魔法使いの生きる道   作:イシヤド

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1 天才の二人

 

 僕はロア。アルケー村っていう小さな村に住んでいる。今は昼で、友達のメガフィーと一緒に村へ戻っている途中だ。

 

 やがて村に近づくと、いつもと様子が違うことに気づく。嫌な雰囲気とかではないけど、何かあったんだろうか。

 

「なあロア、あそこに魔動車があるぜ。」

 

 メガフィーが指差した先には、確かに魔動車があった。魔動車は、魔法の力で動く乗り物のことだ。絵本には良く出てくるが、この村に魔動車を持っている人なんていないから、誰か来たってことだろう。

 

「ほんとだ、何があったんだろ。」

 

「なんかワクワクしてきたな。行こうぜ!」

 

 メガフィーが走り出す。僕もそれに続く。

 

 村に着いた僕達は、近くにいたホックのおじさんに何があったのか聞いてみた。ホックおじさんは本を集めていて、主に絵本を僕達に見せてくれるおじさんだ。

 

「ああ、何か国が魔法使いの検査をするらしい。んでその検査する人が今来てる。検査を受けるのは子供だけだからお前らだな。今は村長に挨拶してるはずだ。」

 

 僕はそれを聞いてワクワクしてきた。魔法使いは絵本でしか見たことがないけど、カッコよくて、僕もなりたいと憧れていたからだ。

 

「お、噂をすればだな。あの人が検査をする魔法使いだ。」

 

 ホックおじさんが指を差す方向にいたのは、白くなった髪をオールバックにした老人の男性だ。村の大人達と比べてとても身長が高いが、その身に纏う優しそうな雰囲気のおかげか威圧感はなかった。その老人は僕たちに向かって歩いてくると、前かがみになって話しかけてきた。

 

「君たちがロア君とメガフィー君ですね。初めまして、私はエウレカと言います。」

 

「よろしくな!」

 

「よろしくお願いします。」

 

 僕達がそう返すと、エウレカさんは微笑んで言った。

 

「ええ、よろしくお願いします。私が何をしにきたのかはもう聞きましたか。」

 

「はい、魔法使いの検査ですよね。」

 

 エウレカさんは頷いた。

 

「では、早速魔法使い適性検査を始めたいので、ついてきてもらえますか。」

 

「「はい!」」

 

 僕達にそれを断る選択肢はなかった。歩き始めたエウレカさんに、僕達はついていく。

 

 

 

「つきました。ここで魔法使い適性検査を行います。」

 

 案内されたのは、大きいテントのような場所だった。中にはいくつかの部屋があり、ここで普通に暮らせそうだ。

 

「私エウレカは、ここに虚偽のない検査をすることを誓います。それでは、検査を始めましょう。」

 

 俺達は、検査の間ずっと興奮しっぱなしだった。検査したのは魔力保有許容量と、魔素変換速度と、魔力出力と、魔力性質の四つだった。特に興奮したのは初めて魔法を使えたときだ。魔素変換速度を測定するためには、魔力保有量をある程度減らさなければいけないから、魔法を使って魔力を減らすことになった。

 

僕が使ったのは水を出す魔法で、思ってたのとは違ったけど、それでも魔法を使えたということが嬉しかった。検査が終わった後、エウレカさんが「少し待っててください」と言って慌てた様子で走っていったけど、どうしたんだろうか。

 

「やっぱ俺達って凄いんじゃねぇか?」

 

 実は僕も、薄っすらとそうじゃないかとは思っていた。

 

「まあ村の大人達は誰も魔法を使えないわけだからね。」

 

「だろ?やっぱ俺達は英雄になれるんだって!」

 

 メガフィーは昔から、俺達は英雄になると言っていた。さっきエウレカさんにも、それを語っていた。どうやら神話の絵本に出てくる、カリエ·ブレイブという英雄に憧れたらしい。確かにあれはカッコよかった。僕も、英雄になれるならなりたいとは思っているけど、どこかで無理だろうなという思いもある。僕には、英雄になれると信じて疑わないメガフィーが少し眩しかった。

 

「メガフィー君、ロア君!」

 

 その時、エウレカさんが戻ってきた。

 

「君達のグロウズ魔導学校への入学が決まりましたよ。」

 

 メガフィーは、それにピンときていないようだったが、僕はその名前を知っていたので驚いた。

 

「グロウズ魔導学校って……あの!?」

 

「ロア、知ってんのか?」

 

「うん。ホックおじさんに、絵本じゃない本を見せてもらった時に知ったんだ。グロウズ魔導学校っていうのは確か、この国で一番凄い魔導学校だったはずだよ。」

 

 グロウズは王都、つまり王がいる都市の名前であり、グロウズ魔導学校は、国立の学校だ。

 

「うわー、文字ばっかりのあれか。あんなの良く読めるよなー。魔導学校って魔法使いになるための学校だったっけ。それにしてもこの国で一番かぁ。世界で一番の方が良かったけど、しょうがないか。」

 

 僕はメガフィーの強欲っぷりに驚きつつも、疑問に思ったことを質問する。

 

「でも、そんなにすぐ決まるものなんですか?手続きとか試験とか必要なんじゃ……。」

 

「それは、この検査が魔導学校の入学試験みたいなものだからですよ。点数によって、モロのどの魔導学校に入るのかが決まります。点数が基準より低ければどこにも入れませんが。」

 

 モロはこの国の名前だ。正式にはモロ独立国という。アルマ魔法国という国から独立したばかりだから独立国というらしい。

 

「そうだったんですか。」

 

「はい。もう少しすれば迎えが来るそうなので、それまでは毎日魔法の授業を行いたいと思います。明日の朝、ここへ来てください。」

 

「よっしゃ!」

 

「魔法の授業!どんな感じなんだろ。」

 

「それは明日のお楽しみということで。もう昼食を食べる時間ですし、今日はこれで解散とします。」

 

 それを聞いて、僕とメガフィーの腹が、思い出したかのように鳴り出す。魔法を使えるのが嬉しすぎて、腹が減っていることにも気がつかなかったようだ。

 

「じゃあな!」

 

「さようなら!」

 

 僕とメガフィーは、早く昼ごはんを食べたくなって、急いでそれぞれの家に向かって走り出した。歩いてもすぐに着く距離だけど、その時間すら惜しい。

 

 僕が家の前につくと、いい香りが漂ってきた。もっと腹が減った僕は急いで家に入る。扉を開けるとお母さんの声がした。

 

「おかえり。」

 

「ただいま。」

 

「もうすぐご飯できるわよ。手、洗ってきなさい。」

 

「はーい。」

 

 僕が手を洗い終わると、すでに昼ご飯が食卓に並んでいた。どうやら今日の昼ご飯は、レドボンのメンツェらしい。レドボンを使った温かいスープに、二本の麺を絡ませた麺を浸した料理だ。

 

 僕が食べていると、お母さんが話しかけてきた。

 

「食べ終わったら、レドボンの実を採りに行ってね。」

 

 レドボンの実は、ヒタイラ平原にたくさん生えている赤い実だ。ヒタイラ平原は、この辺りでは一番安全で、いつもメガフィーと一緒にレドボンの実を採りにいっている。

 

「うん。」

 

 僕はメンツェを食べた後、残ったスープを一気に飲み干す。いつもよりお腹が空いてたせいか、より美味しく感じた。お腹が満たされると、今度は魔法を使いたくて仕方なくなる。

 

「もう食べ終わったの?早いわね。お皿下げてね。」

 

「うん。」

 

 急いでお皿を下げて、玄関へ走る。籠を背負ってお母さんに声をかける。

 

「行ってきまーす!」

 

「いってらっしゃーい。」

 

 僕は家を飛び出して、走ってヒタイラ平原に向かう。きっとメガフィーも急いでいるだろう。待ち切れないから。

 

 

 

 ヒタイラ平原に着くと、案の定メガフィーも走ってきてたようで、息が荒くなっている。目を合わせて、僕もメガフィーもニヤリと笑って言う。

 

「使うか、

     魔法!!」」

「使おう、

 

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