これが何なのか…なぜここにあるのか分からない…
けど…・私は、この胸の中に抱かれてるんだ

某所に投稿した作品です

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第1話

「痕跡は消した?」

 

浮遊するドローン、アテナ3号に、

私は確認の意味を込めて聞いた

もう既に、いつもの事になっているけど

わざわざ口を出しているのは

インシデント管理のため…

というよりも、アテナ3号が不可解な動きを

していないかというのが1つ、もう1つは……

 

「ふぅ……着いた。」

 

灰色の無機質な瓦礫が点在する

広大な区画の僅かな一角

ゲーミングデバイスよりも

発色数は少ないけど花々に優しく彩られ覆われた大地

そして、その中央に仰向けで

寝そべるように鎮座する巨体…

 

もう1つの理由、それは「廃墟」と呼ばれる

ミレニアムの立ち入り禁止区に

ヴェリタスのみんなに隠れて来ているから…

 

「…やっぱり、これは上から入るように設計されてない……」

 

ほんの数メートル…エコノミー症候群にでもなりそうな

通路を滑り落ちて、私の体が余裕で納まる椅子に身を預ける

ヴェリタスの部室でいつも使ってる椅子よりも固い…けど

吸い付くように腰を落ち着けられる構造

長時間座る事を前提に作られてる…

なにより、肘起きの先に備えられた

ボールのようなコンソール……

 

ネカフェの1室よりも広いけど

居住性と自由度の無いドーム状の空間に

足を揺らして靴を放り投げる…

コツンコツンと寂しげな音が木霊した

 

全長凡そ30m、人と同じ

二足歩行を前提とした巨大な四肢に

羽織を思わせる異形の胴体…

そして、2つの目に額から象徴のように伸びる

上を向いた2本のツノ……

 

チヒロ先輩のお説教から逃げて、偶然見つけたこの場所は

人の手が去った廃墟にしては、不自然なくらい自然に

切り取られた1区画に、ミレニアムでは郊外に行かないと

見ることはできない花畑、そして原因不明の電波障害

最初はEMPを疑ったけど、アテナ3号が動いてるのを確認して

電磁波の類いでは無いことを知れた

 

そして、綺麗な花に似つかわしくない

私の知らない…白い機械の巨人が空を見上げていた

その胸の内側に私は入っている

アテナ3号と調査して分かったのはそれだけ…

 

最近は、息詰まったりリフレッシュしたい時は

エナドリやネカフェに入るより

ここに来るようになった

なんでかは分からないけど

この光りも映らない私だけの空間が、なぜか落ち着く……

 

「アラームセット…」

 

アテナ3号に指示を出して

完全に椅子に背中を預ける

膝を胸の前で畳んで目を閉じる

そういえば、コンソールを一瞬だけ起動できたことがあった

そこに表示されてたのは……

 

「おやすみ……」

 

 

─── Ξ G

 

 

瞼が閉じる瞬間…目の前に

外と同じ彩りどりの花々が見えた気がして……眠りに落ちた

 


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