残念でしたね……。」

 

 

リョテイ 「ええ…まあ…」

それは私ではなく、ジャーニーさんに言うべきでは…?

 

 

ライト 「でも安心してください!ようやく実験の成果が実ったんです!これをご覧ください!」

 

 

割と大きめの声で興奮気味に話す彼女は、自分の隣をみろと言わんばかりにソワソワしていて、隣を見ると、彼女と同じくらいの背丈のロボットが居る。

 

 

リョテイ 「…こちらの方は?」

 

ライト 「私、見ての通り体があまり良くなく、自由に動くことができないんです。でも!私の作ったこのロボット、"RT-2"(ラティ)なら、四肢の感覚と思考を私と共有し動き回れることができます!!」

 

 

ライトハローの動きに合わせるようにラティも動く。

 

 

リョテイ 「おお〜…」

 

 

完成度の高い動きに、自然と小さな拍手をしていた。

 

 

ライト 「休憩が終わったら早速ラティを使ってお姉さん…オルフェーヴルさんを探してきます!」

 

 

リョテイ 「頼もしいですね、どうか、お願いしますよ…」

 

 

 

一瞬の静寂が続き…

 

 

 

スイープ 「ん。」

 

 

頼んでいたクッキーが来た。

 

サクゥ…!

食べてみるとかなり美味しい、ほんのり砂糖の効いたしっとり食感、これほど美味しいクッキーを食べるのは久しぶりかもしれない。

 

お礼を言おうと顔を見上げると、スイープはすでにさっきと同じ形でグラスを拭いている。

 

 

しばらく夢中でクッキーを食べていると…

 

 

ジャーニー 「あ、おい!もう頼んでいたのか。」

 

ジャーニーが戻ってきた。

 

 

リョテイ 「ええ…昨日から何も口にしていませんから、…待っていたほうがよろしかったですか?」

 

 

ジャーニー 「そんな事無いぞ、それに…クッキーを頼むなんていいセンスしてるな!まるでオルフェみたいだ!」

 

 

リョテイ 「軽めに済ませられる朝食がこれしか無かったもので、コーヒーでも良かったのですが、今はお腹を満たすのが先です。」

 

 

ジャーニー 「…チョコマフィンとホットコーヒーを一つ。」

 

 

スイープ 「ん。」

 

再びスイープは奥の部屋へと消える。

 

 

リョテイ 「……」

ジャーニー 「何見てる、余にも朝食くらい取らせろ。」

 

リョテイ 「ああ、いえ、朝から探しに出ているなんて、お姉さん想いの方なんですね。」

 

 

ジャーニー 「何!?そんなのでは無い、やり残したモノを置いて消えるなという事だ!…まあ…心配なのは事実だがな…。」

 

リョテイ 「ふふ…分かりますよ、私にも妹が居ましてね。手のかかる子ですが、それでも愛おしくて、傍に居てやらずにはいられないんです。」

 

 

ジャーニー 「…お前はそんな妹を置いてここに来たのか…?」

 

 

リョテイ 「そんな訳無いでしょう。」

 

 

少しだけ彼女の空気が重たくなる。

 

 

ジャーニー 「ッ…!」

 

リョテイ 「目を覚ましたら私はこの世界に。…今頃オルはどうなっているのか、鬱陶しいコバエ共にたかられていないだろうか、今はただそれが心配です。」

 

 

尻尾を軽く振りながらそう話す。

 

 

ジャーニー 「こば…!ふふ…お前は愛が重いんだな。」

 

 

リョテイ 「いえいえ、アナタもきっと、やり方や表現が違うだけで根底は同じはずです……だって、私と同じなんですから。」

 

 

ガチャ

 

 

スイープ 「ん。」

 

頼んでいたチョコマフィンとホットコーヒーが来た。

 

 

ジャーニー 「よし、これ食べたら探しに行くぞ!」

 

 

リョテイ 「この世界のジャーニーさんも皆から慕われているようで何よりです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3回目のGルートは確立されました

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。