リリスがエ□ゲ版Fateに召喚された話   作:サルミアッキ

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アダム「とりあえず、お前を滅茶苦茶強化するための令呪だおりゃっ」
リリス「うひょー、アテシのマスター大盤振る舞い!」

 大体こんな方針のバーサーカー陣営。


リリス「こっちはクソみたいなチート使い放題さ!」

 マキリの家から盗み出した様々なものをトランクの虚数空間から取り出して眺める。特に、第四次聖杯戦争に触媒として使われた『()()()()()』はホクホクものだ。それに、研究成果が一部記された書物を読んで、令呪のシステム構築のプロセスも大方理解できた。

 マキリの魔術を解体して昇華魔術に落とし込んだ結果としては、上々かな。

 

「さて、バーサーカー。お前も現世へ呼び出される際に知識として与えられたと思うが、本来一度の聖杯戦争でマスターたちに配られる令呪の量は計二十一画。それ以上でもそれ以下でもないのは知ってるよな」

「そーね。でもって、使われなかった令呪は監督役が持つことになるんだっけ?それがどうしたのさ?」

 

 バーサーカーは日中買った料理本を読み込みながら、俺の隣で話半分に聞いている。

 

「システムの都合上、マスターの令呪は大聖杯から与えられる。だが、この大聖杯は第三次聖杯戦争の影響で歪みが生じていた。底の抜けた器から零れた葡萄酒を搔っ攫うのは簡単だ。だから下の龍洞に入って、聖杯に繋がる霊脈の一部に細工をしてきた」

 

 いやぁ、本当メディアさんさまさま。短い間とは言え、神代の魔術の初歩を教わっておいて良かった。ちゃんと成果が出て一安心だよ。バーサーカーに向けて、両手の平を見せてやる。

 

「……これで令呪の補填が自分だけでできるようになったわけだ」

 

 俺の両手にのたくる赤い蛇()匹に、彼女は目を丸くした。二日前から細工をしていたが、この方法ならコンスタントに令呪が作れると証明できたな。

 

「うっわマスター、チートじゃん」

「いや、そこまでではない」

 

 普通の聖杯戦争ならチートも良い所なんだがな。冬木の聖杯戦争の場合、教会側の人間が大量の預託令呪持って参戦してくるからな……メリットが多いわけじゃない。

 まぁ、デイリーミッションみたいな形で一か月間コツコツ増やしていけば馬鹿にならない量にはなるか。

 

「この大聖杯の上という立地条件の柳洞寺にいる場合のみ、尚且つ黄金の林檎といった魔力リソースの増幅と変換の問題で、一日最大で作れるのは三画までだな。今、増やした六画分があるんだが……うん、試してみて良いか?」

「お、マスター。令呪で何を命じる気?アテシにエッチなことでも頼むのかなー?んー?」

「そんな無駄なことを頼んでたまるかよ……。するとしたら戦力の増強だ」

 

 それと軽いノリでそーゆーコト言わんでちょーだい。セクシーポーズっぽいのもすんな。聞き耳立てた寺の人達対策で今ヘブライ語で喋ってるけど、お前顔が良いんだから、その、な?婚約者扱いとは言え、あの人たちに変な勘繰りはさせられねーよ。

 というかあれか、ココまで蠱惑的な言動するの、俺が召喚した場所の知名度補正でサキュバス要素が強くなったとかあるのか?え、違う?あ、そう……。

 

「『ויתפרו עלה תאנה』————『אזוב』。ではバーサーカー、令呪を以って(こいねが)う」

 

 右手の平にある六匹の蛇の紋様が、赤い残光を残して一画消える。

 

「第一宝具『虚妄は闇の娘(イシャー・ラーアー)』を、リリンたちと共有して欲しい」

「へぇ。リリンが持ちえてない宝具を、アテシとほぼ同一存在だからって理由で設定するってことか……。あー、やれると思うけど一画だけじゃ足りないかも。ホラこんなでもアテシ、理由はどうあれ狂化のランクEXだから」

 

 ああ、そうか。確かに正史におけるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンも、狂化Bのヘラクレス相手に令呪を使わないと命令を下せなかったものな。

 

「では、もう一画重ねて希う。リリンたちへ、虚妄なれども闇の娘としての慈しみを与えて欲しい」

「ン————。あ、もうちょい……あと少しでイケる気がする……!」

 

 成る程。では持ってけ泥棒。

 

「三画目と四画目の令呪をお前に捧げる。幾億もの夜に、お前の妖艶な息吹きを与えてくれ」

「っ、おしキた!はいはいりょーかいりょーかい!」

 

 バーサーカーとの繋がりがより強固に絡み合い、体内の固有結界の維持のための魔力も増加する。だが、想定よりも消費量が少ないな?

 

「第一宝具共有登録。存在証明増幅。端末配備完了。眷属名称リリン、『虚妄は闇の娘(イシャー・ラーアー)』使用許諾認証。————はい、できたよ。これで良い?」

 

 そうか。……固有結界内のオム・ファタールと同調し、樹に実るリリンたちのステータスを確認してみる。

 

 

 

バーサーカー(アルターエゴ)

真名:リリン(リリスの娘)

 

ステータス

マスター:リリス

筋力:D

耐久:B

敏捷:B

魔力:A

幸運:C

宝具:B++

 

クラススキル

狂化EX

 

保有スキル

神性B

憎悪C

 

宝具

虚妄は闇の娘(イシャー・ラーアー)

ランク:B++

種別:対人宝具

レンジ:1~10

最大捕捉:1人

※リリスの宝具発動の許可により使用可能。

 

 

 

 よし、オッケー。

 

「はふぅー……。んふ。また繋がっちゃったね、マスター?」

「はいはい、そだなー。パスがな」

「むぅ。初令呪だったのに感想そんだけ?」

「そんだけそんだけ。バージンみたいに言ってんじゃねーぞ」

「ちょ……、サラッとそういうこと言うキャラだったっけマスター?」

 

 慣れたの。

 それはともかく。令呪としての機能は、本来のものと遜色ないか。聖杯から垢BANみてーな判定下されるまでは、ちまちま吸わせてもらおう。まぁ、()()()()()にはならないだろうが。

 

「聖杯戦争が開始されるまで、まだ時間がある。おそらくあと一か月……」

 

 正しい偏向線であるならば、第五次聖杯戦争が始まるのは一月三十一日。運命の夜は日付が変わったばかりの二月三日深夜。……まぁ、間桐が既にメドゥーサを呼び出していたりと、差異は滅茶苦茶あるのだが。

 ちなみに全くの余談だが、聖杯戦争によく似た某鏡世界のバトロワライダーの戦いが始まったのも二月三日である。うーむ、主人公の名前と言い契約モンスターと言い、偶然被ったらしいとは言え因果なもんだ。……与太話だし、どうでもいいなこれは。何でこんな無駄知識ばっか記憶にあるんだ俺ぇ……。

 

「令呪が溜められるなら、魔力リソースとして色々作れるかも……。冬木各地に用意しておいたセーフハウスにリリンを数体ずつ交代制で置いておくとして。こっちは、現界しているサーヴァントの調査と、召喚できる隙があれば二体目の同クラス召喚を試したいんだが……」

 

 第三次、第四次聖杯戦争はハサン属の真アサシンと日本系の偽アサシンが一体ずつ呼ばれていたし、聖杯大戦のシステムと思しきものが緩んでいるんだよな。

 

(でも遠坂にはあの贋作者を、正義の味方には聖剣使いを契約させないとマズイ気がする。こういう時の直感、外れたこと無いんだよな……。今召喚するのは止めておくことにしよう)

 

 纏めると、こうか。

 

 

 

————セイバー陣営:不明。

 

————アーチャー陣営:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&ヘラクレス(アインツベルン城倒壊の報告あり)。

 

————ランサー陣営:間桐桜及び間桐慎二(ダブルマスター)&メドゥーサ(ライダーを兼ねるダブルクラス)。

 

————ライダー陣営:バゼット・フラガ・マクレミッツ&クー・フーリン。

 

————アサシン陣営:不明。

 

————キャスター陣営:不明。

 

————バーサーカー陣営:アダム・ルリア・アシュケナジー&リリス。

 

————教会陣営:言峰綺礼&ギルガメッシュ。

 

 

 

 だが、あと少しでバゼットも来日する。クー・フーリンを引き連れてる最中に死徒狩りやることになったのは笑ったが。そのせいで入国遅れてんだっけ。それまではアトラス院にいた時、コードキャストを参考にしてこちゃこちゃ作っておいた指令紋章(コマンドコード)をリリン生成樹に昇華して刻印しておくか……。

 

 えーっと、バヴ=イルの合鍵から要素抜き取って創り出した『天の楔』と『天の鎖』、『神縫いの鎖』の紋章と、東京都国立博物館にあった童子切安綱から刻印(シジル)にトレースしてできた『行き場なき愛の刃』、とある教会にいたアルビノの少女の血液から生成した『無償なる愛の伝道者』を組み合わせておけば、混沌・天属性のサーヴァントには数瞬の拮抗は出来るはずだ。ないよりはマシ程度だが、正面切って戦うわけでも無し。

 

 あ、行動不能無効化の為に、殺生石の破片から創った『八葉の鏡』の紋章も追加しとこ。

 

「んじゃ、アテシお寺の人さんたちに料理用意してくるね。今日は高野豆腐の煮物だよ」

 

 はいよ、いってらっしゃい。リリスもここに異様に馴染んだな……いや、当然と言えば当然か。チャラチャラしてる風に見えてしっかりしてるし、気配り上手だし、柳洞一成のお小言もすぐに無くなって仲良くなっちゃってまぁ。嫁さんとして高スペックすぎるんだよな。うん、納得。俺にはもったいない英霊様だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アダム・ルリア・アシュケナジー。今の私のマスター。体の中に小さなエデンの偽園を持つ、ガイアの人間。精霊に近づきつつも、人の心を握り締め続ける変な魔術師。あなたは、その生に何を思うのでしょう。楽しいですか、そんな生き方で」

 

 生憎私は、生前、楽しい気持ちになったことは無い。というかそもそも、自分の源流が、古代のバビロニアをうろついていたということだけしか思い出せない。それ以外には霞がかかる。

 

 分かるのは、自分は風だったということ。病を運ぶ風。金切り声を上げる嵐。赤子を攫いに夜に吹く南風。いつも、いつまでも人間たちに恐れられる自然の暴威。だが、それが当たり前のことだった。人間たちにしてみても、この姿の私自身にしてみても。

 

 記憶の中の自分は何を思ったのだろう。

 

 ある日のことだった。

 

 子供が死んだ。ただ、理由なんてものはなく、原因なんてありふれたもの。場所も時間も大して関係が無い、どこにでもある哀しい話。悲劇ではあろうとも、歴史に刻まれることも無い、記憶も風化し消えていく程度のもの。

 

 そう。自分は分かっている。それを悲しいと、苦しいと思うのは心に浮かんだ幻想だと。

 

 他人の死は自分の死ではなく、悼みがあろうと痛みは無い。所詮他人に起こった出来事は他人事。そうでなければ、意味が無い。人の死、それを悼む意味は他人事であるが故に結実する。だって、人はそうしなければ、悲しみという痛みに圧し潰されてしまうから。だから、人はどうしようもない自然の中に死を置いた。

 

 だから、受け持とう。嵐と夜の魔女は、人の悲しみを覚えておこう。死者が過ごした日々、その全てを。

 

 死の風は運ぶ。星を巡る息吹となって、その記憶を運ぶ。自分は魔女となって、死人の人生を石碑に記す。

 ただの死である自分は覚えている。人に死を与えたものとして————。

 

 ただ、覚えていないこともある。何時の頃から、自分はこれを繰り返してきたのか。それが記憶の靄の先にあって、掴めない。

 人である子供達が死に至ることを、この姿になる前から続けてきたのか。ああ、それは街に城壁ができる前の頃だったのか。それとも森の木々が芽吹いたばかりの若葉の頃からなのか。はたまた平らな大地が山岳だった頃からなのか。ああ、それはもしかして、猿が人になった頃からだったのか。

 それに、初めの頃はどんな姿をしていたのだったか/おもいだすな。

 

 吸血をする化物梟だったのか/それはわからない。落剝した女神の一部だったのかもしれない/そんなことしらない。原初の人間の妻だったらしいとも言われた/そんなわけがない。

 私は生まれた時から、死の全てを覚える義務があったけれど/では、わたしがおぼえつづけた死は、わたしがきえたときどうなるのか。

 

————身に覚えのないことは、考え続けても分からなかった。

 

 だけど。でも。何故か……呼び出されたマスターの彼からは、自分と同じ匂いがした。夜の南風に揺れる、樹々の匂い。風に乗るための止まり木としてよく使っていた、アンズー鳥と蛇が巣食うあの樹のような……。

 

 彼は不思議だ。

 楽しい気持ちになったことが無さそうなのに、些細なことで面白そうに笑っている。仕方がないやと諦めているはずなのに、十分過ぎる努力をしている。人を嫌い呆れたと言いながらも、人間を見捨てることをせずにずっと覚えている人。

 死について達観しつつも悲しみ、情けを抱き、その上でなお、ああそれは仕方なかったねと、他人事にして覚えていてくれる人。

 

 

————樹々のように孤独で、なんて幸せな人。喪失の痛みを覚え続ける、どうしようもなく哀しい人。

 

 けど、それは……■のものなのに。

 

 

 

「————圧し潰れ(ここまで墜ち)てしまえば、良いのに」

 

 

 

 ハッとする。驚き、咄嗟に口を押えるしかない。思わぬ言葉が零れてしまった。自分がこんなことを言うことが、信じられなかった。

 そんな、そんな馬鹿な。私がそんなことを思うなんて、在り得ない。

 

「……調子狂うなぁ、本当」

 

 そこまで絆されたつもりは、無いんだけどな。

 




 これ、絆礼装の文面なんだが。え、絆Lv.10?
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