エヴァ様は今日も死なない! 〜不死身系お嬢様がダンジョン配信でバズリ散らかした話〜   作:あるふぁせんとーり

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【お嬢様】24枠目【エヴァ様を偲ぶ会】

「で……そうそう、28番目ね。この子がアレよ、肝臓に剥ぎ取りナイフぶっ刺さっちゃったやつ。一番星の生まれ変わりみたいな」

 

『言い方』

『こいつキャラを死に方で覚えてるよな』

『確かにエヴァ様は誰もが目を奪われてくけど』

 

「めっちゃ痛いって言うよりじわじわくるのよね、内臓って。貴方達基準で言うと……そうね、口内炎くらいかしら」

 

『分かりやすいな』

『ってことは腹クチュは……』

 

「パチパチキャンディね」

 

『地獄だ』

 

 

 そんなこんなで思い出やら死因やら感想やらを語っていると、気付けば時刻は時刻は0時手前。

 

 リリィとミーヤは「ちょっと用事あるんで」って一時離席しちゃったから、今はソロでおしゃべりしているところ。

 

 それにしても、昼寝してなければ普段の私はそろそろすやすやしたくなってくる頃かしら。

 

 

「そういえば私はエヴリデイホリデーだけど、貴方達は大丈夫なの?もう0時回っちゃうわよ」

 

『んなことは知ってんだよ』

『それ待ちなんだが?』

『0時なった瞬間寝るが』

『このために有給取ってる』

 

「ガチすぎじゃない?」

 

 

 そもそも日付が変わったからってどうなるのよ、なんて言おうとしたその時、ちょうど時計の針が12を差した。

 

 

「ほら、日付変わっちゃったじゃ──」

 

『5000No:収益化おめ』

『10000No:赤スパ童貞捧げます』

『5000No:これでちょっといい昼飯でも食って、どうぞ』

『50000No』

『20000No:バイト代入ったので』

『30000No:エヴァ様のおかげで医局長に決まりました』

『50000No:エヴァ様のおかげで妹が手術受けてくれることになりました』

『10000No:下着代』

『50000No:今日のパチンコ代です』

『5000No:家族で楽しく見てます』

『10000No』

『10000No:エヴァ様おっぱいちっちゃいからすき』

『20000No:この配信面白スギィ!!!!自分、赤スパいいっすか?』

『5000No:応援してます』

『30000No:今度のイベントエヴァ様コスで出るので使用料です』

『20000No』

 

 

 え、待って、待って、どういうこと?

 

 早すぎない?

 

 いやそもそも投げ銭……えっと、そう、ハイパーチャット。

 

 許可した覚えもないし、そもそも今日申請通ったとかそんな段階よ?

 

 

「おっ、ビビってますねエヴァ様」

 

「リリィ!貴女またなんかやったの!?馬鹿みたいな量の投げ銭飛んできてるのだけれど!?っていうかもう送れるの!?」

 

「あ、投げ銭機能は申請通った翌日0時0分からですよ。まあこの配信はデフォルトだと投げ銭オフだったんで今解除したんですけど」

 

「いや、それにしても……ねえ投げ過ぎじゃない?貴方達金銭感覚とか無いの?いえ、これがとんでもなく有り難い行為なのは分かってるのだけれど」

 

『3000No:エヴァ様お金払えるくらい面白いじゃん』

 

「直喩が過ぎるでしょ。っていうかもうコメント欄投げ銭ばっかじゃない」

 

 

 本当にどうなってるのよ、とMetubeの配信画面を見ると、まだ2分とそこらなのに『ハイパーチャット件数:1855件』『合計金額:720万3820ヌーア』なんて意味の分からない数字になっている。

 

 本当にどうなってるのよ。

 

 というか一定以上の金額じゃないとハイチャでも埋もれて流れてしまってるというヤバい事態で、ここまで来ると流石にお金を払わせてるのに私がそれに気付けていないという究極に申し訳ないことになってしまっている。

 

 

「エヴァ様って案外金銭感覚ちゃんとしてますよ」

 

「当たり前でしょ。勝つにはまともな思考がないと……って、そんなのはどうでもいいの!これだけもらったら流石に何か返さないとじゃない……!!あ、そういえばミーヤは何してるの!?貴女達宛も来てるんだから!」

 

「ミーヤですか?ふふっ、すぐ分かりますよ。ということで視聴者の皆様、大量のスパチャありがとうございます。後日メンバーシップなど開設する予定ですが、本日スパチャしてくださった方は自動的に、あるいは差額のみでその金額分のプランを付与させていただきますので、追加の発表などぜひお待ち下さい」

 

「ねえリリィ私その話知らない」

 

『30000No:メンシ代』

『50000No:一番上お願いします』

『10000No:メンシお試し』

 

 

 ああ自分を中心とした自分が知らない話が勝手に進んでる。

 

 こんなに怖いことってあるのかしら。

 

 

「ちなみに一月100ヌーアしかやるつもりはないので、5万入れてくれた方は今後40年ほどお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします」

 

「トラップすぎない?」

 

『10000No:ばり騙すじゃん』

『5000No:不味い、もう一回!』

 

「貴方達もコメント感覚でお金投げなくてもいいのよ」

 

『50000No:俺絵も文章も掛けないけどお金払うだけで感謝伝えられるんだぞ』

 

「ちょっといいこと言わないでくれる?これコメディなんだけれど」

 

 

 そして積み上がっていく金額に若干引きつつも、スパチャの名前呼んだ方が良いのかしら、いや不可能な物量じゃない、なんて考えていると、ちょうど部屋のドアが勢いよく開けられる。

 

 「サプラ~イズ!!」と心底楽しそうなミーヤだった。

 

 ねえこの子が楽しそうな時って大概ヤバいことするときだと思うのだけれど。

 

 

「はい、エヴァさん!リリィさんと二人で用意したんですよ〜!」

 

「あら、プレゼント?」

 

「はい!漬けてない河豚の卵巣です!」

 

「え良いの!!!!!!!???????」

 

「過去1の喜び方してますね」

 

 

 そしてミーヤから受け取った箱を開けると、その中には氷の上に乗った笹の葉の上に乗った河豚の卵巣が。

 

 私はたまらず手を伸ばし、白くてプルプルでつやつやのそれをちょいとつまんで口の中に放り入れた。

 

 

「んん〜〜〜〜〜っっっ♡♡ああもう内臓ぐちゃぐちゃになる〜〜〜〜っっっ♡♡」

 

 

『3000No:そりゃなるだろうな』

『10000No:これ実質オーバードーズだろ』

 

 

 天国に行けそうなくらいに幸せな卵巣の味。

 

 私は背中から床に倒れ、ぐるぐると子供が遊ぶようにフローリングを転がっていた。

 

 しばらくその余韻に浸っていた私が配信のことを思い出したのは40分以上あとのことだった。

 

 

「……あ、メンバーシップ名「エヴァ様を偲ぶ会」にしときますね」

 

『5000No:エヴァ様まだ死んでないだろ』

 

「でもエヴァ様葬式はやってますよ?自分の」

 

『10000No:すまんな、ワイの負けや』

『30000No:潔し…!!腹が立つねェ〜』

『5000No:海軍大将も見とる』




河豚の卵巣の糠漬けの毒抜きメカニズムはまだちゃんとは分かってないらしいわよ
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