リリスがエ□ゲ版Fateに召喚された話   作:サルミアッキ

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 オリジナルマスターもの。ただそこまでチートではない。

オリ主「FGOみたいな相性ゲーじゃないから、正面から勝つとかは極力避けるぞ!」
飴ちゃん「フラグっぽいなぁ!?」


時計塔~召喚

「冬木の第五次聖杯戦争に出ろ?俺が?」

 

 冗談だろう?思い切り顔を顰めて、目の前で眉間を揉むロン毛教授を見る。

 

「ところが全く冗談ではない。直近でアトラム・ガリアスタが死んだことは知っているか?」

「京都亜種聖杯戦争で?想定外のサーヴァントが敵にいたのかよ……。あのキャスター、模造品程度の亜種聖杯ならば簡単にシステムクラックできる世界有数の魔術師だぞ?」

「その自分のサーヴァントに裏切られて死んだらしい」

「はぁッ……んの、バッ……⁉」

 

 やりやがったな、あの成金野郎————!

 

「アトラム……、召喚の手伝いしてやった上、キャスターの方にも便宜を図ったんだぞ……!それが、パァ……⁉」

「京都の亜種聖杯戦争は、勝者が出なかったと報告があった」

「あー……、人間の勝者が、ってところか?キャスターの行方は分かったりする……ワケないか。調べるにしても魔術以外の方法で時間がいるな……。ミキヤ、いや、リスクを考慮すればネットワーク上のカメラのハッキングでしか足取り追えないか……」

「……それは兎も角、だ。そのせいで時計塔から冬木に送り出す魔術師が一枠余っていてな」

 

 窓の外でアホウと鳴く鴉が癇に障る。ここ、ロンドンの顔と言って良い鳥だが、今の自分にとっては忌々しい悪魔にも思えて来る。

 

「それは獅子劫にでも……イヤ、彼トゥリファスかよ。というかお前は良いのか、第四次聖杯戦争での執着があったんじゃないのか」

「————グレイにも言われたさ。だが、今の私の戦場はそこじゃない」

「ドクター・ハートレスの件か……。で、俺にお鉢が回って来たと?」

 

 ソファに座る男と、彼の後ろで幽鬼のように佇むフードの少女をちらりと見る。

 

「埋まっている一枠は誰だ?世界大戦時で明らかになった本家の聖杯戦争の苛烈さは、当時の俺も八枚舌もこの目で見てきたが。並みの魔術師では死ぬだろ」

「伝承保菌者、バゼット・フラガ・マクレミッツだ」

「やっぱりあの脳筋が動く事態か……。推薦者は、聖堂教会の神父?ってうわぁ……」

 

 クソ、()()は確定か。三回目の時は、アインツベルンの呼び出した英霊を確認できなかったからな……。エクストラクラスによって偏向線が分岐するのは知っていたが、当時の俺はプレラーティでそれどころじゃなかったし。

 

「考えてもらいたい、アダム・ルリア・アシュケナジー」

「……出るにしても、一つ条件がある。お前の智慧と記憶が頼りだ、ロード・エルメロイⅡ世。いや、ウェイバー・ベルベット」

 

 今や老獪な怪人たちと何とか口先で張り合えるロードとなった、かつての少年の瞳を覗き込んだ。若草色の髪の合間から覗く不機嫌そうな俺の顔が、ウェイバー・ベルベットの瞳に映る。

 

「————条件とは、なんだ?」

「第四次聖杯戦争。その時のサーヴァント七騎のことを事細かに話せ。それ次第で出るか否かを決めさせてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アダム・ルリア・アシュケナジーは、時計塔創造科に所属する祭位(フェス)の魔術師である。ただし、あくまで所属しているだけであり、顔を出すのは年に数度だけという幽霊会員と言って良い。ルリアニック・カバラを提唱し歴史に名を刻んだイツハク・ルリア……彼を輩出した約700年続くカバリストの家系に生まれ、植物を触媒とした珍しいカバラを使う人物。

 特に生命活動に秀でた魔術特性を持っていると噂され、既に齢150歳近いというのに、その外見は20代後半から30代前半と言って良い。

 

 そんな男が、聖杯戦争への参加を推薦されたのは、時計塔が彼を持て余した、という点に起因する。第四次聖杯戦争ではケイネス・エルメロイが、亜種聖杯戦争では幾人もの典位の魔術師たちが立て続けに死んでいった。貴重な人員を失い続ける時計塔は、聖杯戦争の禁止を言い渡したいところだが、それも難しい。

 そこで、失っても痛手にならない……わけではないが、彼の有する封印指定一歩手前の魔術や彼自身の人間関係の危険性も加味され、冬木の戦争を打診された。幽霊会員である彼は、現在フリーランスの魔術使いとして世界各国を渡り歩き、時にアトラス院や聖堂教会、彷徨海ともつながりがあると噂され、多彩な人脈を築いている。この、どっちつかずの蝙蝠さが時計塔でもアンタッチャブル扱いで、進んで彼が交流を持つのもロード・エルメロイⅡ世程度という事が幸いしたのか、否、不運だったのか。時計塔は、今回の聖杯戦争での動きを彼の踏み絵にしたいのだろう。

 そして、アダム・ルリア・アシュケナジーはロード・エルメロイⅡ世と一昼夜もの間、会話と情報整理を繰り返し、今後のことを心の天秤の両端に置き、そして————。

 

 彼は、冬木の地を踏むことを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 触媒となる植物化石を手に入れ、アダム・ルリア・アシュケナジーは一人、イスラエルのとある場所にいた。

 

「聖杯戦争を勝利する目的で呼び出すとしたら、安牌は三騎士のクラスなんだが。こうも『覚えがある』シチュエーションになっている時点で、聖杯の中身がアレだしな……」

 

 魔力を蓄えた植物を何種も併せて煎じた薬液を地面に垂らして円を描く。

 

「俺は勝つつもりはないし、それは良いか。魔術師としては精々、最上級の使い魔であるサーヴァントを聖杯戦争後も使い続けられるように立ち回れたらそれでお釣りがくるレベルだ。アサシンを狙うか?いや。だが、それでは……」

 

 ドクター・ハートレスの所業を模倣する。地の下で樹木が根を張るように、アダムが立つこの時、この場限りの所業だが、円は冬木の地へと繋がった。レイライン上で英霊召喚が可能となり、彼はこの土地の魔術基盤へ体内の樹を接続させる。だが、思考を纏める為の独り言は止むことが無い。

 

「だとしたら。……ロード・エルメロイⅡ世との会話で懸念は確信に変わった。第四次聖杯戦争時、最後に残った二騎の英霊の内、どちらかが泥で受肉している可能性が高い。おそらくは、アーチャーだろうな。アインツベルンも遠坂も、ロクでもない置き土産をしたもんだ」

 

 刻限は夜。広がるは闇。荒涼の砂原には風が吹き荒び、蝙蝠や梟が飛ぶのが見える。

 

「参加者が蒐集した英霊召喚の触媒と思しきものは、アインツベルンが元の偏向線通りヘラクレス神殿の礎か。聖杯戦争多発期間内で良く手に入れられたなホント……。それは今現在、ドイツに輸送中。大方バーサーカーで呼ぶつもりなんだろう。一方、遠坂とマキリの所は動きが無し……と」

 

 魔術師としては珍しく、傍らに置いておいたノートパソコンで、自作コードキャストを用いてハッキングしたドイツ空港や冬木市の防犯カメラ映像を流し見するアダム。魔術も科学も、全て手段だと思っている彼のスタンスが色濃く出た調査方法だった。

 

「だが、照らし合わせれば予測はできる。聖剣の鞘は、変わらずに冬木にある。遠坂の石により、どうあろうと未来から錬鉄の英雄は呼ばれる。間桐の杯は、それ自体が女怪との近しい縁と言える」

 

 魔法陣に捧げられた祭壇に四千年以上前の林檎の化石を置き、その周囲にも様々な青果を置いていく。イチジク、バナナ、シトロン、メロン、ブドウ、ムギ……どれもこれもが禁断の果実と考えられた果物。彼のカバラによって魔力が注がれ、存在が昇華され、艶やかに水気を湛える供物に相応しいものだった。

 

「……ここはアトラス院の方法で行くか。『最強になる必要はない。最強であるものを作ればいいのだから』……ってな」

 

 数年前から入り浸っている魔術協会の一つを思い浮かべて、苦笑する。正直、彼もあまりに好き勝手し過ぎた覚えがある。だが、この時代にドローンやスマホ並みのデバイスを作って貰うほどには、あそこは都合が良すぎたのだ。

 

「前回聖杯戦争OBへの対戦カードはもう一つあるが、手札はあるに越したことは無い。バゼット・フラガ・マクレミッツには、英霊を伝承補正最大値の地(アイルランド)で召喚させた。ライダーだったのは想定外だったが」

 

 一応、所属は同じ立場だという事で、アダムとバゼットは『両者の陣営が最後に残った場合以外は不可侵の非戦闘状態を維持する』という契約を、セルフギアススクロールを用いて結んでいる。『なんでぇ、つまらん』とはライダーからの言だったが、風聞も気にしないアダムには関係ない。寧ろ関係あるとすれば、その後に予定されていること。冬木に現地入りし、彼女と共に聖堂教会へ向かうことになっているのだが……その対面の方が、胃が痛い。

 

「あー……やめだ。他人任せにした結果が世界滅亡なんて嫌すぎる。死んでもやると決めたんだろ」

 

 魔術師における冠位指定とも言える衝動だった。草木が花を咲かせようとするように。芽吹いた種が天に向かって伸びるように。そして、こことは別の場所/上(別世界)から転がり落ちた種が、根付き、「」(ソラ)へと手を伸ばすように。

 頬を叩く。

 

「俺がアインツベルンより先にバーサーカーを召喚して、アインツベルンの狂戦士召喚を無効化し、アーチャーのクラスに半ば強制的に組み込む。遠坂のアーチャーは、丁度ドクター・ハートレスの件で生み出されたクラスが残骸としてあるし……最悪キャスターでも良いだろう」

 

 葉脈のように体内に広がる魔術回路が脈動する。彼は————口を、開き、高らかに祝詞を諳んじた。

 

 

 

 

 

素に銀と鉄(アインツベルン)。礎に(トオサカ)契約(マキリ)の大公。祖には我が元型(アツィルト)たるイツハク・ルリア。

 

 

降り立つ風(ルーアハ)には(アッシャー)を。四方の門(イェツィラー)は閉じ、王冠(ケテル)より出で、王国(マルクト)に至る三叉路(ブリアー)は循環せよ。

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻(アイン・ソフ・オウル)を破却する。

 

 

————かみは無く、ものは有る(バチカル・キムラヌート)

 

 

————告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

 

誓いを此処に。

我は常世総ての罰と成る者、我は常世総ての罪を敷く者。

 

 

されど汝はその眼に賛美の光(キリエ・ライト)への憎悪を灯らせ侍るべし。汝、狂乱の嵐を巻き起こす者。我はその闇を授かる者————。

 

 

汝三大の言霊を纏う七天

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ————!

 

 

 

 

 

 爆風が、闇を絡めとる。周囲の梟が飛び去って行く。祭壇を彩っていたはずの瑞々しい果実の数々は、エーテルを放出しながら枯れていく。アダムの掌に三匹の蛇が絡みつく赤い令呪が刻まれた。

 

「サーヴァント、バーサーカー。真名、夜の嵐の女————リリス」

 

 召喚陣の中心に、黒く、昏く、そして美しい女がいた。金混じりの灰色の翼と、鱗に覆われた黒い二本の角。夜風に靡く暗い銀髪の合間から見える、緑の瞳。それら全ては、男を惑わす魅惑を放つ。

 

「禁断の果実を植える者。生命の樹の守り人。蛇である貴方。あなたが伸ばしたその手を、僭越ながらこの私が掴ませていただきました」

 

 鋭い爪を備えた黒い腕が、アダムに向かって伸ばされる。

 

「問いましょう。貴方が私のマスターですか?」

 

 アダムとリリス。彼と彼女は冬木から遠く離れた、ユダヤ伝承の神秘に満ちた地で出会った。




 若干逸般人ではあるかもしれん。

アダム・ルリア・アシュケナジー
身長:178㎝
体重:65㎏
誕生日:1845年2月4日(ステナ時空で159歳、FGO開始時点で170歳)
性質:混沌・悪
好きなもの:機械いじり、現代の飽和社会、無駄と無価値
嫌いなもの:古いだけが取り柄なもの、小さく纏まり整えられた世界
決戦の日:腐った林檎の実が落ちた荒野
魔術系統:カバラ、植物魔術など
魔術属性:風・水・地
魔術回路・質:A++
魔術回路・量:B
魔術回路・編成:異常(神代回帰し始めている)
魔術特性:昇華、及び増幅(増殖)、蛇
起源:虚無
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