「ひぃ、ひぃぃ……もうダメか……手持ちの魔銃も魔除けも尽きた……痛そうだなあ、あの手鎌……一瞬では殺してくれんだろうなあ……」
「ああ、死なねえさ」
新所長の叫びを聞いた俺は最高速で走ってきた。そして後ろから新所長を攻撃しようとした黒兵士をビームサーベルで斬り捨てる
「レーテ……エルネキア……!?」
「助けを呼ぶ声、聞こえたぜ。もう大丈夫だ。俺が助ける」
「い、今、あのオプリチニキを一刀両断したのか……!?」
「オプリチニキ?……ああ、あの黒兵士のことか」
あいつらの名前オプリチニキっていうのか。もう何体も倒してるから慣れた。別に強くもねえし
「おや、私たちが来る前にもう既に終わってしまっているね。流石レーテ君」
「な、貴様らは……レオナルド・ダ・ヴィンチにデミ・サーヴァントの小娘に魔術の才能が欠片もない小僧……!?」
「事実だけど俺だけ扱い酷いなぁ……」
「よし、来てそうそうで悪いけど早速戻ろう。またいつオプリチニキが来るかも分からない。下手すりゃカルデアを凍らせたとかいうヤバいのも来るかもしれねえ。そうなるとちっとばかし、しんどいかもしれない」
俺達は早速コンテナに戻ることにした。見つかったら面倒だからなるべく早めに走った。しかしオレのペースについてくるのは流石にしんどいのか、他のメンバーは息を切らしていた
「き、貴様、加減を、知らんのか……!」
「あ、おう、ごめん」
「すいません、レーテさん。本来戦力になるべきなのに、私まで息を切らしてしまって……」
「気にするな。お前の力がまともに使えなくなってるのは知ってる。そうなりゃマシュはただの人間の女とさほど変わらない。まあ俺みたいに肉体を改造すれば今よりもパワーアップできるが」
「あ、いえ、それは遠慮しておきます……」
「さて、そんじゃあぼちぼち……!!」
走りながら会話をしていると、前方に複数の人影が見えた。オプリチニキだ。そしてその中心にいるのは……
「コヤンスカヤ……!」
「また会ったわね、レーテ君。残念だけどゴールテープは諦めてね〜?」
「まさか待ち伏せ!?」
「な、なんということだ!コヤンスカヤ君が捕まってしまっているではないか!わたしが機転を利かして管制室をいち早く脱出してしまったばかりに……」
「状況見ろよ、どう見ても敵だろあいつ。目ん玉腐ってんのか」
「貴様ぁ!!この私に向かってそんな口の利き方をしていいとでも……え、今敵って言った?」
「言った」
「な、なんと、では私はあの女に騙されたというのか!?」
「そういうことになるな。ていうかそもそもこんな怪しげな女の誘いなんか初めから蹴れよ。どうせ見た目に釣られたんだろ?俺から見ても見た目だけはいいと思うからな。この脳内真っピンクのエロ親父が!」
「貴ッ様!!この私の懐の広さをもってしても寛容できないその言動!もう少し慎みをだな……!」
「やかましい!」
「いや、キミ達、敵の前なんだけど?」
「ふふ、そのまま喧嘩をなさっていてもよろしくてよ?そのあいだにお仲間を皆殺しにしますから♪」
「黙れクソビッチィ!これ見よがしに脚やら胸やら露出しやがって!マシュを見習えや!いや、マシュも戦闘時はすげえ服装になるけど」
「レーテさん……!」
「なんだろう。ピンチのはずなのにレーテさんのせいで緊張感が……」
「ふふ、お話はそこまで。では皆さん、お覚悟はよろしくて?」
「お前らがな」
俺はコヤンスカヤにそう言い放つ。ただの強がりと思うだろうがそうじゃない。こっちはさっきのくだらない会話の瞬間にもいろいろ準備してたんだからな
「そこから一歩でも動いてみろ?その自慢の肢体がバラバラになるぜ?」
「あ、あれは!」
「ほう、やるじゃないかレーテ君。あの会話の最中にワイヤーを張り巡らせて身動きを取れないようにするなんて」
「ふふ、何かと思えば、所詮ワイヤー。オプリチニキの前では無力。やりなさい」
コヤンスカヤがオプリチニキにそう命じた。そして命じられたオプリチニキは動き出す。しかしその瞬間、ワイヤーに触れたオプリチニキはバラバラになり、その場に崩れ落ちた
「な……!?」
「だから言ったろ。一歩でも動いたらバラバラになるって。忠告はちゃんと聞いとくもんだぜ?」
「くっ……!なーんてね。おめでたい頭をしていらっしゃること。こっちには無敵の皇女様がいるんだから負けるわけないじゃない」
「あ?」
俺が視線を向けた先には白髪の女がいた。あいつ、サーヴァントか……?
「
「邪眼を開きな───」
「させるかよ」
「────!?」
俺はなんかべらべら喋ってる白髪の女をワイヤーで縛る。ついでにコヤンスカヤも縛り付けておいた。オプリチニキは全員強めにワイヤーを引いてバラバラにした
「何しようとしたかは知らんけど、お前ら俺の張り巡らせた罠にかかってる事を忘れたのか?何べらべら喋ってんだ」
「レ、レレレ、レーテ・エルネキア!あれはサーヴァントだ!東館を凍りづけにした魔女だ!」
「へぇ、こいつが」
「そのまま縛り付けていろ!もちろんこの女狐も拘束しておけ!」
「はいはい」
俺はさらに強く締め付ける。そしておまけにサーヴァントにも余裕で通用するぐらいの強めの電流をワイヤーに流した
「ギャアアアアアアア!?」
「く……う……あ……!」
「なんか唆るなこの状況」
「貴様正気か!?」
「流石の俺も引くよ……」
「レーテさん、最低です……」
「うーん、もしや君の内なる嗜虐心が刺激されたかな?」
「いや、冗談だから。真に受けないでよ。そんなボロッカスに言われると傷つくんだけど?」
うん、冗談でもこういう事を言うのは辞めよう、精神的ダメージが凄い……あ、ヤバい。電流流しすぎて女がしちゃいけねえ顔してる。名誉のためにも電撃を解除しよう
「よし、こいつらはほっといて速くコンテナに戻ろう」
俺達は倒れたコヤンスカヤと白髪のサーヴァントを置いてコンテナへと向かった
───────────────────
「ここが格納庫か!資料で見るより広いではないか!」
「レーテ、お前ほんとに凄いな。この状況で歩いて戻ってくるとか余裕ありすぎだろ」
「うん、レーテ君がこのカルデアを凍らせた、恐らく敵の主犯格であろうサーヴァントに電撃を流して撃退したからね」
「マジかよ」
「おう、本物の天才の前でこう言うのもなんだが俺ってば天才だからさ。サーヴァント相手でもやれちゃう訳よ。ま、いつ俺達を追ってくるか分からない。さっさと逃げようぜ」
「そうだね。では早速脱出を───」
「後から失礼」
「──は?」
俺がダヴィンチちゃんの方に振り向くと、あのクソ神父に霊核を貫かれていた
「さらばだ、レオナルド・ダ・ヴィンチ。カルデアの頭脳は、これて完全に潰えた」
「ダ───」
「ダヴィンチちゃん───!!!」
「来るな、立香!君達には頼れる先輩がいるじゃないか……!」
「吹っ飛べ」
俺はダヴィンチちゃんに当たらないように気をつけてクソ神父を蹴り飛ばして壁にめり込ませた。その際に勢いよく腕が引き抜かれるが、なんとか止血を試みる
「……チッ、こりゃあ……」
「レーテさん……?」
「完全に霊核をぶち抜かれてる。もう何をしても死ぬ」
「レーテ君の言う通りさ……私はもう助からない。このままじゃ君達の邪魔になってしまう。私のことはここに置いていくんだ。あのトランクの中身を連中に渡すわけには行かない。宝……頼んだよ?」
「ああ……任せろ。立香、マシュ。行くぞ」
「そんな……」
「くそ……」
俺達はダ・ヴィンチが光となって消えるのを見届けてコンテナに乗り込む……その前に、あのクソ神父が壁から抜け出せないように瞬間接着剤をさらに強化して粘着性を何十倍にも引き上げた接着剤で完全に固定した。ついでにケツに棒をぶっ刺しておいた。ダ・ヴィンチちゃんの心臓をぶち抜いたんだ。だからお前はケツの穴をぶっ刺されるべきだ
「よし、行こう」
コンテナに乗り込んだ俺たちは、ホームズにダ・ヴィンチについて聞かれるが、正直にその役目を全うし、所長代行として立派な最期を遂げたと説明した
「でさあ、ホームズ。このコンテナどうやって動くんだ?」
「……」
ホームズは無言でコンテナを動かす。そして、動き出したコンテナは標高6000メートルから滑り落ちていた
「無茶苦茶すんなぁぁぁぁぁぁ!?」
「君にだけは言われたくない。ミスターエルネキア」
まあ確かに俺も無茶苦茶したけどさぁ……まあ少人数とはいえこんだけ助かったなら御の字───
ドガァァァァァン!!
「は!?な、なにが起きた!」
「これは、どっかから狙撃されたな。候補としてはクソ神父……はまだ壁から抜け出せないはずだ。ならあの白髪の……いや、あれはないな。となると、電撃のダメージから復帰したコヤンスカヤ……」
「そんな悠長に話しとる場合かね!このスピードで外に放り出されてしまえば……!」
「ホームズさん!」
「安心したまえ、コンテナなんてガワだよ、ガワ!私たちは生き延びるとも!だってこんなこともあろうかと改造してきたのだからね!」
こ、声が聞こえたと思ったら内装が変わって目の前になんか見覚えのあるロリがでてきたぞ!?
「やあ、おはよう、こんにちはカルデアの諸君!初めまして、というべきかな?私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。親しみを込めてダ・ヴィンチちゃん、と呼んでくれて構わないよ?」
「う、嘘ぉぉぉぉぉぉぉ!?」
俺は目の前の状況に理解が追いつかず、思わず叫んでしまった
おそらく次でプロローグは最後になると思われる