七不思議──こんなラストを聞いたことはありませんか?
「6番目を聞いた人に、7番目が訪れる」
ありがちだけど、想像の余地があって、いろんな話が生まれる。
どれが“正しいラスト”なのか?という問いに対する、ひとつの答え。
だって“七”と名乗りながら、十も二十もあること、珍しくないですからね。
私の学校にも、そんな七不思議がありました。
6つの七不思議を、正しい順番で行うと、7番目が起こる──
そんな噂のある七不思議が。
当時、怖いもの見たさで、クラスの何人かが七不思議を確かめることになりました。
私は嫌でした。けれど、これで仲間外れにされたら……そう思うと「嫌だ」とも言えなくて。
仕方なく、夜の学校の前で、皆を待っていました。
……でも、約束の時間になっても、誰も来ない。
いくら連絡しても返事はなし。
嫌がらせかと思い、帰ることにしました。
「約束は守ったんだから、責められる謂れはない」──そう思って。
そうして、いつもの帰り道を、いつものように帰ろうとしたのです。
家の敷地に足を踏み入れた、その瞬間。
──私は、校庭にいました。
夜の学校。その、校庭に。
意味が分からなかった。
頭の中が疑問でいっぱいになって、呆然として動けなくなった。
そんな時、非通知の電話が鳴りました。
こんな状況で、誰からか分からない電話。
出たくはなかった。でも、「何か分かるかもしれない」──そんな薄い期待で、通話ボタンを押しました。
電話の主は、ノイズ混じりの、幼い声で言いました。
「ねぇ、七不思議の7番目はな〜に?」
私は、咄嗟に知っている七不思議のひとつを答えました。
「呪文を唱えながら階段を登ると、屋上のドアから別の世界に行ける──」
声は返しました。
「違うよ?それは1番目。7番目はな〜に?」
私は電話を切ろうとしました。
でも、どれだけボタンを押しても反応しない。
それどころか、声はどんどん大きくなる。
「7番目はな〜に? 7番目はな〜に?」
恐怖で、私は電話を校庭の向こうへ放り投げました。
……なのに。
私の手の中の電話が、再び鳴りました。
私は腰を抜かし、座り込みながら悟りました。
逃げられない。
だから、震えながらまた電話に出ました。
「七不思議の7番目はな〜に?」
私は答えました。
「旧校舎で、失くしたものが返ってくる話」
「違うよ?それは2番目。7番目はな〜に?」
泣きながら答えました。
「誰もいない放送室から流れる、あの不気味な昼の放送……」
「違うよ?それは3番目。7番目はな〜に?」
まさか──このまま6番目まで答えたら、7番目の七不思議が私に…?もしかしてこの電話は既に……
私は試しに言いました。
「7番目は……あなたよ」
「違うよ? 僕は七不思議じゃない。7番目はな〜に?」
落胆しながらも、さらに答えました。
「クラスで撮った写真に、生徒が1人増えてる話……」
「違うよ?それは4番目。7番目はな〜に?」
私はどんどん追い詰められていきました。
もし残りを正しく答えてしまったら……
私は七不思議の7番目に、飲み込まれるのでは?
言い淀む私に、声は許しません。
「7番目はな〜に? 7番目はな〜に? 7番目はな〜に?」
勇気を振り絞って、私は答えました。
「……夜に行われる、別の時間割の話」
「違うよ?それは5番目。7番目はな〜に?」
あと一つ。あと一つで、私は……
答えが喉に詰まって、息が詰まりそうになりながら、
それでも私は、校庭から逃げ出しました。
走って、走って、校門を超え──
気がつくと、教室にいました。
私の席に、誰かが座っていました。
電話と同じ声で、こちらを見て、言いました。
「七不思議の7番目はな〜に?」
私は答えませんでした。
いえ、答えない“つもり”でした。
でも、私の口は、勝手に喋りだしたのです。
「……鳴らなくなったチャイムと、壊れた時計の話」
誰かはにっこり笑って、こう言いました。
「違うよ?それは6番目。7番目は──これから起こるんだ!」
楽しそうに笑う声が、いつの間にか増えていました。
教室の周囲には、人だかりができていて、全員が笑っていました。
「7番目を教えてほしい?」
私は叫びました。
「お願い、家に帰して!!」
「7番目を教えてほしい?」
今度は、教室の全員が、
同じ声で、同じタイミングで、繰り返しました。
「7番目を教えてほしい? 7番目を教えてほしい? 7番目を──」
私は必死に考えました。
どうすれば逃げられる?
どうすれば、ここから帰れる?
──そうして、ひとつの答えにたどり着きました。
「7番目は……私が、無事に家に帰ることよ」
その瞬間、笑い声は止まりました。
教室に、痛いほどの沈黙が落ちました。
そして、全員が、静かに言いました。
「違うよ? 7番目は――」