悪夢収集箱   作:灰音ヒビキ

10 / 15
七不思議3番目 不気味な放送

放送室の──いえ、マイクの故障。

みんな、そう思っていましたし、私もそう思っていました。

いつの頃からか、放送に“知らない声”が混ざるようになったんです。

よくある怪談のようでいて、これは実際にあったお話です。

 

私の学校では、お昼の時間に放送局による放送がありました。

生徒の有志が集まって運営する放送局で、お便り、音楽、質問、そしてお悩み相談まで──

形式通りではありましたが、楽しみにしている生徒も多かった、そんな放送でした。

 

異変が起きたのは、ある日突然のことでした。

放送に、妙な声が混ざるようになったのです。

 

最初は、子供の笑い声でした。

それも、ちょうど話の“笑いどころ”に入っていたので、演出の一部だろうと、誰も気にしませんでした。

私もそうでした。

ところが放送をしていた側──放送局の生徒たちが言うのです。

「そんな音は入れていない」と。

 

それでも、多くの人は気にしませんでした。

「演出の一部だろう」と──

本気で取り合う人は、ほとんどいなかったのです。

 

……この時点では、まだ笑い話で済んでいたんですよ。

 

しかし、声は次第に変わっていきました。

子供の笑い声が、今度は女の泣き声になり、男の怒鳴り声に、老人の懺悔の言葉に。

毎回違う、気味の悪い声が混ざるようになっていったんです。

 

さすがに、生徒たちも不気味がるようになり、放送局へ文句を言う者も出てきました。

でも、放送局側はずっと同じことを言い続けていました。

「本当に、俺たちは何もしていない」と。

 

結局、騒ぎが大きくなって、教師が介入しました。

そして、お昼の放送は“中止”されることになったのです。

「悪質なイタズラ」──そう判断されたのです。

 

放送が止まる。

ようやく、これで終わる。

そう、みんなが安心していたのです。……次の昼が来るまでは。

 

──なるはずのない放送開始のチャイム。

 

教師たちは慌てて放送室へ駆けつけました。

けれど、そこには誰もいませんでした。

鍵を開けようとしても、ドアはビクともしません。

中からは、ゆっくりと“放送”が始まりました。

 

内容は、これまでとはまるで違いました。

ただ静かに、ある名前を一つずつ、読み上げていくだけの放送。

それは──“放送を妨害した生徒たち”の名前でした。

 

全ての名前が読み上げられた後、放送はこう締めくくられました。

 

「彼らの放送は終了しました。

お悔やみを申し上げます……」

 

その瞬間でした。

呼ばれた名前の生徒たちが、次々に倒れ伏したのです。

まるで何かに取り憑かれたかのように、恐怖に染まった顔で──

血の涙を流しながら……息絶えました。

 

今でも、あの放送は続いているそうです。

誰もいないはずの放送室から。

悲鳴と怒号、懺悔の言葉に子供の笑い声。

そんな不気味な放送が。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。