雷光、呪の渦中へ   作:ぴーまんねこ

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第三十章 まどろみの記憶

翌朝 東京校宿舎

 

カーテンの隙間から差し込む朝日が、薄暗い室内を徐々に照らし始める。

 

布団の中で丸まっていた三輪は、まどろみの中で瞼をゆっくりと開いた。

 

「……朝、か……」

 

昨日の夜のやりとりを思い出し、胸がどくん、と大きく波打つ。

 

(夢じゃ、なかったよね……)

 

隣を見るのが少し怖かった。けれど、そっと横を向くと、そこにはぐっすりと眠るキルアの姿があった。

 

横向きで布団をかぶりながらも、彼の白銀の髪は朝日に照らされて、ほのかに輝いていた。

 

(なんでそんな顔して寝るの……かっこよすぎる……)

 

思わず見惚れてしまい、息をするのも忘れそうになる。

 

と――

 

「ん……」

 

キルアが寝返りをうち、ゆっくりと瞳を開いた。

 

「あ、起こしちゃった……? ご、ごめん……!」

 

三輪が慌てて身を起こそうとすると、キルアは少し欠伸をしながらも、彼女をじっと見つめた。

 

「……おはよ、三輪。」

 

「お、おはよう……」

 

途端に、胸の奥が温かくなる。

 

数日前まで、こんな朝が来るなんて思っていなかった。

 

キルアは起き上がって髪をかき上げると、肩の力を抜いたように伸びをしてから言った。

 

「なんか、変な夢見た。俺が……その……三輪に好きって言って、恥ずかしくなって布団かぶるやつ。」

 

「……夢じゃないよ。」

 

三輪が少しだけうつむきながら、はにかんだように笑った。

 

キルアはしばらく固まっていたが、次の瞬間、顔をぷいっとそらしてぼそっと呟いた。

 

「……やっぱ、恥ずかしいから忘れてくれていいよ、あれ」

 

「ううん。忘れない。嬉しかったから。」

 

ぽつりとこぼれた三輪の言葉に、キルアの肩がぴくりと動く。

 

しばらくの静けさのあと、キルアは顔を赤らめながら小さく笑った。

 

「……そっか。じゃ、今日も訓練しよ。俺も、もっと強くなるから。」

 

「うん、私もがんばる。」

 

二人の間には、昨夜よりも少しだけ確かな、柔らかな空気が流れていた。

 

そして彼らは、並んで朝の支度を始める。

 

洗面所で並んで歯を磨きながら、ふと目が合って、気まずそうに逸らす。

 

「……なんか、変な感じだな。こういうの。」

 

「う、うん……。でも、ちょっと楽しいかも。」

 

思わず口にした三輪の言葉に、キルアは少し驚いたように瞬きをしたあと、肩の力が抜けたように笑った。

 

「そっか。ならよかった。」

 

その笑顔が自然すぎて、昨日の告白が夢だったような気がしてくる。でも、胸の奥のあたたかさがそれを否定する。

 

適当に朝食を終えたあと、訓練に向かうため二人は玄関に立つ。

 

「今日も気合い入れていこうぜ。」

 

「うん。……今日も頑張る。」

 

この日常が、少しでも長く続けばいい。

そんな願いを胸に、二人は並んで歩き出した。

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