ナハトの突撃を合図に全員がファーターに飛びかかる。ファーターも邪魔だと言わんばかりに、液化弾や斬撃を飛ばす。
「いい加減っ!」
「⋯⋯死ねッ!」
アテネに対して爪による攻撃を仕掛けるが、爆発反応装甲で逆にダメージを負い、加えてゼーレの重十字ライフルの弾丸がその腕を貫く。それにより、腕は千切れ残りは四本となる。
「仲間の仇討ちだ! クソ野郎ッ!!」
パイルバンカーを装備したホロウレイダーが懐に潜り込み、脚部を貫く。ファーターがバランスを崩すが、それでも耐える。
「ガアアアア!!」
ファーターが腕を天に掲げると、空から大量のエーテルレーザーが降り注ぐ。それは、ただ降り注ぐだけでなく追尾する。
「ぐッ!」
ホロウレイダーの一人が避けきれず、レーザーが腹を貫いた。
アサルトライフルと鉈を装備したホロウレイダーは、腹部に焼け爛れるような痛みを感じながらも、歯を食いしばって走り続けた。
「──うおおおおおおッ!!」
焼かれた腹を押さえる暇などない。ただ、この怪物を止めなければ、次は誰が殺されるか分からない。それだけが、身体を突き動かす。
ファーターの斬撃が、彼の行く手を遮るように迫った。振り下ろされた刃のような爪が、空気ごと切り裂く。
「──っ!」
避けきれなかった。瞬間、視界が赤く染まる。
右腕が、肩ごと吹き飛んだ。
「がっ⋯⋯は、っ!」
それでもホロウレイダーは、ファーターの目前まで到達する。痛みを無視して、残された左手でアサルトライフルの銃口を、ファーターの胸にある傷ついたコアへと押し当てた。
「死ねえええぇぇぇぇッ!!」
引き金が引かれる。
ゼロ距離。連射。体重の重さを加えた圧力と共に、銃口から吐き出される弾丸が、まるで怒りの奔流のようにコアを穿つ。
火花が散り、エーテルの火花が弾ける。
「──ガアアアァァ!!」
ファーターが苦悶の咆哮を上げた。
だが──
次の瞬間、彼はそのホロウレイダーの身体を掴むと、真後ろにそびえ立つ崩れかけたビルへと叩きつけた。
ドガァァァン!!
コンクリートが砕け、鉄骨がねじ曲がる。
ビルの壁面が崩れ落ち、粉塵が舞う。
ホロウレイダーの身体は、壁と一緒に落下して地面に叩きつけられ、ピクリとも動かなくなった。
「テメェッ!!」
ギアが叫ぶように言葉を吐いた。怒りが、視界を赤く染める。
「この野郎がァァッ!!」
高台から狙撃銃の照準を絞り、狙うのはただ一点──コア。
引き金を引く。
銃声が響き、放たれた弾丸が一直線にファーターの胸を貫こうとした──だが、ファーターが残った四本の腕の一本を使って、寸前でコアを庇う。弾丸は硬質な装甲を裂くも、コアには届かない。
「防いだ⋯⋯!?」
ギアの背に、嫌な汗が伝った。
そして次の瞬間──
ファーターがこちらを睨みつけ、片手を掲げる。
「⋯⋯来るッ!」
レーザーが、ギアの狙撃場所に向けて撃ち出された。
ズガァァァンッ!!
爆発音。岩や瓦礫が砕け、狙撃場所が火花と煙に包まれる──だが。
「っ⋯⋯ざけんな⋯⋯まだ死ね⋯⋯るか!」
ギアは爆風の寸前に隣の建物に飛び移っていた。着地と同時に転がり、肩を擦りながらもかろうじて直撃を逃れる。だが、爆風による破片と衝撃で全身へのダメージは大きく、銃を杖にしても立ち上がれない。
「ちく⋯しょう」
ギアが悔しげに歯を食いしばる。
一方で──
「行くぞ、アテネ!!」
「任せな!」
アテネが、灼熱の熱を帯びた電熱斧を両手で構える。
地面を滑るように走り込み、渾身の一撃でファーターの右脇腹を薙ぎ払った──
しかし、ファーターの爪が瞬時に反応する。
アテネの攻撃に、斬撃で迎撃。
ガァンッ!!
火花と共に、電熱斧と爪がぶつかり合う。衝撃が腕を伝い、骨を軋ませた。ファーターはさらに追撃を仕掛ける。アテネはすぐさま爆発反応装甲の盾を前に突き出す。
直後、ファーターの爪が盾を叩いた。
ドゴォッ!!
盾が爆発的に反応し、迎撃ダメージを与える──
──だが、それを読んでいたかのように、ファーターのもう一本の腕がアテネの側面から襲いかかる。
「──っ!!」
爪が、盾を持つアテネの左腕に命中。
ズバァァァッ!!
服が破れ、肉が裂け、骨が砕け、左腕が空へ飛んだ。
「ぐあああああああッ!!」
アテネが絶叫し、血が噴き出す。膝をついたアテネを、ファーターは無感情な目で見下ろしていた。
「アテネ!」
ナハトはトンファーで損傷した腕を攻撃し、爆発を起こしてさらに一本、腕を吹き飛ばす。これで、残り三本になったがファーターは蹴りをナハトのみぞおちに入れる。
「ぐっ⋯⋯ごはぁ」
血を吐きながら、ナハトは吹き飛ばされる。
──戦況は、依然として圧倒的不利。
それでも、ナハトは血だらけの顔で、立ち上がる。
「まだ、だ⋯⋯まだだ⋯⋯!!」
コアは、確実に、蝕まれている。
残りの命で、あの心臓を止める──それだけが、この戦場の“意味”だ。
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯みんな⋯限界だな」
パイルバンカーを装備したホロウレイダーが笑みを浮かべながら、立ち上がる。
「でも、もう逃げられない⋯⋯逃げちゃいけない」
ホロウレイダーがパイルバンカーを構える。
ゼーレが、鉄柱を掲げて吠える。
アテネが欠損した痛みに耐えるように唸り声を上げ、立ち上がる。
ナハトが、トンファーを下げ、炸裂刺突剣と義尾を携え、最後の突撃の構えをとる。
この一撃に、すべてを賭ける。
「旧都陥落の・Another」を書き終えてからの話なので、かなり先になりますが、他にもゼンゼロ小説を投稿しようと思っています。皆さんはどちらを見たいですか?
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時間をかけてもいい。どっちも書け