とラぶラックキャット 作:那覇ダイア
以前は100パーそうだったんだが、活動範囲が銀河系を股に掛けるようになってからは
これの何が囮かっていうと、俺達
その依頼の裏どりをエージェントが行い、銀河系に悪影響と見れば組織から正式なオーダーになることもある。
逆に、その依頼人が危険と判断されれば、他のエージェントがその依頼者の関係者を潰す。
また、逆に
ただまあ、必ずしもそういうのばっかりじゃないってことも、時にはある。
例えば命令違反して、現場に行かなかった時とか。
『────
「……
ステーション、多数のコンテナが積まれた湾岸洪
電子音がかってるから、おそらく遠隔でドローンでも飛ばしてるんだろう。
会話の主は、いわゆるナンバー・ツー。
『何故召喚を無視した? 珍しいこともあるものだが……、む? どうした、その顔は』
「………‥いや、別に?」
『そ、そうか。……まあ良い。
そして、次の任務だ。こちらは緊急になる。デビルーク第四人工衛星、今度こそしっかり来るように』
「そりゃ、有難い申し出で。…………あー、それはそうと、近々セフィリアに面会、申し込めないか聞いてくれないか?」
『? つくづく珍しいこともあるな。……アポイントメントはそのうち取れるだろうが、何か任務で不都合でもあっただろうか』
「いんや、個人的な都合。ちょっと、
『…………?』
おそらくカメラ付きドローンなんだろう、その映像越しに困惑してるらしいベルゼーに苦笑いして、俺は足を進めた。
……紅葉のお手々な感じでまっかに腫れた頬を撫でながら。
音もないが、なんとなく鉄臭さが遠のいていく。
ドローンが去ったのを察して、俺はコートの無いジャケット姿のまま肩をすくめた。
何で頬が腫れてるかって、経緯は簡単だ。
雑に言うとサヤにぶっ飛ばされた。
これだけだと意味が解らねーから、もうちょっと整理しよう。
つい先ほど……、賞金首二名に追い詰められてたサヤを助けに入ったところから、簡単に回想する。
『そっちは任せたぜ、オッサン!』
『だから俺は二十代で、紳士だッ!』
プレタ・グールの方に攻撃をし続ける俺と、ディーク・スラスキーの方にアタッシュケース的な何かを変形させて立ち向かうオッサン賞金稼ぎ────おそらくはブラックキャットでいうスヴェンだろう、その相手。
サヤとバッティングしたお陰でしっかり潜んでいたものだから、俺が殴り込み駆けて状況を変え、ひょこっと顔が出たところで注意をそっちに引きつけさせる。
強制的に舞台に上げて煽ってやれば、こうなりゃヤケだとばかりに破れかぶれでも参戦してくる思い切りの良さは、まあ、スヴェンらしいっちゃスヴェンらしい。
伊達にブラックキャット原作でトレインの相棒をはってる相手ではない……、今の俺ではたぶん
さて、サヤもさるもの引っ掻くもの。
当然のように自分を拘束している両手両足の氷については、何かしら対策してたのか。
俺とスヴェンが戦ってる間に「パキン」と音を立てて氷が砕け。
『はーい二人とも、ちょっと避けて~!』
軽い調子で言いながら、
前者は片手が自分の顔にくっついちまって、ありゃ根本的な細胞治療でもさせてもらえないと相当ひどいことになってそうだ。手から出た腐蝕液がどんな効果を及ぼすかなんざ見たくもないところ。
後者は単純に、魔法を使うのには両手が自由じゃないといけないってところに、思いっきり崩れたコンテナの外壁やら中身やらがぶちまけられて圧し掛かり、身動きとれなくなっちまってる状態。その上で「ちょいさ!」とか言ってサヤに頭蹴っ飛ばされて気絶させられてるから、もう反抗のしようはないだろう。
予想外だったのはプレタ・グールの方だ。
苦し紛れにとまあ、いきなりバカみたいな腐蝕液の固まりの……何だ? 元気玉? みてーのを作り出したと思えば、適当にぶん投げやがった。
方向としちゃスヴェンよりサヤの方に近いし、スヴェンの紳士服は何か色々仕込みがありそうだったが、サヤの方はもうボロボロで防御力なんざほぼゼロだ。
咄嗟に
その切り札、残り5つしかないうちの1つのとある弾丸を使って、サヤに迫る腐蝕液の球を「分子構造から」粉砕した。
液体なのに粉砕、という表現を使うのが正しいかは怪しいが……、セフィリアは確か、生物であれ無生物であれ原子レベルで砕いていく武器だと、そんなことを言っていたか。
とはいえ、銃撃後即、崩壊ってことにはならない。
俺も組織に拾われてコードネームを与えられた頃、
そのあたりの感覚はまだ覚えてるから、あのままだと球が完全に崩壊するよりも先にサヤに着弾するのは目に見えていた。
だから出来る限り急いで、先回りして、サヤを庇うようにして防いだつもり、だったんだが…………。
『熱……ッ、だ、大丈夫か?』
『は…………、ぅ?』
『────えっ?』
左腕を前に突き出して、コートでギリギリ庇いはしたが、液自体が飛び散るのを完全には防げなかった。
不幸中の幸いとして、サヤの身体を融かす程の性質は既に持っちゃいなかったようだったが……。
まあ、要は溶けた。服が。
肩のあたり腰のあたりを中心にあらまー見事に溶けて、引っ掛かりがなくなった衣服は当然のようにずるりと落ちる。
俺が立ちはだかる形になったからスヴェンとか後ろの賞金首たちには見えなかったろうが、つまり俺には色々とガッツリと丸見えになってる訳で……。
『く、くく、クロネコ君のえっちッ!』
『そげブッ!?』
「どこの
まあ、羞恥で乱心したサヤのビンタ一発は、そりゃ中々堪えはしたが。
普通にその後正気に戻って、流石にほぼ全裸のままは拙いからと俺もコートを貸して。
スヴェンも交えて三者、件の連中の引き渡しをして、後日振り込みって流れになったらしい。
何つーか、スヴェンの奴が終始「えぇ……?」って感じで困惑した
……で、絶賛
いや、ほら、だって普通そうじゃん?
いくら相手が「庇ってくれてアリガト……」とか正気に戻って言ってくれたとしても、視線逸らしながら何とも言えない感じの声音でどっちもどっちだとそりゃー、まー、な?
極端に嫌われたって訳でもないだろうが(ある意味奇跡だ)、んー、少し時間を置きたいモンだ。
だから、ベルゼーからの緊急の依頼っつーのもあながち悪い話じゃない。
渡りに船ではあった。
屋上の白猫は何だかんだあいつが面倒みてくれるだろうし、数日空けたところで大した問題にはならねぇ。
そう、タカをくくってたんだがなぁ……。
※ ※ ※
「血……。血の、
「………………そうか。奇遇だな、
まあ、そんな訳で数日後。
どっかで見覚えのある(※ブラックキャット的な意味で)金髪黒服な小さい女の子相手に、ハーディスを突き付ける羽目になってんのかね?
椅子に座って、壊れたネックレスみてーなおもちゃを弄って、ぼうっとしていた彼女は。
目の前に突きつけられる
繰り返すが、何でこんな羽目になってんのやら。
いや、原因も何もかもわかっちゃいる。
例の緊急任務とやらだ。
もともと
『統一戦争からそんな経っちゃいねーってのに、世知辛いねぇ』
もともと
だから
組織関係者にも大概伏せられてるような話ではあるが、一応、気に留めておくべき内容かもしれねぇ。
以前の俺ならどうでも良いと流してそうだが、生憎今の俺としては、周辺情報を全く知らないで、下手な手違いがあった時とかの方が怖い。
さて。
オーダーとしては、現在の研究施設の関連設備および資料の破壊。場合によっては研究員の抹殺と────
いやもうこの段階で嫌ーな予感はしたんだよなぁ……。
実際、いの一番に衛星内にある屋敷に顔出してみれば、ドンピシャで出てきたのこの
ブラックキャットにおけるイヴって言ったら、大人二人の凸凹コンビに追加された清涼剤たる何でもあり系の美少女キャラ。「主人公と言う意味での」ヒロインとして、そりゃもう大変人気があったことは察するくらいに可愛いのなんの、格好良いのなんの。
ただ、俺自身はこのイヴを原作のイヴそのものと過信はしないし、そもそも初期のイヴって結構危うい場面があったと思ってる。
自我が薄いというか、そういう風に育てられていたから当たり前なんだろうが……、ちょっとした手違いがあったら殺人兵器になってても、何ら不思議はなかったろう存在。それがイヴだ。
こんなあどけない顔で俺を見て来る彼女に、どうしたもんかねぇと。
とりあえず仕事だからとハーディス突き付けてはみたが、こっから先はノープラン。
そうしてしばらく固まってると、都合が良いのか悪いのか……。
「止めろ! その子を撃つんじゃねェ!」
「…………また会ったな、オッサン」
「いやだから
そこ重要なのか? と思わずツッコミを入れたくなるような物言いをするのは、白い紳士服に眼帯、帽子といやまーこれだけ連続で顔合わせてりゃ変な気分にもなるスヴェンだ。
隣には金髪の女がいて……、いや
「お前の事情はわからないが、そんな小さい子にまで銃、向けるのか! 少しはあの賞金稼ぎ庇ったの見て、見直したってのによッ」
「お願い! その子を……、
スヴェンは相変わらずだが、女の物言いがよくわからねぇな。
ここまでブラックキャットな面子の揃い方を見ると、おおかたあの美人さんはリンスレット・ウォーカーっつー
ぶっちゃけ原作でも初登場時、リンスは簡単に変装して出てきてたからこっちでもそうであって不思議はないんだが、どうにも違和感がある。
それはそうと、せっかくだし俺はスヴェンの側の情報収集を試みた。
「悪いが仕事なんでね。銀河連邦の統一性を守るため~、とからしいぞ」
「女の子の命一つが、そんな大それた話になるかッ!」
「オイオイ、何も聞かないで連れてこられたとかじゃねーよなァ……。な、そっちの
「…………ッ」
視線を振ってみれば、どこか痛みをこらえるような表情っつーか…………、やっぱりリンスレットっぽく無ぇな。
原作的には、あんまりセンチメンタルっつーより男前な感じが強かったし。演技でやってるような
イヴに親戚……、ティアーユ博士の血縁者か、関係者?
少し思案してると、「あっちは血のにおい、しない」とかイヴが言うのに、思わず苦笑いが浮かぶ。
そんな俺の方を見てスヴェンは、何故か、少し居心地の悪そうな顔をしていた。
「わかってんのか。実験途中なんだろうがもう、
「……それでも、
「…………」
スヴェンの視線が少しだけ鋭くなったが、特に気にせず肩をすくめてやる。
「子供にも銃を向けんのか、とか言ったな。……正直言えば、苦手だ」
「……は?」
「子供は得意じゃねーからな。でも捨て置くにしても色々と────」
「──────そこまでだ」
ンでもって、そうこう楽しく(?)おしゃべりしてたら、どー見てもサイボーグ改造されたとみられる兵士たちと、ここのお偉方っぽい連中が何人か…………、奥のあのメガネ野郎、星の使徒のドクターじゃね? あれ?
いや、そんなことはさておいて。まあ多少のやりとりはあったが、スヴェンが機転を利かせて閃光手榴弾みてぇのを爆破。
そのままリンスレット? をかついで走っていて、俺は俺でハーディスサイボーグ連中の「首の継ぎ目」を狙撃。下手に殺すと、それはそれで相手がこっちの脅威度を高く見積もりすぎて追っ手が面倒そうだし、「じわじわ死ぬ」程度、つまりはサイボーグ基準で微妙な致命傷を負わせておくことにした。
唯一誤算だったのは、お偉方の中では若い男……眼鏡に白衣姿の奴だった。
牽制にハーディスで周囲の物を狙撃した去り際、遮光処理が施されてるのか黒ずんだレンズになった眼鏡越しに、男はこっちに拳銃を向けていた。
その程度簡単に躱せる話だから、本来なら大した問題にはならなかったはずなんだが……、銃口がイヴの方を向いていたせいか、思わずとっさに庇っちまった。
結果として被弾した俺は、
流石に接戦となるとオートパイロットじゃ太刀打ちは難しいし、何なら左腕はずっと銃創のせいで熱を持って、時間もないせいで治療さえできない。
しかも間が悪いことに、どんどんその熱が全身に伝播していく始末。
一応、脱出艇ポットを使ってステーションまでは戻ったんだが、拠点まで戻る体力もない。
だから路地裏で転がって、そのまま死にかけるって馬鹿みたいな話ではあったんだが……。
なんとなく展開に覚えがあるなと思った頃に、アイツは来た。
「…………クロネコ、くん?」
「…………サ、ヤ……っ」
傷自体は大したことないくせに、全身を犯す様に強烈な熱が走って、俺の意識が持ったのはそこまでで。
「…………えっ?」
「すぅ……、すぅ……」
次に気が付いた時、俺は何故か全裸で。
俺の横には、さらしとふんどしっぽい下着を着たサヤが一緒のベッドで寝ていて。
ついでに言うと、俺の身体は何故か縮んでいた。
コナ〇くんばりの、突然な幼児化みたいなことが俺の身体に起こっていた。
「……つーか声もコナ〇じゃねぇか!? 一体何があったっ」
「うにゅ……、あっ、
「起きたんだ、じゃねェよ!? 何だよこれ!」
「おーおー、小さいトレイン君可愛いなぁ……」
というか一緒に寝てるのも色々ツッコミどころはあるんだが。
何でお前、俺の本名知ってるんだよ……それだけは本当、意味わからないぞ。
セフィ「そうなのよ~、元々私の旦那様のために、その筋の癒着とかあるところから四人だけ御老公ってことで選抜してね? で、引き締め役ってやっぱり必要だと思うから、表でも裏でも私が……って、ハッ!? いけない、これ機密だったわ……!」
クロ「大丈夫かこの王妃様よぉ……」
セフィ「だ、だって、あなたって若い頃のギドにちょっと似てるし……」
クロ「名前出すな、名前」
Q.(ガン見)とらぶった?
A.(ガン見)とらぶった。流石に予想外だったので硬直してた。ToLOVEる 基準でいうと、新井紗弥香くらいの大きさイメージ(?)。
Q.セフィリアひょっとして本当にセフィ?
A.本作的にはセフィ。ダークネスでのあのお方なので、黒猫のセフィ姉よりもだいぶボケボケとなってる予定です。
Q.スヴェンがイヴ救出段階で出てくると、何か ToLOVEる 的に色々おかしなことにならない?
A.イメージとしては、クロがサヤを助けに入った結果のバタフライエフェクト。本来ならプレタ・グールの腐蝕液からサヤを守るのはスヴェンで、その時の傷のせいでしばらく入院して、イヴ救出には間に合わなかったような流れ。なのでクロとイヴの回想に、しれっとスヴェンが出てくるかもしれない。
Q.アポキトシ〇?
A.どっちかというとルシフ〇ル。ドクターがちゃんとドクター・カンザキなので、まあ、そういうことです。
Q.(朝チュ〇)とらぶった?
A.(朝チュ〇)とらぶってない。リトさんばりの寝相はしてないクロ。ただ、サヤから軽くハグくらいはされてるかも。