とラぶラックキャット   作:那覇ダイア

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#06.迷う宇宙猫

 

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Q.そういえば、どうやってサヤってビリビリなトレインの部屋に入って来れたの?

A.スペアキー。トレインを介抱する前に一度彼の部屋の中に入って、子供の頃の服がないか家探しした時に見つけた(※ナイショ)。

 

「だってトレイン君、そのうちまた死にそうな目に遭いそうな気がするし? 強い分、逆に治療とか下手そうだから手伝ってあげようかなーって。お隣さんのよしみ?

 ……へっ? 勝手に持ってったら普通にアウト?

 …………ま、まあ引っ越し確定だしってことで、ヨロシクッ」(ウインク)

 


 

 

 

 

 賞金稼ぎ、スヴェン・ボルフィードにとって殺し屋、十三番目の黒猫(クロ・サーティーン)は、いまいち印象が定まらない相手だった。

 初対面の時は、夜とは言えあまりに堂々と窓から侵入。虚を突いたような異常極まりない速度でSP全員をのめして、ターゲットを一発。

 その帰り、相手のことを知らなかったとはいえ思わず叫んでしまった。何で殺したのかと。

 あのやり取りは、誰がどう考えても非情な殺人鬼か……、あるいはスパイか何かのようであった。

 次にその姿を見かけたのは、自分が凶悪犯罪者を捕まえんと追いかけている時。

 自分以外にもう一人、賞金稼ぎ(レディー)が別な相手を追っていて。それが捕まってしまったのをどう助けるか、思案している時だった。

 

『とっととそのヘンな姉ちゃんを解放しな』

『……ヘンな?』

『いや、だってお前……、おいそこの二人、ヘンだろ? その姉ちゃん、だいぶ』

『まあ……』『否定はできませんねぇ……』

『ちょっと、ちょっと! 納得いかないんだけどー!?』

 

 非情な殺人鬼だと思っていた彼の、妙にひょうきんなやりとり。

 おそらく、彼女と親しいのか……、詳細を聞かなかったので交友関係がある、程度にとどめておくが。

 そんな彼女を交えた上で、賞金首たちすら巻き込んだ、気の抜けたやりとり。

 その直後、まさか自分も巻き込んで彼女が地力脱出するための囮にさせられるとは想像していなかったが。

 

『クロネコ君? あー、やっぱりね。十三番目の黒猫(クロ・サーティーン)。初対面の時から、何かそんな感じはしたんスよね~』

 

 二名が護送されるまで様子を見た後すぐに姿を消したクロ。その彼のことを彼女に聞いてみれば、特に気負った様子もなくけらけらと笑っていた。

 

『アンタは、アイツと……』

『んー、私は友達だって思ってるけど? なんとなく似てるし、私たち』

『似てる…………?』

『生き方が雑なところ』

『ざ、雑……?』

 

 彼女の言ってることはさておき、確かにスヴェンはクロと彼女が似てるような、そんな気はしていた。

 クロの素と思われる気の抜けた雰囲気に近い、そんな空気感を彼女ももっていていたのだから。

 そして、それだけではない表情も。

 

『だから何となく放っておけないんスよね~』

 

 どこか寂し気に、クロが去っていった方を見る少女の顔がスヴェンには印象的だった。

 

 次に会ったのは、スヴェンが助けたとある女性からの直々の依頼。

 生物実験にされている姪を助けてくれと言う、美女からの依頼だ。

 そして自分の小型宇宙艇(にゃんにゃんビートル)を使って衛星にステルスで潜入し、女性が持っていたソナーの方角を目指して屋敷に忍び込めば。

 かの黒猫は、その姪とされる少女に銃をつきつけていた。

 

『血の、においがします』

『そうか。奇遇だな、お前も』

 

 どこか自嘲気に言っているように、スヴェンには聞こえた。

 引き金を引くか、引かないか。微妙なタイミングゆえに声を荒げて入り込めば、クロは少し目を見開いていたようだ。

 また会ったな、という彼の声音は、心底意外そうだった。

 スヴェンも確かに意外と言えば意外であったが、どちらかといえば自分がこの場にいることの方が特殊な自覚はあった。

 そしてクロとのやりとりで、スズミーを名乗る少女の伯母を自称した、その女性に対する違和感が生まれる。

 何も知らされずに連れてこられたのかと、呆れたように肩をすくめるクロ。

 もう既に手遅れだと、彼女に語るクロ。

 

 その顔は……なるほど、確かにあの賞金稼ぎ(レディー)が心配するのがわかるような、どこか()()()()()()無表情だった。

 

 だが、これはあくまでサブの情報、本題ではない。

 せいぜいクロと並走して少女を助けなければならない時に、説得の余地や隙を探すための布石にすぎない。

 

『それでもイヴを、こんな場所から取り返さないと…………、ティアが今何のために意識不明になってるのかっ』

 

 クロに応じたスズミーのそう、そして、この言葉だ。

 声音の具合が、必死さが、どこかスヴェンの考える「家族を想う」それとは違う。

 究極的に、その本人ではなく……、その本人を通して別ん誰かを見ているような。

 この場合は、そのティアというらしい誰かなのだろう。

 

 一度逃げ帰った後、事前に「シャワーを浴びていた」彼女の衣服から採集した()()()()()()を元に、情報やに裏どりを行ってもらった。

 その結果、金色の方はウィグだと確認でき、もう一つの茶髪は────エルフェン星系の古長人種。

 

『隠しても無駄だぜ? レディ。いくら借金のカタに奪われた姪っ子だからといって、“不吉の届け屋”が命を狙うなんて尋常な話じゃねぇ。そもそもタイラントとつながりがあったトルネオにさらわれたって時点で、何かあるとは思ってたんだけどな。

 ────元フレジア財団お抱えの闇医者、“死神”ミカド・ヘイルズ・ウォーカー』

『……あら、流石ね? 元EDIO(国際捜査局)の敏腕刑事、スヴェン・ボルフィード』

 

 それまでどこかおどおどした雰囲気は一瞬で霧散。

 美女は、ミカドは微笑みながら長髪のかつらを外してスヴェンに余裕のある微笑みを向けた。

 

 何が目的かと問えば……、何てことはない。あの少女、イヴをあの実験場から解放することが目的だと言った。

 

『あの子は究極の生体兵器(バイオウェポン・ソルジャー)。その完成形ともいうべきものの、()()()よ』

『生体兵器……』

『ナノテクノロジー、もっと言うとナノボットって知ってるかしら?』

『……確かけっこう最近のニュースでも、デビルークの王女が工業製品での実用化に成功したとか言ってたか?』

『ええ、それよ。1/10^-9 (十億分の一)(マーモン)以下のサイズの機械を用いて、分子構造に干渉する工学技術。……古代のオーパーツを転用してようやく実用化にこぎつけた、第五次銀河大戦以降の遺産。

 本来なら王女様がやったように分子構造を作り替えたりして新しい物質を作ったり……、私の専門で言えば、遺伝子治療とかに役立たせるとか、そのために研究されていたのだけれども』

『けれども、か』

 

 数年前、未開惑星領域(イタエリック)方面のとある前線基地に設置されていた軍港が大事故で焼失したと言うニュースがあった。まだ第六次大戦終真只中、新たな戦力が参戦したのかと、ぴりぴりしていたのは覚えている。

 デビルークもかなり大掛かりに事態の収拾に乗り出したが、戦時中のことだ。結局どうなったのやら。

 彼女、ミカドは言う。その事件を引き起こしたのが、トルネオ、イヴをさらったと言う組織の出資者の一人だったと。

 軍港にあった研究施設を丸ごと収容し、追跡を交わすために1億もの多人種を葬り去ったと。

 

『組織の大本の母体は、戦後の混乱で崩壊したのだけれども……、今でも細々と、いくつも分派して残ってる。

 あいつらもその一つ。……あの子をベースにナノテクノロジーを用いた生体兵器を多数生産するつもりなのよ。イヴを使って……、()()()に似て可愛い子なんだけれどね? 私は、写真でしか知らないんだけど』

『……そのティアってのは、アンタの────』

『友達よ。そして今、あの子を助けるために必死になって……、()()()()()()()()()()()()()()になっている』

 

 逃げた後、素性を隠すために私も協力してるくらいだし、と苦笑いするミカドに、スヴェンは言葉が出なかった。

 

『ティアにとって、イヴは娘で、妹で……、家族なの』

『だから、助けたいと』

『ええ。例えどんなに手遅れだと言われても…………。生きているからこそ、出来ることがあるはずだもの』

 

 そう語る彼女の目に嘘はないように見えて。

 スヴェンは、この依頼を断ることが出来なくなった。

 

『猫さんを、探してます。鬼ごっこ……、私、鬼だから』

 

 そしてその後、公園で唐突に遭遇したイヴ。

 無邪気に、無表情にそう言う彼女に、思わず笑ってしまったのは、仕方ないだろう。

 ただそれはそうと、どうやってか一人で抜け出したわからないが……、イヴはハトに餌をやったり、アイスを食べたそうにして「むぅ」と唸ったりと、年相応の子供にしか見えなかった。

 庇護欲をそそられる────────紳士として、捨て置ける相手じゃない。

 コーンつきのアイスを買ってやれば「なつかしい」と言ってぺろぺろと上手に食べていた。

 

『おじさん、優しいんですね』

『お、おじ……っ、いや、もうオジサンでいいか……』

『少し、ティアのことを思い出します』

『…………それは君の、お母さん?』

『……しいて言えば。ティア……、ここが、ぽかぽかする』

 

 胸に付けてる星型のアクセサリーをぎゅっと握って、ほう、と空を見上げる少女。

 

 そして、迎えに来たトルネオの傘下の部隊に連れられ、その指示でスヴェンを刺した彼女。

 その辺にいた子供に起こされた時に、スヴェンは確認した。

 イヴに刺されたはずの腹部が…………、傷らしい傷一つないことを。

 

(あの子は明確に、自分の意志で俺を殺さなかった)

 

『こんなんじゃ……、おトモダチ、できないよね、ティア…………』

 

 泣きそうな顔をして、そう呟きながら。

 それでも、「器用に」刃を迂回させて、背中から手が貫通したように見せて。

 かけつけたミカドも、傷の浅さに驚いたほどに、イヴは兵器と言うにはしっかりとした自分を持っていた。

 自分の意志で、スヴェンを守ったのだ。

 彼の傷を診ながら、どうして連れてこなかったのかと色々言いはしたが。

 それでもミカドも最後には、イヴについてどこか寂しく微笑んでいた。

 

『ティアは……、本当にあの子を、大事に育てていたのね』

『あの子は、兵器なんかじゃない。ただ少しばかり、望まない環境で育ってしまってるってだけの女の子なんだ』

 

 だからこそ許せない────スヴェンは憤る。

 賞金稼ぎ? 元捜査官? いや、一人の人間として、紳士として。

 望まぬ殺人を強要され、一人の女の子として生きる人生を否定されて続ける彼女の今を。

 

「……半分力貸してくれよ、()()()

 

 今は亡き相棒の形見(右目)にそう呟きながら、彼は小型宇宙艇の整備を完了させた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 俺達“番人(ライダーズ)”が個人で使う小型宇宙艇(スペースサイクル)は、基本的に捕捉されない。

 銀河でも最先端の技術を収集しているデビルークだ。それがバックについてる俺達の使う船も、相応に最先端の技術でカスタマイズされている。

 おおよそ他の星系で考えて、十年は先を行っているだろう。

 ステルス系統の技術も当然、そうなる。

 どこぞの王女様とやらが開発したナノテクを使用した新物質の塗料によるコーティングとかで、既存の方法では特定されないようにされているとか。

 使用者が近寄らない限りその姿を隠蔽して姿を消す最先端レベルの透明化機能だとか。 

 なんで俺の船も(※特に名前はつけていない)そういう仕様なものだから、半透明なコックピットから覗くスヴェンの操る小型艇の横を素通りしつつ、先に惑星に不時着するなんて不可能じゃない。

 まあこっちの運転手は、あんまり運転上手じゃねぇザスティン(クリード)なんだが。

 それでも、昨日の俺達の侵入で警戒を上げたのか、ドローンのタレットによる攻撃なんて全くこっちにはされないし、スヴェンはスヴェンで意外と器用に避けていた。

 おーおー、船の中であの姉ちゃんがわーきゃー騒いでら……。

 いや、まあそんなこんなで惑星表面、ハイウェイの高架下めいたエリアに着陸。

 

「作戦概要は覚えているね? これからフロムス銀河基準で、君が動ける時間……リミットは4サイクル」

 

 太陽系というか地球(サキ星系)的な時間でいうと、二時間前後だ。

 

「それを過ぎたら、デビルークの軍がここに攻め込んでくるってことだな」

「ああ。表向き、セフィリアが動けないこともあるから、代理で僕が指揮を執る」

「おぉ、いきなり騎士団長とかか?」

「部隊長だね。……? 今日はよく話すね、クロ」

「そうか?」

「何か良い事でもあったかい?」

「…………ノーコメント」

 

 痛む頬……、ようやくお手々の赤みが抜けてきたそこをさすりながら、俺は視線を逸らした。

 

 で、話を戻すが。

 イヴを攫った船につけた発信機を辿って端末を使い(※当然これも超最新式だから電波逆探知とかはされない)、おおよその位置を探り出して鼻を使う。

 無人惑星……とまでは言わないが、人間が雑多に日常生活を送っていないここでは、臭いはステーションなんか比じゃないくらい、細かく判断することが出来る。

 その中でいっとう、血の匂いがする場所へ。

 

 イヴは……、少女らしいボディソープやらシャンプーやら、あるいは()()()()()()人体の甘い匂いなんざ全くさせちゃいねぇ。

 嫌になるくらい、雑多な生命体の血の匂い。

 どんなに洗い落としても消えることのない程に、こびりついた血の匂い。

 人間だけじゃなく、それこそ多種多様な生物を殺させられ続け、その殺し方ひとつひとつを直に仕込まれていたのだろう。

 俺と同じ人種なら、それが判るくらいにはそりゃもう酷い()()だ。

 女の子相手に顔しかめるのはダサいから、あの時は何も言及すらしなかったが。

 

 その嫌な臭いを辿れば、嫌でもイヴのいる場所を探すことが出来る。

 今度は屋敷じゃない。流石に場所は移したんだろう、俺が動いてるとなればそれだけ大ごとだ。

 番人(ライダーズ)としての活動も当時はそんなに有名じゃ無かったが、連中の組織の母体を壊滅させたのは俺達裏方────もっと言えば、セフィリア(ナンバー・ワン)だ。

 旦那(帝王)が軍事力としてきっちり表でカタを付けられない分は、あの女がきっちり裏で始末をつけている。

 だからこそデビルークが頂点に立っている今の星間の治安は、歴代の星間国家連合体のどれよりも表向きは安定している。

 ま、そんなこと軍属でもねー俺が考える話でもないんだが。

 だからこそ、今回はそれらが微妙に被っているって話だ。

 組織の企みを潰すのは俺の仕事だが、研究衛星を乗っ取られたっていう国家をコケにしたような始末は、政治的な理由からデビルークの軍が動く。

 

「な……! 貴様、一体どこから侵入を────」

「ほいっ」

「あべシッ!?」

 

 だから俺も速度優先。

 いちいちハーディスのスクラッチを回して銃弾の準備をせず、直接ぶん殴って地面にたたきつけ、先を急ぐ。

 脳を揺らすなんて器用な芸当はそもそもできねェが(あんま力入れすぎると相手の頭蓋が破裂したり刺さったりしちまって逆にタイムロスだ)、それでも適当に振り回すだけで骨くらいは簡単に折れるから、楽で良いと言えばそうだ。

 頬骨をバカみたいな威力で砕かれる痛さなんざ、たぶん人生でそうそう味わうものじゃない。

 その場で崩れて立ち上がれないくらいには酷ぇ有様だろうが、ま、そこは自分の運が無かったって諦めな。

 道中、邪魔してくる雑魚は全員叩き潰して、進む、進む────。

 

 

 

 そして辿り着いた先では、滝みたいに汗かいたスヴェンがイヴに色々話しかけたり、あーでもないこーでもないと三枚目気取った感じな状態だった。

 

 

 

「……右目使ったのか? てことは、本来なら俺が先にたどり着いていたって訳だ」

 

 しかし、この衛星の規模から考えてどう見ても俺より十分くらいは早く辿り着いてるだろ。

 何やってんだアイツ……。

 俺の場所は、妙な円筒型した研究所っぽいビルの上層階。

 そこから見下ろして角度的にギリギリな、宿泊施設でも兼ねてるだろう豆腐みてぇに四角くて白い建物。

 その一室の窓際で、スヴェンとイヴがそろって居た。

 クリードの運転で俺がスムーズにこっちまで来てたことを思えば、いくら何でもイヴにたどり着くのが早すぎる。

 とすれば、やはり予見眼(ヴィジョン・アイ)を使ったんだろう。

 スヴェンの友人が持っていた特殊能力。基本的には数秒先の未来を視ることが出来る目。

 ……だけどあれって実際数秒だったはずだし、どう考えても数十分は先を予知していやしないか? あの能力。

 ひょっとしてこっちも宇宙規模だから、色々勝手が違うとかなんだろーか。

 俺の電撃体質がピ〇チュウ化してたみてーな感じで。

 まあ、それは一旦おいておいて。

 スヴェンは途中途中何か慌てたり、御菓子でも出したりしてイヴをあやしてる(?)感じだ。

 それに対して、イヴが何か言ってる…………、「そんなに子供じゃないです」?

 

「見た目完全に初期()()()のくせに、キャラとしちゃ割とナマイキ言うな」

 

 思わず苦笑いするくらいには、イヴは思ったよりマセていた。

 そういや俺と初対面の時も、何故か敬語使ってたりとかしたか?

 キャラ変とかじゃなくって、あれは自我が思ったよりしっかりしてるっつー所作だったか。

 こういう原作との差を見ると何でもかんでも漫画を前提に当てはめて動くと、何か壮大なヤラカシをしちまいそうな気もしないではないが……。

 

「あのまま放置したら、スヴェンの奴相手にイヴは多分攻撃をしねーな」

 

 おそらくスヴェンは、あいつを逃がそうと動くはずだ。

 スヴェンも、イヴも、どっちも匂いとしては特徴的で、あの場から動いたらすぐわかる程度にはずーっと匂いが漂っている。

 追跡は全く困難ではない。

 だったらこっちがやるべきは、先行で研究の関係者の洗い出しと、技術の要点の破壊、およびキーの研究者の抹殺。

 大概外道な研究をしてた連中なんだろうから、殺すことにためらいはねーんだが……。

 

 ────多分だけど、殺し屋とか向いてないんだよ、きみ。

 ────それだけ。だから、私は私で私の接したいように君に接することに決めたって、それだけだよ?

 

「…………」

 

 わずかに脳裏に過るサヤの笑顔を振り払い、俺は来た道を戻るように、ビル屋上の天面の窓から内部へ再侵入した。

 

 

 

 

 


【研究衛星、主研究棟ビル、地下階のサーバー室にて】

 

ミカド「……ちょっとティア、何やってるの? あなたが思考をネットワークに繋いでイヴちゃん探すって言って、そのまま植物状態になっちゃって、心配してたって言うのに。コンピュータの画面に映ってるの、ゲームのキャラクターみたいな絵面になってるじゃないっ」

ティア『い、いや、ちょっとクラッキングに失敗して、捕まっちゃって……。ずっとここで、思考を拘束されたままで、情報ちょっと抜かれたり…………あはは……』

ミカド『どうせまたドジしたんでしょ? ハァ、仕方ないわね……。研究データとか色々繋がってるヤバそうなのは抜いていくけど、大丈夫よね?』

ティア『うぅ、ありがとう、何から何まで…………』

ミカド『それと、戻ったら驚かないでね? デビルーク製のリハビリマシーンの中にあなたの身体放り込んでおいたから、多分今頃だいぶ…………』

ティア『い、今頃どうなっちゃってるの、私の身体────!?』

 

Q.(ミカド)先生……!?

A.(ミカド)先生、イエス……! 苗字は当然捏造。本作だと、とらぶる本編の頃よりは若いので若干容姿が(恰好含めて)リンスレット風味。宇宙ジェノスともフラグが立つかもしれないし、立たないかもしれない(?)

 

Q.イヴの心って育ってる?

A.情緒的には黒猫の初期イヴより育ってる。このあたりは ToLOVEるのイヴのデータが反映されてるイメージ。無垢な子が生物兵器として育てられたパターンと、年相応だった女の子が生物兵器に仕立て上げられていく違い。

 

Q.イ タ エ リ ッ ク。

A.い た い り   く。ブラックキャット的に言うと異大陸相当。たぶん道士(タオシー)っぽい人たちがちょいちょい出入りしてる区画。

  

Q.「今頃どうなっちゃってるの私の身体!?」

A.(全身ヌルヌルの触手みたいな機械がマッサージして筋肉量の維持、一日に必要な栄養素を口に突っ込まれた触手みたいな機械から注入されて、呼吸もそっちで安定されてて、あと何なら排泄も(※自主規制))

 

 

 

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