私は藤原妹紅、元は平安の世を生きる"忌子"だったが、とある事件をきっかけに蓬莱人、不老不死へなった。
そこの経緯はまた語るとして…
その後、幻想郷という場所に着いた。
千三百年程の生を実感した私にも、これ程まで無い魅力を感じさせた。
そして…崩壊した。きっかけと言うのも無いが、寿命だったのだろう。幻想郷としての。
私は賢者じゃ無い、そこに納得いくまで原因を求める気など全く。
で、だ。
これは私、藤原妹紅が崩壊した幻想郷から立ち去り、世界を行く物語。
今回は───────────────
「H国だったかな。ここは。」
現在地はH国の浜辺……多分…。
どうやって来たか?
勿論泳ぎで、だ。
過去、トンネルがあったらしいが…こんな有り様の世界じゃ見る影も無い。
天候とか、船で私に何か言った後、襲ってきたのはびっくりしたな…。
ま、私にはこれぐらいが丁度良いんだ。
で、無事本土にいるんだが…。
数百年前、世界から独立した国、H。
故に、言葉が分からない。
だが、それも楽しみの一つだ、今の目標は…仲間(日本人)を探すこと。
H国独立、色々あったが、その問題は解決した今、日本人の在住も少なくない。
「はぁ…っても、果てしないかもな?そもそも日本人がいるかどうか…」
かの昔は日本の形式を取り入れて発展して…んな感じだったが、日本のような発展の面影はほぼ無いかな。
あの遠くに見えるのは…確かビルだっけ?
これでも、一応現代の書物は読み漁ってるんだぜ?多少は分かるはずだ。
知らない言葉が飛び交う浜辺近くの歩道。賑わいも勿論ある感じか。
「…今から3分後、あそこでな。」
!!
聞こえたな、日本語が!
「なぁ、あんた今、日本語喋らなかったか!」
その男、黒い服を来た、二十代前半の青年だな。
「………?あっ…どうも」
「急にすまないな、ここの言葉がどうしても分からなかったんだ…」
「あー…やっぱ居るんだな…そういう人って。」
そういう人…多分現地に行けば何とかなるだろう、という変な希望を抱いた人って事だろう。
「同行させて貰えないか?」
「………まぁ良いか…おい、やっぱお前解雇だ。足が付く。」
ピッ
「?…」
「こっちの都合だよ、今から丁度力仕事するつもりだったんだ」
「あー、私居て大丈夫か?」
「大丈夫だ。ボスは許してくれる。」
…なんと言うか不穏だな…。
止めておくべきか…?でもここで同行を止めたら次いつ日本人に出会えるか…。
それに…"ボス"気になるな。続行だ。
「車で移動だ。着いてこい。」
「あぁ」
車…知っているぞ、生活に必須であり、完全自動運転という俗に言う見えない従者が備わっている乗り物だ。
始めてだ…乗るのはな。
この目でその光景を抑えなければ。
乗車。
特に何も思うことはないな…。ただ動いている。
個性がない、と言っても良い。
「なぁ目的地は何処なんだ?」
「S、H国の大都市だ。」
「ほぉ…大都市か。」
「お前、幾つだ。そのなりで大人とは思えねぇ。」
「それは嬉しいな、だが成人はしている。25歳のな。」
あ…そうか話し忘れていたな、2XXX年、法改正があったんだ、そこで成人となる年齢が25歳に引き上がった。何でも成人済みではないと使えない、だが18じゃそれに適応出来ない事が~とかなんとか。今はどうでもいいかな?
「フンッ当然だ。後俺に話し掛けた時点でお前は俺の道具となるんだぞ?分かっているか?」
「は?」
何か…ヤバい!そう思ったが、時は遅かった。
ガチャ
車のドアの鍵を完全にロックされ、脱出が不可になった。
そして…
「誘拐、そして働かせる。内容は取引の受け渡し係だ、失敗したら即……。案内を頭に叩き混んでおけ?」
拳銃をこちらへ…。
「…………ほぉ…良いじゃあないか。」
中々刺激的だな。
「玩具じゃねぇぞ」
「知っている。」
「じゃあ…案を飲み、売人をするのか?」
「…………しないと言ったら?」
「殺して処分する。」
そうだな…死体遺棄を体験するのも悪くないが…。
「仕方ない、わかった。」
「フッ…分かってるじゃねぇか、大人しくしとけよ」
「あぁ…勿論だ。」
一時間程経ったのだろうか?
繁華街、ビルなどが多く位置しているH国の中心部、Sへ来た。
「観光するんじゃ無いんかだらな、大人しく道具として、だぞ。」
「早く終わらせようか」
本当は早く見たいだけなんだけど。
「ここだ、降りるぞ。」
ここは…公園か…?
「ここの公衆トイレに、この袋を持って行け。」
小包、それこそ手のひらに乗る程。
「持っていくだけで良いのか?」
「と、中にもう一個入ってるそれは交渉成立したら俺の所に戻してこい。」
小包の中に…?
それはともかく持っていって終わり、リスクはあるけど私なら充分に遂行出来るな。
「でも断る」
「……はぁ!?」
「お前が行けよ。」
「お前…殺すぞ!」
拳銃をこちらへ…関係ないね。
動機は好奇心、こう言えばこいつはどうなるか、それが気になった。
「やってみろ、お前にとって私を殺すのはリスクじゃあないだろう?」
「…………客が待っている!こいつぁ俺にとって!出世の為の仕事だ!売人を雇って…
「そこの出っ張りを引けば撃てるんだろ?」
これは……果たしてどうなるかな?
「……そうだな、だが!撃つ訳n…
ダンッ
「!!!」
「グッッ……ガハッッッ…」
私は目に宿していた瞳孔を開ききり、死亡した。
「あ……ぁぁ……まず…い……死ぬ!殺される!ボスに!は……あぁ………母ちゃん……母ちゃんの病気がッ!俺が渡しに行かなければッ!警官に最近足が付き始めている…俺にッ!神頼みだぁ…神様ッッッッ!」
ガチャ
「…………車…出たかな?」
ふぅ……不老不死っても死んで、生き返るんだ。
死なない訳じゃあない、魂の死という物がないだけで、な。
んで、計画だが、多分拳銃で脅し、渡す。多分…小包の中の小包には発信器でも入ってたんだろう。それで逃げられないようにってな。
このやり口でやって来たんだろうが、拳銃が驚異にならない私じゃあ…結果は残念なとこに成る、それは予測出来る。
これからどうなるか…楽しみだな。
「私も出るか。」
ガチャ
追いかけよう…。
公衆トイレっても…公園自体広いし距離はあるかな…。
見えた…。
話しているな…袋の中身を見せて、発信器の入った小包をぽっけに入れ…周りを見渡して…小包を……渡した!内容物は粉状。
……気になるね。
これ以上の物がある…粉と、そのボス。
このまま逃亡…?
無論、乗り込むね。
「やっ」
「…………は?」
「連れてけよ、ボスの所に」
「………俺は幻を見ているのか?」
「現実だ。もう一回撃ってみるか?」
「………生きている…と言うことは死んでいない…もう一度撃つぞ。」
プスッ
音が鳴らない拳銃か…サイレンサーだっけ?
バタッ
「ッッッ……死んだよな。」
「………」
触られているな…首元を
私の命は…既に脈を動かしている。
「!!!……あ………ぁぁ、これは……幻じゃない…非現実でもない…現実…。こ…こいつをボスのもとへ、連れていくのか…?……ボスはこの怪物に対してお喜びに成るのか…?」
「私が会いたいだけだ、連れてけよ」
「………つ…連れていかない、と言ったら?」
殴り飛ばしても良いが…ここは一つ…脅しとして。
私にはもう一つ、能力がある。
妖力による…妖術。
後天性、つまり年月を掛け、修得した能力。
炎の能力。
「燃えろ、炎よ。」
手のひらを身体の前へ出し、紅い紅い焔を出す。
「!」
「連れて行かないなら…車を燃やす。困るだろ…?」
「お前は一体…誰なんだ」
「ボスに会わせろ」
「そしてお前の何がそうさせる。」
「ただの好奇心さ、故郷が消えて…ちょーっと心境に変化が合ったんでね。」
「………連れていかない選択肢は無いようだな。」
「流石、物分かりが良い。」
「はぁ…乗れ。」
乗車中幾つかの質問が来ることを見越して、ある程度の情報は伝えておこうかな。
「私の名は藤原妹紅、日本住みだ」
「………そうか、一応言うが…俺の情報は何一つ話さないぞ。これは等価交換じゃないからな、壁と話をしている、そう思え」
「元よりそのつもりだ。種族は人間じゃない、とだけ言おうかな。」
「……妖怪とか、そういう事か?」
「妖怪でも、幽霊でも、妖精でもない、取り敢えず不老不死だ。」
「ハッ…にわかには信じ固いね。」
「だが、現状が物を語っているだろう?」
「………そうだな。……ボスの家が近い、覚悟しておけ。」
「ん…。」
「ここか?」
「最上階だ。」
ガチャ
「降りろ」
ガチャ
「身体が…少し凝ってるな…」
「お前、不老不死だろ」
「……不老不死とはいえ、お腹は空くし、疲れるんだよ。」
「変わったヤツだな。」
「変わり者で結構。」
「行くぞ、最上階までエレベーターで一気にだ。おう、俺だ。こいつはボスへのプレゼントってヤツだよ。」
自動ドア…どの国でもAIが発達してこういうのが増えてるんだな…。
幻想郷には最後まで全く無かったが…。
エレベーターも同じく、最早家庭的となり、普及している。
「進化したもんだ、この世の中も」
「……幾つだよ。」
「女に年齢を聞くことは…どんな時代でもご法度だぞ?」
「じゃ、良い。エレベーター来たぞ、乗れ。」
「そんなよ、なけなしの銃で脅しか?」
「驚異にはならない、だがこれがマニュアルだ。」
「はいはい。」
ウィィィーーーン
「何分掛かるんだ?」
「3分」
「長いな…」
「当たり前だ、この間に顔、体重、体格全て診られる、そこの監視カメラでな。」
「デリカシーが無いぞ、燃やして良いか?」
「ジョークにならないジョークは止めろ。」
最上階到達。
「ボス、帰りました。」
「ちわ、あんたがボスかい?」
中年でいかにもって感じだな。
成金ってほどじゃ無いが、時計に、ネクタイ、その成りを見ればボスだってことが一目で分かるってことよ。
「!大胆な口を利きすぎだぞ!藤原妹紅!」
「来来、下がっておれ」
「は……はい…ボス。」
あいつの名前…来来なのか…。
別の部屋に入った?控室みたいな場があるのかな?
「ほぉ…そいつが、か。」
「どうも、藤原妹紅だ。」
「ようこそ、わがアジトへ。」
アジト…確かにアジトのような雰囲気だな。
「あんた、何売ってるんだ?」
「…いきなりそれを聞くか。」
「教えてくれ、ちょっと気になる。」
スッゴい眉を歪めた顔をしてこちらを向いてきたな…。
「ちょっと…ほぉーーーちょっと…ね。」
意味深だが…まぁ粗方予想は付くよ。
敵のアジト来ていきなり核心へ迫るんだからな。
「好奇心だ、それが生きがいなもんでね。」
幻想郷を出てから退屈な日々…そこに刺激を求める、その一心でここまで来た。
「違法性のある物質、それで良いかな?」
「あぁ、充分だ。」
「じゃあ処分するぞ。」
おっと…早いな…。
こいつは…まぁ撃つだろうな。オーバーな程に。
「ニッ…そう来ると思ってたよ。」
過剰防衛、そこまでしてこの組織を守る、だから楽しみなんだ。こいつらの事を知るのが。
「撃て」
おっ…四方八方から拳銃を構えて…
ダダダダダダダン
「クックックッ……刺激的だなぁ…」
バタッ
「………何だこいつは……。だがっ将来BIGになるタイプではある…、フンッ、尚更これで良いか。」
「……………」
拳銃かぁ…一度扱うことは断念したが、こう見ると良い道具ではあるんだな。
「……フッ…将来BIGか…ありがたいね。」
「!!!??!………はぁ?」
「藤原妹紅、不老不死だ。……今日何度目だろうな…自己紹介だ。」
「不老不死…?死んでたではないか。」
「死んで生き返ってんだよ。」
「……え?勝ち目あるの?」
急に勘づいた表情をしてその台詞か。
「無いよ。」
「じゃあ…どうすれば良いのだ…」
「……………さぁね。じゃあ金くれ。」
図々しいか?、私はそうは思わないが。
「ハッ何ならここに住ませてやろうか?」
その図々しさというか…大胆かつ損害が少なめな選択をした私を気に入ったのか…、意外な案を出された。
「!…良いのか!?」
勿論yesだ。
活動拠点が増える、何て望ましい事だろう。
「お前…我々と警官で言えばどちらの味方だ?」
味方……特に決めちゃ居ないが…。
「まぁ…楽しい方かな。」
「我々はお前を裏切る可能性があるぞ。」
「だから良いんだ。より刺激を与え、より毎日が楽しい方、だからここを選んだ。」
「それでこそ気に入った。これから宴会だ!」
───────────────
「……………という感じだ。」
割りと深夜テンションだったな…、とは言え気にいってるぞ。実際今も毎日じゃないが、よく通う程だ。
「次の話は何にしようか…呪いの人形を追い求めていた男。それとも、重力を感じない無限の縦穴?」
どれもこれも、私がリアルに体験した、素晴らしい話だ。
「これからも探求心を捨てず、旅をするよ。じゃあ、またな」
H国の売人。
そこそこのペースで、短編を集めた感じに書きます。