雷光、呪の渦中へ   作:ぴーまんねこ

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第二十九章 告白

東京校・昼休み 訓練場裏のベンチ

 

「三輪ちゃん、最近よくキルアと一緒にいるよね」

 

ベンチに腰かけた釘崎は、隣で水筒を手にした三輪に、唐突にそう問いかけた。

 

「えっ……!?え、えぇっと……その……別に、そんなんじゃ……!」

 

三輪は手にしていた水筒のキャップを落としそうになりながら、慌てて否定する。だがその反応に釘崎は満足そうににやりと笑った。

 

「あはは、やっぱそうなんだ。わかりやすすぎるでしょ。そばにいるときの表情、めっちゃ素直に出てるし。」

 

「っ……!」

三輪の頬がみるみる赤く染まる。まともに顔を上げられない。

 

そこへ――、

 

「お?何話してんの、二人で。」

 

軽い足取りでキルアが姿を現した。

 

「ひっ……!?」

心臓が跳ねる。目の前に現れたのは、その張本人――。

 

「な、なんでも……っ!」

三輪はあわてて立ち上がると、そのまま走り去っていった。

 

「え、あれ?三輪?」

キルアがきょとんとしたまま、逃げる背中を見送る。

 

「はぁ……」釘崎は呆れたように息をつく。

「アンタ、鈍いのにもほどがあるわね」

 

「は?なにが?」

 

「自覚ないの?女の子とあんだけ一緒にいて何も感じてないとか、逆に才能よ」

 

「なっ……あるし、そういうの、ちゃんと……っ」

 

言葉につまりながら、珍しく動揺するキルアを見て、釘崎は肩をすくめて笑った。

 

 

---

 

夜・東京校の宿舎

 

机に広げられた呪術理論のノートに、三輪は静かにペンを走らせていた。けれど手は止まる。昼間の釘崎との会話が、何度も頭をよぎる。

 

(……キルアのこと、好き……か)

 

自分でも、もう否定できない気持ちが胸を締めつける。顔が熱くなるのを感じたその瞬間――

 

「三輪。」

 

近距離で声が聞こえた。

 

「きゃっ……!?」

驚いて振り向くと、すぐそばにキルアの顔があった。

 

「びっくりした……!」

 

「ごめん。なんか苦しそうだったからさ。大丈夫?」

 

「う、うん……大丈夫。全然……!」

 

三輪は俯きながら答えるが、胸の鼓動は落ち着く気配がない。

 

「……嫌いなの?俺のこと。」

 

その何気ない問いに、反射的に三輪の体がびくりと震えた。

 

「え……?」

 

「だって、今朝も逃げられたし……俺、なんかした?」

 

キルアはベッドに寝転びながら、素直な声色でそう言った。

 

「ち、ちがう!嫌いなんかじゃ……ない……。むしろ……その……」

 

三輪の声がしぼんでいく。けれど、もう止まらなかった。

 

「……むしろ、好き……」

 

小さな声で絞り出した瞬間、室内に静寂が訪れる。

 

「え……?」

 

今度はキルアが戸惑った表情を浮かべて起き上がる。

 

「い、今のは……その……ちがっ……いや、ちがわなくはないけど……!」

 

「……あー……」

 

キルアは後頭部をかきながら、顔を赤く染める。

 

「……俺も、三輪のこと好きだよ。たぶん、うん……そうだと思う。」

 

そう呟くように言うと、キルアは布団に顔を埋めて背を向けた。

 

「もう寝る!おやすみ!!」

 

「……うん、おやすみ……」

 

背を見つめながら、三輪も頬を染めたまま、そっと灯りを落とした。

 

部屋には、お互いの心臓の音だけが、静かに響いていた。

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