カラオケに入って2時間が経過した。圭一はまるで狙ったかのようにラブソングを歌い上げる。きくりは普段の優しい圭一がラブソングを歌うというギャップにドキドキしていた。
「(うわ〜……圭一君、普段は優しそうなのに、ラブソングめっちゃ歌うんだ……ちょっとドキドキするよ……)」
「……どうでしたか?」
「う、うん!むっちゃ良かったよ!その……ちょっと照れちゃうな…」
「俺だってこう見えても緊張してるんですよ?きくりさんの前で歌うなんて……」
普段のきくりなら気にせず酒を沢山飲んでいるが、珍しく二、三杯しか飲んでいなかった。それだけ圭一に興味が沸いている証拠だ。
「じゃあ、お姉さん……ちょっと本気出しちゃおうかな。今まではロックだったけどさ、私もラブソングを歌うよ」
「………」
きくりがタッチ端末を操作。きくりが入れた曲は誰もが知っている有名なラブソング。そして演奏が始まり、きくりがマイクを持つ。
「(これは!)」
普段ロック専門のきくり……しかしラブソングを歌う彼女の姿はまるで歌姫。圭一は瞬く間にきくりの世界へと入る。彼女の優しい歌声は圭一を魅了する。
「(可憐……素敵だ……)」
顔を赤くしながらも歌い上げるきくりはマイクを置いた。
「こんなもんかな。へ、変じゃなかった?」
「きくりさん、結婚してください」
「ふえ!?けけけけ結婚!?ちょ、ちょっと早すぎだよ!?」
「何を言ってるんすか!きくりさんのそんな姿見せられたら我慢出来ませんよ!」
「い、一旦落ち着こう?取り敢えず…」
圭一のプロポーズに驚愕していると部屋の扉が開く。そこにはスナイパーライフルを構えた隼人とひとり、そして無事に殺し屋に仲間入りした郁代が居た。
「圭一、テメー……きくりさんに何しやがった?」
「お姉さん大丈夫ですか!?」
「待っててください!私達が助けますからね!」
「ちぃ!隼人……殺る気か!何か武器は!」
「どういう状況なのこれ!?」
チーム殺し屋13に圭一は何か武器を探す。するとマラカスを発見する。
「武器は!これだけか!」
「圭一、きくりさんにエッチな事しようなんて見損なったぞ」
「俺は何もしてねぇ!?」
スナイパーライフルを振り上げ、圭一はマラカスで攻撃をガードする。そこから激しい攻防が繰り広げられ、結果としてカラオケ店を出禁になったのは言う迄も無い。
「ごめんねきくりさん……隼人の馬鹿がすいません」
「いやいいよ。隼人君やぼっちちゃん、喜多ちゃんが私を心配してくれて嬉しかったよ」
夕暮れの河川敷を歩く圭一ときくり。しばらく沈黙が続くがきくりが口を開く。
「ねぇ圭一君」
「はい」
「私、酒呑んでばっかりでだらしないよ?こんなダメなお姉さんを恋人で大丈夫?」
「……そんなの関係ありません。前に言ったでしょ?それも含めて好きです。だから、きくりさんが何と言っても俺は離しませんよ?」
「……強引だね!」
きくりはそう言いながらも満更でもない様子だった。