雷光、呪の渦中へ   作:ぴーまんねこ

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第三章 銀の転入者

「こっちが寮棟。俺ら一年もこっちに住んでる。」

 

校舎の奥、石畳の道を虎杖が先頭に立って歩いている。その後ろを釘崎とキルア、最後尾を伏黒が歩く。

 

「なんか寺と道場が合体したみたいな場所だな。」

 

キルアは視線をあちこちに走らせながら、建物の古さと呪術的な気配の混ざった独特の空間を感知していた。

 

「ま、見た目はね。でも中身は呪霊バスターズよ。」

 

釘崎が胸を張って言う。

 

「てかさ、アンタ、呪術も術式もないんでしょ? どうやって呪霊倒したの?」

 

「触れたから潰しただけだよ。」

 

「……は?」

 

釘崎が眉をひそめる横で、虎杖が笑う。

 

「いや、俺らも最初マジでビビった。ゾルディック、どんだけ強いんだよって話!」

 

「そんな騒ぐほどのことか?」

 

キルアが肩をすくめたそのとき――

 

「――おい、うるせぇぞ。何やってんだ、一年。」

 

渡り廊下の先から低く鋭い声が響いた。

 

姿を見せたのは、ジャージ姿に竹刀を背負った長身の女子生徒。

 

禪院真希――二年の実力者。呪具の扱いに長けた“フィジカルギフテッド”。

 

「お、真希さん!」

 

虎杖が手を振るが、真希の視線は一瞬でキルアに突き刺さる。

 

「……誰だ、そいつ。」

 

声の調子が一段階低くなる。

 

「転校生ってやつですかね? でもなぁ……」

 

釘崎が一歩前に出る。

 

「ちょっと訳アリなんです。まあ、五条先生に直接聞いた方が早いですね。」

 

「……」

 

真希は無言のまま、キルアの全身を値踏みするように見つめた。瞬間、空気が一変する。

 

(目の動き、筋肉の張り、立ち方……こいつ、まともな奴じゃない)

 

キルアもまた、気配の変化を敏感に察知していた。

 

(この人……ただの学生じゃない。殺気と自信の質が、まるで兵士……)

 

数秒、互いの間に無言の圧力が流れる。

 

「……気に入らねぇな。妙に余裕かましてる感じ。」

 

真希がボソリと呟くと、キルアは口角を上げた。

 

「よく言われる。」

 

「……ふん。」

 

真希は鼻を鳴らし、くるりと踵を返す。

 

「余計なこと起こすなよ。一年ども。」

 

そう言い残し、廊下の奥へ姿を消した。

 

「いや〜……真希さん、相変わらず強キャラオーラすごいな……」

 

虎杖が頭をかきながら笑う。

 

「アンタ、よくあんな態度取れたわね。あの人、ガチで容赦しないから。」

 

釘崎がキルアを横目で見つつ言う。

 

「怖そうなのは伝わった。でも、悪い人じゃなさそうだった。」

 

「……まあ、あれでも面倒見はいい方だ。」

 

伏黒がぽつりと呟いた。

 

---

 

〜寮棟・一年の居住区〜

 

「ここが寮。俺ら一年はこの廊下に並んで部屋割りされてる。」

 

虎杖が案内するその先、木製の引き戸が4つ並ぶ廊下を歩いていく。

 

「で、あそこが釘崎んち。」

 

最奥の部屋を指差して虎杖が説明する。

 

「その隣が俺で、さらにその隣が――」

 

「……俺の部屋だ。」

 

伏黒が無駄なく指を差す。

 

「で、ここがゾルディック、アンタの部屋。伏黒の左隣。」

 

釘崎が最後にそう言い、扉を開ける。

 

部屋はシンプルな畳敷き。押し入れ付き、窓の外には竹林が見える。

 

「意外と落ち着く……いいね、ここ。」

 

「よかったじゃん。明日からお隣さんだな、伏黒!」

 

「……やかましい。」

 

「今日のところはここで休め。ベッドも用意されてる。」

 

「わからないことがあったら、俺か釘崎、伏黒に聞いてよ。」

 

「じゃ、おやすみ〜!」

 

三人が順に声をかけ、部屋を出ていく。

 

キルアはひとり残された室内で、荷物もない自分の身を見下ろし、小さく息を吐いた。

 

「……異世界、か。とんでもない場所に来ちゃったな。」

 

その言葉には、怯えも動揺もなかった。

 

ただ、未知への好奇心と、ほんの少しの期待――それだけが、彼の瞳に宿っていた。

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