初のレイシフト実験。本来ならAチームがレイシフトをし、特異点の修復を行うはずだった。しかし、それはレフ・ライノールの裏切りによって阻止される。そこでAチームはマシュ・キリエライト以外コフィン内で凍結したかと思われたが、1人だけ生き残っている者がいた。その人物はAチームでありながら自室で眠っており、レイシフト実験をすっぽかしていた。そのためレフ・ライノールの仕掛けた爆弾の被害を受けることなく、人類最後のマスター藤丸立香と共に7つの特異点を修復し、最後には憐憫の理を持つビーストⅠであるゲーティアを倒し、人理は救われた。その機を以てレイシフトは凍結された。カルデアに召喚されたサーヴァントもその役目を終え、契約を解除し退去。カルデア所長代行であるレオナルド・ダ・ヴィンチ以外のサーヴァントは全て地上から消え去った。そして、藤丸立香と共に人理を修復した人物は……
「くか〜……zzz」
またもや自室で眠っていた。そう、この男はマイペースなのである。他のAチームメンバーが居た頃からこんな風にぐーたらな生活を送っていたため、一部のメンバーからは説教を受けていた。その度にこの男は逃げ、またサボり、見つかっては逃げ、またサボる。そんなことの繰り返しだった。なんでこいつAチームなんだろう
この男の名はレーテ・エルネキア。魔術師の家系であるエルネキア家の当主になるはずだったが本人はそんなことに全く興味が無かったため、無理やり当主にしようとしてくる家族を殺すぞと脅し、遊び歩いていた。しかしそんな時にカルデアからのスカウトを受けて面白そうと思ったレーテはAチームに所属していたというわけだ。というかいつまで寝てるんだこいつは
ジリリリリリリリリリ!!!!
「ふぉああああああ!?」
バキン!!
自身で設定しておいた目覚まし時計の音に驚き破壊してしまったレーテ。これで5度目である。壊すたびにダ・ヴィンチに修理してもらっているため。次は無いと言われていたが、性懲りもなくまた壊したのである
「ふわぁ〜、ヤバい、ダヴィンチちゃんに怒られる」
「でも、もうカルデアからは出ていくんだし、新しい目覚まし時計買えばいいか。管制室にでも顔出しとくか」
レーテは最後に顔を出しておくべきと考え管制室に向かう。しかしその道中、共に人理修復を成し遂げた藤丸立香と2人のスタッフが話しているのが見えた。その会話に混ざろうとレーテは近づき藤丸立香の後ろから声をかけた
「おっはよーう!!」
「わぁ!?レ、レーテさん!?」
驚かされた藤丸は声を上げてレーテの方に振り返る。そしてしてやったり的な顔をしているレーテに急に驚かさないでよー!と抗議していた
「エルネキアさん、あんたも館内を散歩しているのか?」
「まあね、これから管制室に向かうとこだったんだ」
「レーテ君はカルデアには残らないんだっけ?」
「うん、やることはやったし、そろそろ隠居でもしようかなって、畑仕事とか楽しそうだし。魔術から離れて生活するのは昔から憧れてたんだ」
「あれ?エルネキア家には戻らないの?」
「シルビアさ〜ん、俺があいつら嫌いなの知ってるでしょ?」
「あはは、そうだった」
「エルネキアさん、おそらくあんたも立香候補生……いや、立香君も魔術師達から質問を受けるだろう。君は知っていると思うがあの連中はシルビアの10倍は陰湿で冷酷だ。本来エルネキアさんのような魔術師は珍しい。だから、あんたが立香君のことをフォローしてやってほしい」
「ダストンさんって意外と優しいのな」
「なに、本来ならこんな場所に来るはずのなかった一般人なんだ。それなのに魔術師達に難癖をつけられるのは可哀想だろう」
「それはそう。まあその時はそいつら殺すから安心してくれ」
「やっぱり君って所々魔術師の側面が出てくるよね」
痛いところを突かれたレーテは藤丸の手を引いてそそくさと管制室に走っていった
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「おいっーす」
「お邪魔しまーす」
「おや、レーテ君に立香君。レーテ君はともかく立香君はマシュと一緒にいなくていいのかい?」
「ダヴィンチちゃんにも最後の挨拶をと思って来たんだ」
「レーテ君も同じ理由かい?」
「ま、そうだね」
「最後、というのは残念だが──と、いけないいけない。レポートの途中だった」
「ほーん、邪魔しちゃ悪いし出ていこうか?」
「いや、大丈夫だよ。質問があるんだろう?書きながらでいいなら答えよう」
レーテはダヴィンチを気遣い出ていこうかと提案するがダヴィンチは書きながらでいいなら話を聞くと言ったため出ていくのは辞めにした。そして、ダヴィンチから新所長のことやカルデアの今後の話を聞いた
「これから来る新所長としては、元とはいえAチームである君は欲しがっていたが、本人がカルデアから出ていくと決めた以上、強制はよくないと断っておいた」
「万能の天才は伊達じゃねえ」
「当然さ。まあ君なら勝手に出ていくだろうから別に断らなくてもいいんじゃないかとは思ってた」
「それはそう」
「レーテさんホントに強いもんねぇ。俺初めてレーテさんがサーヴァントを殴り飛ばしたときは驚いたもん」
「フフ、そんなに褒めるなよ……照れるだろ?」
レーテは藤丸に褒められ、ほおを赤くして艷やかな表情をしていた。こいつなまじ顔がいいから様になっているのがムカつく
「あ、そうだ。これは2人にも関係のある話なんだが」
「なになに?」
「特異点Fへのレイシフト実験の時、47人のマスター達が管制室の爆発に巻き込まれた。彼らはコフィンの中で瀕死のまま冷凍保存され、この1年かけて1人、また1人と解放された」
「だが、コフィン起動中だったAチーム……レーテ君とマシュを除く7人のマスターはまだ冷凍中だ。解凍と蘇生が他のコフィンに比べて難しくてね」
「ダヴィンチちゃんでも難しいのか」
「ああ、いくら天才と言っても限度はある。だが安心してくれたまえ。今回の審問会でようやく助けられる。新スタッフの中には治療専門の術者がいるからね」
「そっか、また皆と会えるんだな……まあ、俺はカルデアから出ていくからすぐにお別れになるけど」
「レーテさんってたまにネガティブになるよね。普段明るいのに」
「俺は喜怒哀楽を使いこなすPerfectmenだから」
「なぜそこだけ発音がいいんだい?」
「レーテさんってたまに分からないよね……」
「ミステリアスな俺もいいでしょ?」
こいつはバカである。たまによくわからない言動や行動で周囲を困惑させるがそれはそれとして決めるときは決めるため、そのギャップに魅せられた者達も多い
「ま、いろいろとややこしい話だとは思うがすべて私に任せてくれたまえ!こんな時に備えて半年近く準備してきたのだからね!」
「そこは私達と言うべきではないかな。レオナルド・ダ・ヴィンチ」
「お、お前は───」
「ホームズさん!!」
「うん!愛らしいリアクションだ、実にいい!私も隠れていた甲斐があった!」
「はぁ……な~んで自分からでてきてしまうのかな、君は。すまない、レーテ君に立香君。ホームズの事は秘密中の秘密でね」
「へー、まあ用意周到なのはいいことだよね」
「まあ、荒事に関してはあまり期待はしないでくれ」
「バリツは?」
「バリツはあくまで護身術だよ、ミスターエルネキア」
「まあ、その時は俺が出るけど」
レーテはAチームに所属しているだけあって戦闘能力は非常に優れている。その実力は人理修復において十分に発揮されていた
「いや、荒事にはならないさ、ホームズに残ってもらっているのは私の仕事の手伝いというのが大きい」
「へぇ、まあ起きないなら起きないでそれでいい。争いはないに越したことはないからね。んじゃあ、オレはそろそろ自室に戻るよ」
「また明日、レーテさん」
「おう」
レーテは手を振りながら背を向けて管制室から出ていった