七不思議というには、少し違うかもしれません。
というのも──これは“学校”というより、私のクラス限定の話だったからです。
私のクラスには、少し変わった噂がありました。
教室で撮った写真に、居ないはずの人物が写るというものです。
──よくある心霊写真の噂ですね。
ですが、それはただの噂ではありませんでした。
実際に、何度も……本当に何度も撮影されていたのです。
いつも写っているのは、同じ制服、同じ髪型の、同じ“女の子”の姿でした。
最初のうちは、皆も面白がっていました。
けれど、回数が重なるにつれて、さすがに気味が悪くなっていきました。
そこで、担任の先生に相談することにしたのです。
「この生徒、見覚えはありませんか?」
先生は少し驚いたようでしたが、やがて静かに口を開きました。
──その子は、入学前の事故で亡くなった生徒かもしれない。
そう言ったのです。
私たちは驚くと同時に、その子のことが可哀想だと思いました。
きっと、心残りがあって、成仏できないのだろうと。
だから、私たちは“その子が本当にいるかのように”振る舞うようにしました。
彼女のために、机と椅子をひとつ増やして、
朝と帰りには名前を呼んで挨拶して、
点呼でもちゃんと名前を読み上げるよう、先生にもお願いしました。
誰もバカにしたりしませんでした。
本気で、その子が無事に成仏できますようにって願って、心遣いを続けていました。
そして、卒業式の日が来ました。
彼女は名簿には載っていませんから、式には出られません。
だから、私たちは教室で──その子のためだけの卒業式を開いたのです。
皆でお金を出し合って、記念の卒業証書を用意しました。
先生が名前を呼び、証書を手渡す──それだけの、ささやかな式でした。
……そのとき、彼女が現れたのです。
そこに立っていたのは、紛れもなく、あの写真に写っていた女の子でした。
笑顔で、本当に嬉しそうに。
先生と、私たち全員を、穏やかに見つめていました。
私たちは「やっと成仏できるんだ」と思って……安堵していました。
けれど──
先生が証書を手渡したその瞬間、
彼女はそれをビリビリに破いたのです。
驚いて言葉を失う私たちに向かって、彼女は、あっけらかんと笑いながら言いました。
「みんなありがとう! すっごく楽しかった!
だから──絶対に逃がさないからね!
ずっと、ずーっと一緒にいるの!」
そう言って、彼女はふっと……笑顔のまま、消えていきました。
あれから何年も経ちます。
でも、私たちはまだ“卒業”できていません。
一年経っても、十年経っても……
きっとあの子が“満足”するその日まで。
私たちは、ずっとこの教室に………