悪夢収集箱   作:灰音ヒビキ

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七不思議5番目 もう一つの時間割

時間割──まあ、学校なら当然あるよな?

小学校から大学まで、どこでもさ。

 

これは、そんな“時間割”にまつわる話なんだが、

俺が小学生の頃のことだ。

 

ある日、ちょっとおかしな時間割が配られたことがあってな。

いや、小学校の時間割なんて、普通は1時間目から6時間目までだろ?

私立とか進学校とかなら違うのかもしれないけど、俺が行ってたのは普通の公立校だ。

だから──妙だったんだよ。

 

表はちゃんと1から6まで書いてあった。問題は“裏”だった。

裏面に、7から12まで、意味不明な項目が書かれていたんだ。

 

何だと思う? 俺にも分からなかった。

フザケてるって?仕方ないだろ?

そもそも読める文字じゃなかったんだよ。

 

気になって色々調べたけど、どんな言語にも似てない。

法則性はあるように見えるのに、どの辞書を見ても、ネットで調べても、答えは出てこなかった。

 

でも当時は小学生、やんちゃ盛り。

教師も親もたいして気にしなかったし、止める人もいなかった。

 

で、俺を含めた数人がその時間割を“実行”してみようって話になったんだ。

 

どうやってって?

ああ、言ってなかったな。

 

その紙の一番下に、こう書かれてたんだよ。

「ご希望の生徒は、指定の時間までに教室へお越しください」って。

 

──指定された時間は、深夜だった。

 

肝試し半分、好奇心半分ってやつで、俺たちは夜の学校に忍び込んだ。

着いたときにはさすがに雰囲気があって、ビビってるやつもいた。

でもそこはガキの意地で、誰も「やめよう」なんて言えなかった。

 

教室までは何もなかった。

暗いだけで、ライトで照らせばいつも通りの校舎だった。

 

拍子抜けするくらい、普通だったんだよ──ドアを開けるまではな。

 

扉を開けた瞬間、そこに“教師”がいた。

 

いや、正確には──教師っぽい何か、だな。

見た目は普通の人間だった。でも、誰も見たことのないやつだった。

 

そいつは俺たちを見て、穏やかに言った。

 

「まもなく始まりますよ。早く席に着いてください」

 

……もう、心底びっくりしたよ。

けど、今さら逃げるって空気でもなかったし、俺たちは恐る恐る、自分の席に着いた。

 

そのとき、チャイムが鳴った。

ひび割れた、金属音みたいな不気味なチャイムが、ガンガン鳴り響いた。

 

怖くて逃げようとしたけど、教師が淡々と言ったんだ。

 

「では、授業を始めます」

 

その一言で、タイミングを失った。

──まあ、そもそもそのために来たんだ。

怖さ半分、期待半分。俺たちは、そのまま授業を受けることにした。

 

で、何の授業が始まったと思う?

 

――「死に方」――

 

どうやったら人は死ぬのか。

それを、実演付きで教えてくれた。

 

刺されて、絞められて、燃やされて、押し潰されて──

まるで見世物のように、目の前で、誰かが死んでいく。

“これから死ぬ人”がいて、実際に死んだんだ。何人も。

 

怖かった。

泣き出したやつもいたし、漏らしたやつもいた。

でも授業は止まらなかった。

 

逃げようとしたやつもいたけど、ドアは開かなかった。

動かないんじゃなくて、びくともしないんだ。

 

教師はそんな俺たちを見て、落ち着いた声で言った。

 

「席に着きなさい」

 

……怖かった。授業も怖かったけど、その声が一番怖かった。

 

逆らえば、自分が“次の題材”になるんじゃないか。

そう思って、俺たちは黙って席に戻った。

 

それが、7時間目の授業だった。

 

「休み時間になれば……!」

そんな希望も虚しく、そのまま8時間目が始まった。

 

次の授業は、**「死んだ後に何が起こるか」**だった。

 

「さっき死んだ人たちが、このあとどうなるのか。では、見ていきましょう」

 

──でも、正直言って、俺はその授業を見ていない。

怖すぎて、咄嗟に叫んだんだ。

 

「先生!トイレに行きたいです!」

 

すると教師は、何事もないように言った。

 

「どうぞ」

 

俺はすぐに立ち上がって、教室を出た。

他のやつも、俺に続いて「トイレ」と言って、出てきた。

 

──当然、そのまま全速力で家に帰ったよ。

 

……それから今でも、ふと思うんだ。

 

もし、あのまま授業を受け続けていたら?

俺たちはどうなっていたんだろうな……

7時間目と8時間目の後、9時間目、10時間目……

いったい、どんな授業があったんだろうってさ。

 

これは、そんな子どもの頃の、不思議で恐ろしい体験の話だ。

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