エヴァ様は今日も死なない! 〜不死身系お嬢様がダンジョン配信でバズリ散らかした話〜   作:あるふぁせんとーり

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【お嬢様】16枠目【ご指名ありがとうございます】

「ふふっ、伸びてる伸びてる。他者からの承認なんてどれだけあっても困らないもの」

 

「エヴァ様、漫才のつかみみたいなこと言ってるところに申し訳ありませんが、ピザが届きましたよ」

 

「はいはい、今行くわ」

 

「「はい」は一回ですよ」

 

「10年ぶりに聞いたわそれ」

 

 

 気づけば登録者は25万人を越えて、投稿した切り抜きまとめ、ショートの公式切り抜き動画も上々の伸び。

 

 そのお祝い……というわけでは別にないのだけれど、ミーヤの提案で今日はピザパーティという流れになっていた。

 

 

「あ、乾杯とかしますか?」

 

「良いでしょ、私お腹減ってるし」

 

「右に同じく」

 

「私も左に同じく〜って感じなので、もうこのまま食べちゃいましょうか〜」

 

 

 ということで私達は手を合わせ、「いただきます」と言いかける。

 

 けれど、それは唐突な着信音によって遮られた。

 

 

「ちょっと待って。……あら、ギルドから?」

 

「え〜、私ちゃんと退職の手続きとかしたんだけどな〜」

 

「それは関係なさそうだから安心して。それで、ええっと……「指名のお知らせ」?ミーヤ、指名って何?」

 

「あ、【指名】が来たんですね!【指名】っていうのは、ギルドに依頼を登録する時、依頼者が登録料金にいくらか上乗せすることでまず希望の冒険者に打診することが出来るってシステムなんです」

 

「キャバクラ?」

 

「仕組み的にはほぼそれですね。まあ、エヴァさんにもちゃんと追加報酬が入るので全然悪い話じゃないですよ〜」

 

「ふぅん。まあわざわざ選んでくれたって光栄な話ではあるし、謹んでお受けしようかしら」

 

 

 そして蟹肉のたっぷりと乗ったシーフードピザを頬張りつつ、私は画面の上に指を滑らせる。

 

 リリィは私の肩に顎を乗せ、ハッシュドポテトをもごもごしながら「どんな内容ですか?」なんて問いかけてきた。

 

 

「アイスカペイドの方の運送会社からの依頼ね。自社の物流倉庫が狼的な魔獣の群れに制圧されちゃったからどうにかしてほしいみたい」

 

「へぇ、良いんじゃないですか?しかし群れということは【掃討依頼】ですか」

 

 

 【掃討依頼】、そういえば学院の社会科でそんなことを昔習った気がする。

 

 ギルドに登録出来る依頼っていうのは正確にはかなり細分化されていて、そのうちの一つが、人知れず発生したダンジョンから出てきてしまったモンスターを討伐するっていう【掃討依頼】。

 

 ちなみに第一回、第二回みたいなダンジョンを攻略するのが【突入依頼】、第四回みたいな素材収集などの正式名称は【回収依頼】なんて言うらしい。

 

 それ以外にも超大型のダンジョンなどを複数グループで攻略する【協力依頼】、モンスターの群れなどから特定の都市や建造物、拠点などを防衛する【防衛依頼】など、挙げれば切りが無いくらいにその種類は多いし、なんなら幾つかの依頼に重なるようなものはまさに〇〇✕✕依頼といったようになんか長い名前になるらしい。

 

 まあ、そんなことはおいておいて。

 

 

「ええ。頭数もだいぶ多いみたいだし、今回は貴女達にも戦ってもらうわよ?」

 

「わ〜」

 

「意外と早い出陣になりましたね」

 

 

 そして二人の返事は「いつでもいけますよ〜!」「しかし、待ちくたびれました」とやる気十分。

 

 

「それじゃ、明日はアイスカペイドまでちょっと遠征ね。朝一に出たら……昼過ぎくらいには始められるかしら」

 

「了解です。配信予約と告知の方はこちらでやっておきますね」

 

「じゃあ今日はしっかり寝ないとですね〜」

 

「ええ。取り敢えずピザ食べ終わったら大浴場の方行きましょう。今日は大きい風呂の気分だわ」

 

 

 私はプルコギ、マヨコーン、ジャーマンポテトを三枚重ねて口の中に押し込み、スマートフォン上の「依頼を受ける」をタップした。

 

 

◇◇◇

 

 

 そして翌日。

 

 朝食バイキングを食べ終えた私達はミーヤの車に乗り込んでいた。

 

 

「エヴァ様、準備は大丈夫ですか?」

 

「ええ」

 

「撮影機材は持ちましたか?」

 

「ええ」

 

「部屋の電気は消しましたか?」

 

「ええ」

 

「部屋の鍵は締めましたか?」

 

「ええ。……いや、私ガキだと思われてる?」

 

「……自分のことをガキだと思っていますか?」

 

「脚の代わりに手が出るわよ」

 

「ちょっと怒り強めだ〜」

 

 

 ……いや、こんなのは本題じゃなくて。

 

 現在時刻は朝の8時過ぎ、アイスカペイドの物流倉庫までは片道4時間ちょっと、ライブ開始の設定が14時30分。

 

 時間的余裕は十分だし、今日は朝から調子が良いのでミーヤの馬鹿運転にも多分耐えられる。

 

 後部座席に座った私はシートベルトを締め、リクライニングを思いっ切り倒して寝転がった。

 

 

「良いですよ、エヴァさん。到着までゆっくりしててくださいね〜」

 

「貴女がドライバーじゃ出来るか分からないけれどね」

 

「……あ、そうだ。少し良いですか?ミーヤ」

 

「は〜い、何ですか〜?」

 

「いえ、少し言い忘れていたのですが……エヴァ様、あまりにも疲れてる時は人差し指とか咥えながら寝てるんです」

 

「へ〜、かわい〜!」

 

「……、……?……」

 

 

 ……な、

 

 な……、な……

 

 ……………っ、

 

 

「な、何をバラしてくれてるのよリリィ!!!?そ、それ!!私のトップシークレットなのだけれど!!!?」

 

「あら、お可愛いこと。良い反応ですねエヴァ様。今から萌えキャラ転向ですか?」

 

「何よその仏頂面は!!?ご丁寧に「お可愛いこと」とかどっちかといえば私の言いそうな台詞まで添えて!!」

 

「エヴァ様、そうリクライニングに横たわったままジタバタされても情けなさやら可愛さの方が勝ちますので、取り敢えず身体を起こしたらどうですか?」

 

「嫌よ、私寝不足なんだから。今日で収益化の条件達成だから楽しみで眠れなかったの。なんだか遠足前夜の子供みたいね。誰がガキよ!!」

 

「誰も言ってませんエヴァ様」

 

「眠くなるとぐじゅぐじゅするのかわい〜」

 

 

 そうこう言ってるうちに、だんだんと私の頭の中を占める眠気の割合が増えていく。

 

 こんなになるんだったら寝れないからって去年のG1一気見なんてするんじゃなかったかしら……。

 

 そんなことを考えて目を瞑ると、ミーヤがぐっとアクセルを踏み込んだ。

 

 身体がぎゅっと、引っ張られたようだった。

 

 

「あんぜんうんてんって、しらないのかしら……」

 

 

 そう言い残して、私は意識を真っ暗闇に溶かした。




貴女達の高評価、チャンネル登録、コメントなんて楽しみに待ってるわ。
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