東京校・訓練場――
朝の陽光が差し込む広々とした訓練フィールドに、八人の生徒が集まっていた。
「え〜、というわけでぇ、今日は模擬戦をやりまーす!」
五条が手をパンと打ち鳴らす。彼の後ろには、キルア、伏黒、釘崎、虎杖、狗巻、三輪、パンダ、そして真希。各々が軽く体を動かしながら、視線を交わしていた。
「実力測定ってのが一番の目的だけど、みんなの訓練にもなるし、一石二鳥だね。」
「で、誰と誰がやるんだ?」
虎杖がその場にしゃがみ込んだまま、軽く顎を上げて問う。
「まずは――三輪と悠仁の一対一かな」
「えっ!?」
三輪の声が裏返る。驚きと緊張が一気に押し寄せた表情。
「おっし!よろしくな!」
虎杖が勢いよく立ち上がり、にっこりと手を差し出す。
「悠仁の等級も三輪とあまり変わらない。お互いの成長になると思うよ」
五条が口元に笑みを浮かべる。
「よ、よろしくお願いします!」
三輪は深々と頭を下げ、気持ちを整えるように深呼吸した。
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訓練場・中央――
「では――始め!」
五条の合図と同時に、二人は間合いを詰めた。
まず仕掛けたのは三輪。鋭い踏み込みから放たれる斬撃の構え――
その動きに、一切の迷いはない。
「シン・陰流――簡易領域 "抜刀"!」
瞬間、空間がわずかに歪む。領域内に入った虎杖を、必中の一太刀が襲う――が、
「おっと、危ねぇ!」
虎杖が寸前で身を翻し、紙一重で斬撃を回避した。わずかに頬が裂け、血が滲む。
「やっぱスゲーな、あれ」
感嘆を漏らしつつも、虎杖は怯まない。真正面から距離を詰め、一撃一撃が重い拳を打ち込む。三輪はなんとか防御に回るが、虎杖の連打は容赦がない。
――ガッ!
虎杖のローキックが三輪のバランスを崩し、その隙を逃さず体ごとぶつかるように渾身の右ストレート。
「くっ…!」
まともに食らい、三輪は地面に膝をついた。
「ストップストップ、はい終了ー!」
五条の声が響くと同時に、虎杖がすぐに駆け寄る。
「三輪さん、いい動きだったよ!」
手を差し出す虎杖に、三輪は少し息を乱しながらも、微笑んでその手を取る。
「はい…でも、やっぱり虎杖君、強いですね。」
「三輪さんも、もっと強くなれると思うよ!」
まっすぐな眼差しで言い切る虎杖に、三輪は小さく頷いた。
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「じゃ、次はパンダとキルアの一対一!」
五条の声が再び響いた。
「え。特級の相手俺かよ…」
パンダが大きく肩を落とす。
「手加減するし、大丈夫だよ。」
キルアがニッと笑い、肩を回しながら前に出る。
「初め!」
開始の合図と同時に、パンダが大きく踏み込んで突進する。巨体から放たれる一撃は、地面を揺らすほどの威力。しかし――
「遅い」
キルアの姿が、スッと掻き消える。
次の瞬間、背後から放たれた蹴りがパンダの背に命中。
「おっとっと、速っ…!」
体勢を立て直したパンダが正拳を振るう。だがキルアはヒュッと上体をひねって避け、ポケットから銀のヨーヨーを取り出す。
「じゃ、これで終わり。」
ヨーヨーが風を裂き、鋼線の唸りとともにパンダの足元を狙う。
足を絡め取られたパンダの動きが止まった瞬間、キルアが跳躍し、そのまま空中からヨーヨーを振り下ろす。
――バァン!!
鋭く叩きつけられた衝撃で、パンダが大きく後方に弾かれ、地面に倒れ込んだ。
「そこまで!」
五条の制止で試合は終了。
(やっぱり……すごい。)
あの日、助けられた感覚が甦る。
けれど、それだけじゃない。
今の自分にはまだ、届かない“背中”――
(でも、追いつきたいって……初めて思った。)
拳を胸元でぎゅっと握る。
その想いが、ただの“憧れ”じゃないことを、三輪はもう分かっていた。