とラぶラックキャット   作:那覇ダイア

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独自設定の調整とかやってたらちょっと時間かかりました(大体あの男登場周り)


#27.渇望される宇宙猫

 

 

 

 

 

 鉄の臭い。錆びた臭い。タンパク質の臭い。どれも鼻をつく、腐った()()()()()が周囲の大気に充満していた。

 かつてとある組織の研究施設だったこの場所含めた一帯は、今やむき出しの配管や割れたガラス片のようなものが散らばる廃墟となり果てている。

 本来ならば解体して土地を再利用されていそうなものだが、あえてそのままなのは()()()()のためか。読闇にちかちかと、辛うじて通っている電源が点滅している。

 

 数週間前、組織(クロロス)()の暗殺者がこの地を蹂躙してから、施設自体はそのまま放置されていた。

 

 その施設の地下────薄暗い()()()()()()()やら工作機のようなものやら、未だ施設の設備が稼働しているらしいこの部屋で、()()()()はベッドに眠る少女を見ていた。

 わずかに照らされる床のように青白い肌。肩で息をしており、その肌色に対して顔は赤らんでいる。長い赤毛を振り乱す少女の顔や腕に、幾何学模様の光の線が走っては消えてを繰り返していた。

 

「調子はどうだ?」

 

 黒い少女は、肩をすくめて問いかける。子供を見守る様な声音だが、同時にどこか乾いた響きがあった。

 赤毛の少女は、震えながら彼女を見る。

 

「マスター ……、あつい、…………、胸の、ここが、ぐるんぐるんして……、変な感じ……」

「理性は飛んでいないが、やはり出力が強すぎたか。……だが培養ポッドの外でお前を安定活動させるためには、やはり必要な措置だからな。そこは諦めろ」

 

 幼い赤毛の少女の声は、どこか()()()ものであった。

 熱に浮かされたような、快楽に身を任せているような。

 そんな彼女の頭に手をやり、黒い少女はため息をつく。

 

「良いか? メア。お前に移植したそのナノマシン生成疑似臓器『リリス』は、プロジェクト・イヴの副産物の一つ。十三番目の黒猫(クロ・サーティーン)によって()()()()()プロトタイプ・リリスの()()から摘出してきたものだ。

 第二世代変身(トランス)兵器の成功例であるリリスの能力は、基礎的な性能面でイヴ(初期型)のそれを上回るだろう。だが同時に……、常にNS剤を投与され続けたリリスは、狂っていた。あのイヴにすら会話を試みた殺し屋クロが、即断即決で抹殺にかかるくらいには常軌を逸していた」

「……ぅぇ?」

「それを移植されたお前は培養ポッドや回復ポッドの外でも安定した活動が出来るが、同時に常に()()()()()()()ということだ。後付けだから精神的に発狂はしないが、より本能が刺激される」

「………………マス、ター?」

「あー、駄目か。まあつまり、()()になると思っておけ。色々と」

「わからないけど、それって多分…………、素敵♪」

「そうか」

 

 素敵とかお前そんなこと言う性格だったか? と、赤毛の少女の赤らんだ顔はどこか恍惚に歪んでいる。

 早くも移植した物品の悪影響らしきものが見て取れているが、黒い少女は「まあ外界で活動中に細胞が泡になって崩れるよりマシか」などと不穏なことを言いつつ、その全身を黒い靄のようなもので包み揺らめかせる。

 

「マスター ……、リリスは、イヴお姉ちゃんの、妹?」

「……そうとも言えるし、そうでもないとも言えるだろうな。どちらかと言えば、お前がリリスの妹にあたるだろうが」

「リリス、お姉ちゃん……?」

「ああ。

 しかし────」

 

 

 

「────古代の叡智が作り上げし()()()()から生まれたイヴと、現代の叡智が生み出した()()()()から生まれたリリスだ。果たして()()()はどちらを選ぶのやら」

 

 

 

 意味深なことを言う黒い少女は、「よくわからないけど、きっと素敵……!」とやはりどこか気持ちよさそうに表情を蕩けさせ、ぼんやりと呟く少女を一瞥し。

 本当に大丈夫だよなコイツと何度も何度も確認しながら、その姿を消した。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 組織(クロロス)みてーな規模の組織の場合、支部一つ置く場所にも色々と気を遣うことになる。

 一部関係者にはほぼ筒抜けみてーになってるとはいえ、その組織自体がデビルーク星の現王族の意志一つで動いてるっつー状況にあるのは、対外的に色々問題だ。

 より物騒なCIAみたいなものだと考えれば、どれくらい外聞が悪いかと言うのもなんとなくわかるんじゃねーかね。

 何かあったら尋常じゃない戦力でぶっ殺される、というのを。

 一つの謎の組織じゃなく国が有してるっつーことが、いかに恐ろしいのかを。

 

 まあデビルークに限って言えば、俺達裏方以上に表の側の連中がぶっ壊れてるっつー問題もあるっちゃあるんだが。

 具体例を挙げると、筆頭はセフィリアの旦那であるギド・ルシオン・デビルーク。

 最近ようやく()()()()()()()()()()とかセフィリアが愚痴ってたが、ま、そういうことだ。

 具体的な表現は今は避けるが、単独でドラゴ○ボールみてーな戦闘をこなせる超人を超えた超人が治めてる国がデビルークな訳で。

 

 戦力的に過剰なまでのパワーを持っているのと並行して、()()()()()過剰なまでのパワーを持っているとなれば、現時点での銀河連邦国家群におけるデビルークへの畏怖は、ただの恐怖に変わるだろう。

 だからこそ、工作員を派遣してそういうのが露見しないようにはしている。

 かと思えば噂話程度にはちらほら一部は聞こえる様には調整したりして、国々の軍隊や裏社会とのバランスをとり、綱渡りしてるのが現在の俺達の立場だ。

 

 そんな俺達が緊急招集をかけられる場所っつーのも、それなりに「対外的な」気の使われ方をしていた。

 例えばそれは今俺がいる、デビルーク星系のとある惑星の学術都市とか。

 色々な人種の異星人が行ったり来たりと大忙し。研究員もいれば学生もいるし、企業人もいれば記者もいたりと、それなりに人を隠すのに向いている。

 俺もまあ、別に勉強しに来たとか調べものしに来たとか、そういう話じゃねぇ。

 組織(クロロス)の支部の一つがここにあるからだ。

 もっと言うと、()()()()セフィリアの都合がついた場所がこの惑星だったっていうのも理由にはなるだろうが……。

 

 本日の俺は、いわゆる緊急招集というか、事情聴取をされていた。

 茶髪リンスに関係する情報記録媒体の回収任務とは別に、以前にオーダーされていたナノテク兵器の破壊あるいは抹殺。

 その任務の失敗についての、()()()()()()()()()()()()()()

 つまりはイヴを生きて逃していたという情報が、正しくあっちにも回ったっつーことだ。

 ジェノスの方は「先日はどうも」とニヤリと、特に何の感想も悪感情もなさそうに笑っていた。

 実際、その表情や振る舞いに嘘偽りはないだろう。そういう(にお)いはしなかった。

 戦闘後も1週間くらい経っちゃいるが、こそこそ隠れて茶髪リンス(ミカド)の方に世話になりに行ったりと、以前俺がサヤを届けたみてーな理由で、組織の側に俺達の戦闘という事情を悟らせまいと言う意思を感じる。

 その上で情報が集まったのだとすれば、まあ、やっぱり組織(クロロス)のエージェントは優秀だっつーことだろ。

 もっとも、そのことに関しちゃ俺も色々と()()()方法はあるっちゃあるんだが。

 

 で現在。

 惑星表面にある巨大なクレーターに作られている人工都市で、いくつもあるビルの一つの廊下を歩いている。

 聞き取りと言うか査問というか尋問と言うか事情聴取というか、色々終わって疲れたまま、これからセフィリアと対面しに行こうっつー最中だ。

 窓の外の青空が、ここ最近はコロニー暮らしだったもんで久々すぎて泣けてくる。

 最後に見たのはステーションから引っ越す直前だったしなあ……。可燃ガスの臭いが懐かしい。

 ちなみにこの惑星は、なんとなく全体的にピーナッツみてーな匂いがうっすらしているんだが、何なんだろうなこれ。

  

「惑星自体はサヤも『せっかくだから遊びについていくっスよ!』とか言って一緒に来てたし、早い所面倒事は片づけて、合流して飯でもくうかね…………」

 

 

 

「────こんな所で会うとは奇遇だな、十三番(サーティーン)。いや、あるいは運命だろうか。やはり超クロノ人(クロノ・スパルタン)の血は惹かれ合うということか」

 

 

 

 うげ、と思わず顔をしかめ。

 色々な事情から無視する訳にもいかない相手だからこそ、半眼になりながら俺は後方を振り返った。

 

 見た目だけは若い、()()()()()の長髪の男。

 隠れた片目を含めた瞳は赤く、その鮮烈さと印象深さはセフィリアの桃色を思わせる。

 耳はエルフェン人みてーに尖ってて、見た目もエルフェン人みてーに随分若々しい。

 ただどうしようもない不健康そうな肌の色だけは、どうにも誤魔化せないらしかった。

 

「……ヴァルタザールのオッサン」

「オッサンと呼ばれる年齢ではないのだがね。セフィリアと同じく、超クロノ人(クロノ・スパルタン)であるのならば」

  

 車椅子に乗せられ、背後の子供に押してもらいながら。

 組織(クロロス)が誇るオリハルコンに関係する部署大半の責任者を兼任するこの男、ヴァルタザール・ルシオンは俺に微笑んだ。

 所属は長老会側。俺やジェノス、バルドルとかそういったあたりと違って、実働部隊ではなく組織運営側の人間だ。

 ちなみにセフィリアとかベルゼーとかは、表の身分が身分なこともあって半々くらいの所属になってる。

 

 …………でこのオッサンの笑い方の感じが妙にイカれてる頃のクリードを思わせる感じで、ただあっちよりもっとジメジメしてるっつーか、もっと陰湿な感じがするので俺はこのオッサンが苦手だった。

 いや、ことあるごとに種族マウントみてーなのをかましてくるっつーのもあるんだけどな。

 基本的に性格が悪いタイプの職人みてーなもんだ、このオッサン。

 

「なぁにが(ちょう)クロノ(じん)だっつーの。(スーパー)サ○ヤ人のパクリかってんだ」

「その返しの意図はわからないが、貴様も他人事ではないぞサーティーン。いずれお前もまた、超クロノ人(クロノ・スパルタン)へと覚醒する時がくるだろう。そうなれば私はお前の先達ということになる」

「ならねーっつの!」

 

 資産家ボンボンの会社潰すタイプな父親と、そんな父親とフツーに恋愛結婚したらしいどっかの名家の母親の間に生まれた俺だが。

 別に種族的に特殊だとか、そんな話は一切聞いたことが無い。

 種族として身体能力に秀でちゃいるが、銀河レベルで見ても別に取り立てて騒ぐほどの差異がある訳でもないのだ。

 ……その後のギド公地獄のしごきは考えないものとするが。

 

 そんな俺の内心を見透かしてか、相変わらず嫌な笑いを浮かべるヴァルタザール。

 どうでもいいけど、その後ろにいる子供も苦笑いしてんぞ。大丈夫か色々……。

 

「焦ることではないが、何度も言っているだろう────貴様はギド・ルシオン・デビルークによって()()()()()()()。そして、あの改造に耐えきったことこそ、貴様が超クロノ人(クロノ・スパルタン)の血を引く何よりの証だと」

 

 超クロノ人、超クロノ人うるせぇんだよなあさっきから……。

 いや、クロノ・スパルタンっつー音も認識は出来ちゃいるんだが、翻訳の都合か超クロノ人っつーフレーズが耳に入ってくるものだから、前世に目覚めた現在の俺からすりゃ鼻で笑っちまうような中途半端なパクリネーミングに聞こえてくる。

 

 ヴァルタザール・()()()()

 ルシオンっていうのはアレだ。ギド・ルシオン・デビルークのあのルシオンだ。

 ただこの場合のルシオンっつーのは、セフィリアの昔の本名であるところのセフィ・ミカエラのそれと同様の意味合いを持つ。

 つまり、コイツの出身がクロノ星系であるっつーこと。

 セフィリア……セフィ・ミカエラがチャーム人と呼ばれる希少種族であったように、この男もヘイスト人という希少種族の一人っつーことだ。

 で、コイツがさっきから言ってる超クロノ人ってやつだが…………。

 

「今時そんなおとぎ話語られてもって話だ。()()()()()()気取って自分こそが宇宙に覇を唱えるべきとか、変なクスリでもやってんじゃねーのか?」

「やはり理解はできないか、私の崇高な目的が」

 

 何が崇高な目的だよ。ぶっちゃけ、()()()俺の目から見ても色々と丸わかりだったっつーの、その真の目的っつーのが何か。

 

 超クロノ人(クロノ・スパルタン)は、かつて銀河を支配していた「時の文明」を築いた支配者。

 ナノテクやらオリハルコンやらの運用やらにその影が見え隠れし、各宇宙の伝説にもそれとなく残っている。

 クロノ星系の名の由来であり、現在は()()()()種族。

 尊敬と崇拝や畏怖を込めて、人々は彼らを超クロノ人と呼ぶ。

 要はこの場合の超っつーのは、大○○(なになに)とか聖○○(なになに)みてーな称号のような呼びならわしっつー訳だ。

 現代語で意訳して言えばそういう字を充てることになる。

 まあ、俺の立場から見ればだいぶアレなネーミングなんだが、それでも「クロノ・スパルタン」という音自体は宇宙の神話の類の話で普通に聞くのだから、その影響度っつーか、支配度の広さ大きさをうかがわせる。なんなら原作的にもクロノスって音も入っちまってるし。

 

 ある意味それは今のデビルークやクロロスに近く。

 そしてある意味で、その血もまたデビルークを中心として受け継がれている。

 

 宇宙の支配者としては滅亡した超クロノ人(クロノ・スパルタン)だが、クロノ星系自体は残っている。ほぼ資源が食いつくされ荒廃したその宇宙にも、生物は生きているし、異星人も残ってはいた。

 それらが、俗に言う希少種族っつーのの一端を担っている。

 

 それはセフィリア(セフィ・ミカエラ)のチャーム人であり。

 また、ヴァルタザール・ルシオンのヘイスト人しかりだ。

 

 名前的には現デビルーク王家もギド・()()()()・デビルークって名前とかからしてクロノ星系の血は引いちゃいるんだろうが。

 ま、色々言ってるヴァルタザールでさえエルフェン星系とのクォーターとかその辺らしいので、純粋なクロノ星系の人種なんざもうほぼゼロだろう。

 

 つまり絵に描いた餅どころの騒ぎですらないんだが……。

 

「それでも何度でも言おう。貴様も、私も、そしてセフィリアも。全員がこの宇宙を支配するに足る超クロノ人(クロノ・スパルタン)なのだ。断じてデビルーク王やここの長老会などに支配される側に回っていて良い存在ではないのだ」

 

 ギド王だって超クロノ人の血は引いてるだろとか色々言いたいことはあるが、まあ、無粋だな。

 以前の俺は面倒くさくてそれ以上の話を聞くことを無視していたが、今はちょっとだけ違う。

 ヴァルタザールの声音にある熱が、一体何に根差しているものなのかを察してしまった。

 

 こんな組織の往来で、反組織なことを言っても()()()()()()()からこそギドに舐められ、見逃されているこの男が。

 

「セフィリアとてそこまでくれば、あの男などではなく私の(もと)につくだろう。銀河の未来は、すぐ目の前に迫っている」

 

 その真情の全てが、セフィリアへの偏った執着……、恋愛感情に根差していそうなことを。

 

 だぁからお前は超クロノ人じゃねぇんだって。確かアレだろ? チャーム人の異性魅了能力みてーなのにも対抗できるんだろ? だってのにこんな年代になってまで初恋拗らせる様なことは、プライドの高いこの男的にはしていないだろうし……。

 というわけで、セフィリアの魅了にまんまと引っ掛かってる時点で、本人が言うほどのことは為せないだろうと。

 

「ジジィ共の小言もキツいが、アンタのそれもウンザリなんだけどよ」

「真の力と永遠なる命……、超クロノ人(クロノ・スパルタン)となることで得られるそれらを捨てると言うのか?」

「滅んでるじゃねーか、超クロノ人」

「いいや。大いなる時のゆりかごで夢を見、時が動き出すのを待つと。彼らの碑文にはそう残されている。故にこそ彼らの同胞として、その眠りを解き放つのは、私と、セフィリアと、そして貴様なのだ!」

 

 野暮とは言えいい加減鬱陶しいからどうしたものかと思っていれば、ゲホゲホと急に咳込むヴァルタザール。

 咳込み方尋常じゃない……、明らかに呼吸器官の奥底から、血でも吐き出しそうな勢いの猛烈な咳。

 駆け寄る程の義理は無いが、もしそのまま倒れたら救急搬送手伝うくらいの付き合いはある。

 

 と、車椅子を押していた子供が「ダメじゃないですか、お父様」と苦笑い。

 

「ヘイスト人の血が強く出ているお父様は、精神エネルギー(サイオン)が高まると簡単に心臓に負担がいくって、先生たちも言っていたじゃないですか」

「黙れ黙れ! 愚かだ、嗚呼愚かだ貴様は“十三番目の黒猫(クロ・サーティーン)”! 長老会の老人どもよりも……、ギド・デビルークなどを選んだあのセフィリアよりも!」

 

 絶対最後のが本音だろうと半眼で見てやるが、殺気は別に乗せはしない。

 言いたいことは最後まで言えと、まあ、鬱陶しいなりに少し同情したのかもしれない。

 

「貴様ほどの生命エネルギーと、精神エネルギーとを、若さを! ただ徒に浪費するなど、それだけで一体いくつの血がこの世界の未来で流れるのだと思っている!」

「…………」

「それが、それが私にあるなら────このような()()()()にむしばまれた身体でなければ、おのれ、おのれぇぇ…………ッ」

 

 それだけ言うと、ヴァルタザールは苦悶に表情を歪めて、車椅子に深く腰掛けて視線を落とした。

 目を閉じ、規則的に呼吸を繰り返している。

 そんな彼の髪を整えてから、すみませんと子供が俺に言ってきた。

 

「ごめんなさい、お父様はその……、自分にも人にも厳しい人なので」

「フォローとしちゃ頓珍漢(色々と変)だぜ、ボーズ」

「あれ? そう、かなあ……」

 

 黄緑色の髪に、赤い目。

 西遊記の孫悟空とかが着けてそうな金色のリングを額に巻いていて、ダボついてるシャツ姿がちょっと愛らしい。

 ただ目つきとか顔立ちはヴァルタザールを父というだけあるのか、アイツみたいにだいぶ生意気そうな感じだ。

 こっちもこっちでプライドが高そうというか。

 

「初めて見るな、お前」

「あ、そうですか? えっと、一応拾われ子なんですけど……、お父様には良くしてもらってます」

 

 まあ、俺の偏見かどうかはわからねーが。

 とりあえず応対はヴァルタザールみてーに色々極まった感じじゃなく、普通にできるらしい。

 少し雑談して見れば、どうやらヴァルタザールの補助としてオリハルコンについて学んでおり、何かあったら後任になれるよう教育を受けているのだとか。

 

「遅すぎねぇか? そういうのやりだすの」

「その、気位(プライド)が高い方なので……。あんまり早期にやらせようとしたら、もう自分はお払い箱かって拗ねて全然引き継ぎませんし、お父様」

 

 辛辣と言うなかれ、実際そういう感じの嫌なオッサンだ。そこのヴァルタザールは。

 思わず苦笑いする俺と一緒に、肩をすくめる少年。

 気が合うかどうかはわからねーが、ヴァルタザールよりよっぽどとっつきやすい感じだった。

 

「僕はアダム。アダム・ルシオンです。どうぞよろしく、殺し屋クロさん」

 

 そういって手を差し出して来た少年────アダムに、その手を握らず手を振って俺は背を向けた。

 

 こんな()()()()()にまみれた手なんざ、握るもんじゃねえと。

 俺の応答を聞いて、そうですかとアダムは少し残念そうな声音だった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 そしてセフィリアとの待ち合わせ先……、アコー人がやってる高級料亭、大体竹の筒に水溜めてかぽーんとかいうのが庭にある感じの和風の旅館みてーなところで。

 

「うぇ……、よくトレイン君生きてたっスね。というか、止めなかったんです? セフィリアさん」

「実際止めたのだけれども、あの人ったら…………『このくらい出来なきゃ戦争末期にガキ一人、簡単に吹き飛んじまうような儚い命だ。生かすも殺すも拾った側の育て方次第だぜ?』とか言って。

 だからって回復ポットがなかったら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にさらし続けさせてたなんて、全部終わってから知った私が言っても説得力はないわよね……」

「う、うーん、コメント拒否するっス」

「皆、私のためならどんな汚れ役でも買ってくれるっていう風に率先して動いてるところがあるから、私にそんな血なまぐさいところは見せたくないって言って……。

 やはり罪……、美しさって罪……!」

 

 あはは、と困惑した感じの、こう、大正時代くらいの女学生って言ったら良いか? ちょっと巫女さんみてーな感じの和装っぽい服(※厳密には服の止め方など和装じゃない)して、苦笑いしてるサヤと。

 組織(クロロス)の特務部隊ナンバー1としての服でなく、お忍びなのか顔面をサンバイザーみてーなのでだいぶ隠してる、これまた女学生みてーな恰好したセフィリアが、一緒にお茶してた。 

 

 何やってんだよと部屋の入口で頭を抱えてると、こっちに気付いたのかサヤが「トレインくーん!」とか手を振って呼んで来るし。

 いやお前さぁ……、まあ後で合流する手間は省けたろうけど、一体何話してたンだよ本当…………。

 

 

 

 

 


 

Q.リリス?

A.本作では、イヴクローンをベースとした量産型の生体兵器。既にトレインに殺害されているものの、そのナノマシン製造器官はネメシスがメアに移植してパワーアップと安定化を図った感じ。

 

Q.ヴァルタザール? アダム?

A.ヴァルタザールはリリスに続いてプレステのゲームから、アダムはアニメ版黒猫から。まあ、色々とお察しな感じで……

 

Q.本作宇宙史に関して、後 超クロノ人

A.そのうちメアが番外編やるかもですが、全体的なニュアンスはヘイ□ー(X箱)とかをちょっと参考にしてます。超クロノ人(クロノ・スパルタン)は要は人類がいなかった頃のフォアラ○ナー的な何か(あと黒猫的に「クロノス」という読みを入れたかった)

 

 

 

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