「3人の英雄が現れ 天使の楽園を破壊する。」
??? 「…よし、準備完了っと…」
俺はアストンマーチャンのトレーナー、マーチャンの存在を布教するために、今日もマーちゃん着ぐるみで校内を徘徊している。
マートレ 「アストンマーチャンをよろしくお願いします!」
放課後、マーチャンが来るまでの間はいつもこうして廊下を徘徊しているが、もちろんトレーナーとしての仕事もこなしている、全てはマーチャンを知ってもらうために。
トレーナー室に戻ってしばらくした頃…
マーチャン 「こんにちは、トレーナーさん。」
担当バ、アストンマーチャンの声が耳に届く。
マートレ 「ああ、来たね、待ってねすぐ着替えるから。」
マーチャン 「その必要はないですよトレーナーさん。」
マートレ 「え?どうしてだい?」
マーチャン 「しばらくそこでマーチャンを感じててください。あっ、そうだ(唐突)、トレーナーさん、さっき私が着替えてる時チラチラ見てましたよね?」
マートレ 「!!?」
彼女は何を言っているのだろうか、俺はずっとこの着ぐるみの中に入ってたし、彼女の着替えを見ることなんて不可能だ。
「見てないけど…」
マーチャン 「嘘つけ絶対見てましたよね♡」
マートレ 「なんで見る必要なんかあるんだ(強気)」
マーチャン 「マーチャンの事、見なくてもいいんですか?」
マートレ 「……いや…そんな事は…」
マーチャン 「見たければ見せてあげます(震え声)」
マートレの近くに寄ってしゃがみ込み、ダブルピースでマートレの顔を見あげる。
マートレ 「ッァ!」
アストンマーチャンに改めて脳を焼かれたマートレだった(平和)
その頃。
イナトレ 「…よし、今日のメニューはこんなものだろう。」
トレーニングメニューが書かれたノートを机の隅に置く
俺はイナリワンのトレーナー、最近人に道案内を頼まれることが増えた、中央のトレーナーになって結構経つが、なぜだろうか、全然理由が分からない。
ガラガラ…!
イナリワンが部屋に入ってくる。
イナリ 「おうダンナ!待たせちまったな、今来た所でぃ。」
イナトレ 「おっ。」
イナリ 「あ〜…、ダンナ、話があるんだけどさ…」
彼女は普段、勢いでモノを話すが、ここまで改まった態度で話そうとする事は滅多にない、きっと何か、今後の事に関わる重要な話をするのだろう。
イナトレ 「どうしたんだ?そんなに改まって…。」
イナリ 「あ…、その〜、さっきあたしが着替えてる時、チラチラ見てただろう?」
イナトレ 「ファ!?」
何を言い出したかと思えば、全く今後の方針に関係ない事を話しだしたイナリに困惑するイナトレ。
「」
これって…淫夢語録だよな……なんでイナリが、誰から教えてもらったんだ…?……ひとまず、彼女を止めなければ
「…イナリ、誰からそんな言葉教えてもらったんだ…?」
イナリ 「…だぁぁ!やってられるかこんな事!調子が狂って仕方がねぇ!…悪いねダンナ、アンタをからかったんだ。」
イナトレ 「そう…、それで…、誰にそんな事を…?」
イナリ 「」
アイツのことを今話していいもんかね、でもまあ、役職的に全く関係ないってことは無いだろうし、別にいいだろう。
「最近入った警備の人が教えてくれたんでぃ、ヒミツの特訓って名目でな。参加したのはあたしを抜いて3人、…名前まで言うのは勘弁して欲しい、別に悪いことしてるわけじゃ無いからね。」
イナトレ 「その警備の人って…名前はわかる?」
イナリ 「なんでぃダンナ、まだ会ってないのかい?」
はて、何のことだろうか。その辺の書類に何か書いていないかと整理してみると、新人警備員が入ったという通知の紙があって、swapオルフェーブルの名前が書いてある。
イナトレ 「……ねぇ、まさかこの人ウマ娘じゃないよね…?」
イナリ 「ウマ娘だけど…、それに何の問題があるんでぃ?」
イナトレ 「 」
イナリ 「ダンナ…、その顔は…?」
イナトレ 「ん…?ああ、何でもないよ、それよりもトレーニングに行こう。」
ウマ娘が淫夢語録を使ってるなんて、まずいですよ!
タイキやブラストとは違い、こちらも平和に事が過ぎたイナトレだった……
その日の夜……
裏山に生息するコオロギや鈴虫が、道路の上を走る車と夜の歌を奏で始める。
近くのコンビニで、酒の代わりのコーラとたばこの代わりのココアシガレット、つまみにニンニク餃子とパックご飯を買ってきたswapオルフェは、ウッキウキで警備員用宅に帰ろうとしていた。
swapオルフェ 「むふ〜♪」
ピカッ!
swapオルフェに光が当てられる。
愛木 「よう、おつかれさん。」
愛木の手に持っている懐中電灯がswapオルフェを照らしている。
swapオルフェ 「うおっ…、じいさん、こんな遅くまで何してたんですか?」
愛木 「それはお互い様だろう?んなことよりお前さん、酒飲みたくないか?」
愛木が袋からストゼロ(500ml)を見せつけるように取り出す
swapオルフェ 「……!」
久しぶりに聞いた飲み物の名前、もう感覚すら忘れていたあの爽快感が一気にswapオルフェを押し寄せてくる。
「あ〜^いいっすねぇ〜、ちなみに私ぃ〜、つまみ、買ってきたんでけど、食べます?」
愛木 「当たり前だよなぁ?んじゃ、俺の部屋はこっちだ。」
階段を登って2階に行き、彼の部屋に入る。
ガチャ(迫真)
先に愛木が入る。
swapオルフェ 「あ、お邪魔しまー。」
愛木 「いいぞ上がって。」
もう年だからか、彼の部屋の中には最低限の家具しかなく、キッチンに冷蔵庫などの家電が全て集約してある。床はフローリングが敷かれており、ニス塗りされていておしゃれな雰囲気を醸し出している。
「お前さんはそこで座っとれ、後は俺がやってやるからよ。」
swapオルフェ 「じいさんに酒奢ってもらうのに何もしないヤツがあってたまりますか。」
チチチチチチ…!
ボォ!
キッチンにswapオルフェも入り込み、フライパンをとって火をつける。
いい感じにフライパンが熱せられた所で…
「よし、じゃあブチ込んでやるぜ。」
餃子をフライパンに投入する。
ジュワァァァ…!
チリチリと香ばしい香りと音を、フライパンのフタ越しに放つ餃子を見て感じて、早くビールと一緒に喉に流し込んでやりたいと思う2人だった。
愛木 「おっと、忘れるとこだった。」
愛木が何かを思い出したようにレジ袋を漁るとストゼロを2本取り出し、冷凍庫に入れる。
swapオルフェ 「何を四天王?」
愛木 「これ焼き終わったら一緒に呑むんだ、冷蔵庫でちんたら冷やしてたら餃子が冷めちまうだろ?今冷凍庫に入れとけば餃子が焼き終わる頃にはキンキンに冷えてるはずだ。」
そして…。
swapオルフェがフライパンのフタを開ける。
「うをっほぉお〜!」
愛木 「ホイ皿。」
swapオルフェ 「どーも。」
「よっと。」
いい感じに焼けた餃子をひっくり返し、皿に乗せて机に持っていく。
ガラァ…
愛木が冷凍庫からストゼロを2本取り出す。
愛木がストゼロを机に置く間にswapオルフェはご飯を茶碗に盛りつけ、机に運ぶ。
愛木 「うし…そんじゃ、いただきます、……そして…!」
カシュ!
swapオルフェ&愛木 「カンパ〜イ!」
ンゴ…ゴク…ゴク…
swapオルフェ 「だあぁぁ〜〜!うんまぁぁぁいぃぃ!!」
swapオルフェの歓喜の声が建物全体に響き渡る。
愛木 「そんなに飲みたくなるほどハマってたのか酒に、若い内にそんなんじゃ将来ろくな事にならんぞ…。」
swapオルフェ 「そういうじいさんこそグビグビ飲んでんじゃん。」
愛木 「俺はもう生先短い年寄だからな、たまには労ってやらねぇといつぶっ倒れるか分からねぇ。まあ、元気の前借りってとこだな。」
グビグビ…
swapオルフェ 「っていうか、なんで私が酒飲んでるってわかったの?私もう3日は呑んで無かったんだけど。」
愛木 「バ鹿お前、酒の匂いが簡単に取れると思うなよ、特にお前さんみたいなほぼ毎日呑んだくれてたヤツは分かりやすく匂うんだよ、…それとお前さん……吸ってるだろ、タバコ。」
swapオルフェ 「じいさん鼻がいいんですね、ええ、タバコは毎日、酒は2日に1回は呑んでましたね、ここに来てからは1本だって吸ってないし、酒もただの一滴だって飲めてない、まあ酒は今飲めたからいいんですが。」
ス…
愛木がポケットから白い箱を取り出す。
愛木 「1本吸うか?」
swapオルフェ 「え、いいんすか。」
愛木 「おうよ、若者からつまみをタカるのは俺の趣味じゃないんでね、酒の1本とタバコくらいやらねぇとな。」
swapオルフェ 「あざーっす。」
火を付けてもらって吸う。
スゥゥ……
チリチリチリ……
ポロ…
愛木 「煙が目に入ったか?」
急に泣き始めるswapオルフェ。
swapオルフェ 「…やっぱりっ……美味いじゃないかっ……!」
ヒッ
それからswapオルフェは一旦タバコを吸うのをやめ、餃子を食べたと思ったらストゼロで流し込み、またタバコを吸うのを繰り返した…
そして……
時刻は11時、普段のswapオルフェならもう寝てる時間だが今日はそうもいかない、ここは愛木の部屋だし、そもそも片付けが残っているから帰れないのだ。
swapオルフェ 「ん…じいさんそろそろお開きにしよ、もうこんな時間。」
酒が効いてきたのか、うまく呂律が回らないswapオルフェ
愛木 「そうだな…、あぁ〜…、こうやって人と呑んだのは久しぶりだよ。」
swapオルフェ 「今日居た他の連中とは飲まないんですか?」
愛木 「アイツらは態度が固くて飲み相手には向いてねぇんだ、お前さんみたいにある程度生意気じゃねぇと飲み甲斐が無いんだ。」
swapオルフェ 「じゃあ奥さんとかとは。」
愛木 「妻は別居中だ…なにせ忙しいヤツだからな…中々会えねぇのよ…」
swapオルフェ 「子供とか孫とは飲めないわけ…?」
愛木 「皆疎らに散ってるからな…会えるのは夏休みくらいのもんよ……、…ま…なんにせよ、ありがとな。」
swapオルフェ 「……ん。」
一通り片付けを終えてswapオルフェは帰る準備をする。
swapオルフェ 「じゃーね、じいさん。」
愛木 「お〜う…」
他愛もない会話を終えて自分の部屋に戻るswapオルフェ。
ガチャ…
swapオルフェ 「やば……飲みすぎた……、……風呂に入る気にすらならない……着替えもやって…ゴミも捨てて……あっちもやって……ポッチャマ…(こっちも…)」
ベッドにうつぶせになりながらそんな事を考え、そのまま眠りに落ちたswapオルフェだった……
翌朝…
swapオルフェ 「おはよう世界、今何時…」
ウマホの時刻表示は11時半を示していた
「なんだまだ11時か……、……え11時!?やっばぁ〜めっちゃ遅刻してるぅ〜!!?あのジジイなんで起してくれなかったんだ!!」
5分くらいで身支度を整えて、スーツに着替えたあと"近道"で理事長室に直接向かう。
ガダン…!
理事長室のロッカーから出てくる。
「こ…こんにちは〜……」
やよい 「衝撃!そんな所に潜んでいたのか!?」
真横のロッカーからでてきたswapオルフェに驚くやよい。
swapオルフェ 「いえ潜んでたというか今北産業というか遅刻してごめんなさいというか…」
やよい 「緊急!いま、たづなを呼ぶからな。」
swapオルフェ 「よっよせっ!」
青攻撃を使って置き電話の受話器を硬直させる。
やよい 「鈍重!受話器に何を加えたのだ!?」
swapオルフェ 「たづなには連絡しないで下さい、何でもしますから!」
土下座して謝るswapオルフェ。
やよい 「困惑…そんな事をされてもな…、キミが遅刻したという事実は変わらないし、私にはどうする事もできん。それに、ここでたづなに会わなくても、どこかで必ず会うことになる、課題の先送りはろくな結果を生まないぞ。」
swapオルフェ 「いやだぁぁぁぁぁぁ!!?(幼児退行)」
やよい 「安堵!私も一緒に謝ってやるから安心するといい、それにキミはしっかり仕事はしているんだ、そこまで厳しい懲戒はないだろう。だから頭を上げてくれ。」
swapオルフェ 「うぅ…わかった…私、自分と向き合うよ。」
やよい 「良好!その意気込みでたづなに謝れば彼女も許してくれるだろう!」
「…では電話を…」
swapオルフェ 「だめぇ!」
再び青攻撃で受話器を硬直させる。
やよい 「疑問!なぜ駄目なのだ?」
swapオルフェ 「私こういうの本当に駄目なんだ……怖いのとか面倒なのとかが来るってわかってて、しかも時間かけて来られたら特に、もし来るなら今すぐ、私に猶予を与えずに来て欲しいです。」
コンコン…
たづな 「失礼します。」
swapオルフェにとって最悪な声が理事長室に響く。
ガチャ…
「あら、こんにちはswapオルフェさん?」
swapオルフェ 「…わぁ……ぁ……」
やよい 「ぁ……、……swapオルフェよ。」
swapオルフェ 「はい。」
やよい 「頑張れ。」
親指でグッドサインを作る。
swapオルフェ 「薄情者め。」
スッと立ち上がり、たづなの方へ向かうとたづなはドアを開き、先に行くよう促す。
2人で理事長室を出る。
s「さあたづなさん、覚悟は出来てます、好きなようにして下さい。」
ふと横をみるとたづなが居なくなっている。
「え?」
振り返ると、理事長室から少し離れた所でたづなが止まっている
「ど……どうしたんですか…?私に罰を与えるんじゃないんですか…?」
たづな 「……もう理事長に根回しはしているんでしょう?そこまでされてしまったら私は何も言いません。早く業務に戻って下さい。」
その顔はどこか怒りを隠しているような、かといって強張っていない、緩い笑顔だった。
swapオルフェ 「ほんとぉ?(狂気)やったぜ。」
たづな 「ただし。」
その一言で場が固まる。
「もう同じ手が通用するとは思わないで下さいね?」
swapオルフェ 「……はいはい…もうこんな事やらかしませんよ…」
絶対にね……
この後何事も無く12時、昼休憩の時間になり…
アグネスタキオンの所へ向かうswapオルフェ。
ヒュン!
「やっほ〜、順調?」
グデ~~ン…
そこには明らかに元気ではない4人の姿があった。
ガバッ!
タキオン 「全っ然よくないねぇ〜!」
狂気の瞳でこちらを見つめるタキオン。
タキオンの目元には隈ができており、かなり寝不足のようだった。
コンディション:夜更かし気味
swapオルフェ 「隣でうつ伏せになってるのはもしかしてシャカール?」
シャカール 「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
呪怨の様なうめき声で疲れを吐き散らかす。
コンディション:夜更かし気味
swapオルフェ 「向かい側の白いのは…ハヤヒデさん…?」
ビワハヤヒデはあまりの疲労のせいで、口からは魂が飛び出しかけている。
コンディション:夜更かし気味
その隣で何かをブツブツといいながらパソコンとにらめっこしているシュガーライツの姿もある。
カタカタカタカタ…
ライツ 「目標をセンターに入れてスイッチ……目標をセンターに入れてスイッチ……目標をセンターに入れてスイッチ……目標をセンターに入れてスイッチ……」
コンディション:夜更かし気味 掛かり
swapオルフェ 「私はもう、やばいと思う(他人事)」
ガラガラ…!
オルフェ 「邪魔するぞ。」
カフェ 「どうも。」
カフェとオルフェが入ってきた。
オルフェ 「一昨日ぶりにここに来たが、いったい何があったのだ…?」
swapオルフェ 「皆疲れてるみたいだ、…こんな事やらせてるんだから、まぁ多少はね?」
カフェ 「あなたがぐっすりスヤスヤ眠っている間も、彼女たちは"あなただけのために"起き続けて研究を続けているんですよ(嫌味)」
swapオルフェ 「時間の割り振りができない人は働いた時に苦労するゾ〜これ。」
オルフェ 「…そう言う問題ではなかろう、要は貴様も何かしろというわけだろう、そうだな?」
カフェ 「ええ。ああ、言っておきますけど、私は既に彼女たちにかれこれ100杯程コーヒーを淹れてあげてます、何もしていない、なんて言わせませんよ(聡明)」
swapオルフェ 「あっ、ふ〜ん…(察し)」
「それじゃ私は、コーヒー100杯よりも、1000杯よりも凄いモノ出せるけど、どうすっかな〜私もな〜」
オルフェ 「そんな事が可能なのか?率直に答えよ。」
swapオルフェ 「出そうと思えば(王者の風格)」
オルフェ 「…良い、この場でやってみせよ。」
swapオルフェ 「見とけよ見とけよ〜」
swapオルフェが手を前に軽く伸ばし、緩く握ると、目を閉じてしばらく呼吸に集中する……
オルフェ&カフェ 「……?」
しばらくすると、握られていたswapオルフェの拳から黄色い光が漏れ始める。
オルフェ&カフェ 「……!」
その光は見てるだけでも、何かやる気が湧いてくるような不思議な感覚を二人は覚えた。
swapオルフェ 「よし…人数分出来た。」
swapオルフェが手を広げると、飴ほどのサイズの黄色い星方のキラキラが4つ生成されていた。
swapオルフェ 「ホラ、364364(見ろよ見ろよ)」
「はいタキオン。」
タキオン 「なんだいコレは……」
swapオルフェ 「まあまあ、それを口に入れて飲み込んで。」
タキオン 「」
いつもは私はトレーナー君や他のウマ娘たちを薬品の実験台にするが、私が実験台にされるのはちょっと怖いねぇ…でも、ワガママも言ってられない……
タキオンが黄色いキラキラを口にいれて飲み込む。
「っっっッッッ!!!???」
タキオンの外皮に薄い黄色の膜のような、オーラが形成される。
オルフェ&カフェ 「っ!?」
タキオン 「ふほぉぉ〜!?なんだいコレはぁ〜!?やる気が!活力が!湯水のごとく湧いてくるではないかぁ!!」
カフェ 「…!何をしたんですか?」
swapオルフェ 「ん〜…、私の世界ではコレを『ケツイ』と呼んでいた、まあこっちでも同じ呼び方でいいのかな。」
ケツイ……やり通そうとする力、押し通そうとする力とでも言うべきだろうか、理不尽に対抗する力、不可能を可能にする力、解釈の仕方は人によって違うだろう。彼女たちはこのケツイの力にどの様な解釈を付けるのか。
同じ要領で、シャカール、ハヤヒデ、ライツにもケツイを飲み込ませる。
3人 「うぉぉぉ!!?」
さっきまでの雰囲気とは打って変わってキビキビと作業に戻った3人。
シャカール 「クソ…マジでどういう理屈なんだ、疲れてるのに疲れてる気がしねぇ…」
タキオン 「分かるか、可能性だよ、到達しうる限界速度は!影すら見えぬほど、この体は、もっと速く、もっと速く!」
元気が空回りしてわけのわからない事を口走るタキオン。
オルフェ 「………」
ケツイというのが無尽蔵にエネルギーを供給する物なのであれば…、これがあれば、もしかしたらハルウララも……
オルフェはケツイの使い方に意味を見いだしたようだ。
場面は移り変わり……
ドリジャ 「………」
ソファーに崩れた姿勢で座り、ポテチとコーラを食べながら、無表情でテレビを見ているドリームジャーニー。
昨日から、何をやってもやる気が起きません、仕事から帰ってきたらこう。「真っ昼間からだらしないぞ!もっと体を動かせ!」なんてswapジャーニーさんに言われてしまいますが、それでも私の体は動きません、おそらくテコでも動かせません。
昨日のエアグルーヴから言われた"元の世界に帰る手立ては無い"という言葉は彼女の中で回り続け、謎の遠心力を生み出し怠惰にさせている(?)
プルルル…プルルル…
「おや…?」
エアグルーヴ 『あ、も、もしもし?調子はどう?』
ドリジャ 「それはもう、おかげさまで最高の気分ですよ。」
とても気分がいい話し方ではない声がエアグルーヴの受話器越しに聞こえてくる。
エアグルーヴ 『そ、そう…、ええと…本題に入るんだけど、今から私のラボに来てくれないかな?』
ドリジャ 「……なぜ。……ですか?」
エアグルーヴ 『えと…電話越しに話すのもアレだし…、長話になると思うから…、その…直接会って話したほうがいいかなって、とにかく、待ってるね!』
ツー…ツー…
ドリジャ 「………」
ムクリ…
ドリジャが重い腰を上げた。
どうにも彼女は寝不足のようだった、目に隈ができていて、歩き方もどこかぎこちないもので、普通の人ならまず外には出ないコンディションをしている…
ガチャ…
swapジャーニー 「どこか行くのか?」
ちょうど帰ってきたswapジャーニーと鉢合わせになる。
ドリジャ 「ええ…、ちょっとエアグルーヴさんの所へ…、何でも話があるんだとか。」
swapジャーニー 「ふむ…そうだったか、それじゃ、怪我するなよ。」
ズゾァ…ズゾァ…
例のごとくタキオンの所へ行く。
タキオン 「おや、こんにちはだねぇ。」
ドリジャ 「どうも……」
タキオン 「…さぁ、乗った乗った、ここに長居しても疲れるだけさ。」
ドリジャ 「……」
タキオン 「場所はホットランドでいいかな?」
ドリジャ 「ええ、お願いします。」
ボードは徐々に速度を増し、風を切りながら流れの限り進んでいく。
タキオン 「…目に隈ができてるみたいだけど、寝不足かな?」
ドリジャ 「ええ…まあ、時間が経ってるとは言え、慣れない環境で暮らすというのはかなりストレスになるんです。」
タキオン 「…私には一刻も早く君の目的が果たされるのを祈ってることしかできない。結局は自分でなんとかしないと、叶うものも叶わないよ。」
ドリジャ 「」
知ったような事を言わないで下さい…、貴方に…"この世界の住人"に私の何が分かるんですか?
心のなかでそうは思いつつ、言葉にはしないドリジャ。
しばらくの間、風と水しぶきの音だけが空間をこだまし、やがてタキオンが口を開く。
タキオン 「ふゥン…、天使が舞い降りる……ふゥン…。」
意味がありそうでなさそうなタキオンの独り言に対して、またしても聞こえていないフリをするドリジャ。
そしてホットランドに到着する…
「それじゃ、…足を踏み外さないでね、ここから落ちたらまず助からないからさ。」
ドリジャが疲れている事を見抜き、心配の声をかけるタキオン。
ドリジャ 「……どうも、流石に歩行に問題が生じるほどの疲労ではありませんから、ご心配ありがとうございます。」
タキオン 「ふゥン…、それじゃ気をつけて。」
さっさとエアグルーヴの研究所に向かうドリジャ。
ヴィィン!
エアグルーヴ 「!あ、よかった、来てくれたんですね!」
ドリジャ 「ええ、来ましたよ、それで、私に話したいこととはなんでしょうか?」
エアグルーヴ 「その件についてなんだけど……えと…、いい話と悪い話、どっちから聞きたい?」
ドリジャ 「悪い話でお願いします。」
ここまでテンプレ
エアグルーヴ 「わかった、えと…、悪い話って言うのは…、いい話が貴方の帰還方法が見つかったわけではないってことなの。」
ドリジャ 「そうですか……、ではいい話というのは…?」
エアグルーヴ 「いい話はね!ええと、昨日貴方が見せてくれたウマホなんだけど、徹夜で色々研究してて、遂に実験が実ったのよ!」
「そして、その成果で完成したのが"ウマートフォン1号"よ!」
見た目はまんまドリジャの持っているウマホと同じで、仕組みもほとんどウマホと同じである。
「私達ウマ娘の指から放たれる、僅かな電気信号がウマホ表面に走ると、それに画面が連動してスワイプしたり、タップしたり出来るの!今はまだ通話とメール、カメラしかアプリが入ってないけど、これからどんどん改良していって行けば、すごく便利な道具になるに違いないわ!いつかはケータイは無くなってウマホが主流になるかも!こんな革新的な技術を提供してくれたあなたには感謝しかないわ!」
めちゃくちゃ早口で話すエアグルーヴ。
ドリジャ 「」
ドリジャの目は、呆れと同時に怒りの感情に包まれていた。無理もないだろう、ドリジャにとってはそんな事、心底どうでもよかったからだ。あまり物を言える立場ではないが、そんな事してる暇があるなら私が元の世界に帰る方法を模索して欲しい、そうは思っていても、やはり言葉にはしないドリジャだった…
「はぁ…、いいことと言うのはそれだけでしょうか…?」
エアグルーヴ 「え?あ…、うん……これだけだけど…、……あ!もちろんあなたを元の世界に戻す計画もちゃんと進めているよ!」
「ただ……、…うん、昨日も言ったけど、今すぐには作れない、というか、完成させるには何年も掛かるかもしれないの……、私、こういうのの専門じゃないし…、あぁ…こんな時にオルフェが居てくれれば…。」
ドリジャ 「分かりました、では私は、気長に待つとします。」
エアグルーヴ 「うん…、ごめんね。」
ヴィィン!
ドリジャ 「はぁ…、このまま帰っても退屈なだけですし、少しだけ周囲を探検してみましょうか。」
十字路に戻ってきた。左に行けばそのままタキオンの船を使ってスノーフルに帰れるが、今回は右の違う道を行くことにしたドリジャ。
右に行くと、すぐ目の前にエレベーターがある。
「ふむ…?」
ヴィィン!
エレベーターに入るドリジャ。
行き先表示にはこう書かれていた
———————————————————————————
● LEFT 2F ● RIGHT 1F
● LEFT 3F ● RIGHT 2F
● RIGHT 3F
———————————————————————————
「右…左…?このエレベーターは上下ではなく左右に動くという意味でしょうか…?しかしそれだと2階3階の表示の意味がわかりません…」
なんとなくで"RIGHT 3F"を押す。
ガコン! ゴォォォォ……!
ヴィィン!
エレベーターから降りると、すぐそこに見慣れた人物が立っているのを見つけるドリジャ。
「…!」
ヒシミラクルさんではありませんか、こんな暑い所でそんな格好……、……?
ドリジャの知っているヒシミラクルよりも厚手で、どこか生気を感じられない薄い灰色の服装と髪に違和感を覚えた、なんなら肌も心なしか灰色っぽく見える。
「あ…あの?」
ドリジャが話しかけても、彼女はこちらに目も向けず、無表情のままだ。
「……?」
ミラクル? 「ラモーヌが 新しい研究者を雇うまで、かなり時間がかかりました。無理もありません。前任者の…Dr.ネオユニヴァースは、あまりに偉大すぎました。コアも、彼女の発明だと言われています。しかし彼女は…、道半ばにして、命を落としました。ある日、自らの発明品の中に落ち…帰らぬ人に…。」
「エアグルーヴも、同じ末路を辿るのでしょうか?」
突然意味の分からない話をしだしたヒシミラクル?にちょっとした恐怖を覚えるドリジャ。
ドリジャ 「ヒシミラクルさん?」
ミラクル? 「エアグルーヴも、同じ末路を辿るのでしょうか?」
ゲームのNPCのように同じ言葉しか話さないヒシミラクルに「コレは絶対に関わっちゃいけない」と本能的に感じたドリジャはすぐエレベーターに入り込む。
タタッ…!
ポチポチポチポチポチポチ…!
エレベーターに駆け込み、閉めるボタンを連打する。
ドリジャ 「あれは普通じゃありません、何か異常なことが起こっています……!」
久しぶりに感じた恐怖、ここまで精神的に追いやられたのは幼少期以来か。
暑さか恐怖か、滝のように汗を掻いて、壁にゆっくりとへたり込み、しばらくの間その場でぐったりとする。
しばらくして…
「もう…大丈夫でしょう、違う階に行きましょう。」
今度はLEFT 1Fに向かう。
ガコン! ゴォォォォ……!
ヴィィン!
「ッッッ!!」
エレベーターを降りたすぐ左に、またしても見慣れた人物が立っていた。
シンボリクリスエス…さん……格好はあまり変わっていませんが、やはり肌や服の色や灰色になっています、話しかける…べきでしょうか…
好奇心は猫を殺す、なんてことわざがあるが、今の状況はまさにそれだろう。先ほどのヒシミラクルといい、絶対に彼女が普通ではないことは周知の事実だが、それでも彼女が何を話すのかドリジャには気になって仕方がないのだ。
「……こんにちは…?」
クリスエス? 「エアグルーヴは、王室専属の研究者、前任者のD.N.ユニヴァースはどうなった?ある日、跡形もなく消え去った。時空の彼方に消し飛んだ。なぜそんな事を知っているか?これが、彼女の残骸だ。」
ピロロピロロピロロピロロン…(電子音混じりの高速消滅音)(dim.)
クリスエス?が突然目の前から姿を消す。
ドリジャ 「ッッッ」
すぐにエレベーターに駆け込む。
「消えました、私の目の前で、跡形もなく…彼女が手に持っていたのは…バッジの様な物…?そういえば、私の知っているネオユニヴァースさんの勝負服(レースに出る時の衣装)にも胸にバッジを付けていました、しかし彼女は…ネオユニヴァースさんが跡形も無く消え去ったと……、ふむ…」
ひとまず次の行き先を選ぶ。
なんとなくでRIGHT 2Fを選択する。
ガコン! ゴォォォォ……!
ヴィィン!
降りるやいなや、左側にまたしても見慣れた人物が立っている
ゼンノロブロイさん…彼女もネオユニヴァースさんの話をするのでしょうか…この暑さからは考えられないほど場違いな厚着、肌、髪服装全てが灰色、…なんにせよ、話してみるしかありません
ドリジャ 「こんにちは?」
ロブロイ? 「ラモーヌが中々、後任の研究者を雇えなかったのも、無理はありません。前任者の…ドクター・ネオユニヴァースは…、余人を持って代えがたい、優秀な人材でした。しかし彼女は…、道半ばにして命を落としました。ある日、実験が失敗し…」
「いえ、ウワサ話はよくありませんね。」
ドリジャ 「??」
ロブロイ? 「とくに、本人が聞いている所でするのは失礼です。」
いままであられもない方向を向いて話していたゼンノロブロイ?が、不気味な笑みを浮かべた顔をこちらに向けて話す。
その光景に、鳥肌が立ち始めるドリジャ。
ドリジャ 「ぁ…ぁ…!」
刹那、ドリジャに尋常ではない恐怖心が襲う、さっきのヒシミラクルの時とはレベルの違う、もっと恐ろしいモノが…
その場でへたり込むドリジャ。
起き上がる力が全く湧かず、不思議とゼンノロブロイから目線を外すことができない。
息が荒くなり始め、視界がぼやけてくる。
「ハァ……ハァ……、……う…!?」
突然心臓に激痛が走る。
「がァッ…!?」
そのまま仰向けに倒れ、手で心臓を抑えつける。
「ァッ……ッ……!」
視界はぼやけ、いつのまにか汗も引き、やがてドリジャの意識が飛んだ……。
その瞬間にドリジャが見たのは、金髪のウマ娘がこちらを覗き込む姿だった……。
「ッッッ!!」
ガバ…!
目が覚めるとswapジャーニーの家のソファで寝かされていた。
「……!?」
周囲を見渡すと、机の上にエナドリが置いてあり、置き手紙には大きく「飲め」と書かれていた。
立ち上がって飲みに向かう。
ゴク…ゴク…!
「……」
ガチャ…!
swapジャーニー 「おっ、目覚めたな!」
ドリジャ 「あ…swapジャーニーさん…私は一体…」
swapジャーニー 「そこに座れ!」
ドリジャ 「え…?」
swapジャーニーのいつもより荒げた声に、少し驚くドリジャ。
とりあえずソファに座る。
swapジャーニー 「貴様は何をしているんだ、熱中症でぶっ倒れるなど情けない…余と同じ姿をしているからには、外部の連中に迷惑をかけるでない!余の評判が下がるだろう!」
ドリジャ 「……面目ありません…、誰が、私のことを助けてくれたんですか…?」
swapジャーニー 「渡し守のヤツだ、貴様が中々戻ってこないと、ホットランドに上がっていったら、十字路で貴様が倒れているのを見つけたそうだ。」
「一体何があったんだ?」
ドリジャ 「それは……」
ここであの時体験した事を、話してもいいのでしょうか、何か良くない気がします…
「ちょっと…探険をしに…」
swapジャーニー 「バ鹿者!あんな格好でホットランドをうろつくヤツがあるか!」
ドリジャ 「ええ…返す言葉もありません…。」
swapジャーニー 「全く…、…もし探険がしたいのなら、今度は余に声をかけるといい、案内くらいならできるからな!」
ドリジャ 「ええ…。」
swapジャーニー 「ひとまずはゆっくり休め、水分補給も忘れずにな!」
ドリジャ 「はい…」
ドリジャの中には違和感があった、私が倒れたのはRIGHTの2階なのに、タキオンさんが私を見つけたのはあの十字路…誰かが私のことをそこまで運んでくれた…?……もしかしたら、最後に見たあの金髪のウマ娘が私の事を…では彼女の正体は一体……
考えても仕方がないので、この事は一旦忘れる事にしたドリジャだった……
163回目のGルートは確立されました
2025年8月8日の夕方、元競走馬のグラスワンダーが多臓器不全でお亡くなりになりました…ここまで生きてくれてありがとう、それしか言葉が思いつかない…どうか、安らかに…。