異世界でドルオタしてる俺氏、知らんところで救国の英雄扱いされているらしい   作:パンデュ郞

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タイトルがころころ変わってたりするのはカクヨムに合わせてるからです。しっくり来てないのもあるので、お目こぼしください。
一応これを書き始めたきっかけは、知り合いとカクヨムでランキングバトルするためですので……。許して許して。
因みに今日は三話分投稿されます。9、14、21時の4分にそれぞれ投稿されます。


第6話

 王女様からの手紙は、次の日程に関する話題だった。

 また後日に手の者が返事を受け取りにくるから、その時までに返事を用意してほしいと書いてあった。おいおい、一回だけかと思ったら二回目もあるのかと。この調子だと三回目とかもありそう……ないよな?

 

 考えても仕方がないので、その日は寝て。次の日に仕事をしに冒険者ギルドへ来ていた。

 金はなんぼあってもいい。そのすべてをアルテシアちゃんに捧げよう。

 でもなぁ、ギルドに溜まってた高額依頼とかあらたかやり切っちゃったんだよな。

 

 試しに依頼掲示板を覗いてみているが、あんまりパッとしない依頼ばかりだ。

 昔なら飯が食えればいいからと適当に選んでその日その日を食いつないでいたが、今はそうはいかない。依頼の報酬は吟味しなければ、アルテシアちゃんへ貢ぐ額に影響が出てしまう。

 

 むう、ここはなんかいい依頼ないか、受付嬢さんに聞いてみるか。

 依頼掲示板の前を離れて、窓口の向こうで書類仕事をしている受付嬢さんへ話しかける。

 

「どうも」

「タイランさん! 受付にいらっしゃるだなんて珍しいですね、何か御用ですか?」

 

 ああ、普段は依頼掲示板から適当な依頼取って依頼受理しているだけだから、まともに受付を利用するのは久しぶりだな。冒険者登録したとき以来……ぐらいか?

 そんな相手にもこんな笑顔振りまいてくれるなんて、立派な人だなぁ。同時に大変な仕事だ。こんな変哲もない冒険者の名前を憶えてるぐらいだしな。

 

「いえ、報酬のいい仕事を探してましてね」

「報酬の……いい、ですか……?」

 

 おっ、なんかすごい意外そうな表情をされた。

 何が意外なんだろうか。これまで俺が積極的に受けてた依頼は全部報酬目当てなのに。

 高額依頼しか受けてないぞ? 本当に。なぜか依頼掲示板の隅で埃被ってそうな感じだったけれども。

 

「えと、その、それは報酬が高額なという意味で受け取ってもよろしいでしょうか?」

「ええ。そうですね。こう、一回でわかりやすく稼げそうな依頼ってなんかないですかね?」

 

 ううん、こういう訊ね方ってすごい印象悪そうだな。

 

「……お金に困ってらっしゃったのですか?」

 

 そう思ったのに、向けられたのは憐憫の視線。

 なんて純粋な人なんだ。うーん、悪いことをしている気がしてきた。

 ここはもう適当言って誤魔化してしまおう。

 

「いや、まあ。何かと入用なものでしてね」

「まさか、どなたかのためだったりしますか?」

 

 ぎくり。鋭いですね。

 いやー、どうしよう。この流れでアイドルに貢いでますって言ったら絶対引かれるよな。

 ここは、上手いことはぐらかしつつ答えよう。

 

「ええ、まあ。とある女の子のためですね……」

「まあっ!」

 

 できる限りのぼやかし方をしたぞ。これなら好感度そこまで下がらないだろう。

 いやー、普段あんまり人と関わらないから会話よくわからん。今後は気をつけよう。

 王女様に失礼にならない話し方でも教わろうかな……。

 

「そうだったのですね。それであんな依頼の受け方を……その女の子はもう元気になられましたか?」

「元気かですって? まあ、元気になさってますよ」

 

 元気にライブ開いてくれてます。本当にありがたいことに。

 もっと貢ぎてぇ~。俺たちの金でアルテシアちゃんが潤うなら持ち金全部突っ込んでも構わない。

 推しが幸せならオッケーです。でもアルテシアちゃんなら俺たちが破滅するほど貢ぐのは嫌がるかな? いい子だからなぁ。

 

 ただ、何を思ったのか受付嬢の方は突然目に涙を浮かべて、口元を抑えていた。

 えっ、俺なんか変な事言ったか!?

 

「だ、大丈夫ですか?」

「すみません、すみません……。つい、感極まってしまいました」

 

 感極まる要素どこにあった!?

 もしかしてこの人、ものすごく涙脆い人なのか。

 ああ、もう。女の人に泣かれるとどうしていいかわからない。アルテシアちゃんの時もそうだった。俺にできることは、大丈夫だと伝えるために色々と渡して気を逸らさせるぐらいだった。

 

「そ、そうだ。依頼の方はどうですか? ありますか?」

「はい! 少々お待ちくださいね! 奥に眠っている依頼を探してきますので!」

 

 涙を一拭きして、受付嬢さんはまた笑顔を見せて奥に下がって行ってしまった。

 ううん。女の人を泣かせてしまった。今の場面だけ見られて、素行が悪い人だとか思われないだろうか。

 周囲を見回すと、その場にいた人たちが一斉に顔を背けた。

 えぇ……てか、注目集めていたのにも気が付かなかったんだけど。何なんだよ。

 

 弁明のために動いたら余計に悪い噂が広がりそうで、仕方がないので俺はいたたまれない気持ちのまま、その場で受付嬢さんの帰りを待つしかなかった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 この町の冒険者ギルドで働いているもので、タイランさんを知らない人はいません。断言できます、そのぐらい、彼は有名人なのです。

 彼の冒険者歴は長いです。それこそ、子供の時から冒険者をやっているそうで。

 そのころから異常さは見せていたと、先輩から聞きました。

 

 幼いころは、適当な依頼をむんずと掴んでは持ってくるだけの人だったと。高難度の依頼も、低難度の依頼も、分け隔てなく。まるで、依頼の内容なんてなんでも関係ないとばかりに。

 それなのに、依頼の成功率は非常に高いと来たものですから、一体何者なのかと当時から騒がれていたそうです。同業者の方々からも、大丈夫なのかと散々問い合わせが来ていたらしいです。もしくは、何かギルドが裏で贔屓しているんじゃないかみたいな質問もあったそうで。

 

 試しに同業者の方が何か本人に探りを入れたりしたみたいですけれど、何も答えてくれなかった過去があるとかないとか。

 とにかく、不思議な人だったそうです。

 

 そんな彼が変わったのは三年前。突然、ギルドで長期間放置されていた、厄介事に関わる依頼に手を出し始めたのです。

 冒険者ならば誰もが知ってる、割に合わない罠依頼。長期間放置されてるだけあって、依頼は高額ですがそれでも手間に比べれば安いと言わざるを得ない厄ネタ。それらを一掃するかのように、手を付け始めたのです。

 

 真に驚くべきことは、そんな依頼すらもこなしてきてしまう彼の実力でした。

 もはや冒険者ギルドの中で彼の実力を疑う人はいません。同業者の方々も、いまでは彼に畏怖の視線を送っています。もはや嫉妬の対象ですらないと……。

 

「あら、マーチ。どうしたのそんなに急いで……って、何かあった!? 誰に泣かされたの!?」

「先輩! ちょっと手伝ってください!」

「なになになに!?」

 

 奥にいた先輩を見つけたので、私はそのまま先輩を捕まえて依頼の選別場所へと連れて行きます。

 

「タイランさんが、タイランさんが依頼を探してらっしゃるんですよ!」

「タイランさんが!? ちょ、ちょっと話を聞かせてちょうだい!」

 

 依頼の処理以外では滅多に窓口には来ない方なので、先輩も驚いてるみたいですね。

 私は先ほどタイランさんから聞いた話、そして依頼を吟味している理由を先輩に説明しました。もちろん、長い間待たせるわけにはいかないので、依頼を探しながらです。

 

「なる、ほど。ある日変わったと思ったら、病気の女の子のために……」

「ええっ。それで大金がすぐにもらえる依頼をやってらっしゃったみたいです!」

 

 今も高額な依頼を探しているのは、きっとその女の子のためなんでしょう。元気にしているといっても、あれほどの金額が必要な病気ならその後も大変なはず!

 力になってあげたい。実際にできることは少ないけれども、微力ながらでも支えにはなれるはずだ。

 

「いるんですねぇ、ああいう心が綺麗な人って」

「私達からすれば、たまってる依頼を片付けてくれて嬉しい! ってだけだったんだけれど。そっか、そんな背景があったのね……」

 

 多分、報酬についてだけ言及して内容に触れなかったのは、私たちに対する配慮だったんでしょうね! 女の子を救うついでに、困ってる人も一緒に助けようと考えるなんて聖人かなにか!?

 報酬が異常に高い仕事といえば基本的に訳アリの依頼。訳ありの依頼を出してくださいと言うわけにもいかないので、あんな遠回しな言い方をなさってたんでしょう。

 

「それじゃあ! 希望に応えないとですね!」

 

 意気込んで、なるべく高額報酬な依頼を探します。

 望み通り、できる限り依頼達成で救われる人が多くなる依頼を……。

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