悪夢収集箱   作:灰音ヒビキ

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七不思議4番目 いないはずのもう一人

七不思議というには、少し違うかもしれません。

というのも──これは“学校”というより、私のクラス限定の話だったからです。

 

私のクラスには、少し変わった噂がありました。

教室で撮った写真に、居ないはずの人物が写るというものです。

──よくある心霊写真の噂ですね。

 

ですが、それはただの噂ではありませんでした。

実際に、何度も……本当に何度も撮影されていたのです。

いつも写っているのは、同じ制服、同じ髪型の、同じ“女の子”の姿でした。

 

最初のうちは、皆も面白がっていました。

けれど、回数が重なるにつれて、さすがに気味が悪くなっていきました。

そこで、担任の先生に相談することにしたのです。

 

「この生徒、見覚えはありませんか?」

 

先生は少し驚いたようでしたが、やがて静かに口を開きました。

 

──その子は、入学前の事故で亡くなった生徒かもしれない。

そう言ったのです。

 

私たちは驚くと同時に、その子のことが可哀想だと思いました。

きっと、心残りがあって、成仏できないのだろうと。

 

だから、私たちは“その子が本当にいるかのように”振る舞うようにしました。

彼女のために、机と椅子をひとつ増やして、

朝と帰りには名前を呼んで挨拶して、

点呼でもちゃんと名前を読み上げるよう、先生にもお願いしました。

 

誰もバカにしたりしませんでした。

本気で、その子が無事に成仏できますようにって願って、心遣いを続けていました。

 

そして、卒業式の日が来ました。

彼女は名簿には載っていませんから、式には出られません。

だから、私たちは教室で──その子のためだけの卒業式を開いたのです。

 

皆でお金を出し合って、記念の卒業証書を用意しました。

先生が名前を呼び、証書を手渡す──それだけの、ささやかな式でした。

 

……そのとき、彼女が現れたのです。

 

そこに立っていたのは、紛れもなく、あの写真に写っていた女の子でした。

笑顔で、本当に嬉しそうに。

先生と、私たち全員を、穏やかに見つめていました。

 

私たちは「やっと成仏できるんだ」と思って……安堵していました。

 

けれど──

 

先生が証書を手渡したその瞬間、

彼女はそれをビリビリに破いたのです。

 

驚いて言葉を失う私たちに向かって、彼女は、あっけらかんと笑いながら言いました。

 

「みんなありがとう! すっごく楽しかった!

だから──絶対に逃がさないからね!

ずっと、ずーっと一緒にいるの!」

 

そう言って、彼女はふっと……笑顔のまま、消えていきました。

 

あれから何年も経ちます。

でも、私たちはまだ“卒業”できていません。

 

一年経っても、十年経っても……

きっとあの子が“満足”するその日まで。

 

私たちは、ずっとこの教室に………

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