幻呪綺譚   作:ぬなり

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第1話 青年

 

 

「いらっしゃいませ〜」

 

私が扉を開けると爽やかな青年の声が聞こえてきた。

中は木材を基調とした落ち着いた雰囲気で、観葉植物も置いてある。

 

噂ではここは100年以上続く老舗らしいが、中にいるのは青年1人。

 

 

「アイスコーヒーを一つ。」

 

「かしこまりました。フレッシュはお付けしますか?」

 

「お願いします。」

 

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 

注文をし終えるとテキパキと動き始める青年。

爽やかな笑顔と整った顔。優しさがにじみ出るような雰囲気をしている。

 

時刻は午後19時過ぎ。

店内はガラッとしており、背後で流れる音楽が静けさを寄り強調している。

 

 

「お待たせしました。アイスコーヒーでございます。」

 

丁寧な仕草でそっと机にカップを置く。

 

「ありがとうございます。………ここはお兄さんが一人で経営しているんですか?」

 

私は青年に聞いてみた。

そうすると青年は笑顔で答えた。

 

「いいえ。本来はあと2人いるのですが、明日の買い出しに行ってくれてるんですよ。」

 

「そうだったんですか。」

 

そう言って私はコーヒーを1口。

その時にふと頭に浮かんだ。

 

私のおばあちゃんの言葉だった。

 

 

 

「あそこの小さなカフェっていつからあるの?人が入っていくところあんまり見ないんだけど。」

 

「そうだねぇ。私が小さな頃からあるわよ。……確か、爽やかなお兄さんがいたかしら。」

 

「笑顔が素敵でね。何よりも特徴的なのはあの青い瞳よ。」

 

 

私はハッとして青年を見つめる。

 

「青い瞳だ……」

 

もしかして……

と嫌な考えが思い浮かんでしまった。

 

何年もやっていて、歳も変わらない?

まさか人間じゃないとか。。

 

「まさかまさか。」

 

そんなことはないだろうと頭を振りその考えを無くす。

確かにこの世界には夜になると妖怪が出ると噂されている。

 

一夜にして消えた小さな男の子の話。

夜になると近くの森でなにかの鳴き声が聞こえる。

 

確定付けるものはないが、最近不可解なことは起こっているのは確かだ。

だけどあんなお兄さんに限ってそんな話……。。

 

そんなことばかり考えていたら喉が渇いてしまった。

私は残りのコーヒーをすぐさま口に含み、会計を済ませ店を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

青年side

 

さっきの人すごく焦って帰っていったな……。大丈夫かな??

まぁなにか用事を思い出したとかその辺だろう。

 

「さてさて。」

 

俺はさっきのお客さんの所を片付けて店を閉めた。

あの二人もそろそろ戻ってくる頃だろう…

 

 

二人が戻ってくるのを待ちながら、グラスを磨いているとふとどこから声がした。

 

「………!!」

 

これは……森の方か……??

 

この人里は大きめではあるが、周囲は森に囲まれている。

その森には夜になると妖怪が出ると言われていて、誰も近づこうとはしない。

 

時刻は20時前。こんな時間に森に近づく人はなかなかいない。

であれば…。

 

「……ぇ!!」

 

考えてる時間はないか。

今度はうっすらと聞こえたが助けを求めている声だった。

 

「いくか。」

 

俺は店のドアを開け、森へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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