幻呪綺譚   作:ぬなり

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第3話 青年と少女 2

 

 

青年side

 

 

 

少女は泣き疲れてしまってそのまま眠りについてしまった。

寝息を立てる少女を横に俺はどうするか迷っている最中。

 

「……どうしようか…。」

 

このまま連れて帰って家で寝かせれば一件落着だが、世間はそれを許さない。

 

いたいけな少女を家に連れ込みベットに寝かせるなんて、世間的に死ぬ。

いや、けどあの二人がいれば大丈夫かな……。。

 

 

今買い出しに行っている……と言ってももう戻ってるか。

そのふたりが説得してくれば大丈夫か。

 

俺は納得して少女を抱えたまま家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

少女side

 

どこかで鳥の鳴き声が聞こえる。

 

まぶたの裏がうっすら明るく、温かい。

朝の日差しが私を照らしているようだった。

 

 

「………ここは…?」

 

目を開けると白い天井。部屋の中を照らす木性のシャンデリア。

明るく感じたのはシャンデリアの明かりだったのか……。

外を見るとまだまだ暗いままだった。

 

私は起き上がろうとして見るとすぐに気づいた。

布団の重み、私は今ベットに寝っ転がっていた。

 

あれ……私……。

 

……あっ、そうだ。私あの青年の前で泣いてて、そのまま寝てしまったのか。

もしかしてあの青年のベットの上……?

 

私は少し警戒して見を竦めた。

 

その時に扉をノックする音がきこえてきた。

 

 

「起きてるね」

 

「えぇ、そうね。」

 

私はその声の方に視線を向けると、銀髪と薄い金色の混じった少し明るい雰囲気の少女。

それに艶やかな銀髪と落ち着いた雰囲気を纏った女性がたっていた。

知らない顔だが敵意は全く感じない。

 

「よかったあ!心配したよ。」

 

「無理に起きないでいいわ。まだ寝ててもいいから。」

 

ベットの端にでしゃがみ私に視線を合わせて話してくれる銀髪の女性。

優しい目付きで私を見てくれる。

 

「突然でごめんね、私たちは悠の仲間だよ。」

 

「……ああ、ほら。スーツ姿の少し背の高い──」

 

その時、部屋の外からコツ…コツと少し重厚な靴の足音が聞こえる。

扉が開かれそこから見えたのは、昨夜の青年だった。

 

 

「起きてたんだね…」

 

あの夜見た時と同じ青い瞳。その目は女性たちと一緒で優しい目をしていた。

青年はこちらに歩み寄ると声をかけてくれた。

 

「もう大丈夫だよ。ここは俺たちの家だ。」

 

「突然でごめんね…。とりあえず自己紹介からしようか。」

 

青年は女性達を一人一人見ながら 続ける。

 

「俺は東雲 (しののめ) 悠。そしてこっちが…」

 

「テイルだよ!」

 

少女……テイルさんは明るい声で答える。

 

「そして私がラプラスよ。」

 

女性はラプラスさんと言うらしい。

悠……さん以外は全てカタカナ……。少し違和感を感じた。

 

「……なんで苗字がないのって顔してるね。」

 

ビクッと私は体が跳ねる。

悠さんは私の心を読んでるかのように言った。

悠さんは少し笑いながら答えた。

 

「実は俺たちはこの世界の人間じゃないんだよ。……この世界に迷い込んだというか……。」

 

「そうなんですか…?」

 

世界に迷い込むって……。そんなことあるのかな。

少し考えた後私はひとまず自分も自己紹介をする。

 

「わ、私は八雲 紫です……!」

 

少し詰まってしまって恥ずかしい。

でもみんなは笑ってくれている。

 

「紫ちゃんね、可愛らしい名前だ。」

 

「紫ちゃん……かわいいっ」

 

「紫ちゃん、素敵ね。」

 

私は名前を褒められて顔が熱くなるのがわかった。

咄嗟にうつむいてしまう。

 

 

「突然なんだけど、紫ちゃんって人間じゃないよね?」

 

ビクッとまたもや体が跳ねた。

そして私は悠さんの顔を見る。

でも悠さんは変わらず優しい目をしていた。

 

それでも私はそれに対しての答えが出せなかった……。

怖いから…この人達に恐れられるのが。

 

悠さんの言う通り私は人間じゃない。

スキマ妖怪と呼ばれる妖怪だ。でも、妖怪と言っても人間を食べたり襲ったりなんかしない。

 

普通に人間と同じものを食べて、人間と同じような生活をする。

 

「気づいてたんですか……?」

 

出す声が震えているのが自分でもわかった。

人間からすれば妖怪とは畏怖の象徴。今まで何度も人間に怖がられて、避けられてきた。私はそれが嫌で嫌で仕方がなかった。

何も悪いことをしていないのに恐怖の対象として見られ避けられる。

 

いままでずっと孤独感を感じてきた。それはこれからも変わることがないと思ってる。

 

 

「そりゃ紫ちゃん、妖力持ってるからね。妖力は妖怪しか持ってないし」

 

「……っ!」

 

「あ、けど大丈夫。別に妖怪だからやっぱり捨てるなんてしないよ。」

 

……。え?

 

「どうしてですか……?だって妖怪は恐怖の対象で……っ」

 

「そんな気にしたことないよ。恐怖の対象だとしても紫ちゃんは可愛らしい見た目してるよ?」

 

「あぅ……っ」

 

急に褒められてまた俯いてしまった。

後ろでテイルさんとラプラスさんはうんうんと頷いてくれている。

 

「妖怪なんて気にしないよ。だから安心して」

 

私はその言葉にすごく安堵した。

今まで迫害され続けて来たけど今日初めて受け入れてくれたんだ。

私はまた涙が零れる。

 

 

「ありがとう……ございます……。」

 

途切れ途切れになりながら感謝を口にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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