僕が選定の剣に選ばれるのは間違っていない   作:バンバドロ愛好家

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いきなりエクスカリバーなのはご愛敬ということで


一話

昔々あるところに一人の男がいた。

 

その男はクロッゾの血を引いており、『魔剣』という特殊な剣を打つことができた。

 

それに目を付けたとある神は男に鍛冶の神と共に剣を打たせた。

 

何晩も何晩も打ったそれを見て、男は満足げに死んでいった。

 

そしてその剣は誰にも抜けず、いつか来る英雄を夢見ている。

 

剣の銘は『エクスカリバー』

 

終末の竜を終わらせる、英雄の剣だ。

 

 

………………

 

小さな小さな、でも優しい辺境の村。

 

その中に住む一人の小さな小さな、真っ白な男の子は英雄に憧れていた。

 

だからこそ、そのか細い泣き声も逃さなかったのだろう。

 

サンサンと照り付ける太陽と青々としたあぜ道。

その途中にある木の下にて金色の少女は泣いていた。

 

「大丈夫?」

 

人見知りゆえに少し逡巡はしたが心優しい少年は手を伸ばした。

 

だけど少女は何も言わない。黙って泣くばかり。

 

「どうしたの?」

 

もう一度声をかける。

 

「けんが…ぬけなかった…」

「けん?」

 

ぽつりとつぶやかれた言葉が理解できず少し経ってから理解する。

彼女は既に戦う戦士だと言うことに。少年は何にも言えなかった。

 

「うん。えいゆうになれるけん」

「そんなのあるんだ…」

 

少し呆ける少年に少女は涙を少しぬぐう。

話していくうちに涙はいつの間にか引っ込んでいた。

 

「わたしのえいゆうはしんじゃったから…」

 

少年は何も言わなかった。いや、言えなかった。その瞳の奥の恩讐の炎が恐ろしくて、その瞳の奥の諦念が悲しくって黙りこくるばかりだった。

 

「わたしのえいゆうはもうこないから、わたしがえいゆうになるの」

「くるよ」

「え?」

 

精一杯のひねり出した言葉。それは()()()()()たる少女にも一瞬の隙を生んだ。

 

「もうこない」

「きっとくる」

「もういない」

「わたしじしんがなるしかないの」

「きっとぼくがなってやる。きみのえいゆうに」

 

少女はほんの少しだけ微笑んだ。

 

そしてその直後に意識を失った。

 

「アイズ!勝手に動くなとあれほど!」

 

少女はごちんと鳴る強力な拳骨に沈んだ。

 

「きゅう…」

「すまないな。アイズの相手をしてくれていたんだろう?」

「い、いえ!おしゃべりしてただけです!」

「ふふ、それだけでこの子には薬になる」

 

微笑んだ妖精の元お転婆お姫様はアイズを軽々と背負う。

強そうだった彼女も親の前では形無しらしい。

数か月前にいなくなった義母とおじさんを思い出し、いつ帰ってくるのかな?と今更ながらわくわくする。

 

「それにこの子の英雄になってくれるらしいな」

「え!?」

「英雄は辛いぞ?悲しいことをたくさん見てしまう」

 

エルフのお姫様はどこかを遠くを見つめるように空を見た。

釣られて少年は空を見上げる。

いつもと変わらない白い雲が良く映える青い空だった。

 

「でも…」

 

少年も意図せずにその口から零れ落ちる。

 

「ぼくにはえいゆうがわるいものにはおもえません」

「…そうか」

 

お姫様は眼を見開いて、少し微笑んだ。少年には見えなかったが少し愁いを帯びた表情だった。

 

「あ、おじいちゃん」

 

あぜの向こうから自身の祖父が来ているのに気づき、お姫様に別れを告げた。

 

「すまんかったな九魔姫(ナインヘル)

「お互い様だ。こちらもアイズが世話になったらしい。それと…」

「ベルの前だ。それはいい」

「…すまなかった」

 

お姫様が頭を下げたのを見て、少年は驚いた。いつもは頭を下げる側のおじいちゃんが下げられていたのといつもふざけたおじいちゃんが真面目な顔だったからだ。

 

「ベルや~い。帰るぞ~」

「うん!さようなら!」

「ああ。さようなら」

 

二人を背に少年と祖父は帰る。

 

「おじいちゃん」

「なんだ?」

「ぼく。ううん、僕えいゆうになりたい」

「そうか…。…そうか」

 

それはただの子供の口約束。

 

それで終わるはずだった物語。

 

しかし、その歯車は動き出す。

 

その日、少年と少女は運命に出会った。




ダンまちうろ覚えだけど許して…
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