異物混入アカデミア!   作:伊良部ビガロ

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第20話 林間合宿 その3

 合宿開始二日目の朝。朝日が昇ったばかりの時間に起床し、眠い目をこすりながら、合宿所を囲む森の一角に連れて来られたのは、雄英高校ヒーロー科B組の面々。

 担任のヒーロー、ブラドキングに率いられた彼らが見たのは、地獄のような有様だった。

 

 ――説明されたのは、今回の合宿の目的である『個性の強化』の方法について。

 筋線維が負荷をかけられて千切られ、回復し、太くなるように、個性もまた使うだけ上限や威力が伸びていくもの。

 そのために、先行したA組の生徒たち二十人はそれぞれが阿鼻叫喚を響かせながら、各々の個性を伸ばす特訓に励んでいた。

 激痛、苦しみ、疲労、精神的負荷などと戦っている。

 

「個性といっても二十人二十通り、ウチらもいれたら四十人……先生二人と、プッシーキャッツの方々四人、あわせて六人で管理しきれるものなんですか?」

 

 B組の生徒、取蔭が質問すると、ワイルド・ワイルド・プッシー・キャッツの四人が名乗りと共に自分たちの個性を説明した。

 まず、ラグドールの個性『サーチ』で個性や弱点を把握。ピクシーボブが『土流』の個性で鍛錬に適した場所を精製する。必要に応じて『テレパス』の個性を持つマンダレイがアドバイスを生徒たちに送る。

 

「そこを我が殴る蹴るの暴行よ……」

「色々だめだろ」

 

 最後のメンバー、虎の言葉に対するB組生徒のツッコミは露と消えた。

 ポーズを取っていた中で、不意にピクシーボブが地面に両手をつく。

 

「ちょっ、やば、これ、うぐぐぐぐ……! ふうっ……」

「何してるんですか、ラグドール……」

「ちょっと一人キティ、というか、とんでもないキャット、いや最早ライオンが一人紛れ込んでてね」

 

 一人だけやけに疲れ切った表情を既に浮かべているピクシーボブ。汗を拭った直後、遠い場所で小高い丘のような高さまで膨れ上がった大質量の水が現れた。

 

「なんだあの津波!!」

「津波というか水の塊じゃねえか!?」

「やべえぞ全部飲み込まれちまう!」

 

 ラグドールがじっと水の塊を見つめる。

 

「流子、10mの高さの土壁追加!」

「まかせニャさい!」

 

 それをピクシーボブが両手を地面について、遠くで天をつくほどの高さの土壁を生み出す。

 直後に土壁は水流に砕かれながら、流れがA組生徒たちやB組生徒たちに流れ込まないように防ぎきっていた。左右に逃げていく水は、次第に集まり、天へ昇り、再び水の塊を作る。

 

「イレイザー! ちょっとあの子だけ色々と規格外なんですけど!」

「……あそこまで規模がでかいのは流石に初めて見ました。去年はここまでの規模じゃなかったんですが」

「成長著しすぎ! 若さっていいね!!」

 

 ヤケクソ気味に叫ぶピクシーボブ。

 B組の生徒たちが終末を思わせる光景を生み出しているのが、A組の生徒、海原大海その人に違いないと全員の予想が一致していた。

 思い起こされる体育祭での蹂躙。

 鋭い眼光に、押しつぶされそうになるほどの威圧感。

 B組生徒たちにとって、トラウマとまではいわないが、恐怖の主のような、苦手意識が根付いていた。

 生唾を飲み込む生徒たちに、担任のブラドは注意した。

 

「見ての通り、広場から出るとアレに巻き込まれる可能性があるので、無暗に移動しないように。本人曰く『精密性と量の限界に挑むから被害には気を遣えない』とのことだ」

「う、うおお、負けてられっか! みんなァ! ビビってねえで俺たちもやるぞ!」

「ビビってんのはあんたじゃないの……でも、負けてられないのは同感。やるよ、みんな!」

「「「お、おお!!」」」

 

 B組一の元気印、鉄哲が叫ぶと、B組クラス委員長の拳藤も発破をかければ威勢のいい返事が響いた。

 そんな協調性の良さからくる団結力を見て、ブラドキングはうんうんと嬉しそうにうなずいた。

 

 ☆☆☆

 

 オレは今、自転車を漕いでいる。正確には、自転車エルゴメーターと呼ばれる機械に跨り、ひたすらペダルを踏んでいる。

 ただペダルを漕いで運動をしているのではない。

 絶賛、全力を以って水を操作して時に大瀑布、時に水のモニュメント、時に降りしきる雨を生み出す雲など、順番に作り上げていた。

 少し離れた場所で絶叫を上げながら特訓をしているA組生徒たちと同じく、オレもまた訓練を課されていた。

 目的は水分操作個性の質量及び容量の上限突破と、精密操作性の向上だ。

 まず、下半身不随なのを利用して、下半身に関わる全ての神経活動を水分操作でコントロールしながらペダルを漕いで下半身の強化及び個性の精密動作への意識付け。

 それと同時並行で大容量の水を自在に操ることでこれまた精密性と上限突破を狙うトレーニングだった。

 ここまで個性を全力で使用したのは、大怪我を負った去年のインターンの時以来。

 それ以外は常に周囲の被害を考えて操作してきたから、全力で個性を使うのは久しぶりだ。

 ピクシーボブにもかなり気を使わせているが、そこを申し訳なく思うのはお門違いというやつで、オレは気にせず全力で力を振るう高揚感と、疲労感に熱中していた。

 まるでスポーツに打ち込むような爽やかな昂りを感じながら、ひたすらペダルを漕ぐ。

 

(あまりやり過ぎて今回の目的を損ねないようにしないとな)

 

 今回の合宿では、敵連合が合宿所を襲撃する。

 細かいことは覚えていないが、個人的な因縁があるマスキュラーと呼ばれるヴィランがやってくることは確かなはずだ。

 そして、最終的には真の巨悪たるオール・フォー・ワンがその姿を現す予定のはず。

 今回の目的は、オール・フォー・ワンに接触すること。

 

(そのためには戦える状態は維持しとく必要がある)

 

 個性を限界まで使えば、個性を使う余力がなくなり、オレは下半身が利かない車椅子状態を余儀なくされる。

 どこぞのスタンド使いみたいにある程度戦えなくもないが、流石にヴィラン相手にはハンデが重すぎる。

 かすかな記憶と状況を判断するに、特にイベントもない今夜ではなく、肝試しが計画されている夜がおそらく敵連合のX(エックス)デーだろう。

 

「今日は全力で試運転して、ついでに車いす姿で撒き餌にでもすっかな」

 

 水を水蒸気に変え、温度を操り上空へ巻き上げる。上空の冷たい空気で冷やされた水の粒が小さな氷となり、摩擦を生んで、電気が発生する。

 自然現象の雷鳴をオレの力で起こし、雷雲を生む。

 

「雷は起こせるけど、自由にぶちかますとかはできないかやっぱり。個性の水分操作のルールから逸脱する、とでも言えばいいのかね」

 

 ゴロゴロ、という音が鳴り、直後に雷光と雷鳴があたりに響き渡った。

 自分の力がどこまでAFOに通じるか。そして、おそらく真の敵になるであろう死柄木弔をきっちりと倒し切れるのか。

 

「楽しみだね」

 

 冷静な打算とは別に、高揚を抑えることはできなかった。

 

 

 

 夕方、オレたちはカレー作りに励んでいた。

 プッシーキャッツからは今日からは自分でご飯を作れと言われ、それぞれが野菜を切ったり、米を炊いたり、火をおこしたりと個性や特技を活かして働いていた。

 オレは個性を活かして、鍋の番に任ぜられた。

 

「パイセン、大丈夫そ?」

「水分操作の一環でな、煮込み料理なら水温とかの管理は完璧やで」

「そうじゃなくて……足、とか」

「うん?」

 

 鍋の前に座っていたオレに声をかけてきた芦戸が、視線をオレの下半身に向けた。

 オレは車いすに腰掛け、毛布を膝に乗せている。

 

「なんや芦戸チャン。気にしとるん?」

「いやー……なんというか……個性使っていないと、本当に動かないんだなーって……」

 

 気まずげに頬をかく芦戸。

 

「限界まで個性使って追い込んだからなァ。流石に電源オフにして休みたいわ」

「電源オフて」

「パイセンも個性を使わなくなるくらい追い込んだんだね! お疲れ! はい、お茶!」

「葉隠チャン、おおきに」

 

 なんだかクラスメイトたちが優しい。

 

「そんな気を遣わなくてええんやで。ボクは普段は元気なんやから、疲れたから座ってるってだけやで」

「「そうなんだけどさー!」」

 

 わーっと唸る二人のカワイイ女子たちを尻目に鍋から灰汁を掬う。

 改めてどのくらい個性を使えば限界を迎えるか、どのくらい普段の個性使用が負担になっているか把握したかっただけだし、そこまで病人・怪我人扱いする必要はないのだが、その優しさは素直に受け入れることにした。

 

「あれれー!? あれあれあれあれぇ!? 体育祭優勝者の海原くんが車いすに座ってるなんて! 初日で疲れちゃったのかなぁ!? 意外とヤワなんだね海原くん!! おかしいねえ優秀なはずなのに!!!」

「物間……お前……」

 

 絡みに来た物間は車いすに座るオレを見上げていた。

 ……そう、見上げている。

 食器を運びにきた瀬呂と障子が、そっとテーブルに皿を置く。

 

「お前……なんでベンチで寝そべってるんだ……」

「あははは! いうまでもないよねぇ! 全身筋肉痛でグロッキーなんだよねぇ!!」

「お前何しに煽りに来たんだよ!」

 

 ベンチに寝そべったまま物間はオレへ指差した。

 

「なんで車いすなんだい? 一人だけ疲れてしんどいアピールかな? そんなんでいいのかなA組は!」

 

 けらけらと震える腕だけを掲げる物間。

 A組に対抗心を強く燃やす彼の煽りに、普段ならば反感もあるだろうが、無様な姿になりながら煽る姿はむしろちょっとした尊敬の念があった。

 オレはそんな物間に、返礼した。

 

「そんな……ボクはただ、後遺症に苛まれているのを堪えているだけやのに……ひどいわァ、物間クン……」

 

 めそめそと目元を拭う素振り。

 傍にいた芦戸、葉隠、耳郎と、近くに来た蛙吹が何かに気づいた表情を浮かべた。

 

「物間、アンタさいてー! パイセンの苦労を知らずに!」

「いけないんだー! パイセン可哀想……」

「ハァ……物間、今のはダメだわ……」

「よしよし、海原ちゃん、泣かないで」

「うっうっうっ」

 

 瀬呂と切島が追従した。

 

「うわー、パイセンのこと泣かしたー!」

「ひどいやつだな……男のやることかよ」

「あれあれあれあれぇ!? なんで泣いてるクソデカい男をみんな慰めてるのかなぁ!? 気持ち悪いねぇ!! あれあれぇ! 本気であれあれあれって感じだよぉ! どんなノリなのかねぇ!!」

 

 オレが嘘泣きして女子たちに慰められていると、轟が騒ぎに気づいた。

 

「物間……言っていいことと悪いことがあるだろ」

「なんでかなぁ! ただ僕は軟弱な姿をさらす彼の事実を指摘しただけだよぉ!」

「海原は過去にヴィランに襲われて下半身不随の後遺症があんだ。個性でカバーしながら、必死にやってる……それを馬鹿にするのは、ちげぇだろ。海原が泣くほど傷つけて……そういうこと言うなよ」

 

 シンと周囲が静かになる。

 あまりのマジレスに噓泣きをやめて、悪ノリしていた女子たちへ視線を向けた。

 やべえマジレス入った、と言わんばかりに芦戸、耳郎、葉隠は視線をそらした。蛙吹だけは大丈夫よ、とオレの髪を撫でている。優しい。悪ノリの類と気づかず、本気でオレが傷ついていたと思っていたらしい。

 なんか逆に申し訳なくなってくる。

 

「え、なんか、ごめんな轟クン……梅雨チャンも……」

「気にすんな。ダチが傷つけられて黙ってるのもヘンだろ」

「そうね。海原ちゃんにとっては辛い過去なんだもの。悲しむのは当然だわ。物間ちゃんも、人には色んな触れられたくない傷があるのよ。意地悪するのはいけないわ」

「あ、はい、ごめんなさい……」

「な……物間が謝った……!?」

 

 物間回収班班長こと拳藤が手を口に当ててふるふると震えていた。

 ちょっと悪ふざけが過ぎたか。

 物間が拳藤の巨大化した両手に包まれて回収されていくのを見送ってから、オレは轟と蛙吹に飴玉を手渡した。

 

「轟クンも梅雨チャンもええ子やねえ」

「大阪のおばちゃんみたいだぜパイセン!」

「パイセンは京都出身じゃなかったか?」

 

 なんて馬鹿やっている間に、緑谷がカレーを持ってみんなの集団から離れるのが見えた。

 あとを追おうにも皆に囲まれて、ましてや車いす状態では無理な話だった。

 カレーを食べ終えてみんなで皿洗いを終えた後、緑谷が近づいてくる。

 

「海原くん……ちょっと、いいかな」

「ボクを連れ出すんなら車いす押してもらおか!」

 

 なんてやりとりのあと、合宿所から少し離れた場所に連れてきてもらった。

 熱帯夜を感じさせる夜風であまり心地よくはないが、不思議と山の中という環境がそうさせるのか、普段とは違う解放感がオレを包んだ。

 

「んで、緑谷クンはどしたん? 愛の告白ならもう少しいい雰囲気を望むで」

「愛の告白じゃないんだけどさ」

 

 オレのジョークをあっさり流す緑谷。

 放課後に組み手や特訓をつけていても、程よい雑さが彼についてきたように思う。緑谷は他人を多少は適当に、雑に扱うくらいでバランスがちょうどいい。

 緑谷は車いすの隣に腰を下ろした。

 

「その……インターンのこととか、ウォーターホースのこととか……洸汰くんとのこととか……色々聞いちゃって」

「ほお」

 

 茶化さずに続きを促す。

 緑谷は言葉を用意していなかったのか、探りながらといった感じで、ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「洸汰くんは、御両親のこともあって、ヒーロー……だけじゃなくて、個性ありきの現代社会を憎んでる。

 僕は何も言えなくて、少しだけ……僕……の、友達の話をしたんだ」

「友達の?」

「あ、うん。無個性でね。でも、ヒーローに憧れてたやつの話なんだ。そんな奴もいて、個性そのものを憎んじゃうと、辛いだけじゃないかなって……」

「それで、洸汰クンは?」

「……意味不明なこと言うなって言われたよ」

「そらそうやろ」

 

 思わずゲラゲラと笑った。

 五歳か六歳の、それも心に傷を負った子供にそんな言葉を投げかけただけで納得させたり、安心させることなんて無理だ。

 逆に自分が同じ立場になって理解して受け入れるか問われたら、間違いなくノーという回答を口にするだろう。

 

「ましてや……洸汰クンから見たら、憎らしい奴と同じ釜の飯を食ってる奴の言葉やで。言葉を聞くことすらイヤやろ」

「……どうして、洸汰くんは海原くんを、あんな風に言うの? その、こう言っては冷たいけど、インターンに来ただけの学生と、インターン先のヒーローの子供との関わりなんて、ほとんどないよね」

「たまたまインターン中にお守りを任されたことがきっかけになっただけや。ちょっと仲良くなって、ボクが自分を誰でも守るヒーローやで、ってかっこつけたのを信じてくれていただけやろ。ボクが適当なことを言ったのがいけないんや」

「……そう、なのかな」

「考えてもしゃーないやろ。ただな、緑谷クン」

 

 オレは夜空を見上げた。

 都会とは違う、星空は、オレがこの世界に生を受ける前と変わらない見た目をしていた。

 

「今度はそうならへん。……そう決めとるんや」

「今度は……?」

 

 オレは車いすの車輪を押して、聞き返してくる緑谷に背中を向けた。

 悪いが、今のオレの目的において、洸汰も、マスキュラーも、ウォーターホースの件も、些事となってしまう。

 

「どこまでやれるかな」

 

 昼間の高揚感とは違う、冷徹な打算が、夜に顔を覗かせていた。

 

 ☆☆☆

 

 繁華街の一角にそびえる雑居ビルのフロアに店を構えるオーセンティック・バー。

 そのカウンターの前に腰掛けるのは、敵連合の首魁たる死柄木弔だった。

 彼がグラスを傾けるとロックアイスがカランと狼煙のように音をあげた。

 

「獲物、目的地、仲間が揃った。あとはゲームを始めるだけだ」

「獲物……」

 

 バーテンダーの位置に立つのは参謀役にして死柄木の護衛である黒霧。不定形の闇を体に持つ彼は、死柄木が持つ一枚の写真に視線を落とした。

 

「海原大海、ですか」

 

 平坦、冷静を常とする黒霧の言葉に苦いものが混じる。

 オールマイトという平和の象徴を破壊するための襲撃事件で、予想だにしなかった高い障壁に阻まれた記憶が、忌々しく残る。

 オールマイトに阻まれるのではなく、ヒーローですらない学生に計画を破綻させられたことで、死柄木と黒霧の間には必ず借りを返す相手として刻まれていたはずだ。

 雄英体育祭のときは、海原が表彰される様子を放送するテレビを思わず死柄木が破壊してしまうほどに。

 しかし今は一転して、死柄木は面白そうに彼の名を口にする。

 

「こいつ、まるで生まれてこの方、ヒーローになるために生まれて、そうあるべくして育ってきたみたいな顔してるけどな」

 

 カウンターに広げられたのは、海原大海のプロフィール。

 真新しいものがない、少し張り込めば素人でも調査可能な情報の羅列の中に、ひとつ、茶封筒から出された書類を、死柄木は楽しげに撫でていた。

 

「見どころがちゃあんと、あるじゃないか。インターン中の大怪我、後遺症、公安委員会の干渉、インターン先のヒーローとヴィランの因縁……アハ……!

 こいつ、なんでヒーローなんか目指してるんだよ。“先生”もそう思うだろ?」

「――そうだね。いくらでもこちらに転んでくれそうだ」

 

 バーに備え付けられたテレビから、声がした。

 合成された機械音声と、テレビは人影だけを映し出して、正体はわからないが、常人が聞けば、誰もが底知れぬ闇を感じ取り、怯え、竦むような声音だった。

 声の主は楽し気に死柄木を褒めた。

 

「そこに気づくなんて、成長が嬉しいよ弔」

「先生は知ってたのかよ。早くに言ってくれよ、意地が悪いぜ」

「言っただろう、成長のためだって。あとはまぁ、確認かな。本当に、あのとき僕の愛しい部下たちの多くを傷つけ、殺した、怪物なのかという確認さ」

「……因縁がありそうだな。仲間にしても大丈夫なのか?」

「構わないさ。彼が仲間になるとしたら、その瞬間からすべての行動を起こしてもいい。彼がつくほうに天秤が傾く、そういう存在さ。

 それがわかっていたら、こちらのある程度の損失も簡単に目を瞑れる」

「へぇ。それなら、一緒にこの世界をぶっ壊してみるか」

 

 死柄木は海原の重要な書類を握る。個性『崩壊』によって、瞬く間に紙は塵になった。

 

「お前もこの世界を憎んでいるんだろう――海原大海」

 

 悪意が、個性社会に牙をむこうとしていた。

 




虎「我が増強型の訓練担当であるワイルドワイルドプッシーキャッツの虎である! 話しかけられた時以外は口を開くな! 口からクソ垂れる前と後に“ニャー”をつけろ! わかったかウジ虫ども!」
緑谷「にゃー!イエスにゃー!」
虎「声が小さい! タイに行ってタマを落としてきたか! 大声を出せ!」
緑谷「にゃー!!!!イエスにゃー!!!!」



戦闘シーンにはまだ入らないのだ
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