リリスがエ□ゲ版Fateに召喚された話   作:サルミアッキ

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 タイトルェ……。


野花と侍、猛犬とターミ姉ちゃん

「はっ?なんて?」

 

————新都の双子館に探索に来ていた女子大生たちが、サーヴァントを召喚した。

 

「……マジかい」

 

 その報告をリリンから受けた俺&バーサーカーは、慌てて監視カメラ映像と使い魔の視界をアトラス院製PCのデスクトップと魔術を組み込んだテレビ画面に映し出す。

 そこは、丁度月下の出会いの真っ最中。洋館の中で佇むのは、————()()()姿()()()()()()()()だった。

 

『アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに参上仕った。其方が私のマスターか?』

『さー、ばんと……?』

 

 わーお、見事な運命構図。で……アサシンを呼び出した女子大生って、誰だ?

 

「……あ、顔見えた。見覚えあるよ彼女、穗群原学園の二年生だね」

 

 夜目が利くなぁバーサーカー。流石。俺、全然見えないんだけ————、どぁああああっ⁉はぁっ、え、ちょ……マジでか⁉予想外のところから来やがったな⁉

 え、ええー……、まさかのあんたかよ……?いや、確かに別世界線だとこのアサシン(佐々木小次郎)と縁があるし、本人の霊的感知能力も高いって知ってるけどさぁ……?

 多分此処とは一番遠いであろう梢っつーか、逆に一周回って一部は近しいというか……。兎も角、誰もが聖杯を持つ世界線の主従関係持ち出してくるとは思わねーよ。

 

『え……えぇと。私、()()()()()と言います、小次郎さん?』

『ふむ、確かに。契約は結ばれているようだ、由紀香殿。して、何故私を呼んだのかな?』

 

 大丈夫?津田(佐々木)さんと組んでマッキルート行かないかこれ?

 つーか触媒!第三次聖杯戦争の召喚陣が残っていたのを使ったとはいえ、ハサン以外のアサシンで召喚って何使った?

 

『いえ、呼び出した……?佐々木小次郎って、……これ?ちょうど大学で調べものしてて……』

『む、当世の書物か?ああ、成る程。佐々木小次郎の紛い物であるこの身には相応しい触媒よな』

 

 手元の鞄の中にあったのは小説『宮本武蔵』に、映画『魔界転生』などなど。小説で呼び出される侍(農民)って……。いや、第三次聖杯戦争の沖田さんも似たようなもんだったなぁ、そう言えば。

 なんか、冬木聖杯戦争での偽アサシン陣営、低コストで主人裏切らないアタリ枠引いてるヤツしかいなくない?

 

『って、そうだ!こんな事してる場合じゃ……!一緒にいた美綴さんが、鎌持った女の人に襲われて……!』

『あいわかった。聖杯戦争に巻き込まれたご友人がいるのだな。では、行くとしようか』

 

 ははぁ、成る程。状況が読めてきたぞ。

 

「多分だけど、鎌持った女ってアテシたちが戦ったランサーだよね。ランサー……は性格的にどうかは知らないけども、あの令呪の本を持つワカメヘアは、蟲のお爺さん殺された結果、魔力の供給に不安が出て来た。で、ソイツの魂喰いに三枝由紀香は美綴って友人共々巻き込まれた。そして双子館に逃げ隠れたら第三次聖杯戦争に使われたエーデルフェルトの召喚陣が反応。結果、マスターになって今に至ると」

 

 ……うん、言語化してくれて在り難い。やっぱり頭の回転早いなバーサーカー。そっかー、俺たちがゾォルケン倒したから、重圧から解放されてヒャッハーしてんのかよ慎二。んでランサーメドゥーサは性癖の美綴を出会い頭につまみ食いと。

 多少は俺らのせいですねこれ。

 

「どーする?漁夫の利でも狙いに行く?」

「いや、両方の手の内を見るだけにしよう……まだ聖杯にサーヴァントの魂を捧げたくはない」

 

 そんなわけで、もうちょいランサーメドゥーサVSアサシン佐々木小次郎の戦闘映像鑑賞を継続することにした。

 

『……っく』

『いやはや。全く美しい女人だが、中々の剛力よ。受け流すので精一杯とは』

 

 互いに三合あまりの斬り合いが終わった後、押されていたのはメドゥーサだった。さもありなん、マスターがワカメだとステータスがだだ下がりだろうし。その上、相手は技能で言えばあのセイバーを上回る芸達者の小次郎だ。フィジカルのパワーとセンスでゴリ押し気味なメドゥーサとは些か相性が悪い。

 さて、仮初とはいえランサーのマスターである間桐慎二は、この状況をどうするんだ?

 

『……輝きなさい、()()()()()()()()()

『————ほぉ。これは奇怪な。いやさ、怪物を斬るのは初めてよ』

 

 ……、こっちも驚いたぞ。

 

「あれ、ただのハルペーじゃなかったのかよ……」

 

 思わずうげぇとなる。斬撃が怪物になるってそれセイバークラスの方……。

 

「ハルペー自体、ただの武器じゃないでしょ。不死殺しだよ、不死殺し?」

「的確なツッコミありがとうバーサーカー……ははっ」

 

 『屈折延命』……不死系の能力を無効にする大鎌(デスサイズ)の刃が金色に染まると、そこから光でできた怪物が現れた。うん、どっからどう見てもケルベロスである。

 そうか、あのハルペーって怪物の黄金剣でもあるのかぁ……。神話的にはデスサイズというよりもショーテル型の剣だったりするからなぁハルペー。それが黄金剣とミックスされてああなっているのか。

 

「正規のマスターじゃない状態でアレかぁ……。英霊二騎分の出力なだけはあるわ」

 

 腐っても御三家だったな、ゾォルケン……。

 

「メドゥーサってギリシャ神話でメジャーな怪物の大半のお母さんなんだっけ。魔力十分に蓄えて、ネメアの獅子とかヒュドラとか呼びだされたらヤバくない?」

 

 書店で買ったギリシャ神話大全を読みながらバーサーカーが不安を口にした。大丈夫だ、その時はアチャクレスの方に誘導する。むしろ、ヒュドラの毒があればアチャクレスにも勝ち筋が微かでも見えて来るな(攻撃を当てるまでのことは、まぁうんメソラシ)。

 

『ふっ、見せ所よなぁ!』

 

 とか思ってたら、さらっと只の剣技で三頭犬をずんばらりんにしやがったあのNOUMIN。流石ドラゴンスレイヤーとネタにされる佐々木小次郎。幻想種にも通じる剣技なのは本当だったのか。

 

『……、分かりました。退却します』

『ふぅむ、此度の仕合はこれまでか』

 

 お、間桐慎二はメドゥーサを引かせるらしい。意外と冷静だな。何か、男子高校生時代とは視野が違う気がするぞこのワカメ。

 

「……リリンには遠方からの監視を続けるように頼んでくれ、バーサーカー。一先ずは此処までだ」

「了解。残るはセイバーとキャスターのクラスになるね」

「キャスターはエクストラクラスになる可能性もあるがな……」

 

 それにしても。これで、第三次から第五次に至る聖杯戦争のアサシンクラス全ては、偽アサシンとして日本の英霊がそれぞれ召喚されていることになるんだが。

 

 今回の第五次聖杯戦争では、三枝由紀香の下に、偽アサシンとして『佐々木小次郎』が。

 

 第三次聖杯戦争では、藤宮九十九の下に、偽アサシンとして『沖田総司』が。

 

 そして、ロード・エルメロイⅡ世(ウェイバー・ベルベット)の見た第四次聖杯戦争では、()()()()()()()()()()()()の下に、偽アサシンとして『エミヤキリツグ』が。

 

 ……いや、ほんと酷いな第四次聖杯戦争。何がとは言わんが。何でZeroでも切嗣版UBWやってんだよ。というか人理があやふやなところがあるこの世界(■■■■■)とは言え、これはどーよ。徹底的に正義を圧し折りに来てるぞ、地獄か?

 

「気配遮断能力を率先して使ってこない農民(サムライ)で助かったと言えばいいのか?まぁ、それでも警戒は怠れないが……。あとは、真アサシンについてでもあるか」

 

 でも、第三次と第四次と違って、今の時点では無理矢理クラスを開けて現界できるほど余裕が無いな。受肉したとはいえ現界し続けているギルガメッシュの比重が大きいのと、ランサーのメドゥーサにライダークラスを加えているのが原因か?

 

「……。これでは無理に呼べないか」

 

 俺は、小聖杯の欠片をトランクの虚数空間内に圧し込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後。事態は目まぐるしく変わっていた。

 

 まず、バゼットとライダーのクー・フーリンが合流した。

 

「おぉ?随分と変わったみてぇだな。お前のところのバーサーカーはよ」

「うへぇ。何で分かんだよ、こっわ」

 

 口ではこう言いながらも、案外相性良さそうな二人だな、こいつら。あれか、表面上はチャラ付いてるけど、本質的には義理堅かったり真面目だったりで、同族っぽさがあるからか?

 

「では、教会まで行きましょうか」

「ああ……気が重いがな」

 

 そして、聖堂教会に顔を出してマスター登録を行った。バゼットと監督役の神父は二言三言会話をしただけで、別に令呪がどうとかは一切無かった。おやと思ったが、それは別に良い。俺は英雄王が出て来るかどうかが心配だったからな。寧ろ、監督役の言峰綺礼から色々言われたのは俺の方だった。

 しかし、妙に言葉に棘があったような……?愉悦というよりも、何か、忌々しいものでも見るような視線だった気がするな。もしかして、契約したサーヴァントが聖書の教義的にアレだったからか?そういう所、超が付くほどの真面目な聖職者だよなぁ。いや、良いと思うよ。ホント人間臭くて。

 そんなこんなで、トラブル無く進んだ……と思っていたんだ。それから一日経ってから、ダメットさんから電話がかかってくる前までは。

 

「すいません。アダム・ルリア・アシュケナジー、緊急事態です」

「緊急事態……?何かあったのか!?」

 

 すわ教会陣営に襲撃を受けたか、と思って寺を飛び出しそうになった。なったのだが。

 

「先立つものがありません」

「……は?」

 

 これである。

 

「お金が、ありません」

「え、……はぁ?」

 

 いや、聞き返したわけではなくてね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の教会内。カソックを着た長身の男がマリア像の前で佇んでいる。

 

「どうした綺礼よ。口元が歪んでいるぞ?貴様が苦悶を表に出すのは久方振りだな」

「……私が、苦悶していると?」

 

 暗がりから声がかかる。艶やかな美しい男の声に、神父である言峰綺礼は聖書を閉じる。

 

「そうとも。あの雑種の女から令呪を奪い、走狗を使い、貴様は此度の聖杯戦争に愉悦を見出すのではなかったか?貴様は何故それをしなかった?」

「……————ふむ、苦悩か。それを思うのは十年ぶりになる。いや早いな、私も衰えて当然か」

 

 悪人なれども真正の神父は赤い蛇目の王の言葉に天を仰いだ。

 

「あの時いたマスターの一人。アダム・ルリア・アシュケナジー……。あれに、どうにも理由の無い嫌悪を感じた。それも、かつてあの衛宮切嗣(幸福を捨てた男)に対して抱いた、不快という感情とは全く違う。尋ねてみれば、彼は善人でもないが、悪人でもない平凡な人間だ。貴様の言葉で言うのなら、ありふれている。……そうだ、彼はありふれた人間であるはずが、私にはこの感情を抑えきれない」

 

 己が異常者であることを認知している男は、魔術を使いながらも平凡である————それこそが異常なありふれた男に砥いだ刃を向けようとしている。

 

「幾ら考えても理由が無い。だが、そんなことは無いはずだ。欠落者である私であっても、愉悦を感じることはできる。私の心に訴えかける沸き立つ感情は確かにあるのだ。理由が無いことはあり得ない。故に————」

 

 言峰綺礼は、拳を握り締める。

 

「問わねばならない。自分自身に。醜いものを好み、苦痛と苦難を至上の幸福とする私が、何故あの者に理由なき嫌悪を抱いたのか」

 

 ……いや、寧ろそれは、私の信仰を揺るがす天敵に他ならないという警鐘なのかも知れない。彼は心のどこかで、そう思った。

 

 




言峰綺礼(無自覚にメタジャンに対するラス峰みたいな状態)


第四次聖杯戦争
衛宮切嗣
セイバー:アルトリア・ペンドラゴン

遠坂時臣
アーチャー:ギルガメッシュ

ケイネス・エルメロイ・アーチボルト
ランサー:ディルムッド・オディナ

ウェイバー・ベルベット
ライダー:イスカンダル

雨生龍之介
キャスター:ジル・ド・レェ

言峰綺礼
真アサシン:ハサン・サッバーハ(百貌のハサン)

間桐雁夜
バーサーカー:ランスロット

死徒シャーレイ
偽アサシン:エミヤ(衛宮切嗣)

 おい最後。
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