家庭教師ヒットマンREBORN!〜世界の命を巡る戦い来る!〜   作:弓子

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標的2

ツナside

 

ツナは暗に手配しておいたボンゴレの自家用ジェット機に乗り、日本へと到着していた。ボンゴレ本部を出たのは夜中の十時辺りだったので、着いたのは日本時間にして深夜一時くらいだろうか。まだ辺りは真っ暗である。

取り敢えず急な時差で疲れている体を休めるために、敵の目を少しは欺けるであろうホテルで眠ることにしたツナとクローム。流石に男女なので部屋は別々だが、すぐ隣なので何かあればすぐに分かる。

ツナが部屋に入ると皮肉混じりの声がかけられた。

「情けないねぇ、ボンゴレボスともあろう男が」

高くも低くもない美声にツナは苦笑する。

「ごめん」

「ボンゴレ十代目ファミリーはまんま(・・・)と敵の罠に嵌ったわけだ」

フッとその黒き冷徹な美貌に笑みを零す青年。

と、言っても今年で十八となる男と呼んでも差し支えのない青年。

「朔弥、今まで何処に?」

「俺には俺の都合というものがあるんですよ、ボス殿」

朔弥の返しにツナはむう、と唇を尖らせる。

「本当に食えない奴だ」

おや、と朔弥は眉を上げた。

「天下のボンゴレボスに褒められるとは光栄の極みだね」

「からかうな」

「本心を言っただけさ」

ツナは溜め息を吐いた。

「お前は本当、変わらないな」

「俺は生憎、元からこういう人間でね。利口な奴(いいこちゃん)の演技くらいなら出来るぜ」

憎まれ口を叩きながら、で?とツナに先を促す。

「俺はチェッカーフェイスに意思確認をして来ればいいのか?」

「ああ。……頼む」

ツナは朔夜を真っ直ぐに見つめて言った。朔夜はツナの表情を見て、優しく微笑んだ。

「まあそんなに心配しなさんな。(やっこ)さんは中々手強そうだけど俺たちが付いてるんだから……」

「俺が心配してるのはそのことじゃないよ」

ほう?と朔夜が眉を上げてツナを見やる。

「朔夜。お前がまた無茶し過ぎないか、心配なだけだ」

一瞬キョトンとしてから、朔夜はクスクスと笑い始めた。

「我らがボス殿は本当に超がつくお人好しだな。人の心配するより自分の心配したら?」

「朔夜!」

「声を抑えろ。隣にいる霧の女に声が聞こえる」

朔夜が冷たくツナに声を発する。

「朔夜。頼むから俺より先に死ぬなよ」

「……それ、ツナが先に死ぬって言ってるように聞こえるけど?」

ツナは言葉を詰まらせた。朔夜はツナを見て溜め息を吐いた。

「死に急いでるのはそっちじゃないのか?……まあいいさ、俺はもう行くから。じゃあな」

そう言って姿を消そうとする朔夜へツナはハッとして声をかける。

「……っ死ぬ時はファミリー全員一緒だ!だから朔夜、先に死んじゃうなよ!」

ツナが叫んだ言葉に朔夜はふっと微笑みを浮かべ、

「了解、ボス殿」

と言ってその場から消えた。

 

☆★☆

 

ジッリョネロside

 

「皆さん。私の元に残ってくれて……ありがとうございます」

ユニは辛そうな顔で笑みを浮かべた。γはそんなユニを見て心を痛める。

ジッリョネロでユニの元を離れなかったのはγと彼の部下又は彼と関わりの深い仲間達である。といってもジッリョネロの三割程度であろうか。ジッリョネロファミリーの同盟ファミリーには、全て同盟を破棄された。

「すみません。私がもっとしっかりしていれば……」

今回のことがかなり心に負担をかけているようで、ユニは深々とγ達に頭を下げる。

「姫のせいではありません。俺のサポート不足です。自分を卑下する必要はないですよ。姫はまだ幼いとはいえ、大器へと成り得る俺達のボスなのですから」

ユニはγをまじまじと見つめて、それからニコリと可憐に微笑んだ。

「んー……私お邪魔だったかなぁ?」

二人の間に凛とした声がかけられる。ユニはその声を聞いて嬉しそうな表情を浮かべた。

虹光(ななみ)さん!」

ユニの声に少女は片手を上げた。

「やっほー。ユニ、γ、元気にしてたかい?」

彼女の名前は新条虹光(しんじょうななみ)。公には知られていない、ボンゴレ雪の守護者である。

「ボクも結構忙しくてさ……。ユニの方に来るの遅れてゴメン!」

パンッと両手を合わせて虹光は謝った。

「いえ、いいんです。それよりツナさん達は?」

ユニの問いに虹光は頬を掻きながら言った。

「ま、死んではいないけど。十代目ファミリーは……壊滅状態かなぁ」

「なっ!?」

「そうですか……」

彼女の言葉にγは驚きの声を上げてユニは顔を曇らせた。

「やっぱりユニは知ってたか。ジッリョネロにもクーデターのことは伝えたかったんだけど、こっちまで来れる人がいなくてね。仕方なくツナが裏でボクに頼んだってわけ……結局間に合わなかったけど」

「それも見越してツナさんは虹光さんに頼んだのでしょう。私達と意思の疎通が取れるようにと」

ユニは落ち着いた声音で言った。虹光は頷く。

「うん、ボクもそう思う。……で、ユニはこれからどうする?多分ジッリョネロがこれからどういう動きをとるかによって敵さん達もどうするか決めると思うよ。ツナ達の方につく?」

虹光は冷徹な表情で問うた。その様はまさに雪の守護者に相応しい。

「はい。私はかつてツナさん達に守ってもらった恩があります。だから私は、今度は自分がツナさん達のお力になりたい、そう思っています。……皆さん、私についてきてもらえますか?」

ユニはそうγ達に問いかけた。彼等の意見は決まっていた。

「どこまでもついていきます、我らが姫!」

ユニの元に残った者達は、ジッリョネロファミリーのボスとしてとうの昔からユニを認めていたのだから。

虹光はそんなユニ達を見て薄く微笑んだ。

 

☆★☆

 

リボーンside

 

リボーンは任務で日本来ていた。ちなみに沢田家にその間は留まらせてもらっている。

 

トゥルルルル……

 

携帯が鳴る音がした。リボーンはその音源に視線を向ける。家光はリボーンに睨まれるように見つめられ居心地悪そうに笑みを浮かべた。

「悪い」

そう断って電話を取り、家光は耳に携帯を押し当てた。

リボーンはぼんやりと家光を眺める。

『嫌な予感がするんだ……』

ふと日本へと渡る前に、元教え子であるツナが暗い顔でそう自分へと言ってきたのを思い出す。その時リボーンは軽く眉を顰めてツナに尋ねた。

「それはボンゴレに対してか?」

リボーンの問いかけにツナは首を横に振った。

『分からない……。でも今回はとても、とても……嫌な予感がする』

 

「今回の敵は一筋縄じゃいかねーみてぇだな」

ふう、と息を吐いて、リボーンが飲みかけのエスプレッソに口を付けたその時。

 

「何!?それは本当か、バジル!」

 

家光の驚愕の声が沢田家のリビングに響き渡った。その声を聞いてリボーンは顔を引き締めた。

「遂に来やがったか」

ポツリとリボーンは呟いた。

「おいバジル!ツナは……十代目ファミリーはどうなった!?」

家光が大声で尋ねる。リボーンは家光に近付きバジルの返答を待つ。少ししてバジルが慌てた様子で答える声が聞こえてきた。

《そ、それが……沢田殿達はもう既にボンゴレ本部には居らず、何処かへと逃げたようです》

バジルの声にホッと家光は息を吐いた。リボーンも人知れずに安堵する。

「そうか。で、今ボンゴレはどうなっている?」

《ラッジョ・ディ・フルスタと名乗るマフィアに乗っ取られ、五大ファミリーを除く全同盟ファミリーが彼等をボンゴレ十一代目に据えようという動きを見せています》

「なっ!リングはどうしたんだ!?」

家光が驚きの声を上げる。リボーンは軽く舌打ちをした。

「チッ。盗られやがったな、駄目ツナ」

《その通りです、リボーンさん。おそらく奪われたかと……彼等の指には確かに十一代目用のリングがあったそうですから》

 

ボンゴレ十一代目用のリングとはボンゴレ十代目ファミリーが持つ本物のボンゴレリングとは別に作られたリングである。十代目ファミリー専用のVGとなったボンゴレリングは、とてもではないが次代、ボンゴレ十一代目となる者達に使いこなすこと出来ない。VGは十代目ファミリー専用のリングなのだから。

というわけで、十一代目用のリングをツナ自ら頭を下げ、タルボ爺さんに頼んでつくってもらったのだ。精製度はA。ツナ達が持つVG、それに嵌っている(トゥリニセッテ)の原石が、十一代目ファミリー用のリングにも嵌まるようになっている。十一代目ファミリーがボンゴレを継ぐ時、その原石が譲渡される予定である。

と言っても、原石そのものをVGから取り出すのは無理なので、原石の中に含まれる7³の力のみを取り出すのであるが。その方法は非常に曖昧でツナ曰く、「チェッカーフェイスにでも相談してみるよ」だそうだ。

まあ、十一代目ファミリーが現れるまでは時間がかかるだろうし、十代目ファミリーはまだまだ若いので、幸い方法を考える時間はまだある。ぼちぼち考えていこうという意見で一致したのである。

よって今の十一代目ファミリー用のリングには本物のボンゴレリングには劣るが、精製度Aの名には劣らぬ、強力な力を持つ貴重な石が嵌め込まれている。

 

ふとリボーンは帽子の上で何かを伝えようとしているレオンに気付いた。

「ん?ああ、通信か。……誰だ?」

小型化された通信機のランプが点滅しているのを見て、イヤホンを耳にして相手の名を尋ねた。

《俺だよ、リボーン》

「ツナか」

リボーンがそう言えば、隣の家光がええっ!?と大声を上げる。イヤホンを耳につけて無ければツナの声が聞こえないくらいの五月蝿さである。

「これが使えるってことはアジアにはもう居るな?いや、日本にもう着いてるのか」

リボーンがそう尋ねれば、通信機の向こうで苦笑するツナの声が聞こえてくる。

《相変わらず鋭いなぁ……。うん、日本にはもう着いてるよ。今、並盛支部に向かっている最中》

「秘密裏につくられたアジトなんて並盛にしか無いからな……。二人には会えたか?」

《朔夜には今日、虹光には二日前にね》

「そうか」

ボス、とツナが呼ばれた。出来ればゆっくり話し合いたいが、それも今は無理な状況のようである。

「取り敢えず俺も並盛支部に行く。そこで落ち合ってゆっくり話し合うぞ……いいな?」

リボーンの提案に通信機の向こうでツナはフッと笑った。

「了解、リボーン」




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