「はい、それワンツー!」
「あらあら~。そんなもんなの~」
今現在、医療施設付近で改造人間と戦っている第3艦隊所属の陽炎型18番型舞風と天龍型2番艦龍田。舞風は金髪緑目のポニーテールが特徴の少女で、性格はとても明るくダンス好き。ダンスを応用した戦いを得意とし、主に敵の翻弄を役割をしている。龍田は紫がかった黒のセミロングヘアーと同色の瞳を持った女性で、艤装に槍のようなものを持っている。ちなみに今改造人間の核を潰してご機嫌の様子だ。
「……なんだぁ、何かあったら即こいつら潰してやろうと思ってたのに…」
駆けつけてきた北上は少しがっかりしたような口調をしていた。周囲を見るに改造人間はいなさそうだし大丈夫そうだと思った。もし、医療施設の中に侵入を許していたら北上は怒り狂っていただろう。
「…あの~、なんでがっかりしたような様子なんですか?」
「そりゃね~舞風。戦い足りなくてちょっとうずうずしてたからさ~…」
「もう、北上ちゃんは本当に戦闘狂ね。それに、施設の中は大将達がいるから大丈夫よ」
「…なら、いいけどね」
北上はそう言いながら医療施設の方に入ろうとする。入る前に、一度だけ改造人間の方を見る。少し顎に当て何か考えた後、その改造人間を持って中に入ろうとする。
「北上さ~ん、なんでそいつ持っていくの~?」
「あのマッドサイエンティストの医者が嬉々として解剖するだろうよ」
『……』
北上の言葉に二人が何も言えないのもよくわかる。なぜなら、マッドサイエンティストと呼ばれる医師は、艦娘でもあり特異艦の一人でもある最狂の艦娘。そいつにこの改造人間を見せれば何かわかるかもしれない。まぁ、中に入っても大将二人がいるし、それに呉にいたころに重傷を負った正規空母の元最強格の艦娘がいる。全然大丈夫だろうが、一応様子見をしなければ。そうこう考えながら改造人間を引きずっていると廊下の椅子に座っている大将二人がいた。一人は赤い髪を肩くらいまで伸ばし後ろに結んでいるのが特徴の男性。一人は少し灰色がかった腰まで伸びた髪を一本に結んでいるのが特徴の女性がいた。
「そいつが報告にあった改造人間というやつか?」
「あららら。やっぱりこういう結果になったわね。トラック側の方も夕張の報告のおかげで何とかなったし」
もう一人は
「ついでにそっちの方もこっちに持ってきてもらえば?」
「あぁ…実はあの子がもう伝えてるそうなのよ」
「あのマッドサイエンティストの考えそうなことだよね~…」
北上はそう言いながら奥の方へ向かって行く。奥の方へ向かって行くと”解剖室”と書かれた部屋にたどり着く。ノックもせずに入ると、周囲には倒された改造人間が数体。解剖台の上に一体。それを嬉々として解剖しているピンク髪で横髪をおさげ風にまとめ、水色のシャツの上にセーラー服を着て腰回りの露出したスカートのようなものを穿いている女性がいた。
「ノックもしないでここに入ってくるのは、頭の壊れてるやつか物好きか、私と一緒で医者くらいだけどね。あんたの事だから勝手に入ってくると思ったわよ」
「…あんたと同じ分類にされたかないけど、その意見については同意だよ明石」
工作艦にして特異艦の一人、
「んで、何かわかった?」
「今のところ分かったのは、こいつらは薬剤か何かを投与されたっていうのと、特殊な改造手術をされたってとこかしら」
「核についてはどうなのさ?」
「破壊された核を調べたけど、人工心臓みたいなものね。その人工心臓の細胞の働きが異常に早かったわ。知ってる、細胞の活性化が早ければ」
「切断された指も再生するんだよね。どっかの国で、切断された指に粉をかけたら再生したっていう」
「ビンゴ。その通り。そして、異常な再生能力を持った異能力者は?」
「…響でしょ。それがどうかした?」
明石は人工心臓を指しながら北上に何かを訴えている様子だった。北上は顎に手を当てて考える。そしてすぐに何かを察したのか明石に鋭い目線で問いかける。
「…まさかとは思うけど、響の異能が関係しているの?」
せいか~い、と間の伸びた返事をする。おそらくだが、どこかで響の異能の原理を知った何者かがそれを利用し改造人間を作った。さらに言えば、深海棲艦の細胞も悪用している。一体どこの誰がそんなことをしているのか考えたくもなかった。昔なんて、最初に艦娘が出現したとき艦娘の事を研究したいからとか言って海軍に研究者が殺到した時がある。それを昔大将だった山本、旧元帥が止めてくれたおかげで何とかなったが。
「けど、なんで響の異能が…」
「知らないわよそんなの。あの子曰く、8歳以前の記憶が全くないからその時に何かしらあったのかもね」
「……そうか」
改造人間を放り投げ、解剖室を出ていく北上。そのまま出口に向かおうとしたが、少し立ち止まった後に出口とは反対の方に向かって行く。廊下の奥の方に行くと、ICUと書かれた部屋の前を通る。部屋の前からは中が見れるようになっており、中には点滴を多数つけており酸素をつけている女性がいた。髪は茶色のセミロング。体はかなりやせ細っている。目は明けておらず昏睡状態だ。
「……大井っち……」
球磨型4番艦大井。三年前の大湊事件にて、提督をかばったことで重傷を負ってしまう。ただ、傷を負ってしまった場所が悪かった。傷を負ってしまったのは心臓でしかも大動脈瘤が切れてしまっていたのだ。北上はそっと窓を触れる。中に入ることもできるが、北上はあえて中に入ろうとしない。そして、そのまま壁に背中をつき座り込む。
「あたしが大井っちに合わせる顔は無いよね…」
「誰がそんなこと決めたのさ?」
声をかけられる方を見ると、車いすに乗った青みがかった瞳と頭髪、髪は短いツインテールに纏め、髪留めの紐は上にはねている特徴の女性がいた。服装は病衣を着ている。
「蒼…龍」
蒼龍型正規空母。元最強格の一角で艤装の状態は改二。異能力は風を操る異能を持ち”
「全く、あんたは気にしすぎなんだよ。直接入って顔を見てきなよ」
「…けど」
「だから、気にしすぎなんだってば。気にしすぎて、かなり精神的にも参ってるでしょ。じゃなきゃ、あの子も廊下の端の陰から覗かないでしょ?」
反対方向を見ると、廊下の端の方に水色のラインが入ったセーラー服を着用し、帽子を真横に向けた上で眼帯に沿うように斜め被りしている少女がいた。右目に眼帯をつけており金の格子状の装飾をつけている。
「…木曽」
球磨型5番艦木曽改二。昔はもっと勝気な性格で軽巡でも中位から上位に入るほどの実力を持ち”隻狼”の異名を持っていた。実力も発展途上でまだ伸びしろがあったが、PTSDを発症してしまいまともに人と会話もできなくなり人と関わるときも少し離れたところから人を見ることしかできない。一応声をかけたら話してくれるのだが。
「…木曽~。元気だったか?」
「…う…うん」
「んで、何で昨日会いに来てくれなかったの?」
「え…いやなんのこと?」
「あんた大井の部屋の前をサラッと通っただけですぐに医療施設出たじゃん」
「あ…あぁ用事を思い出したからそろそろ行く…」
その時、ガシっと肩をつかまれる。振り返ると、蒼龍が笑顔ではあるもののどす黒いオーラのようなものをまとっている様子だった。
「まぁまぁ、どうせ呉に帰るだけでしょ?少しだけゆっくりしていきなよ(#^ω^)」
「……敵わないな…蒼龍には…」
そう言って、またその場に座り込む北上。それを確認すると蒼龍も北上の横につく。木曽はゆっくりではあるが、北上達に近づき少し距離を置いたところで体育座りをした。
「北上、伊織は元気?」
「あぁ、伊織は元気だよ」
須藤伊織。呉鎮守府の提督で階級は少将。大井とは恋仲で、いつか結婚しようと約束をしていたのだ。事件が起こるまではおしどり夫婦、バカップルなどとからかわれていた。
「…けど、正直無理をしているよ。
「飛龍は?」
「飛龍も全盛期までとはいかないけど、実力は戻ってきてる。今は最前線で頑張ってるよ」
「…そうか」
飛龍型正規空母。改二の状態で土を操る異能力者。”岩龍”の異名を持つ最強格の艦娘。三年前の事件で右足を損傷。膝から下が義足になっているが杖を突かないで歩けるくらいには回復している。
「…な…なぁ…姉貴…」
「ん?どした木曽。そんなに離れてないでもう少しこっち来なよ?」
北上がそういうと、木曽はゆっくりと北上の方に向かって行く。北上の手の届く範囲まで来ると北上の方を見ずにずっと下を向いたままだった。
「…怖いなら目を閉じてな」
「…うん」
木曽は俯きながら目をぎゅっと閉じている。心なしか怯えているような感じだった。北上はゆっくりと手を木曽の頭にのせる頭を撫でてあげた。木曽がこうなったのは理由がある。それは、大井が重体になってしまったのは木曽自身が自分のせいだと思ってしまっているから。当時の状況は北上も伝え聞いたくらいしかわからないが、提督である伊織、大井、木曽の三人でテロリスト達の相手をしていた時に、木曽は恐怖でまともに戦うことが出来ず、挙句の果て伊織に怪我をさせてしまい大井も重体になってしまったことが引き金でPTSDになってしまったのだ。そのためか、急に頭や体を触ろうとするとこうやって怖がってしまう。
「なぁ、伊織から聞いたけど、二人共鎮守府に帰ってくるんだろ?」
「まあね。元帥から許可も出たし、木曽もテレビ電話で皆と話せるようになってるから大丈夫だと思うよ」
「そうか」
北上は少しだけ口角を上げる。二人が戻ってくれるのは純粋にうれしい。でも、もしあの時と同じような状況になったらと思うと不安がぬぐえなかった。元帥と提督に頼んで二日後に二人と一緒に帰ろうかなと北上は思った。
ーーー尋問室
尋問室の椅子に縛られた状態で座るテロリストの首謀者である源五郎。顔や身体中にあざや傷が多くあり気絶している状態だった。なぜかというと、散々殴った一星、小次郎、怜王の他に星羅、白露、時雨も一緒にいた。すでに情報をすべて洗いざらい話した後で、星羅と白露が本気で殴りに殴り、時雨もちょっとだけ本気を出して往復びんたをしたのだ。時雨以外笑顔か無表情ではあるが背部にどす黒いオーラのようなものがあった。
「改造人間とやらを提供したのは博士とかいうやつね~(#^ω^)」
「博士としかわからないのがくそ親父が利用されている証拠ね(# ゚Д゚)」
「これは慎二達に頼んで調べてもらうしかなさそうじゃの…」
文句を言いながら尋問室を出る六人。出ると目の前には頭を抱えた斎藤と山本がいた。
「全くお前達家族は本当に…」
「もう少し手加減をしてくれたらありがたかったのですが…」
『あ、ごめんなさい元帥!てへぺろ(笑)」
『てへぺろではなくてですな』
「んで、こいつら誰に雇われてたの」
「何か大きな組織が裏にいるのは確かなのだが、これ以上は調べてみないとわからないな」
「佐伯湾泊地にいる服部提督に調べてもらおう。彼なら情報を必ず調べてくれる」
佐伯湾泊地提督、服部源蔵少将。伊賀忍者の末裔であり情報収集に長けているという。忍術も使えるという人外提督。
「とにかく、襲撃は終わったんだ。皆はゆっくり休んでくれ」
そう言われ、白露達は食堂の方へと向かって行く。結局ゆっくりする場所と言ったら食堂の方に行くのが一番だ。食堂の前まで来ると何やら騒がしいような歓喜に沸いているような声がしてきた。なんだ、と思い扉を開けると中はもはや宴会状態のような感じになっていた。
「うおおおおおおおおおおおほっほっほ!さすがにテロリスト達もここの戦力達には手も足も出なかったようですなああああ!」
「漣、あんたうるさい」
「ま、まぁまぁ。被害が少なくてよかったよね」
特に騒いでいるテーブルにいるのは、特型綾波型駆逐艦の朧、曙、漣、潮の四人。白露達とは同期に当たる。二日後には大本営に所属することになっており訓練生の中では中の上クラスだ。大はしゃぎしているのは特Ⅱ型駆逐艦綾波型九番艦漣。ピンク色の髪をツインテールにしているのが特徴。かなりのお調子者で実は特型駆逐艦達の中では最年少の十三歳。漣に毒ついているのは綾波型八番艦曙。薄紫の髪と瞳をしており、サイドテールに結んだ髪型をしているのが特徴。周囲に対してかなりとげのある言い方をしたり接し方も反抗期の女の子ような感じだが、根はかなり仲間思い。曙をなだめているのは綾波型十番艦潮。黒髪ロングヘアが特徴で暁までとはいかないが少し臆病な性格。そのせいもあるのか慣れていないものと関わるときに一緒にいる朧や曙の後ろに隠れてしまうことがある。そして、その三人を落ち着いた様子で見ているのは、綾波型七番艦朧。枯草色のショートボブに、琥珀色の瞳。右頬にある絆創膏が特徴的の少女だ。この四人は仲が良く一緒にいることが多い。
「あんたらは相変わらず騒いでるなおい…」
「おっや~。そこにいるのは白露殿ではありませんか~!にっくき祖父をぼこぼこにして、すっきりした表情ですね~!」
「まあな。漣も何かをサンドバックにしてみるか?結構楽しいぞ」
「漣は大丈夫なのです!ぼのたんといういじり相手がいますからな~!」
「漣あんた喧嘩売ってんの(#^ω^)」
「おっと~!?ぼのたん怒り心頭ですね~!ってひゃああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)吹雪姉助けてええええ!」
「こら待てええええ!!」
逃げる漣を追いかけて、曙は行ってしまう。ちょうど遠くの席の方では吹雪と暁型四人。綾波が座っており、暁は吹雪の隣に座り頭を撫でてもらっていた。そんな様子を見ていた漣が逃げながら「吹雪姉漣にもおおおおお!」とおねだりする様子が見られているがこれは正直日常茶飯事だ。
「皆ごめんね。漣と曙が…」
「まぁまぁ。二人の事だからいつもの事じゃないか!」
「えっと、そう言ってくれると助かります。時雨ちゃん」
「せっかくの宴会騒ぎ出し、僕達もご飯食べようよ!家族水入らずでさ!」
「そうね。昨日は家族全員で寝たし、今日はみんなでご飯を食べまくるわよ!そして焔、この私があーんしてあげるへぶ!?」
「殴るよ怜王兄!」
「…焔、もう殴ってるぞ…」
「まぁいつもの事だから大丈夫じゃろ。ほれ、皆ご飯を食べに行こうじゃないか!」
今回は宴会というのもあるのか、酒に豪華な食事が並んでいる。それぞれビュッフェ形式で取りに行くスタイルのようで白露達も適当にご飯を取り空いている席に座った。空いている席の近くには、浦風、浜風がちょうどいた。
「浦風、浜風!大丈夫だった?」
「おお時雨!うちらは大丈夫じゃけえ!如何せん寮の中でじっとしてたからな!」
「私も寮の中でじっとしていました」
「不知火の馬鹿が寮の中にいることは想定外だったがの…」
「不知火に関しては自業自得だろ全く」
「それで、聞きたいんだけど不知火はなんであそこで白くなってるの?」
違う席の方を見ると、不知火が真っ白の状態で机に突っ伏しており陽炎が横で軽蔑するような視線を不知火に向けている。
「なんや不知火が改造人間と戦うつもり満々だったもんでの~。浜風が必死に止めようとしたのを無視したもんだから、うちが徹底的に叩きのめしてやったわ!」
やっぱり予想道理だった…と時雨は思った。あの不知火の事だから絶対に改造人間と戦おうとしたのだろう。それを浦風が徹底的に、超が付くほど徹底的に叩きのめしたのだろう。
「……あの子…あのままじゃ本当に早死にするわよ」
「…知ってる」
星羅の言ったことに対して、白露は静かに言った。不知火の負けん気は理解しているが、その負けん気、基自分自身の事を客観視できないような奴はどこかで絶対に死ぬ。それこそ源五郎のように大本営という絶対に勝てない相手に挑むようなものだ。
「…だから、陽炎は不知火を強制的に佐世保鎮守府に誘ったのさ。佐世保には強い人がいるからな」
「というと?」
「理由は二つ。まず最強格の一人である空母がいる。”炎帝”の異名を持つ人だ。もう一つは、そこの第一艦隊の旗艦が駆逐艦であること。駆逐艦で艦隊の旗艦をやっているのはここにいる吹雪しか例はないからな」
なるほど、と星羅は納得したような表情でご飯を食べる。星羅は艦隊の編成云々はよくわからないが、大体旗艦を務めるのは軽巡級から戦艦級。そんな常識を覆したのがここの第二艦隊旗艦を務める吹雪。しかも、吹雪は座学こそ優秀だったが戦闘能力はほぼなかったにも関わらず、努力でここまで這い上がってきたものだ。それに吹雪は人格者でもある。周りの人達が吹雪についていきたがるのも納得だと星羅は思った。
「じゃあ聞きたいんだけど焔、あなたはどうして新設される鎮守府に行くの?義姉さんから聞いたわよ!全鎮守府からオファーがかかってたのに」
「…なんで怜王兄に言わなきゃならないんだよ…」
「怜王兄、それは白露の性格を考えればわかるよ」
時雨の言ったことに対して、怜王は少し考え込むがすぐに理解した。白露はどちらかというと自分で好き勝手に暴れたいタイプ。まぁ、過去の事もあり他のものとつるみたくないという思いもあるが。だから、新設される鎮守府に行けばある程度自分の要求が通ると思ったのだろう。白露は最強格の一角だから。
「じゃが、新設される鎮守府におぬしら合わせて十人じゃろ。異動してくる人達もいるのではないか?」
「え~っと、確か空母が三人、重巡が二人、軽巡が二人だったかな?」
「それもあの岩川と横須賀から異動してくるもんだから半端ねえよ…」
わお…と怜王は少し驚いた様子で白露と時雨の言ったことを聞いていた。小次郎はただただ静かに二人の言ったことを聞いている。
「そういえば、父さん達は今後どうするの?」
「もちのろんで、あなた達の鎮守府に行くわよ!」
「…同じくだ」
その言葉に、白露は持っていた箸を落としてしまう。時雨も、後ろにいた浦風と浜風もどうしたといった表情で白露を見る。白露は少しだけ固まった後に深呼吸をしたかと思うと…。
「嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?」
白露の叫びに、食堂にいた全員が白露の方を見る。それもそのはず、あの白露がここまで叫ぶところを見たことがなかったから。ちなみに一星は道場の管理があるため実家に戻るとのことだった。そして、小次郎と怜王が今後一緒にいる機会が増えることによって、涼風のボケや白露達の突っ込みが苛烈になっていくのはまた別の話…。
ーーー二日後
卒業過程を終えた者達が大本営の広間に集まっていた。後方にはトラックやヘリ、各々の荷物が置いてありすぐに出発できる状況だった。台の上に立った元帥の山本はその場にいる全員に目を向けた後に話し出す。
「皆、無事卒業過程を終えれたことをわしは誇りに思う。今後、諸君は本格的に深海棲艦と戦っていくことになる。わしから言うことは一つ。絶対に死ぬな!必ず生き残れ!諸君らの活躍を心から願う!以上だ!」
「山本元帥に敬礼!」
利根の一言に、全員が山本に向かい敬礼を行う。山本もそれにこたえ返礼を行い、各々が各鎮守府に向かうためそれぞれの集合場所に向かう。
「白露!」
白露達が向かう柱島泊地行きのヘリに行こうとしたとき、後ろに浦風が立っていた。白露は、他の全員に先に行くように伝えるとその場に残る。
「しばらくお別れやね、まぁあんたのことやからうちは心配してないで!」
「私も正直お前の事だから心配はしてねえよ。ここ大本営の所属なんだから」
「ま、どこの艦隊に所属するかはまだわからんけどな。第一から第三皆強い人達ばかりじゃけ」
「まさかとは思うけど、時津風あたりと喧嘩したりしないよな?あいつかなり強いぞ…」
「しないわ阿保…あんな
「…ま、頑張れよ!」
「お互いにね!」
そう言って拳を突き合わせる二人。そして、白露は柱島に。浦風は大本営に。各々が所属先へ向かうヘリやトラックに向かって行く。白露も時雨達と小次郎、怜王、星羅が待っているヘリの所まで向かい荷物を担ぎ静かに言った。
「さて、行くか。柱島に」
ーーー柱島泊地
新しく新設された鎮守府、柱島泊地。陸軍や工廠で働くものはすでに来ており妖精達もきびきびと働いていた。そして、鎮守府の執務室では書類を見ながら席についている二人の男性とその二人を補佐するために来ている艦娘がいた。
「ふむふむ。ここに所属することになっているのは新人十名と異動してくる方達が七人とあなたを含めると十八名ですか」
「うち
「それは無いでしょう。白露さんはまだ実戦経験が浅い。今後どこかで大きな壁にでも当たるんじゃないですか?例えばそのもう一人の最強格の方と戦って実力差を痛感するとか?」
「お前の言うことは大体当たるからなんとなく予想できそうだわ…」
準備をしながら会話をする二人。その二人にタブレットを持ちながら女性が話し出した。
「お二人共。今しがたこちらに向かってくるそうです。約二~三時間で着くそうですよ」
「では、こちらもお出迎えの準備をしておきましょうか」
「だな」
そう言って、執務室の片づけを急ぐ二人。一通り片づけをした後に、机の上に置いていた軍帽を被り出迎えの準備をした。
次回は鎮守府に着任した白露達の様子を書きたいかと思います!