放送室の──いえ、マイクの故障。
みんな、そう思っていましたし、私もそう思っていました。
いつの頃からか、放送に“知らない声”が混ざるようになったんです。
よくある怪談のようでいて、これは実際にあったお話です。
私の学校では、お昼の時間に放送局による放送がありました。
生徒の有志が集まって運営する放送局で、お便り、音楽、質問、そしてお悩み相談まで──
形式通りではありましたが、楽しみにしている生徒も多かった、そんな放送でした。
異変が起きたのは、ある日突然のことでした。
放送に、妙な声が混ざるようになったのです。
最初は、子供の笑い声でした。
それも、ちょうど話の“笑いどころ”に入っていたので、演出の一部だろうと、誰も気にしませんでした。
私もそうでした。
ところが放送をしていた側──放送局の生徒たちが言うのです。
「そんな音は入れていない」と。
それでも、多くの人は気にしませんでした。
「演出の一部だろう」と──
本気で取り合う人は、ほとんどいなかったのです。
……この時点では、まだ笑い話で済んでいたんですよ。
しかし、声は次第に変わっていきました。
子供の笑い声が、今度は女の泣き声になり、男の怒鳴り声に、老人の懺悔の言葉に。
毎回違う、気味の悪い声が混ざるようになっていったんです。
さすがに、生徒たちも不気味がるようになり、放送局へ文句を言う者も出てきました。
でも、放送局側はずっと同じことを言い続けていました。
「本当に、俺たちは何もしていない」と。
結局、騒ぎが大きくなって、教師が介入しました。
そして、お昼の放送は“中止”されることになったのです。
「悪質なイタズラ」──そう判断されたのです。
放送が止まる。
ようやく、これで終わる。
そう、みんなが安心していたのです。……次の昼が来るまでは。
──なるはずのない放送開始のチャイム。
教師たちは慌てて放送室へ駆けつけました。
けれど、そこには誰もいませんでした。
鍵を開けようとしても、ドアはビクともしません。
中からは、ゆっくりと“放送”が始まりました。
内容は、これまでとはまるで違いました。
ただ静かに、ある名前を一つずつ、読み上げていくだけの放送。
それは──“放送を妨害した生徒たち”の名前でした。
全ての名前が読み上げられた後、放送はこう締めくくられました。
「彼らの放送は終了しました。
お悔やみを申し上げます……」
その瞬間でした。
呼ばれた名前の生徒たちが、次々に倒れ伏したのです。
まるで何かに取り憑かれたかのように、恐怖に染まった顔で──
血の涙を流しながら……息絶えました。
今でも、あの放送は続いているそうです。
誰もいないはずの放送室から。
悲鳴と怒号、懺悔の言葉に子供の笑い声。
そんな不気味な放送が。