第2話ようやくできました!
1か月経つの早いな~…
「始まったな」
「そうね~」
「ですね」
演習開始の合図のあと、呑気に話をしている最強格3人組。他の班とは距離が大分離れているため、こうして話ができているわけだが。
「そういえば、初霜は配属前に改二になるのよね!いいなぁ、雷も早く改二になりたいわ…」
「お二人は私より強いので、改二にならなくても大丈夫そうな気がしますが」
「皮肉のつもりか初霜」
初霜は、この3人の中で唯一改二になることが決まっている。改二になれる人物は今現在限られており、なぜ改二になれるのかもはっきりとはわかっていない状況だ。だが、わかっていることは艦娘が装備している艤装の練度が関係しているのではないかという説。そもそも艤装とは、艦娘が装備するものをさす。艦種によって異なるが、例えば空母であれば肩部分に航空甲板があるし、戦艦であれば非常に大きい砲塔などがある。艤装を装備していれば艦としての能力を発揮できるが、艤装を外せば一般人と同じ状態になる。
「さてと、たぶんそろそろ来るよな」
「えぇ、私も出るとするわ!白露と初霜は?」
「私はここに残る」
「私も出ます」
じゃあ頑張ってと雷が白露に言い、その場を離れていく。初霜は何も言わずに雷と同じ方向に向かう。白露はその場に残り腕を組み目を瞑る。深く深呼吸を数回する。白露の考えでは、おそらくこちらに来るのは夕立のいる第1班か不知火のいる第2班だ。それとも別の班が来るのか白露は周囲の音と装備してある電探を使い周囲を探る。しばらく経つと電探に感がみられた。方向は北北西。
「やっぱり、私のいるほうに来るよな!夕立!」
白露のいる場所まで来たのは夕立率いる第1班。千歳の索敵機を使い白露のいる場所まで移動してきたのだろう。夕立に限っては目を赤く光らせやる気満々だ。
「ぽ~い!白露お姉ちゃん、勝負っぽい!」
「夕立と同じ班になってしまったのが運の付きだわ…。さっきは不知火達が喧嘩するし、今日は厄日なのかしら(´;ω;`)」
「大丈夫やで陽炎、こういう日もあるって割り切ることが大事や!」
陽炎型3番艦黒潮。大阪出身で銀色がかった黒髪のボブヘアー、左のこめかみ部分に髪留めをつけているのが特徴の少女。気さくな性格で周囲からも親しまれ、不知火と浦風とも普通に接することができる。仲の悪い陽炎型姉妹の中では一番まともな性格らしい。
「千歳さん、艦攻・艦爆よろしくっぽい!」
「了解!艦載機発艦します!」
千歳型1番艦軽空母千歳。銀髪の髪が特徴の女性。夕立の指示で白露に向け艦攻・艦爆を放つ。海面から魚雷、空から艦爆を放つ作戦を演習が始まる前に陽炎と黒潮が考えていたらしい。
「それじゃあ、残りの皆は白露に向けて弾幕ぶつけるわよ!」
陽炎の声に、駆逐艦勢が一斉に白露に向けて砲撃を放つ。白露は、第1班が動き出したのを皮切りに魚雷・艦爆・砲撃を次々に避けていく。3分間反撃が出来ないため逃げに徹するしかないが、それでも余裕の表情を浮かべている。時に側転し、バク転をしながら見事に全弾避けきった。
「まだまだ甘いな、お前ら」
「ぐぬぬ、こうなったら近づいて至近距離で砲撃っぽい!」
「待ちなさいよ夕立!白露のやつ、私達から離れるみたいよ!」
「距離をとってうちらの様子を見るのか、それとも他の班とうちらを鉢合わせるかのどっちかやな」
「私が索敵機で周囲を警戒するから、徐々に距離を詰めましょう」
千歳の提案に夕立達は頷き、白露のほうに向かう。白露は後方にいる夕立達を見ながらレーダーで周囲を探った。
「今私に近い奴らは第2・第5か。第2は不知火がいるから間違いなくこっちに来るな。第5は五月雨と海風がいるし、多分私には近づかないだろ。あの馬鹿が突っ込まなきゃの話になるけど…」
呆れ半分につぶやく白露。幸い目視できる距離にいるのは夕立達だけのため、そちらに集中しながら次にどうするかを考えていた。
「ふっふ~ん。さてと、私達はどうする初霜?」
「一番近くにいる班を目視で確認。距離は5Kmといったほどでしょうか」
「あら、あの班は暁達ね!ということは第4班…いえ、第3班も近いわね。索敵機が見えるわ!」
「あ~、そういえば第3班は速吸さんがいましたね。補給艦ですけど艦攻を装備できますから厄介なんですよね…」
「じゃあ、私は暁達のほうに行くわね。初霜は第3班のほうに向かって!」
「了解」
一斉に分かれる二人。雷は第4班のいる方角に突っ込んでいく。距離は5Kmだが艤装を装備し海上を走行すると約30ノット(時速約55km/h)の速さだ。あっという間に暁達のもとへとたどり着ける。
「雷がこちらに接近!全員砲塔構え、てぇー!」
暁の号令に全員が一斉射撃を行う。しかし、白露同様雷も涼しい顔をしながら全弾を見事避けていた。そして少し挑発するようにウインクしながら指を振る。
「そんなんじゃ、雷には当てれないわよ。自称レディーの暁ちゃん♪」
「むきー!暁はいつか立派なレディーになって、エレファントな人になるんだから!!」
「другой(違う)それを言うなら
暁の間違いを指摘するのは暁型2番艦響。腰まである銀髪にブルーグレイの瞳を持つ少女。父親がロシア人、母が日本人のハーフ。そのためか、ロシア語をちょくちょく話すことが多い。いじけてしまう暁をよく慰めることが多い。
「でも、どうするのです。雷ちゃんはすごく余裕そうで何なら挑発してきてます」
暁型4番艦電。特型の末っ子。金色の目に茶色い長髪をアップヘアーにしているのが特徴の少女だ。性格はこの中ではかなりおとなしめで、暁と同様特型全員からの癒し枠。
「さあさあ、雷はここよ!一体どうするのかしら?」
「……神威さん」
「は、はい!
補給艦神威。北海道出身。アイヌ民族のような装束を着ているのが特徴の女性。主に長期戦に備えての物資の補給、時に戦闘を行うのが主な任務だ。
「今中口径の砲塔装備しているわよね?」
「は、はい!」
「神威さんは砲撃で雷を牽制。私と響、電、霰、弥生は魚雷準備」
「んちゃ」
「了解…です」
朝潮型9番艦霰。黒髪に帽子、朝潮型のトレードマークである吊りスカートをはいている少女。物静かで不思議な雰囲気のしゃべり方をするのが特徴。口癖はんちゃ。もう一人は睦月型3番艦弥生。薄紫色の髪にディープグリーンの瞳。髪型はもみあげの長いボブヘアー。三日月を象った髪飾りをつけている。性格は真面目で物静か。しかし、仏頂面のため怒っていなくても怒っていると勘違いされることが多いので、姉妹艦であり睦月型4番艦の卯月と一緒にいることが多い。卯月は弥生とは真逆の性格であるのと弥生の特徴を理解しているのでよくフォローしてくれていることが多いのだとか。
「雷の性格上、多分いったん距離をとる。神威さんの砲撃で雷に弾幕を張りつつ雷撃を放つわ!いっけー!」
暁の号令とともに雷撃を放つ5人。弾幕で雷撃は目視できない。だが、相手は雷、異能を使わない条件とはいっても成績はトップクラス。雷撃も恐らく読まれる。だが、次の一手が暁には思いつかない。ここから先はもう力押しだ。おまけに第3班が近づいてきている。火力だけでいえばこちらに勝ち目は無い。
「雷に命中無し。やっぱり当たらないか…さすが我が妹。素晴らしくハラショーだ」
「賞賛している場合じゃ無いわよ響!どうしたらいいのよこの状況!」
「第3班が近い。向こうには初霜がいるはずだから無闇に行けない。一旦体制を立て直して…!?後方から雷撃!面舵いっぱい!」
全員が右舷に舵を切る。しかし、最後方にいた神威に雷撃が命中してしまう。赤いペイントが付き艤装に赤旗が出てきた。
『はい、神威さん大破判定です。そのままその場所に待機していてくださいね』
「わかりました…香取さん」
「仇は、弥生達で倒すから」
「弥生さん私死んでいないです!!」
『神威、約1分の出番だったがよく頑張ったぞー』
「利根さん、そのセリフだと私この後しばらく出番なしですか?」
『無い!』
「ひえ~…」
「とにかく、暁達を攻撃してきたのは一体どこの班」
「…あぁ、なるほど…暁、3時の方角に第5班がいるよ」
「…あぁ」
暁は呆れ半分に響の言った方角を見る。響の言ったことの意図が分かった気がした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!白露の姉貴いいいいいいいいいいいい!見ているかあああああああああ!白露型魂!夕張さん特製、金色砲塔!」ピカアアアン
大声で叫んでいるのは第5班にいる白露型の末っ子涼風。濃い青髪のロングヘアーを、紫色のリボンで二つ結びにしているのが特徴の少女。今手に持っているのは夕張が作ったただ金色にした砲塔だ。
「あ、あの…す…涼風ちゃん…あ…あまり騒ぐのはよくない」
早口でぼそぼそ話しているのは、夕雲型13番艦浜波。スカイブルーのロングヘアを三つ編みにしている。前髪が長いため右目を除き完全に隠れている。怖がりな性格で言葉を時折噛んだり早口になってしまう。
「放っておけ浜波。涼風のこの性格は治らねえって」
白露型9番艦江風。鮮やかな赤紅色の髪に青緑の瞳。髪はヘアバンドで抑え、後ろは紅いリボンでおさげ髪にしてある。髪はかなり長いらしい。性格は男勝りで、軽薄でさばさばしている。
「とにかく、第5班が近いです!このまま砲雷撃戦を開始しましょう!」
『以下同文』
指示を出しているのは白露型6番艦五月雨。不思議な透明感のある青髪のロングヘアが特徴。前髪側は毛先が淡い金色に、後ろ髪側は毛先が銀色に染まっているのが特徴。性格は明るく優しく健気で前向きでいつも一生懸命、時々ドジっ子で泣き虫で王道ヒロイン属性てんこ盛り。だが、前向き思考のためか周囲からもその頑張りが認められている。
以下同文と言い五月雨の指示に従うのは、白露型7番艦海風。銀色の髪を足首まで届きそうな長さの1本の三つ編みにしており、その先端を緑色の小さな珠で止めているのが特徴。左目の下に泣きぼくろがある。性格は面倒見が良く、控え目で世話焼き。姉妹を大切に思っており自慢に思っている。もう一人は白露型8番艦山風。癖のある緑色の長い髪を高い位置でハーフアップにして動物の耳のような形の黒いリボンを付け、前髪は左右に黒いヘアピンを2つずつ留めている。別にいい、いいけど、何?などが口癖。何かと放っておいてということが多いが、艦娘になる前の経緯によるもので自信の無さゆえになかなか成績が伸びなかったが、最近になって白露型全員の支えにより成績が向上した。足柄曰く今後化ける可能性があるとのこと。
「数的にはこちらが有利です。このまま第4班を叩きましょう!」
「待って五月雨、第3班も近い。初霜もいるし雷も近い。こうなったら、一時協力してこの二人を叩こう」
「あ…えっと、あたし、通信してみる」
「…ふうん、第5班から提案ね…」
「第3、第4、第5で一時手を組んで雷と初霜を叩こうってことですね」
第3班旗艦、最上型3番艦航空巡洋艦鈴谷。薄緑色のセミロングの髪に黄緑がかった瞳が特徴。髪は左耳上あたりで鉄色のヘアピンで一部纏められており、そこから延びた一房が耳の後ろを通って肩前に流されている。性格は明るく軽い性格をしている今どきの女子高生といった感じだ。もう一人は最上型4番艦熊野。栗色の髪をポニーテールに纏め、緑色の瞳をしているのが特徴。性格は、お嬢様学校の高飛車な学生のような佇まいで「神戸生まれのおしゃれな重巡」を自称している。
「ま、いいんじゃない!3班で組んであの二人を倒せるのなら一石二鳥でしょ。あと1分半近く向こうは攻撃できないし」
「では、行きましょうか皆さん」
「…初霜、私達に第3、第4、第5班が近づいてきているわ」
「…ですね、全員で私達を倒すつもりでしょうね」
「私達が攻撃できるまで残り1分半弱・それまでは逃げの姿勢ね」
「了解」
初霜と雷はお互いに背を向け、一気に全速力で駆ける。距離こそあるものの各班に囲まれている。砲雷撃の乱打戦になるのは確実だ。
「来るわ初霜!」
「はい!」
「おう、二人が動き出したね。全員砲撃準備!」
「雷がこっち側に来てる。第4班攻撃準備」
「第5班、第4班の攻撃に合わせて砲雷撃開始!」
各班、二人に向けて砲雷撃を行う。二人は魚雷をよけ砲弾を側転や飛ぶことで避けていく。速さもギリギリ目で追える程度だ。
「ええい!この鈴谷様の攻撃が当たらないなんて!」
「!?鈴谷上」
「…ん?ってうわ!」
偶然にも鈴谷の顔面に砲撃が当たってしまう。おそらく対面にいる第5班が放った砲撃が偶然当たってしまったのだろう。当たり所が悪かったため即大破判定になってしまった。
『鈴谷さん。大破判定。その場に留まってくださいね…」
「ちーす…」
「では、私が旗艦を代わりに務めさせていただきま…へぶ!?」
『熊野さんも大破判定です。第3班は残り早波さん、速吸さん、清霜さんの3人だけです』
「あとは頼みましたわ…お三方…」
「そ…そんなぁ」
弱腰に答えたのは補給艦速吸。黒い短髪で服装は白いジャージにミニスカートと紺色のハイソックスで、運動部のマネージャーのような少女。艦載機を放つことはできるものの訓練生の身であるためまだまだ未熟。放てるのは3機のみ。
「どうしよう速吸さん。初霜さんと雷さんの攻撃が可能になっちゃうよ」
夕雲型12番艦早波。セミロングくらいの髪を白地に赤いリボンで結んでいる。若干たれ目気味で性格は年相応。年齢は今期最年少の12歳。第2班にいる藤波と容姿が似ているが実の姉妹ではない。12歳差の異父姉がおり艦娘として岩川基地にいるらしい。
「うわあああん!どうしよーーー!第4も第5もまだまだ戦力があるよーーー!」
叫んでいるのは夕雲型19番艦末っ子の清霜。膝まである銀色ないし灰色の髪を上下に分け、耳より上の髪はアンダーでお団子にし、下の髪は一枚の淡黄色のリボンで後ろで二房に分かれるようにくくっており、リボンの結び目より左右対称に一房づつ外ハネの毛があるのが特徴。性格は竹を割ったようなあほの子。
「清霜の説明ひどくない!?」
「誰に話してるの清ちゃん?」
「わからない!とにかく初霜ちゃんと雷ちゃんに向けてぱなしちゃええええ!!(^^)/~~~」
「よ…よくわからないけど、早波も打つ!」
「てやんで~い!雷に砲雷撃が当たらねえ!」
「回避速度が速すぎますうううう!」
「ふっふ~ん、雷に当てるのなんてまだまだよ!」
『おぬしら~。残り40秒で3人が攻撃できるようになるからなー!』
「40秒でしたくしな!」
「涼風お前どこのキャラのネタだ(# ゚Д゚)」
「はい、ということで間失礼!」
「っ!?ここだ!」
「わわ…ぎょ…魚雷を…わあ!!」
涼風と浜波の間に雷が通り過ぎていく。雷が通ったことで、涼風と浜波が驚いてしまい涼風が砲撃、浜波が魚雷を打ってしまう。当然雷はすでにいないためお互いに砲撃と雷撃が当たってしまう状況になってしまう。…が、その刹那涼風の頭によぎったのは…。
「突然ですが整いました!同士討ちとかけまして、中の悪い夫婦と説きます!」
「あば!?…そ…そ…その心は?」
「どちらも後の祭りになるでしょへぶううううΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」
『涼風さん、浜波さん大破です…はい』
「涼風!一体周りの空気をどれだけ氷河期にすれば気が済むんですか!」
「氷河期とは言いすぎだい海風の姉貴!氷点下と呼べやい!」
「寒くなることには変わりないでしょ!」
「な…何やってるのよあの子達…。初霜、そっちどう?」
『第4班はやはり、暁さんがいるから翻弄しても同士討ちなどはしませんでした…』
「暁は慎重だからね。当然ね…」
『残り30秒。回避しながらなんとかします』
「了解」
「ほうほう、ふむふむ。さすが今期最強格は違うな!翻弄させるだけで数名を轟沈判定にさせるとは」
「確かに、今期の艦娘達は豊作やな!白露に雷に初霜に。それに、上位クラスの艦娘達もおるから即戦力期待やな!」
「特に駆逐艦クラスの戦力は充実。重巡クラスも空母クラスもいいけど、今期は駆逐艦達が豊作」
「うち大本営に所属するのは9人。全員が駆逐艦中堅から上位クラスですしね」
「一人は絶対早死にするね。不知火の馬鹿は確実に…」
「姉妹艦なのに辛辣ですね。時津風」
「当たり前でしょ~。自分の実力を過信するような奴が早死にする」
「…………ちょっと待てええええええ!なんでそこで麻雀をしておる!大本営第2艦隊所属のおぬしらがあああああ!」
「まあそういうやな利根。気楽にいかんとやってられへんで」
軽空母龍驤改二。関西出身の艦娘で、体格と性格が少し幼い感じがある。髪は焦茶色のツインテールで、実艦の艦首の形を模したサンバイザーを付けている。
「そうそう。気楽にやってないとこの先やっていけないって」
伊勢型戦艦1番艦伊勢。ブラウン色の髪を赤紐で結い、ポニーテールで纏めており、服装は和服をベースにした軽装で、白地の上着から見える通り、黒いインナーを着ている。腰には日本刀を携帯している。
「利根さんは、三日後に横須賀に異動するんですよね?大本営でも十分にやっていけると思うのに」
特Ⅱ型綾波型1番艦綾波改二。栗毛で足まで届く長髪を黒く細いリボンでポニーテールに結い上げているのが特徴。黒豹の異名を持つ駆逐艦最上位クラス。一か月で500体以上の深海棲艦をたった一人で沈めることが出来るほどの実力者。
「筑摩のためでしょ~?あいつは利根に依存している感があるからね…。お!きたきたきた。ツモ!タンピン三色ドラドラ!跳満。3千6千!」
陽炎型駆逐艦10番艦時津風。ダークブラウンのショートボブにブラウンの瞳。もみあげが長く、鎖骨くらいまで伸びているのが特徴。少し大人びた感じだがやんちゃな性格。だが、少し冷めた感じもあり同じ姉妹艦である不知火や浦風らとはあまり関わろうとしない。
「はぁ、ずいぶんな手やな…。うちがけっぱになりそうな勢いや…」
「てことはあたしが2位で綾波が3位の勢いか…。南場が丸々残ってるから、その時に逆転のチャンスを…」
その途端、麻雀をしている四人のすぐ近くに強い衝撃音とともに何かが落ちてきたような感じがした。四人とも音のほうを見ると赤色のペイントに染まった不知火がいた。白目を向いているが気絶はしていない。
「すまん四人とも…。報告が遅れた…。というか三人が攻撃できるようになった途端こうなった…」
「あぁ、大丈夫やで利根。麻雀卓は無事や」
「あ…が…こ…これしきで、不知火は、潰れません!」
「不知火、おぬし大破判定じゃ!そこで待機しておれ!」
「納得できません!至近距離で殴られて、ここまで飛ばされるなんて!」
「あぁ、不知火ちゃん。ダメだよ、大破判定のルールなんだかr」
「うるさいですね!納得できないものは納得できないんですよ!」
そう言って、不知火が砲塔を持った手で話しかけられた相手に殴りかかる。その瞬間、それを見ていた利根や第2艦隊の面々は顔を青くする。不知火もそんな利根達の様子を見て察したのか後ろをゆっくりとみる。すると、そこには鼻血を出しながら俯いている吹雪の姿があった。なぜか黒いオーラのようなものが見えている。
「し~らぬ~いちゃん」
「は…はい!?」
「い~うことき~かないわ~るいこは……
ど~このだ~れかな~~~~~?」
「あ…も…申し訳ありません!なんでもしますから、ゆ…ゆ…皆さん、たすけ」
「あ~、残り半分まで切ったか~。もう少ししたら終わってしまうな~(棒読み)」
「さてと、残り半荘やっていこうか~(棒読み)」
「愚姉の事なんてどうでもいいからやっちゃっていいよ吹雪ちゃん…。年齢的には私のほうが上だし~。ははは~(棒読み)」
「特型の長女に喧嘩を売ったことが運の付きですね~…
私もやられたら確実にやるぜ。あとで半殺し確定だ!」
「あ…あ…ああああああああああああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」
その後、氷のような音が響いたかと思ったら不知火の足元が凍っていた。幸いひざ下までなのでそこから上は動くことが出来るのだが、目の前に吹雪、後ろには綾波がいる。不知火は吹雪を怒らせてしまったことを後悔した。それもそのはず、吹雪は第2艦隊旗艦。氷を操ることが出来る異能力者。さらに、特型の中では1番怒らせてはいけないものと言われている。
「不知火ちゃん。卒業までの三日間艤装を没収。座学は出ていいですが、出撃演習は禁止です。上にも報告させていただきます!残りは綾波ちゃん、お願いね」
「了解~!」
「ま、待ってください吹雪さん!あ…謝りますのでど、どうかご慈悲おおおおおおお!」
その声もむなしく不知火は綾波の乱打によってぼこぼこにされてしまうのだった…。
ーーー約30秒前---
「あと30秒っぽいいいいいいいい」
「しつけえなこんちきしょうが!」
あれからずっと夕立達率いる第1班に追われまくっている白露。引き離そうにもつかず離れずの場所にいるため砲撃も雷撃も飛んできてしまう。おまけに、時雨率いる第2班も近づいてきている。残りの時間を見計らって時雨が一気に攻撃を仕掛けてくるつもりなのだろう。空母である千代田が放った艦載機が目視できる距離まで近づいてきている。
(今現在の大破判定は、神威、涼風、浜波、鈴谷、熊野の5人。残り25秒。時雨達も一気に砲雷撃を打ってくる頃だな。まぁ、避けるだけなら全然いける!)
さらに距離を取ろうとする白露。だが右舷を確認すると、時雨達の班が近づいてきていた。ちょうど砲雷撃を当てられる距離。2~3000mくらいの距離なら時雨達でも牽制で砲撃を打てる。
「千代田さん、艦爆・艦攻用意。ほかの皆は砲撃を白露に集中!」
「不知火を馬鹿にしたこと後悔してあげますよ!」
「そんな復讐みたいなことを言っても全然白露姉さんにはかなわないわよ不知火…」
「だいたい、私は意味が分かりませんね!姉妹艦で仲良しこよしでこの先やっていこうなんて。使えない姉妹艦がいたらどうするんです!涼風のように場を氷河期にするようなバカみたいな子がいるなんて私には無理です!」
『……は?』
不知火の言葉に一同の動きが止まる。白露を中心に、その周りに第1・2班が集まってきている。白露、時雨、村雨、夕立、春雨全員が不知火をにらんでいるように見える。ほかのメンバーはあまりの剣幕に動くことが出来ずにいる。そうこう固まっているうちに残りが10秒。白露は拳を鳴らしながら不知火に近づき、時雨、村雨、春雨はもう知らないというように不知火から顔を背けている。
「不知火、そこに立ってろ」
「…は…なんで?」
「いいからそこに立つっぽい…」
「い…いやだから、なんで、あの、時雨さん、村雨さん、春雨さん!どうすれば!」
「残り5秒~」
『よ~ん…』
『さ~ん…』
『に~…』
『い~ち…』
『うちの妹馬鹿にしたからには覚悟できてるんだろうなこのくそ不知火があああああああああああ(# ゚Д゚)』
「ふぎゃああああああああああああああああああああああああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」
白露と夕立が超至近距離で砲撃を行い不知火を吹き飛ばす。ちょうど埠頭のほうまで飛ぶくらいの場所までだ。
『えぇ、不知火さん大破です。あと、利根さん。不知火さんがそちらに吹き飛ばされているのでお気をつけて』
鹿島の報告もむなしく、不知火がその後とんでもない失態をしたのは前述したので割愛する。そして、第1・第2の班と白露が超至近距離になる。白露、時雨、夕立らはお互いに顔を見合わせる。数秒経った後に時雨と夕立が白露に向け砲撃を撃つ。白露はそれを軽々と避ける。攻撃が可能になった白露はまず夕立達第2班に向け砲撃を撃つ。全弾が全員に命中し、さらに時雨率いる第1班に向け雷撃を放つ、さらに近づきながら砲撃を放ち全弾命中し全員大破判定になった。
「まだまだ甘い…」
「ぽい〜。やっぱり白露お姉ちゃんには敵わないっぽい…」
「はぁー…やっぱり駄目か…」
『第1・第2班全員大破です!』
「向こうは全員大破だって、初霜!」
「なら、こちらも早く決めましょう」
腕を組んでその場で回転する二人。速度を上げていき一気に魚雷と砲撃を放つ。すると、周囲を囲んでいた者達にことごとく命中し気が付けば全員が大破になっていた。
『そこまで!無傷で済んだのは白露、雷、初霜の3人。他は全員大破判定じゃ。以上、終わり』
利根の掛け声とともに埠頭のほうに戻っていく。入れ替わりで見学組とすれ違ったが軽く挨拶をした程度で終わった。埠頭につくと全員が利根の前に集合する。利根は全員がいるのを確認(不知火は綾波によってぼこぼこにされ気絶している)すると一呼吸し声をかける。
「皆ご苦労。これが実戦だったら死んでいたかもしれんということを念頭においてほしい。今後、各鎮守府に所属したら自分の身は自分で守らればならん。だから、絶対死ぬな!吾輩がいうことは以上じゃ!それぞれ入渠を済ませるように!白露と時雨は少し残ってくれ。では解散!」
解散したメンバーは各々入渠施設のほうへと向かっていく。白露と時雨は利根に言われた通りその場に留まる。
「そんなに固くなるな。楽にしてよいぞ」
「…んで、何の用さ?」
「入渠が終わったら第1会議室へ来てくれと元帥から言伝じゃ」
「げ…元帥!」
元帥は大本営のトップの人間だ。そのものから呼び出しがあるということは何か重要な話をするかもしれない。二人の顔色が変わり少し顔が引き締まる。
「それと、母君とお客様も来られるとのことじゃ!失礼のないようにな!」
「母さんも来るのか…ということは…」
「…かもしれないね」
利根の話を聞いた後、白露と時雨は考え事をしながら入渠施設へと向かった。