時間割──まあ、学校なら当然あるよな?
小学校から大学まで、どこでもさ。
これは、そんな“時間割”にまつわる話なんだが、
俺が小学生の頃のことだ。
ある日、ちょっとおかしな時間割が配られたことがあってな。
いや、小学校の時間割なんて、普通は1時間目から6時間目までだろ?
私立とか進学校とかなら違うのかもしれないけど、俺が行ってたのは普通の公立校だ。
だから──妙だったんだよ。
表はちゃんと1から6まで書いてあった。問題は“裏”だった。
裏面に、7から12まで、意味不明な項目が書かれていたんだ。
何だと思う? 俺にも分からなかった。
フザケてるって?仕方ないだろ?
そもそも読める文字じゃなかったんだよ。
気になって色々調べたけど、どんな言語にも似てない。
法則性はあるように見えるのに、どの辞書を見ても、ネットで調べても、答えは出てこなかった。
でも当時は小学生、やんちゃ盛り。
教師も親もたいして気にしなかったし、止める人もいなかった。
で、俺を含めた数人がその時間割を“実行”してみようって話になったんだ。
どうやってって?
ああ、言ってなかったな。
その紙の一番下に、こう書かれてたんだよ。
「ご希望の生徒は、指定の時間までに教室へお越しください」って。
──指定された時間は、深夜だった。
肝試し半分、好奇心半分ってやつで、俺たちは夜の学校に忍び込んだ。
着いたときにはさすがに雰囲気があって、ビビってるやつもいた。
でもそこはガキの意地で、誰も「やめよう」なんて言えなかった。
教室までは何もなかった。
暗いだけで、ライトで照らせばいつも通りの校舎だった。
拍子抜けするくらい、普通だったんだよ──ドアを開けるまではな。
扉を開けた瞬間、そこに“教師”がいた。
いや、正確には──教師っぽい何か、だな。
見た目は普通の人間だった。でも、誰も見たことのないやつだった。
そいつは俺たちを見て、穏やかに言った。
「まもなく始まりますよ。早く席に着いてください」
……もう、心底びっくりしたよ。
けど、今さら逃げるって空気でもなかったし、俺たちは恐る恐る、自分の席に着いた。
そのとき、チャイムが鳴った。
ひび割れた、金属音みたいな不気味なチャイムが、ガンガン鳴り響いた。
怖くて逃げようとしたけど、教師が淡々と言ったんだ。
「では、授業を始めます」
その一言で、タイミングを失った。
──まあ、そもそもそのために来たんだ。
怖さ半分、期待半分。俺たちは、そのまま授業を受けることにした。
で、何の授業が始まったと思う?
――「死に方」――
どうやったら人は死ぬのか。
それを、実演付きで教えてくれた。
刺されて、絞められて、燃やされて、押し潰されて──
まるで見世物のように、目の前で、誰かが死んでいく。
“これから死ぬ人”がいて、実際に死んだんだ。何人も。
怖かった。
泣き出したやつもいたし、漏らしたやつもいた。
でも授業は止まらなかった。
逃げようとしたやつもいたけど、ドアは開かなかった。
動かないんじゃなくて、びくともしないんだ。
教師はそんな俺たちを見て、落ち着いた声で言った。
「席に着きなさい」
……怖かった。授業も怖かったけど、その声が一番怖かった。
逆らえば、自分が“次の題材”になるんじゃないか。
そう思って、俺たちは黙って席に戻った。
それが、7時間目の授業だった。
「休み時間になれば……!」
そんな希望も虚しく、そのまま8時間目が始まった。
次の授業は、**「死んだ後に何が起こるか」**だった。
「さっき死んだ人たちが、このあとどうなるのか。では、見ていきましょう」
──でも、正直言って、俺はその授業を見ていない。
怖すぎて、咄嗟に叫んだんだ。
「先生!トイレに行きたいです!」
すると教師は、何事もないように言った。
「どうぞ」
俺はすぐに立ち上がって、教室を出た。
他のやつも、俺に続いて「トイレ」と言って、出てきた。
──当然、そのまま全速力で家に帰ったよ。
……それから今でも、ふと思うんだ。
もし、あのまま授業を受け続けていたら?
俺たちはどうなっていたんだろうな……
7時間目と8時間目の後、9時間目、10時間目……
いったい、どんな授業があったんだろうってさ。
これは、そんな子どもの頃の、不思議で恐ろしい体験の話だ。