swapオルフェーヴルとトレセン学園   作:ヨルダン東海岸

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swapオルフェ 「前回までのあらすじ〜☆」
「前回、私がビワハヤヒデ、エアシャカール、シュガーライツを見つけて、ウマホの存在を聞いた後、オルの本当のお姉さんが行方知れずって事を聞いたんだよね。」


オルフェ 「貴様は警備員だろう、なにゆえ行方不明の事を知らぬのだ。」

swapオルフェ 「聞かせてくれなかった理事長とたづなが悪いね(責任転嫁)」

オルフェ 「…"例の約束"といい、貴様は少し危機感を持ったほうがいい、止めて欲しい、などとふざけた事を述べおって…、この余と同じ体を持っているのだ、余のイメージを下げるような愚行は、王であるこの余に対しての非礼だ。」


swapオルフェ 「厳しいって(じょーじ)」

「それじゃ、ほんへの続きをどうぞ。」







swapオルフェーヴルとトレセン学園その7

 

 

 

 

場面が切り替わり、雪の街にそびえ立つ一軒の家に焦点が行く。

 

 

ドリジャ 「…」

 

私がこの世界に来て2日が経ち、その短い間に、かなりの事を知ることができました。

 

まず、ここは洞窟の中、地下世界であること。

そして、この世界のウマ娘が地下で暮らす要因となった歴史。

 

 

昔むかし、地球にはニンゲンとウマ娘という二つの種族がいました、ところがある時2つの種族の間に戦争が起きました、そして長い戦いの末ニンゲンが勝利しました、ニンゲンは魔法の力でウマ娘達を地下に閉じ込めました………

 

 

この世界ではウマ娘と人間の間に亀裂が入り、別け隔てられてしまっている、もちろん、私のいた世界にはそんな歴史は無いだろうし、あったとしても実際に人間は「トレーナー」として私達のサポートをしてくれている。

 

 

swapジャーニー 「おい!起きろ!」

 

 

ドリジャ 「ええ、すぐに行きます。」

 

 

今私は"swapジャーニー"さんの家の、現在行方不明になっている……まあ、仮にswapオルフェさんとでも呼びましょう、そのswapオルフェさんの部屋で寝泊まりさせて貰っています。他に泊まる場所が無いとは言え、行方の分かっていない姉の部屋に泊まらせるというのは些かどうかと思いますが、「余の部屋で寝泊まりしていいのはこの余だけだ!オルフェの部屋でも使えばいいだろう!」とswapジャーニーさんに言われてしまい、やや無理やりの形でこの部屋に寝泊まりしています、着替えももちろん自由に行って良いそうで……。この世界のオルもやはり背が高く、私に着れそうなのは多くありません、その中で、最近私が気に入っている服があります。

 

使い古されたオレンジ色のフード付きパーカーと白のラインが入った黒の長ズボンに着替える。

 

この服、普段私はこういうタイプの服を着ないので、最初は似合うかどうか疑心暗鬼でした、ですが着てみると意外と…しっかり着れてるというか、思いのほか着こなせています、…ただ、2つ気になる方が…、当然この服はswapオルフェさんが着た事のある服、つまり中古なので、ある程度シワやノビが出てしまっています、……そして……この匂い、軽薄でクリアな香り、私が普段使っている香水とは真反対の性質の香りで、正直あまり好みではありません、ただ、贅沢は言ってられないところ、私はあくまで"客人"なのですから。

 

 

降りていくとテレビが付いており、時間標準は6時半を示していた。

 

 

「お待たせ、あなたの淹れてくれる紅茶はいつも眠気をなくしてくれますよ、swapジャーニーさん。」

 

 

swapジャーニー 「その呼び方はよせ、余はドリームジャーニーだ!」

 

 

彼女の事をswapジャーニーと呼ぶようになったのは、ジャーニーの知っているオルフェーブルと話し方が完全に同じで、まるで入れ替わっているかのようだからである、自分と名前が被らないように差別化の意味も含めてswapジャーニーと呼んでいる。

 

当初はリョテイの本当の名前がドリームジャーニーである事に驚いていたswapジャーニーだったが、顔つきが同じで名前が違うなんておかしいと納得してくれた。

 

 

「そういえば、貴様が名乗っていたキンイロリョテイという名だが、あれには何か元があるのか?」

 

 

ドリジャ 「…ええ。……私がまだ小さい頃、あるウマ娘に出会ったんです、その方は"旅の果て"の事を教えてくれました、私はその旅路の果てを見るためにレースに出ていました、その方の名はキンイロリョテイ…、またの名を………〈ステイゴールド〉」

 

 

swapジャーニー 「ほう?憧れの人から名前を取ったのか、しかし、ステイゴールドにせよキンイロリョテイにせよ言いづらい名前だな、貴様もその名前で呼んでいるのか?」

 

ゴク…

紅茶の入ったカップを口元に運んで飲む。

 

 

ドリジャ 「私は敬意を込めて"アネゴ"と呼ばせてもらっています。」

 

ゴク…

ドリジャもカップを口元に運んで飲む。

 

 

「swapジャーニーさんには、誰かそういった人は居ないんですか?」

 

彼女の反応的に、この世界には"アネゴの立場のウマ娘"は居ないと察し、それとは別で憧れている人物を聞くドリジャ。

 

 

swapジャーニー 「そんなのもちろん、エアシャカールに決まっているだろう!ロイヤルガードの隊長なんて、余だけではなく、ウマ娘全員の憧れの的だ!」

 

 

ドリジャ 「」

エアシャカールさん、もちろん私の知っているシャカールさんでは無く、この世界のシャカールさん、昨日会いましたが、とてもロジカルロジカル言っていたあの人とは思えないほどの力任せな方でした、左目に眼帯を付けていましたし、どうにも野蛮というか、この世界の歴史も相まってかなりの変わりようでした。

 

 

swapジャーニー 「余もいつかロイヤルガードに入団して、みんなからチヤホヤされたいぞ!」

 

 

ドリジャ 「恐縮ですが、ロイヤルガードに入団するのはどれほど大変なのでしょうか?」

 

 

swapジャーニー 「ものすごーく大変だ、特に、余はシャカールから直々に手ほどきを受けているが、中々入れさせて貰えないのだ。」

 

「だが余は諦めん、余の夢は不滅なのだ、ロイヤルガードに入って、他のウマ娘達からチヤホヤされて、…そして……、余の作ったパスタをみんなに振る舞ってやるのだ!」

 

 

swapジャーニーさんのパスタ………実物を私も昨日食べましたが、…忌憚のない感想を申しますと、とても食べられたものではありません。それこそ、口に入ればなんでも食べてしまいそうなオグリキャップさんが食事の手を止め、目を見開いたまま咀嚼するのを止めて徐々に顔が青ざめていく程には……もちろん当人には言えませんが、なんとかロイヤルガードに入団する前に、食べられる物になっていて欲しいものです。

 

尚、そうは言いつつもしっかりと完食はしたドリジャなのである(偉いねぇ)

 

 

swapジャーニー 「よし、そうと決まれば今日の夕飯も余の気合いの入ったパスタを馳走しよう!」

 

ドリジャ 「ブフっッ」

 

なんの脈略も無くいきなりパスタの話になって、思わず紅茶を吹き出すドリジャ。

 

swapジャーニー 「紅茶が肺にでも入ったか、もっと落ち着いて飲め、カップは逃げないぞ。」

 

 

ドリジャ 「ええ、ええ、…分かっています、そうではなくて………、…夕飯の件ならご心配なく、スイープさん……スイーピーズで済ませますから。」

 

 

swapジャーニー 「お前もうスイープと良い関係になったのか?アイツは気に入ったヤツにしかツケにはしてくれないのに。」

 

ドリジャ 「違いますよ、ちゃんとお金は払います、それでは、そろそろバイトの時間なので。」

 

swapジャーニー 「何!?お前いつの間に働いて居たのか!」

 

ドリジャ 「失礼ですね、元いた世界に帰りたいとは言え、しばらくここに滞在していなければいけませんから、少しでも自分の生活水準を上げられたらなと。」

 

「では、私はこれで。

 

そう言うとドリジャは家から出ていった。

 

 

swapジャーニー 「……オルフェと類似した性格や話し方、そして、あの服の着こなし工合、さてはアイツ………そっくりさんだな!?オルフェが戻ってきたら会わせてやりたいモノだ!っと、こんな事してる場合じゃない、余も早くスイープの所に、情報収集せねばならぬ!」

 

 

swapジャーニーも家を出ていく。

 

 

 

 

その頃ドリジャ…

 

ドリジャ 「」

この町の中腹、そこを右に曲がって右側、ここで私がする仕事は、川に向かって氷を投げる仕事。なんの意図があって氷を投げるのか、昨日調べた情報によると、投げた氷は川の流れに身を任せ、最終的には"コア"という装置のあるエリアにたどり着き、装置の冷却に使われているそう。コア…それは、この世界の電力のほぼ全てを賄っている巨大な装置、彼女たちにとっては、無くてはならない生命線のようです。

 

 

しばらく流れる川を眺めていると…

 

 

??? 「お〜、もう来てたのか、ジャーニー。」

 

灰色と薄灰色の縞模様の入ったニット帽を被った厚手のジャケットを来たウマ娘が声を掛けてくる。

 

 

ドリジャ 「おはようございます、ナカヤマさん。」

 

もちろん彼女は私の知っているナカヤマフェスタさんでは無く、この世界でのナカヤマさん、彼女はここで氷を川に投げる仕事を一人でしていて、休みは夜中だけという、かなりハードな仕事、その代わり給料も高く日払いなのですぐにお金の欲しい私には都合のいい仕事なのです。

 

 

ナカヤマ 「んじゃ、軽く一連の流れを説明する、しばらくしたら、そこの装置から四角く加工されたデケェ氷がベルトコンベアーを伝って出てくる、そいつを川に投げ込む、簡単だろ?」

 

「まずは1回やってみな。」

 

 

所定の位置に立たされるドリジャ。

 

ガゴン! ゴゴゴゴ………

機械が動き始める。

 

 

ドリジャ 「………!!!」

 

一辺が50cmはあるであろう大きな正方形の氷の塊が、8つドリジャの前に出てくる。

 

 

ナカヤマ 「コイツをその川に投げ入れる、簡単だろ?」

 

 

 

ドリジャ 「ッっ……!」

 

ドッバォゥン!

 

ドリジャが上から氷を持ち上げ川に投げ入れる、いくらウマ娘が力持ちとは言え、小柄で、しかも筋力に自身のないドリジャには一つ投げ入れるのも一苦労する。

 

ナカヤマ 「コイツにはコツがある、「流れ」と「勢い」を意識するんだ。」

 

 

ドリジャ 「?」

 

 

ナカヤマ 「こうして…こう!」

 

ドッバォゥン!

 

かなりスムーズに氷を川に投げ入れる。

 

 

ナカヤマ 「言語化するのが難しいが……全身で氷を持つ、みたいな、そして、体は常にこの姿勢、氷を持つ時も投げる時もこの姿勢は変えちゃいけない、変えていいのは伸びする時だけだ。」

 

ドリジャ 「ありがとうございます、ではさっそく…」

 

さっきのアドバイス通りに氷を投げる。

 

 

ドッバォゥン!

 

 

ドリジャ 「…!」

 

明らかに体に掛かる負担が減ったことに驚くドリジャ。

 

 

ナカヤマ 「ちんたらやらないこと、腰をしっかり入れること、そして氷の重さを利用して動かす事、これさえやればこの仕事は楽になる。」

 

「ひとまず、今日は昼までだ、それからどんどん日を延ばしていって、最終的には私とジャーニーで半分半分の時間にしたいな。」

 

「…何もないだろうけど、一応ケータイを渡しておく。」

 

 

※ナカヤマのケータイを手に入れた。

 

 

ナカヤマ 「午後になったら私から連絡を入れる、それまでよろしく頼むな。」

 

ドリジャ 「ええ、どうぞゆっくり休んでくださいね。」

 

 

ナカヤマは向かい側の自宅に向かって歩いていく。

 

 

そしてドリームジャーニーは、ナカヤマが電話を掛けてくるまでの5時間、ひたすら氷を川に向かって投げ入れた……

 

 

一息つこうとその場に座り込み、水分補給に水を飲んでいると…

 

 

プルルル…プルルル…

 

 

ドリジャ 「…?」

 

ケータイに手を伸ばし、電話に出る。

 

 

ナカヤマ 「今行くから、ちょっとそこで待ってろ。」

 

 

ツー…ツー…

 

電話越しに聞こえてくるナカヤマフェスタの声は、どこか寝起きの様な、崩れた話し方だった。

 

間もなくして、向かい側の家のドアが開き、ナカヤマフェスタがこちらに向かってくる。

 

 

「よう………どうだった初日は…?」

 

 

そう言う彼女の瞼にはまだ重みを感じ、軽く押しただけで今にも倒れてしまいそうだった。

 

 

ドリジャ 「いえ、こちらは特には……、……ナカヤマさんはいかがでしょうか。」

 

ナカヤマ 「ああ、こんなに寝れたのはいつぶりか……!」

 

あくびをしながら思い切り伸びをする。

 

 

ナカヤマ 「ほら、これ。」

 

手渡しで賃金を渡す。

 

※2500ゴールドを手に入れた。

 

 

ナカヤマ 「少ないなんて事は無いはずだ、普通に暮らす分には1日1500ゴールドも掛からねぇ。」

 

「ほんじゃあな。」

 

 

ドリジャ 「ナカヤマさん、ケータイ、ここに置いておきますね。」

 

ナカヤマ 「あ〜…そのケータイ、アンタにやるよ、持ってないんだろ?」

 

ドリジャ 「ですがそれは……」

 

ナカヤマ 「私にはもう一個大きいの(ケータイ)があるからな、そいつも賃金として持っていけ。」

 

 

※ナカヤマのケータイを手に入れた

 

 

ナカヤマ 「ほんじゃ、明日もよろしく頼むな。」

 

 

ドリジャ 「はい、ではまた明日。」

 

 

ドリジャは次にスイーピーズに向かった。

 

 

チリンチリン…

 

まっすぐと目の前のカウンター席に向かい、席に着く。

 

昼の時間ということだけあり、昨日来た時みたく、多くのウマ娘達が居た。

 

 

おや……スイープさんは裏で仕込みでしょうか?

 

 

しばらくメニューを見ていると……

 

ガチャ…

 

バックヤードへ続くドアからスイープが出てくる。

 

スイープ 「…」

バタン…

 

ドリジャの事を見るや否や、スイープは再びバックヤードに入っていった。

 

 

ドリジャ 「__っッ。」

 

流石にこれはショックです、ここの方々からすれば私は"外から来たウマ娘"ですが、それだけでこうも「差別的」な扱いをされるのは、心の中の何かをえぐられる様な感覚があります…。

 

しばらくしてスイープが再び戻ってくる。

 

 

ゴト…

 

気落ちしているドリジャの前にクッキーが置かれる

 

ドリジャ 「え、あの、まだ何も頼んで…」

 

 

スイープ 「この前は悪態付いて悪かったわね、そのクッキーはサービスよ。」

 

 

ドリジャ 「え…」

 

予想外のスイープの対応に、困惑を隠せないドリジャ。

 

 

スイープ 「…言われたのよ、ジャーニーに。」

 

グラスを布巾で拭きながら話し始める。

 

 

 

以下回想

 

swapジャーニー 「スイープよ、あんまり異世界の余……、ジャーニーに強く当たるのはよしてくれないか?」

 

スイープ 「はぁ?あんなのハッタリでしょ、異世界とか姿が似てるとか、そんなの関係ないわ、私アンタの真似してるアイツ嫌いだもの。」

 

swapジャーニー 「そう言うな…それに、ヤツは真似事でこんな事をしている訳ではない…、アイツの目をみたか?あれは"本当に困ってるヤツ"にしか出来ない目だ、余には演技のようには思えん。」

 

 

スイープ 「…アンタ、なんでアイツのこと擁護するわけ?」

 

swapジャーニー 「当たり前だろう!ヤツも余と同じ容姿をしているんだ、余と同じ待遇をするのは当然のことだろう?」

 

スイープ 「どんな理屈よ!?……でもまあ、アンタがそこまで言うならいいわよ。」

 

 

swapジャーニー 「やけに素直に受け入れたな、もっと大変な交渉になると思っていたぞ。」

 

 

スイープ 「アンタのお姉さんはウチのお得意さんよ、お得意さんの身内の願いなら、叶えられる範囲でやるわ。」

 

「ま、そのお得意さん、今行方不明なんだけどね…」

 

 

swapジャーニー 「気落ちするなスイープ!オルフェは余が必ず見つけ出し…そして…街中の人達に突然いなくなった事を謝らせる!」

 

 

スイープ 「そして、溜まってるツケを全部払わせる、完璧ね!」

 

 

swapジャーニー 「そうと決まれば頼んだぞスイープ!あ、会計はここに置いておくからな。」

 

スイープ 「ええ!……困ってるヤツの目…か……」

 

 

回想終了

 

 

 

スイープ 「……ねぇ、目見せてよ。」

 

ドリジャ 「目、ですか…?はぁ…」

 

メガネを外し、顔をスイープの方に寄せる。

 

 

スイープ 「…ああもう、ジャーニーと同じ目してるんだから困ってるかどうかなんて分からないわよ!」

 

ドリジャ 「困っている目…?どういう意味でしょうか…?」

 

 

スイープ 「…別に、ただジャーニーに「アイツは困っている目をしている」って言われたのよ。」

 

「もう面倒だから実際に聞くけど、アンタ今困ってるの?」

 

 

ドリジャ 「……ええ、困っていますとも、早く元いた世界に戻りたい、ここに来てからずっと思っています。」

 

スイープ 「………ねぇ、アンタの居た元の世界の話聞かせてよ。」

 

 

ドリジャ 「私の世界……ですか。そうですね…」

 

 

しばらくドリジャの居た世界の話をして……

 

 

スイープ 「…そっちの世界では人間とウマ娘が共存できてるのね、だったら、そこでお店を出したらきっと繁盛できるわ!」

 

ドリジャ 「ええ、きっとここのクッキーは売れると思いますよ。」

 

スイープ 「……でも、アンタの世界は…この世界の地上とも違うんでしょ……どうやって戻るのよ…?」

 

ドリジャ 「それに関してはこれから方法を模索するつもりです。」

 

スイープ 「ならエアグルーヴの所に行くといいわ、ここからちょっと遠いけど、船を使えば一発で行けるわ!」

 

ドリジャ 「船が出てるんですか、どちらまで行けば乗れますかね?」

 

スイープ 「そのクッキー食べ終わったら連れて行ってあげるわ。」

 

ドリジャ 「はい、では少し急ぎますね。」

 

 

しばらくして食べ終わり、2人で店を出る。

 

 

スイープ 「こっちよ。」

 

スイープに案内されるがままに連れて行かれる。

 

ドリジャ 「」

 

おや、こっちは…

 

 

さっきまでドリジャが氷を投げていた職場を通過し、川が流れているだけの場所に来る。

 

 

スイープ 「あ、あの人よ、あの人に話しかければ、エアグルーヴのいる研究所があるホットランドまで簡単に行けるわよ。」

 

「…じゃ、後は大丈夫よね、またその内会いましょう?」

 

 

ドリジャ 「ええ、ありがとうございました。」

 

 

スイープは来た道を戻っていく。

 

 

ドリジャはそのまま岸で伸びをしている渡し守の所に向かう。

 

 

ズゾァ ズゾァ…

 

「あの。」

 

 

??? 「おや、お客さんかな?」

 

 

紺色のフードを被った女性?がそう尋ねる(深くまでフードを被っている為顔が見えない)

 

 

ドリジャ 「」

 

どこかで聞いたことのある声に違和感を覚えるドリジャ。

 

??? 「さあ、乗った乗った、ここは寒いからね、長居する理由は無いよ。」

 

 

ドリジャ 「は…はい。」

 

 

言われるがまま船……というよりも船首に大きな見たことが無い動物が象られたサーフボードに乗る。

 

??? 「それで、どちらまで?」

 

 

ドリジャ 「ホットランドまでお願いします。」

 

??? 「ああ、承知したよ。」

 

「ちょっと揺れるから、適当なところでも掴んでいてくれ。」

 

 

ドリジャ 「」

 

ボードの縁くらいしか掴むところが無いのですが……

 

 

??? 「それじゃ、出発するよ。」

 

 

ボードは徐々に速度を増し、風を切りながら流れの限り進んでいく。

 

 

ドリジャ 「…あの、あなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

 

??? 「名前?私はただのボートに乗ることが趣味の渡し守さ。」

 

 

ドリジャ 「……失礼かもしれないですが、貴方はタキオンさんですよね?」

 

タキオン 「…………限られた人しか知らない私の名前がよくわかったね、キミは何者だい?…いや、客人にこんなことを聞くのは無作法だね、忘れておくれ。」

 

 

ドリジャ 「…ええ、それでお願いします…」

 

 

しばらく川を駆けていると…

 

 

タキオン 「ふゥン……不思議な話し方をするウマ娘には 気をつけたほうがいいねぇ。」

 

 

ドリジャ 「…??」

 

自分に対して言っているのか、それとも独り言なのか、水しぶきと風の音で何を言っているのかよくわからなかった為、あえて聞き流すドリジャ。

 

 

またしばらくして…

 

 

タキオン 「さ、ホットランドに着いたよ。」

 

ドリジャ 「ありがとうございました、ええと…料金は…」

 

財布を取り出そうとするドリジャ。

 

 

タキオン 「お金は取ってないんだ、なんせ趣味でやっているんだからね、私もボートに乗りたい、お客さんもボートに乗りたい、それだけで充分さ、さあ、行った行った、急ぎの用なんだろう?」

 

 

ドリジャ 「は…はぁ、そうですか、では私はこれで、またどこかでお会いしましょう。」

 

 

タキオン 「きっと、またどこかで会うことになるさ、それじゃあね。」

 

 

タキオンに軽く頭を下げた後、階段を上がるドリジャ。

 

ドリジャ 「さて……研究所はどちらに……」

 

十字路に差し掛かり、ドリジャから見て左側に、何か大きな建物が見える。

 

 

「あれですね。」

 

はぁ……それにしても暑い……こんな着込んだ格好で来るんじゃありませんでした……

 

服装のチョイスに後悔を感じつつ、研究所を目指す。

 

到着…

 

 

ヴィィン!

ドアが自動で開く。

 

 

「すいません、どなたか居ませんか?」

 

勝手に入ってグイグイ進んでいく。

 

…このモニターは……私…?

 

大きなスクリーンに自分が映っている。

 

机の端には、積み重なった大量のカップ麺のゴミが塔を形成している。

 

 

しばらく待っていると…

 

 

??? 「あ……」

 

ドリジャ 「!」

 

一瞬の静寂の後、向こうから話しだす。

 

??? 「あなたがジャーニーの言っていた……"もう一人のドリームジャーニー"…かな…?」

 

ドリジャ 「既にswapジャーニーさんから話しは聞いているみたいですね、エアグルーヴさん。」

 

「」

しかし…やっぱり私の知っているエアグルーヴさんとは違う、机の散らかり工合や空間そのものの匂い……あのエアグルーヴさんからは想像もできない様な…だらしなさを感じてしまいます。

 

「それで、あなたに手伝ってほしい事が…」

 

 

エアグルーヴ 「待って!」

 

突然静止するよう呼びかけてくる。

 

ドリジャ 「どうかしましたか?」

 

エアグルーヴ 「あ…えっと、私、着替えとか…お風呂とか全然済ませてないし…初めて私に会うなら、結構その…臭いだろうし…嗅覚、鋭いでしょ…?だから…お風呂入ってくるから…ちょっと待っててくれる?」

 

ドリジャ 「はあ……」

 

エアグルーヴが居なくなって10分ほど経過した頃か…

 

向かい側のドアが開き、DJの様な格好をしたウマ娘が向かってくる。

 

 

??? 「あれ、ジャーニーさん、エアグルーヴは戻ってきてないんですか?」

 

ドリジャ 「え……あなたは…」

 

 

??? 「ん?あれ、もしかしてキミは…ああ、例の異世界から来たって話の…」

 

「…それじゃあ、自己紹介をしないとですね。」

 

ドトン「ウェルカム エビバディ!私は皆のアイドル、名はメイショウドトン!私の華麗でフォトジェニックなボディに、思う存分見惚れるといい!わぁーはっはー!」

 

 

ドリジャ 「えぇ…(困惑)」

 

髪型とか声的に彼女がメイショウドトウなのはわかったが、体の一部が機械でできていたりなど本家とのギャップがあまりにも激しすぎて声が出ない。

 

 

ドトン 「君は異世界から来たもう一人のジャーニー君だね?今この世界では君の話題でひっきりなしなんですよ?」

 

ドリジャ 「そう…ですか……」

 

ドトン 「…もしかして、元の世界に帰りたいのかい?」

 

 

ドリジャ 「ええ、そのためにここに来ましたから。」

 

ドトン 「…エアグルーヴならきっとなんとかしてくれるよ、あの人生活習慣は良くないけど、頭脳の良さで右に出るものは居ない優秀な科学者ですから。」

 

ドリジャ 「それほどまでに頭がいいんですね…彼女は。」

 

 

しばらくすると…

 

 

エアグルーヴ 「お待たせ、あ…」

メイショウドトンを見て急に萎縮するエアグルーヴ

 

ドトン 「やあ!5日ぶりのお風呂はどうだったかな?」

 

 

エアグルーヴ 「そ…それ、人前では言わないでって言ったのに…」

 

ドトン 「むふふ、大丈夫だよ、近くには寄らせなかったんでしょう?」

 

エアグルーヴ 「それは…そうだけど……、……あ…、待たせちゃってごめんなさい?」

 

ドリジャ 「いえいえ…、それよりも…あなたに聞きたいことがあります。」

 

エアグルーヴ 「ええ…、言わなくても分かっているわ、元の世界に…帰りたいんでしょう?この数日間、あなたのことを監視してたの。」

 

「それでね、元の世界への帰還方法なんだけど……、その……」

 

「ええと……無いんだよね、その…世界をまたぐ方法が…」

 

 

しどろもどろになりながら彼女の口から放たれた言葉にドリジャの心は思いっきり抉られる。

 

ドリジャ 「えっ……」

 

エアグルーヴ 「え、ううん?、もちろん今すぐにはできないって意味で、時間を掛ければ方法はきっと見つかるよ!」

 

 

困惑するドリジャをなだめる様に話を続けるエアグルーヴ。

 

 

ドリジャ 「…」

 

エアグルーヴ 「…」

 

 

しばらくの静寂の後、ドリジャが口をひらく。

 

 

ドリジャ 「…分かりました、では、何か手がかりが見つかったら連絡を下さい、……ええと…電話番号は…」

 

 

ドンッ!

 

ケータイを出す勢いでウマホがポケットから出てしまい、床に落下する。

 

 

エアグルーヴ 「?その四角いのは…?」

 

ドリジャ 「これはウマホといいまして…」

 

拾い上げる

 

ああ…本当にこの世界にはウマホが存在しないんですね…

 

 

エアグルーヴ 「…ねぇ、それちょっと…私にしばらく貸してくれないかな…?大丈夫、盗んだりするんじゃなくて、コレを分解して内部構造を知りたいだけだから…!」

 

 

ドリジャ 「」

 

何を言っているんだこの人は、この世界での私の、唯一のアイデンティティであるウマホを取られ、ましてや分解されるなんて、どんな目的であろうとリスクが大きすぎる、絶対に無理なので断りましょう。

 

「すみませんね、それはできませんです、それを失うと、私も今後色々困ることがあるので。」

 

 

この世界でのドリジャのウマートフォンは、時間を標準出来るだけの薄い板、持っているだけ意味がないかもしれないが、無性に「今ではない」という感覚がドリジャを強く襲ったのだ、その結果彼女はウマホを渡せずにいる。

 

 

エアグルーヴ 「あ…う…うん、ごめんね、変なこと聞いちゃって…」

 

「…帰る前に、コレ…」

 

 

メモを渡される。

 

 

エアグルーヴ 「それは私のケータイの番号だから、こっちから連絡することのほうが多いだろうし…ね。」

 

ドリジャ 「では、登録させてもらいますね。」

 

 

その場でケータイに電話番号を登録する。

 

 

エアグルーヴ 「あ、来た来た、大丈夫だよ!」

 

ドリジャ 「では、ありがとうございました、私はこれで。」

 

 

ヴィィン!

出ていく

 

エアグルーヴ 「」

あの薄い板…ボタンも無いのにどうやって操作するのかな…?…もしかして、画面を押すだけであれこれ操作できたり…なんちゃって…、でも…それなら……

 

 

独り言をぶつぶつと呟いていると…

 

 

ドトン 「私は蚊帳の外ですか?」

 

エアグルーヴ 「あ……ごめんね。」

 

ドトン 「いいですよ〜どうせ何言ってるのかわからなかった訳ですし〜」

 

 

その頃ドリジャは…

 

 

階段を降り、再び川沿いに出る。

 

 

タキオン 「ふゥン…その顔だと、用事は済んだみたいだね、ここに来たって事は、スノーフルに帰るって事で良いのかい?」

 

ドリジャ 「察しがいいんですね、ええ、お願いしますよ。」

 

タキオン 「それじゃ、どこか縁に掴まって、出発するからね。」

 

速度を増して川を駆ける。

移動中……

 

 

タキオン 「船首に象られている、この動物の名前、君はなんだと思う?」

 

 

突然の質問に動揺するも、それよりも好奇心の方が勝って話に乗る。

 

ドリジャ 「そうですね…とてもユニークな頭の形と毛並みをしていますが…何か水に関わる動物でしょうか?」

 

 

タキオン 「いい着眼点だ、でも水は関係ない、これは"馬"という動物さ。」

 

ドリジャ 「うま……ですか?」

 

聞いたことの無い動物の名前に困惑を隠せないドリジャ。

 

 

タキオン 「おや?もしかして知らないのかい?」

 

 

ドリジャ 「ええ、お恥ずかしながら…」

 

無理もないだろう、なぜならドリジャのいる世界……トレセン学園のあるあの世界には"馬"なんて動物は存在しない、"ウマ娘"とは、本来存在するはずの生物である馬の『代わりに存在する生き物』なのだ。

 

 

タキオン 「ま、ここまで偉そうに語っているけど、実のところ私も、本物は見たことが無いんだ。」

 

ドリジャ 「…では、どうして形や名前が分かるのでしょうか?」

 

タキオン 「この川の水をずーっと辿ると地上、すなわちニンゲンの暮らしている世界に着く。ま、そこは滝になっていてそれ以上進めないんだけどね、その川にはゴミが流れてくることもあるし、こういう役柄だと、そういうのを拾うこともある、この動物はそのゴミの一部にあった、水気でしわくちゃになったメモに書かれていたんだ。」

 

「なんでも馬という生物はとても足が速いそうだ、当然このボートなんかよりもずっとね。」

 

 

ドリジャ 「その馬という生物は、私達ウマ娘よりも速いのでしょうか?」

 

タキオン 「当たり前だろう?だいたい20倍ほど速度に差があるね。」

 

 

ドリジャ 「???」

 

20倍…個体差はありますがほとんどのウマ娘は時速50〜60kmで走れます、その20倍、最低でも時速1000kmで走る生物なんて存在するのでしょうか……

 

 

「あの…20倍というのは何を元に割り出した数値なんでしょうか?…」

 

タキオン 「何って、勿論歩いた時の速度さ。歩行速度は時速約3km、馬はだいたい時速54kmくらいのスピードを出せるらしい、だから正確には約18倍かな。」

 

 

ドリジャ 「あの…なぜ歩いた速度で計算するのでしょうか…走ってみようとは思わなかったのですか…?」

 

 

タキオン 「走る…?なぜ走る必要があるんだい?こうやってボートを動かした方がずっと楽でいい。」

 

「……でも、馬とウマ娘、同じウマの名を冠しているのなら同じ肉体性能を持っていても不思議では無いね、無論私は、今のままで充分だから深入りはしないが。」

 

 

ドリジャ 「」

 

持っていても不思議じゃないのではなく、持っているんですよ…、…この世界のウマ娘は「走る」という本能が欠落しているのでしょうか……

 

 

しばらくボートは進み…

 

 

タキオン 「ふゥン…鏡移しの自分には気をつけたほうがいいねぇ。」

 

 

今度も話しは聞こえたがあえて無視をするドリジャだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

48回目のGルートは確立されました

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