「いらっしゃいませ〜」
私が扉を開けると爽やかな青年の声が聞こえてきた。
中は木材を基調とした落ち着いた雰囲気で、観葉植物も置いてある。
噂ではここは100年以上続く老舗らしいが、中にいるのは青年1人。
「アイスコーヒーを一つ。」
「かしこまりました。フレッシュはお付けしますか?」
「お願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
注文をし終えるとテキパキと動き始める青年。
爽やかな笑顔と整った顔。優しさがにじみ出るような雰囲気をしている。
時刻は午後19時過ぎ。
店内はガラッとしており、背後で流れる音楽が静けさを寄り強調している。
「お待たせしました。アイスコーヒーでございます。」
丁寧な仕草でそっと机にカップを置く。
「ありがとうございます。………ここはお兄さんが一人で経営しているんですか?」
私は青年に聞いてみた。
そうすると青年は笑顔で答えた。
「いいえ。本来はあと2人いるのですが、明日の買い出しに行ってくれてるんですよ。」
「そうだったんですか。」
そう言って私はコーヒーを1口。
その時にふと頭に浮かんだ。
私のおばあちゃんの言葉だった。
「あそこの小さなカフェっていつからあるの?人が入っていくところあんまり見ないんだけど。」
「そうだねぇ。私が小さな頃からあるわよ。……確か、爽やかなお兄さんがいたかしら。」
「笑顔が素敵でね。何よりも特徴的なのはあの青い瞳よ。」
私はハッとして青年を見つめる。
「青い瞳だ……」
もしかして……
と嫌な考えが思い浮かんでしまった。
何年もやっていて、歳も変わらない?
まさか人間じゃないとか。。
「まさかまさか。」
そんなことはないだろうと頭を振りその考えを無くす。
確かにこの世界には夜になると妖怪が出ると噂されている。
一夜にして消えた小さな男の子の話。
夜になると近くの森でなにかの鳴き声が聞こえる。
確定付けるものはないが、最近不可解なことは起こっているのは確かだ。
だけどあんなお兄さんに限ってそんな話……。。
そんなことばかり考えていたら喉が渇いてしまった。
私は残りのコーヒーをすぐさま口に含み、会計を済ませ店を後にしたのだった。
青年side
さっきの人すごく焦って帰っていったな……。大丈夫かな??
まぁなにか用事を思い出したとかその辺だろう。
「さてさて。」
俺はさっきのお客さんの所を片付けて店を閉めた。
あの二人もそろそろ戻ってくる頃だろう…
二人が戻ってくるのを待ちながら、グラスを磨いているとふとどこから声がした。
「………!!」
これは……森の方か……??
この人里は大きめではあるが、周囲は森に囲まれている。
その森には夜になると妖怪が出ると言われていて、誰も近づこうとはしない。
時刻は20時前。こんな時間に森に近づく人はなかなかいない。
であれば…。
「……ぇ!!」
考えてる時間はないか。
今度はうっすらと聞こえたが助けを求めている声だった。
「いくか。」
俺は店のドアを開け、森へと向かった。