ある小学校の校則   作:青ヤギ

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某バラエティ番組 「思い出の給食を食べよう!」

 

 これは2021年に放送されたバラエティ番組の一部内容を抜擢し、文章化したものである。

 諸事情により出演者の名前は伏せ、以下のように表記する。

 

 

■A(昭和初期生まれの男性俳優)

■B(昭和後期生まれの男性お笑い芸人)

■C(平成初期生まれの男性アイドル)

■D(平成中期生まれの新人女性アイドル)

 

 

「懐かしの給食メニューを世代別に食べ比べしてみよう!!」

 

 

 今回は小学校で出される給食のメニューをそれぞれ『昭和初期』『昭和後期』『平成』と世代別にご用意させていただきました!

 当時小学生だった皆さん、自分の時代や別の時代の給食を是非食べ比べしてみてください!

 

 

A「うわぁ、懐かしいなぁ~。そうそう、昭和初期の給食ってこんな感じだったよ~」

B「これが『まずい!』って噂の脱脂粉乳ですか!? ホンマにまずそうやな!」

C「いやいや、飲んでから言いましょうよ(笑)」

D「え~、でも私、興味あります。おばあちゃんから『本当にまずかった』って聞いてたんで~」

 

 出演者一同、まず脱脂粉乳を飲む。

 

A「うぅぅん、これこれ! わぁ、あの頃とまったく同じ味! そしてやっぱりまずい!」

B「うえええ~、こんなん毎日飲まされたらたまらんわ~! よかったわ俺が小学校の頃はギリギリで牛乳パックになって!」

C「げほげほっ! す、すみません」

B「ちょっ、大丈夫か、若いお二人(笑)。Dちゃん泣いとるやんけ!」

D「お、思った以上にまずくて……ええ、なにこれ無理ぃ……」

B「『無理ぃ』って言わせちゃったよ!? どう思います当時代表のAさん!」

A「いや~、擁護のしようがないかな~(笑)」

B「世代の人すら擁護しないくらいまずいってある意味凄いなぁ!!」

 

 会場が笑いに包まれる。

 

 

 

「続いては昭和後期の給食! この時代から洋風化が進み、カレーライス、スパゲティなど我々がよく知るメニューが増えてきました!」

 

 

 

A「パンがねえ、もうおいしそうだよね~。ぼくの頃なんてコッペパンだけだったからさ~」

B「ああ、この揚げパン大好きやったわ~。余りが出たときなんて争奪戦やったもんな~」

C「ソフト麺おいしい~。いまはもう無いんですよねソフト麺」

B「それな! ショックやわ~。いや特別うまいわけやないのに無性に食べたくなるときがあるねん! ずるるる……ああ、懐かしい! この麺の感触がたまらん!」

D「ああ、脱脂粉乳のあとに普通の牛乳飲むと特別おいしく感じますね! 普段は嫌いで飲まないんですけど!」

B「もうええねん! 脱脂粉乳ディスんなや!」

 

 会場が笑いに包まれる。

 

 

 

「お次は平成です! イタリアやフランスなど国際色が豊かな料理や食育を意識して郷土料理などが各学校で出されるようになりました!」

 

 

 

A「ぼくにとってはもう平成の給食なんて未知の世界だよ。ええ~!? アイスがデザートに出たの~!?」

C「特別な日に限りましたけどね~。ああ! この七夕の時期に出るデザート懐かしいなぁ!」

B「給食でナンが出るって凄いな! パエリアもあるしホンマに国際色豊かやな平成!」

 

D「鶏の唐揚げおいしい~! へぇ、こんなジューシーだったんだ~給食のからあげ~。初めて知った~」

B「いや、Dちゃん世代ちゃうんかい!? なに新鮮な顔で食べとんねん!?」

D「え、だって~、どのメニューも私の小学校じゃ食べたことのないやつばっかりなんですも~ん」

B「それはさすがに嘘やろ!? どないな小学校通ってたん!? お嬢様学校か!?」

D「あんまり覚えてないんですよね~小学校のこと~。アイドル目指すのに必死だったんで~。え!? これが冷凍ミカン!? 感動~!」

B「冷凍ミカンも初なんかい!? マジでどないな給食食べてたん!?」

D「ん~本当に覚えてないな~。なんか真っ白なのがかかったやつが滅茶苦茶苦手だったのは覚えてるんですけど~」

C「それってグラタン? それともクリームシチュードリア?」

D「いや、そんな感じのじゃなくて~……あれ~? 何食べてたっけな~?」

 

 

 一瞬、映像にノイズが起こる。

 

 

B「さすがになんかあったやろ、ひとつくらい好きなメニューとか」

D「好きなメニュー……あっ! 思い出しました! 『ネガリヤの照り焼き』とかは大好物でした!」

 

 会場が静まりかえる。

 

B「……え? なに? なんて言うたん?」

D「あとは『ミミッテのスープ』も出た日は嬉しかったな! ああ、だんだん思い出してきました! 『ドリートルのフルーツ添え』とか大好きなデザートでした!」

B「なになに!? おっさんなにひとつわからんのやけど!? 若い子はわかるん!?」

C「いやー、どれも聞いたことないメニューですね(苦笑)」

B「Dちゃん! マジでどないな小学校通ってたん!? 逆にその給食特集したほうがええちゃうんか!?」

 

 再び徐々に笑いに包まれる会場。

 

D「あ~、思い出したら食べたくなってきちゃった~。ここに無いのが残念です~」

A「あはは。給食も随分と豊富になったんだね~(苦笑)」

B「Dちゃんのはだいぶ特殊や思いますけどね~!」

C「どんな料理なんでしょうね~」

 

 再び映像にノイズが起こる。

 Dの背後に一瞬、赤いワンピースを着た黒髪の少女が映る。

 

D「あー、食べたいなー……あ、そっかー。自分で造ればいいんだー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 この番組の放送後、Dは同時出演していたA、B、Cの自宅を襲撃、殺害した。

 死体は臓器のすべてと、眼球が抜かれていた。

 Dはその後、自宅で首を吊り、自殺。

 自宅の冷蔵庫には大量の臓器が保存されていた。

 Dの胃の内容物から同様のものが検出され、自殺の寸前まで食していたものと思われる。

 自室の机に置かれた遺書には、以下の内容が書かれていた。

 

 

 

 

 おかげで全部思い出せました。

 小さい頃からの念願である「ナリタイモノ」になれて私は幸せでした。

 だから恩返しに行ってきます。

 

 学校に行きましょう。

 皆さん「イイコ」になりましょう。

 

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