立派になった弟子達が責任を取らせに来る話 作:PER
飽きと退屈。
それは、俺を殺す毒だった。
氣功の術を極め、仙の域に辿り着き、人間としての最高位に至った空前絶後の大大大天才である俺だが、しかし俺も性根は凡人。
100年も生きりゃあ、色んなことに飽きが来る。
そんで500年も生きりゃあ、もう全部に飽きちまう。
俺はどうしよっかなーと考えた。
偉大なる先達様方に倣って仙境に引き篭もろうかなーとか思ったけど、俺みたいな性根のやつがあんなとこに住んだって暇で死にそうになるだけだし、現世で何かできる事がないかなーって。
何とか退屈凌ぎを見つけようとしたわけだ。
んで、考えついたのがこの世の全ての技術を極めるって事だった。
それで……まぁ、300年くらいかけて全部制覇したよ。この世界の全て。
楽しかったか?
ああ、楽しかったよ、うん。やってる途中は。
でもなんかさぁ、俺ってば時間が永久にあるわけでさぁ。しかも大天才だからさぁ。
終わっちゃうんだよね。すぐに。
娯楽にせよ職業にせよ、技術に終わりってあるんだよ。
なーんか職人さん達がさ、『技術の成長に終わりはない』なんて言ってるけどさ。
俺からすればそれは違う。
俺が思うにさ、何かを極めるって言うのはさ、研ぐって事なんだわ。
自分の中にあるその分野を司る技術ってやつを、地道に丁寧に研いでゆく作業。
だから最初はグンと切れ味が良くなるけど、それ以上やってもあんまり切れ味に差が出ない。
そうして研いで研いで研ぎ澄ましていけば……最終的に、擦り切れて無くなっちゃう。
これは別に技術を失ったってわけじゃないのよ?
これが意味するのは、つまり『これ以上磨けない』って事。
技術を研ごうにも、研ぐものが無ければ何も研げない。
そう言う事なんだよ。
そしてそれが、俺にとっての『終わり』なわけ。
……え? 今はもう当時とは別の技術がたくさん生まれてる?
へぇー。そうなんだ。俺ってば人里とは1000年間くらい関わり絶ってたし、そりゃあまあそうもなるか。
今度やってみよう。
100年もありゃあ全部制覇できるかな?
っと、まぁその辺はまた後で考えるとして。
俺が色々やったそのあとは……ああそうだ、この世の全ての場所に足を運んでみたんだったか。
まぁ、行ったって思い込んでるだけで行ってない場所も、見つけてない場所も山ほどあると思うし、この数百年で変わっちまった所もたくさんあるだろうが……それでも、俺はこの世の全部を見てきたよ。
うん、いい旅だったと思う。
もう飽きたからもう一回やろうとは思えねぇけど。
んで、そのあとは……一度王様になって、国の運営をした事もあったっけな。
……あー、そうそう。そのグライルって国。
へぇーっ。まだ残ってんだ。ってか俺のこと神にして信仰してんだ。
でもどーせ死ぬほど脚色されてるんだろ?
……何? 天と地を作ったのは俺で、全ての人間の祖も俺ぇ?
な訳ねーだろうがよ。……ったく、変に力を見せつけすぎたのが原因かね。参ったなこりゃ。
……ん?
何? 神が隠れてから2000年ほど経ってるぅ?
え? マジ? 俺ってば体感1000年くらいだったんだけど、そんなに経ってた?
はーっ、時間の流れって早いねぇ!
俺もう3000歳近くになっちゃうのか! はーっ!
って事は……って事は俺、アイツらと2000年くらい……はーっ。
いやー、参るなマジで……時間の進みってのは本当に……不思議というか、面白いというか、理不尽というか、残酷というか……
んえ? 2000年の間に何があったんだって?
そりゃあお前、今から話すに決まってんだろうがよ。
こっからが話の本題だ。
そう、ありゃあ俺がまだ王様やってた時のことだ────