雷光、呪の渦中へ   作:ぴーまんねこ

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第十二章 この世界での居場所

特級呪霊の討伐から数時間後。

東京都立呪術高等専門学校――通称、呪術高専。

 

午後の陽射しが差し込む校舎の一角。

一台の黒いセダンが正門を通り抜け、校庭の端に停車した。

 

「お疲れ様でした。」

 

伊地知が言うと、助手席から七海が、後部座席からキルアが降りる。

 

「ふぅー……戻ってきたか。」

 

キルアは両腕を大きく伸ばしてから校門を見上げる。

 

「結構時間かかったな。」

 

「特級相当に成ってましたからね。」

 

七海は淡々と応じながらも、横目でキルアを見る。

 

(この少年の“規格外さ”は、想定を大きく超えていた。)

 

「さて……報告に行きましょう。」

 

校内へ入った二人は、そのまま本館へ向かう。

ちょうどそこに、虎杖・伏黒・釘崎の1年ズが集まっていた。

 

「あ、帰ってきた!」

 

先に気づいたのは虎杖だった。手を振って駆け寄ってくる。

 

「おかえりー! どうだった!? 呪霊ってどんな感じだった!?」

 

「お前、テンション高すぎ。」伏黒が言いながらも近づく。

 

釘崎も腕を組んだまま興味深げにキルアを見る。

 

「生きて帰ってきたってことは、無事だったってことよね?」

 

キルアは飄々と笑いながら答えた。

 

「うん、余裕だったよ。」

 

「……マジで?」

 

虎杖が目を見開いた。

 

「七海もいたけど、途中から俺が全部やっちゃった。さすがに数が多かったからさ。」

 

「全部……?」伏黒が思わず確認する。

 

「特級もだよ?」

 

一瞬、空気が止まる。

 

「特級、って言ったか?」釘崎が眉を上げた。

 

「うん。デカくて、動きも早くて、七海も結構苦戦してた。けど、俺がやった。」

 

「……お前、ほんとに12歳か?」虎杖がぽつりと漏らす。

 

「でしょ?」キルアは肩をすくめながら笑う。

 

そのとき、廊下の向こうからあの声が届いた。

 

「おかえり~、キルア、七海♪」

 

黒の教師服に目隠し――五条悟が現れた。

 

「お、先生。」

 

キルアが振り返る。

 

「特級相当の呪霊、討伐完了とのことで。いや~、見事見事。七海~、レポートよろしくね~」

 

「……わかっています。」

 

七海は疲れたように肩を落とした。

 

五条はそのままキルアの前に屈み込み、目隠しの奥の瞳をじっと見透かすように言った。

 

「ほんとにすごいね、君。」

 

「……そう?」

 

「うん。この世界のルールを知らないはずなのに、適応が異常に早い。しかも、自分の能力を必要に応じて開示して、信用も得ようとしてる。大人でもできないよ、そんなこと。」

 

キルアは少し口を尖らせた。

 

「子ども扱いされるの、好きじゃないんだけど。」

 

五条は笑った。

 

「ごめんごめん。じゃあ一人の術師として言おうか。“その力、どう使うかは君次第”だって。」

 

「……どういうこと?」

 

「この世界の“呪術”は力がすべてじゃない。どこに属するか、誰と動くか、なにを守るか……その選択が、未来を左右するんだ。」

 

キルアは一瞬黙ったあと、言った。

 

「今はまだ、この世界で何をしたいか決まってない。けど、ここにいる奴らは嫌いじゃないし……しばらくは、見てみたいかな。」

 

「うん、それでいい。それが一番大事。」

 

五条は優しく言い、肩をポンと叩いた。

 

釘崎が呆れたように言う。

 

「なんか、先生と話すとみんな一気に話がでかくなるのよね……」

 

「ほんとそれな。」虎杖が頷く。

 

「とりあえずさー、帰ってきたんなら祝勝会しようぜ!」とノリのいい声を上げる。

 

「ケーキ食べたい!」と釘崎。

 

「俺は……ジュースでいい。」伏黒。

 

「えー! じゃあ、俺はからあげ!」と虎杖。

 

その賑やかな会話の中で、キルアはふと呟いた。

 

「……悪くないかもな、この世界も。」

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