狼男の末裔~The Wolfman begins~ 作:エターナルロード
初めてのオリジナル作品、よければご覧ください。
NOTEに投稿した脚本↓
https://note.com/nifty_sheep8746/n/na777cba2cdf9?sub_rt=share_b
最初は、僕も信じられなかった。
狼男なんて、今時見かける創作物の中でもあまり見かけることもない。
僕が見たことあるのだってせいぜい、キング・オブ・ポップと呼ばれたアーティストのあまりにも有名な曲のミュージックビデオくらいだ。
まさか、僕がなれるなんて、思いもしなかった。
戸惑った。
だって、便利でも無いし、自由自在じゃないし。
そこそこ使える。それくらいのものだった。
でもある日、それは僕にとって、いや、この世界にとって無くてはならないものになった。
────────────────
ーある日の放課後ー
「よっしゃあああ! テストが終わったぜぇ!!」
「終わったねー。ようやく」
「俺は……自由だっ!」
「……今にも世界を平らにしそうだね」
まだ明るさの残る夕方。
僕たちはその日の学校と、年に五度行われる試練の2つから解放され、喜びに浸っていた。
「なぁジロウっ! この後どこいくよ?」
この騒がしい男の名は鳥山サトル。
この学校での僕の親友。
一緒にいて一番楽しい男友達。
意外かもしれないけど、頭はあんまり良くない。
あとモテない。その理由は……まぁいずれ分かる。
「もう遊ぶ場所の話?」
「あぁ? 何だぁてめぇ……テストの話はさっきので十分だろ? なら次は何するかだろっ?」
「あはは……」
「でっ、でっ! どうするよっ!」
「うーん、そうだなぁ……」
楽しい場所について、頭で検索を掛けていると、
教室の入り口から聞き慣れた声がした。
「ジロウー!」
「ユリ、お疲れ様」
「本当に疲れたよぉ~……もう頭使いたくな~い……」
彼女の名前は有馬ユリ。僕の幼馴染だ。
いわゆる男勝りって感じの性格で、いつも自信に溢れてる。
それに僕と違って運動神経がいい。小さい頃から、たまに一緒にバスケとかやっては、からかられてばかりだ。
僕はどちらかというと弱気な性格だから、いつも精神的に僕を励ましてくれて、優しくて、可愛くて、それで…………
・・・・・・・・・・・・・・
……彼女の事になると、どうしても熱くなってしまうのは、僕の悪い癖だ。
多分、好きだから……だ、とは、思う……
「テストの出来はどうだった?」
「うーん……まぁ多分平均で80くらいはいったかなぁ」
ユリは頭も良い。すごい。
「流石だね。やっぱユリはすごいや」
「ひひっ、でしょ~? ユリちゃんはいつもすごいんだよっ」
「おいっジロウ! テストの話はもう終わりだって言ったろ!? 有馬もだっ! 煽りだかんなそれっ!」
「ごめんて……」
「サトルは普通にもっと勉強しなよ~」
「るせぇっ!」
僕たち3人はいつもこんな感じ。
1年生の時から仲良しでやってる。
あ、僕の紹介を忘れてたか。
僕は松田ジロウ。
えっと……そうだな、僕は……
……特にこれといった特徴はないかな。
勉強はそこそこで運動音痴で……気弱で……
まぁ普通の高校生、かな。
クラスの人気者のユリと幼馴染ってことくらいしか自慢出来ることはないや。
「とにかくっ! ほら、早く遊びに行こうぜっ!」
「あちょっ、待ってよサトル!」
「早くしねぇと置いてくぞっ!」
「……ユリは、くる? 多分カラオケ行くけど……」
「いきたぁ~い……けどごめんっ! ウチ先約があるからさ、男2人で楽しんできな~」
「そ、そっか……」
(多分、女子たちと、だよね……)
「だからまた今度、一緒に遊ぼ? ね」
「っ……そうだね。じゃあ、またね」
「うん♪ ばいば~い♪」
(ほんとに……急にそういうことを……)
悪気もなくそういうことを言うから、僕は彼女に適わない。
でも、ユリにいつ彼氏が出来ててもおかしくない。
僕も、今のままではいられない……
────────────────
夕方
「あ゛っ……あ゛ぁ~……」
「サトル……歌いすぎだよ……まるでゾンビじゃないか」
「久々だったから……つい、はしゃいじまったぜ……」
「全く……」
なんで彼はマキシマムザホルモンとかnobodyknowsをハイテンションをキープしたまま歌い続けるんだろう……キツイだろうに。
「今日はもう帰ろうか」
「ジロウすまねぇ……少し休ませてくれ……」
「大丈夫? 急いでないから、無理しないでよ?」
「あぁ……」
カラオケでここまで疲れられるのも彼くらいだろう。
ピロン♪
「……!」
誰かからの連絡だ。
通知を開いてみると、ユリからメッセージが届いてた。
"男たち、楽しんでるー? "
隣でサトルが死んでるよ
"笑笑"
そっちは? 楽しんでる?
"こっちもこれから帰るところ
めっちゃ楽しかった "
1人で帰るの?
"うん もしかして心配? 笑"
だって、この前ストーカーの話したじゃないか
ユリは最近、夜に外を歩いていると誰かに見られている感覚に襲われるらしい。
高校に上がるまでこんなことはなかった。
確かに、ユリは可愛らしい顔だし、その……すごい、魅力的な体をしている。
……この前、さらっとFカップとかなんとか言っていた気がする……
とにかく、そんなユリを狙う奴らがいてもおかしくないって事だ。
"うーんあれ多分気のせい"
ほんとに?
"ほんとだよ! だから大丈夫だよ"
僕と合流してから帰るってのは?
"え~ 今日私見たいテレビあるんだよね"
録画じゃダメなの?
"だめっ"
分かったよ…… 夜道には気をつけてね
"笑笑 ありがと! 会えたら一緒に帰ろっ! "
……やはり、彼女には適わないな。
でも、やっぱり心配だ。
ユリの事だ。僕相手だからって見栄張ってるかも。
「う゛ー……」
「…………サトル」
「うあっ……?」
「そろそろ行けるかな?」
「あぁそうだな……時間もあれだし、そろそろ行くか。なんだジロウ用事でも出来たか?」
「……今からなら、何かあっても間に合うかも……」
「ジロウ?」
「ん? あぁごめん。帰ろうか」
────────────────
ザッ…… ザッ…… ザッ…… ザッ……
「…………」
ザッ…… ザッ…… ザッ…… ザッ……
「…………!」
咄嗟に振り返る。
しかし、道があるだけだった。
「誰も……見てなんかないよね」
(気のせい……だとは思う。でも……やっぱり……)
「…………はぁ」
(……怖いから一緒に帰ってほしい、なんて、言えるわけないしっ)
「ジロウ…………あっ! ///」
(…………バカみたいっ/// 早く帰ろっ)
ザッザッザッザッザッ……
────────────────
ザッ…… ザッ…… ザッ…… ザッ……
背後から男が1人。
「へっへっへ……あのガキようやく1人になったか。散々待たせやがって……さくっと拉致ったら、全身めちゃくちゃに使ってやるぜ、きへへっ……」
ザッ…… ザッ…… ザッ…… ズサッ!
「あぁ……?」
男が振り返ると、どこからともなく現れたであろう少年が1人佇み、こちらを睨んできていた。
「なんだ、てめぇ……」
「どうやら、間に合ったみたいだ」
「あ?」
「気付いていました。ユリが本当に狙われている事。確かに彼女はすごく可愛い。でも、あなたは相手を間違えた」
「さっきからなんなんだよ……おいっ! てめぇ誰だって聞いてんだっ!」
「僕は、松田ジロウ。彼女の……親友です」
「はぁ……? あ、もしかして君お友達? えなに? 俺が彼女を守るぅ……みたいな? おいおい冗談もいい加減にしてくれよ…………殺すぞ」
「…………」
「あれ、ビビっちゃった? なら黙って帰れガキ。お前の出る幕じゃねえんだよ」
男が少年に近づき、肩を掴もうとした、その時。
「あなたがその気なら、容赦はしません」
「あ?」
ゴロゴロゴロ……バチィィッ!!
「っ……!」
突如、彼らの頭上で大きな雷の音がした。
上空を見上げると、異様さを感じさせる紫色の曇り空で空が覆われていた。
「な、なんだ……?」
ふと、彼が少年の顔を見ると……
「ヒッ……!?」
その瞳は、殺意を感じさせる宝石のような赤色とかしていた。
「フーッ……フーッ……フーッ……」
少年の息の音だ。
男は、何かがおかしいと感じた。
そして……
ゴロゴロゴロ……バチィッ……バチィッ……
「……アオォォォ──ーン!!」
バチバチバチィィィ!!!
少年の頭上に大きな雷が落とされた。
「な、なんなんだよぉ……!?」
男は戦慄する。
しかしそれも束の間。
彼の目に入ってきたものは、彼にとって恐怖の象徴となり得るものであった。
「フーッ……フーッ……グルルルル……」
それは、先ほどまでの弱々しさを感じさせる少年とは全く違うものであった。
鋭利な爪、輝く牙、鋭い眼光、全身を覆う鎧のような毛並み。
そして何より、その姿。
「な、なんだっ、なんなんだよぉ……!! バ、バケモン……!?」
しかし、彼はその姿を知っていた。
それは、彼を含めた多くの人間が、"狼男"と呼ぶものであった。
「グルル……アオォォォ──ーン!!」
再度遠吠えをあげたそれは、ジリジリと彼に近づき始めた。
「ひっ、くっ、くっ、くるなぁっ……! くんじゃねぇ……! う、うわあぁぁぁ!!」
その遠吠えを上回るかという叫び声をあげた男は、一目散に逃走した。
「グルル……」
ゴロゴロ……
狼男がその場で跪くと、天気は元に戻り、体から粒子のようなものと煙を放出すると、数秒で元の少年の姿に戻った。
────────────────
僕の名前は、松田ジロウ。
どこにでもいる、ごく普通の高校生。
でも、皆とは一つだけ違う所がある。
それは、僕の家系。
この力に目覚めた時、"両親"に教えてもらった。
母の家系は、元々は海外にルーツがあるものだということ。
その家系は、大昔特殊な力を有していたということ。
今はもう使えないはずの力だということ。
その力が、何故か今になってかなり薄い血であるばすの僕に発現し、その原因は分からないということ。
……なんにせよ、一つ確かなのは。
僕が……僕こそが……
────────────────
狼男の末裔である、ということだ。
To be continue……