呪霊の残骸が地面に崩れ落ち、夕暮れの街に沈黙が戻る。
呆然とする虎杖と釘崎。その視線の先には、あまりにもあっさりと呪霊を倒した白髪の少年――キルア。
「マジで……何者よ、コイツ……」
釘崎が眉をひそめ、呟く。彼女にしては珍しく声に力がない。
「術師じゃなさそうなのに、呪霊を素手で……しかも瞬間移動みたいな……」
虎杖も額に汗を浮かべながら、慎重にキルアを観察する。
「……」
伏黒は黙ったまま、一歩前に出る。
「……お前、名前は?」
キルアは伏黒の問いに肩をすくめるように笑った。
「キルア。キルア=ゾルディック。」
「その名字……日本のもんじゃないな。」
伏黒がすぐに反応する。
「そりゃそうだろ。俺、日本人じゃないし。てか、ここ日本なの?」
「ま、まあそうだね。ここは日本の東京。」
虎杖が少し困ったように答える。
「お前、さっき“光に包まれて”って言ってたよな?」
伏黒が眉をひそめて問う。
「うん。買い物してたらいきなり。」
「……はぁー……やっかいなパターンね。」
釘崎が手を腰に当て、天を仰ぐ。
「でも、あんな呪霊一瞬でやるなんて……それに“見えてる”時点でただの一般人じゃないでしょ。」
「放っておくには危険すぎる。」
伏黒が決断を下すように言った。
「なに? 俺、なんか悪いことした?」
「いや、そういう意味じゃないって。」
虎杖が笑って手を振る。
「とにかく……高専に連れていこう。五条先生に見てもらった方が早い。」
「賛成。」
「異議なし。」
三人が同時にうなずく。
キルアは目を細めて三人を見回した。
「……高専って何?」
「まあ、行けばわかるわよ。」
釘崎がそう言って歩き出す。
「……」
キルアは一瞬迷う素振りを見せたが、すぐに三人の後を追った。
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〜呪術高専・東京校〜
校門をくぐり、キルアは少し眉を上げた。
「でっか……なんか寺みたいだな。」
「まあ、もとはそういう場所だからな。」
伏黒が淡々と答える。
「ただいま〜、お客さん連れてきました〜!」
虎杖が大きな声で本棟へ入っていく。
すると、奥の廊下からゆるく手を振る男が歩いてきた。
白い髪、黒い目隠し――その姿に、キルアは無意識に警戒の色を浮かべる。
「おかえり、悠仁たち。……で、そこの子が今日のサプライズ?」
「名前はキルア=ゾルディック。本人いわく、突然光に包まれてここに来たらしいです。」
伏黒が簡潔に説明する。
「しかも呪霊を素手で瞬殺してました。」
釘崎が付け加えると、五条は「ほぉ〜」と興味深そうに唸る。
「へぇ……いいねえ。かっこいい転校生ってとこかな?」
「転校……?」
キルアが首をかしげる。
「僕は五条悟。ここの先生。君、なかなか面白そうだね?」
「アンタ……強いの?」
その問いに、五条はにやりと笑う。
「うん。最強。」
キルアは少し目を細め、口元にかすかな笑みを浮かべた。
「ふーん……だったら、面白そうだね。」
「ね? そう思うでしょ〜? じゃ、とりあえず今日から泊まっていってよ。元の世界に戻る為の協力もするからさ。」
「……いいけど、警戒はするよ。」
「うんうん、そりゃ当然だ。」
そうして、異界から来た白銀の少年は、呪術師たちの学び舎に足を踏み入れた。