エヴァ様は今日も死なない! 〜不死身系お嬢様がダンジョン配信でバズリ散らかした話〜   作:あるふぁせんとーり

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【メイド】15枠目【ファンアート】

「……というわけで、貴方達おつエヴァ〜」

 

『おつエヴァ』

『おつエヴァ〜』

『おつエヴァでした〜!』

『丸鋸最高!丸鋸最高!』

『夜の南の島レベルの金策してたな』

『丸鋸最高!丸鋸最高!』

『何人か洗脳成功してるじゃん』

『おつエヴァでした!』

 

 

 結局昼過ぎに始まった採掘配信が終わったのは日もそろそろ沈みそうな6時過ぎ。

 

 配信を切ったエヴァ様は指を組んで「んん〜っ」と心地良さそうに背伸びしています。

 

 私は採掘を終え、役割を果たしたひみつな道具ことAnywhere扉を少し名残惜しいながらも分解していました。

 

 

「そういえばミーヤ、この魔力原晶ってどうやって納品するの?ギルドの方に」

 

「あ、ほっといちゃって大丈夫ですよ〜。後でギルドの回収班が来るので〜」

 

「へえ、そうなのね。これで幾らくらいになるのかしら」

 

「ええっと〜、この量だとノルマの3倍くらいは掘りましたし……150万ヌーアくらいじゃないですか?」

 

「あら、そんなものなの?全然普通じゃない。ほら、スノーフォールの時とかも300とかだったでしょう?」

 

「それはエヴァさんが高難易度の依頼ばっか受けてるからですよ〜。ほんとだったら、こういうほぼ死なないような依頼で基礎報酬50万とか破格も破格なんです」

 

「あら、こんな依頼でも死人が出るの?」

 

「全然出ますよ?年に……100人はいかないくらいですけど。崩落に巻き込まれたり、原晶中毒に罹っちゃったり、あとは〜……そうだなぁ、極稀ですけど【再帰性(リカーシブ)ダンジョン】に遭遇しちゃって……なんて話も聞いたことあります。……結局、ダンジョンに絶対なんてものは無いんですよね」

 

 

 少し俯き、丸鋸を片付けながら言うミーヤ。

 

 そして彼女はふと我に返ったようにエヴァ様の顔を見ると「いえ、エヴァさんには、縁のない話なんですけど」と微笑みますが、エヴァ様は「そんなこと無いわよ」と即答しました。

 

 

「私の「不死身」って、多分他の人が思っているよりもずっと広義的なの。外傷などで死なない、ってだけじゃなくて、病気にだって一切罹らないし、食べ物が無くたって、水が無くたって、酸素が無くたって死なない。それこそ、老いさえも私に触れることは叶わないの」

 

「ふふっ、そう言われると〜……うん、やっぱりすごいです。ゲームとか漫画の世界の話みたい」

 

「あー、惜しい線行ってますね」

 

「今良い話の最中よ、リリィ」

 

 

 そしてエヴァ様は小さく咳払いをすると、後片付けをするミーヤの隣にぺたんと座りました。

 

 

「だからこそ、私には縁が無い話じゃないの。だってそうでしょう?私はこれから、数え切れないくらいの誰かの死を見届けないといけないんだから」

 

「……やっぱり、エヴァさんはすごいです。私はまだ、自分がどうなるかすらよく分かってないのに……あ、でも死ぬならぐっちゃぐちゃになって死にたいなぁ〜」

 

「あら、随分と過激な最期をお望みなのね」

 

「だってそうあるべきじゃないですか?私がそういうのを好んでる、愛してるっていうのに、自分自身は綺麗で穏やかに死にたいなんて、そんなのは、変だと思うんです」

 

「ふふっ、良いわよ。何百年後かは分からないけれど、いつかはそうやって看取ってあげる」

 

「めっちゃ感謝です〜!……あ、こういうのを終活って言うんですかね?」

 

「そうなんじゃない?案外簡単なのね、終活って」

 

 

 そんなことを言いながら、エヴァ様は口を手で押さえて笑います。

 

 そして彼女は真っ赤な瞳を私の方へ向けると、「貴女は最期までついてきてくれるでしょう?」なんて問いかけてきました。

 

 私は静かに、この首を縦に振ります。

 

 エヴァ様は「ありがとうね、リリィ」なんて、無邪気に笑いました。

 

 

「……さて、そこそこ良さげな話が終わったところでエヴァ様、深刻な問題なのですが」

 

「ん?何?」

 

「多分エヴァ様はそういう感じのやつ求められてません。これコメディなので」

 

「……え、嘘?美少女のこういうちょっとエモいシーンって皆大好きじゃないの?」

 

「しかしエヴァ様は専ら美少女というよりは人の形してるだけのモンスターみたいな扱いです。ほら、これグリーンデザート放送局のファンアートですけど」

 

 

 私がエヴァ様にMurmurerのハッシュタグ「グリーンデザート展覧会」を見せると、彼女はバッとそれを私の手から強奪し、物凄い勢いでスクロールし始めました。

 

 

「……嘘、嘘、嘘!?私の可愛さを強調するようなファンアートは!?ほら、私こんなに可愛いのよ!?芸能事務所のスカウトの名刺だけでハイランダーデッキ組めるレベルなのよ私!?」

 

「今のところホラーばっかですよ。もはや口から物食べてるイラストの方が少ないです」

 

「いや、手とか胸からリンゴ食べるとか……そんなの数えるくらいしかやったこと無いのに!?」

 

「あ、あるんだ〜」

 

「……!そうよ、こういうのってTL汚染しないためにSNSにはR-18上げないみたいな人達いるじゃない!パントレとかなら私のえっちなやつあるわよきっと!多少胸盛るくらいなら許してあげるから!」

 

 

 そう言って急いで自分のスマホに持ち替え、イラスト、漫画、小説などが投稿できるコミュニケーションサービス【Peintre Celebre(パントレセレブル)】を開くエヴァ様。

 

 素早いフリック入力の後、「検索:エヴァ・グリーンデザート、R-18」と読み込み画面が表示され、次に出てきた数字は「55件」。

 

 エヴァ様はグッと手を握り締めました。

 

 

「ほら、やっぱみんな私みたいな美少女が好きなのよ!今は成人向けでも目を瞑ってあげるわ!」

 

「あれ、エヴァさんって17じゃ……?」

 

「学院卒業した時点で年齢に関係なく成人としての権利が与えられるから何ら問題なし!完璧ね!」

 

「ちょっと前の話でR-18気にしてませんでした?」

 

「良いのよそんなことは!さてと、さぞかし素敵なファンアートが──」

 

「……あ、全部R-18Gですね」

 

「嘘。そんなことあるはずないわ。だって私美少女だもの」

 

「わ、わ、わぁ……♡これエッグぅ……♡」

 

「ミーヤがただのR-18でこんな反応すると思いますか?」

 

「するかもしれないじゃない。というかまだ私一つも確認してないもの、確認しないってことは確定しないってことだもの。不確定性原理も知らないの?」

 

「それ第二魔導法則の確立によって否定されたやつですよね?もう箱の中の猫は死ぬ時代ですよ」

 

「……知らない!!知らないったら知らない!!」

 

 

 顔を赤くし、頬を膨らませてそっぽを向くエヴァ様。

 

 果たしてこれは本当につい先程まであんなにかっこよく死生観を語っていたエヴァ・グリーンデザート本人なのでしょうか。

 

 そしてしばらくその様子を静かに見守っていると、エヴァ様はバタバタと手足を動かし始めました。

 

 

「やだやだ!!わたしもかわいいふぁんあーとほしい!」

 

「あ漢字力が」

 

「どうせふたりはかわいいのもらってるんでしょ!!ふじみさべつよふじみさべつ!!」

 

「主語が小さいですエヴァ様。というか私もミーヤも実はあんまりまともなの多くないです」

 

「……え、そうなの?本当?」

 

「あ戻った」

 

「はい。私はカスの嘘とか第四の壁越えてくるような類のやつばっかで、ミーヤは現在ヤンデレメンヘラオーバードーズが多数を占めてますね」

 

「……え、私そういう扱いなんですか?ひどくないですか?」

 

「いや仕方ないでしょ」

 

「残念でもないし当然ですね」

 

「……いやありました!ありましたよ私のシンプル可愛いの!」

 

「嘘!?ズルいわよミーヤ!?」

 

「……あ、こうなったらカラオケでも寄ってファンアート鑑賞会でもしますか?」

 

「いいじゃないそれ」

 

「賛成です!」

 

 

 ということで、私達はMurmurerやらパントレの投稿やらを漁りながら、ダンジョンを後にしました。

 

 

「……あ、タイトル回収のチャンスでしたね」

 

「リリィ」

 

 

 それでは、またの機会に。




皆様、一応マシュマロがございます。
どうぞ奮ってお投げください

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