翌日、リンたちはパロの協力もあってロープウェイでランマニアホロウに入ることができた。そこで、互助会をまとめるエリックという労働者と、廃棄された生産エリアで低コストで作れる侵蝕緩和剤を労働者に配布していた、ロア先生と出会った。
どうやら、ロア先生曰くポーセルメックスは損害補償を渋るだけ渋ろうとしているらしい。
そのため、このホロウ内でお互いに労働者が侵蝕被害にあったという、証拠を集めることになった。
時折、現れるエーテリアスを倒しながらランマニアホロウの生産エリアにある侵蝕の情報や証拠等を集めていると、儀降がふと呟く。
「それにしても、ポーセルメックスはどうして、そこまで渋るのかしら」
「? 宗主様、どういうことですか?」
「わからないの。ポーセルメックスが仮に労働者への損害補償を渋ったとして、どれほどの得があるのか」
「そりゃあ、労働者全員に損害補償を配るとなると、少なくとも小さな金額ではないからじゃないのか? できる限り、かかる金を少なくしたいんだろう」
潘の言ったことを全員が思っていたことだ。
労働者への損害補償を安く済まして、できる限り損害を少なくする。
「でも、考えてみて。ダミアンは輝磁の安定供給が自分たちの役割だって言ってたわ。そうなると、すぐに解決して生産エリアを再稼働させたいはず」
「なるほど⋯⋯」
儀玄も納得するように頷く。
「労働者への損害補償を渋り、もしもストライキでもされたら、ポーセルメックス側からすれば面倒だな。新しい労働者を連れて来るにしても、ホロウに耐性がある者を集めなければいけないのだから、簡単にはいかないだろう」
「そっか。じゃあ、ポーセルメックスは早く問題を解決したいのに、労働者への損害補償を渋るのは矛盾してる行動ってことになるね」
「だとすれば、どうしてポーセルメックスは損害補償を渋っているんでしょう?」
福福の疑問はもっともだ。
輝磁は軍にも納品しており、既にポーセルメックスにとっても世間にとっても必要なものとなっている。ダミアンの言う安定供給もわかる。
それなら、ポーセルメックス側も早く解決して稼働させたいはずだ。それなのに、損害補償を渋り、労働者に反抗されるリスクを取るだろうか。
「なんだか、ポーセルメックスが何をしたいのか分からなくなってきた」
「まあ、今は証拠を集めましょう」
儀降やリンたちは、ポーセルメックスの対応法に疑問を感じながらも証拠を集めてゆく。
その頃、同じくホロウ内の別の場所では二人のホロウレイダーがいた。彼らは、ロープウェイ乗り場で儀降たちを見下ろしていたホロウレイダーだ。
「ハァッ!」
大剣と機関砲が組み合わさった複合武器を持つホロウレイダーは迫りくるエーテリアスたちを切断し、中距離のエーテリアスは機関砲で撃ち抜く。
背後にいるエーテリアスは機械義尾に付いている銃で撃ち抜く。
「フッ!」
もう一人の対戦車ライフルとハルバードを組み合わせた武器を持つホロウレイダーは遠距離かれ攻撃を仕掛けるエーテリアスに対し、大口径弾で撃ち抜く。
「ふー⋯⋯あらかた仕留めたかな?」
「近くにエーテリアスの反応なし⋯⋯少なくとも、大きな脅威はないだろう」
二人はこのランマニアホロウでエーテリアスを狩っていた。
彼らの目的は一つ——
雲嶽山の面々が通るであろう道のエーテリアスを片付け、脅威を排除しているのだ。
「にしても、いいのか? あいつらを甘やかして。エーテリアスと戦うのも、雲嶽山の仕事だろう?」
「今の目的は侵蝕事故の調査だ。それに、あの中には非戦闘員がいる」
「⋯⋯プロキシか」
対戦車ライフルを持った男はやれやれと言ったように、肩を竦める。
「仕方ないとはいえ、自衛手段は持ってほしいがな」
「それを求めるのは酷だろう」
大剣をエーテリアスの死体から引き抜き、肩に担ぐ。
「さて、先に行こうか」
「ああ」
二人は武器を構え直し、ホロウを進んだ。
「旧都陥落の・Another」を書き終えてからの話なので、かなり先になりますが、他にもゼンゼロ小説を投稿しようと思っています。皆さんはどちらを見たいですか?
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シルバー小隊を率いる若き指揮官の話
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アストラの幼馴染でイヴと共に彼女を守る話
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時間をかけてもいい。どっちも書け