正直ここまで変化させると先のプロットを考えるだけで死にそう。シンフォギアは設定が緻密なので、矛盾が大量発生しそうになります。
番外編
「奏の実力」
トレーニングルームに設置されたベンチに座り、タオルで汗を拭う奏に、クリスが話しかけた。
クリス「なぁ。ちょっと聞きてぇんだけどよ」
奏「ん? なんだよクリス、改まって」
クリス「この中で一番強いのって、やっぱあんたなのか?」
奏「あたし? まぁ、そこそこやるとは思うけど、一番は違うな」
クリス「はぁ!? 嘘だろ!?…あんだけあたしをボコボコにやっといて、あんたじゃねえのかよ。じゃあ誰だってんだ?」
奏「そりゃ決まってんだろ。ウチのボス、風鳴のおっさんだよ」
クリス「はぁ!? あのおっさんが!?」
驚きに目を見開くクリスに、奏はニヤリと笑った。
奏「あたしなんて、まだまだ足元にも及ばねえよ。なんせ、まだ2回しかできねえしな」
クリス「あ? 2回って、何がだよ」
奏「決まってんだろ? 空中ジャンプの回数だよ」
クリス「……は? 空中ジャンプ? なに言ってんだ、ゲームじゃねえんだぞ」
奏「まぁ、見てなって」
奏は軽くステップを踏むと、その場で高く跳躍した。そして、放物線の頂点に達したかという瞬間、見えない足場を蹴るようにして、さらにもう一段高く跳ね上がった。
クリス「なっ……!?」
絶句するクリス。そこに、トレーニングを終えた翼が静かに入ってきた。
奏「よお、翼。お疲れさん」
翼「ええ、奏もお疲れ様。……ところで、クリスが固まっているけれど、何かあったのかしら?」
奏「ああ、今ちょっと空中ジャンプの話をしててな。そういや翼は何回飛べるようになったんだ?」
翼「私? そうね……最近、ようやく3回といったところかしら」
奏「げっ、マジかよ! 先越された!」
クリス「3回……だと……?」
翼の言葉に、奏は本気で悔しそうな顔をしている。その様子を見ていたクリスは、はっと何かに気づいたような顔で、震える声で二人に尋ねた。
クリス「……なぁ、一つだけ、聞かせてくれ」
奏「なんだよ?」
クリス「じゃあ……その……おっさんは、何回なんだ……?」
クリスの問いに、奏と翼は顔を見合わせ、そして、揃って首を傾げた。
奏「さあな」
翼「わからないわね」
二人から同時に返ってきた言葉は、クリスの予想を遥かに超えていた。
奏&翼「「だって、地面に落ちてきたところ、見たことないし」もの」
クリス「……」
クリスは、天を仰いだ。そして、乾いた笑い声を上げるしかなかった。
クリス「ハハ……ハハハ……。なんだよ、それ……」
「クリスの1日」
優斗「クリスちゃん、朝だよ。起きないと遅刻しちゃうよ」
クリス「ん……あと、5分……」
優斗「だーめ。ほら、朝ごはんできてるから。早くしないと冷めちゃう」
クリス「……わかったよ……今、起きる……」
食卓で、まだ眠そうなクリスが牛乳を飲んでいる。
優斗「あ、クリスちゃん、口のところに牛乳のヒゲができてる」
クリス「ん……うっせぇ……ほっとけ……」
優斗「ふふ、しょうがないな。ほら」
クリス「!……なっ、自分で拭ける!子ども扱いすんな、ばか!」
優斗「ごめんごめん。さあ、早く食べないと本当に遅刻するよ」
クリス「わ、わかってるっつーの!」
学校の校門で、わざわざ待機してくれた響と未来が待っていた。
響「クリスちゃーん! おっはよー!」
未来「おはよう、クリス。今日もいい天気ね」
クリス「おー……。はよ」
響「じゃあ、またお昼にね! ホームルーム遅れるー!」
未来「また後でね」
クリス「おう」
教室に入ると、数人のクラスメイトが寄ってきた。
クラスメイト「雪音さん、おはよー」
クラスメイト「今日の髪型、なんかキリッとしててカッコいいね! 猫みたい!」
クリス「猫じゃねえ!」
クラスメイトA「あ、怒った。ごめんごめん」
クラスメイトB「でも、そういうとこも可愛いよね」
クリス「うがー! だから、からかうなって言ってんだろ!」
昼休み、中庭のベンチで四人がお弁当を広げている。
響「いいなー! 優斗お兄ちゃんの卵焼き! クリスちゃん、未来特製の唐揚げと一個交換しよ!」
クリス「はあ? なんであたしが……。まあ、一個だけだぞ」
未来「クリスのお弁当、彩りが綺麗よね。優斗さん、本当にマメな方。あ、ほうれん草の胡麻和えももらっていい?」
翼「ええ。この煮物も、味がしっかり染みているのに形が崩れていない。見事な腕ね。少しもらうわ」
クリス「お前らは自分のを食え!…ふん……。まあ、あいつの飯は、悪くねえからな」
放課後、二課のトレーニングルーム。
奏「らぁっ!」
クリス「くそっ、速えな!」
模擬戦を終え、二人で息を整える。
奏「なかなかやるじゃん、クリス。前よりずっとキレが良くなってるぜ」
クリス「あんたこそな。でも、まだまだ負ける気はねえよ」
奏「はっ、望むところだ!」
すっかり暗くなった帰り道。
優斗「おーい、クリスちゃーん!」
クリス「!……あんた、なんでここに……」
優斗「お疲れ様。今日は特に暗いから心配で、迎えに来ちゃった」
クリス「……別に、一人で帰れたっつーの」
優斗「まあまあ、そう言わずに。さ、帰ろうか。今日の夕飯、クリスちゃんも好きなハンバーグにしたよ」
クリス「!……べ、別に、ハンバーグが好きなわけじゃねえけど……。まあ、作っちまったんなら、食ってやらなくもねえ」
夕食後、リビングでゲーム。
優斗「あ、クリスちゃんその敵、右から回り込むと楽だよ」
クリス「うっせ、わかってる! 今やろうとしたところだ!」
優斗「はいはい。じゃあ、僕はそろそろお風呂入ってくるね」
クリス「おう」
自分の部屋に戻ったクリスは、小さな和室に置かれた位牌の前に静かに座った。
クリス「……パパ、ママ。あたしさ、今日……」
クリス「学校の奴らに、また猫みてえだって言われてさ。……まあ、別に、本気で怒ってるわけじゃねえんだけど」
クリス「昼は……あいつの作った弁当、みんなで食って……」
クリス「夕飯は、ハンバーグだった。……うん、美味かった」
クリス「……こっちの生活も、まあ……悪くは、ねえよ」
クリス「……それだけ。じゃあな、おやすみ」
布団に入り、目を閉じる。その寝顔は、とても安らかだった。
「ひびみくは候補生?」
ツヴァイウィングのライブ会場がノイズに襲撃されてから、一ヶ月。司令室のオペレーター、友里あおいは、モニターに映し出される街の監視映像を眺めながら、ふと疑問に思ったことを隣の上官に問いかけた。
あおい「司令。一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
弦十郎「ん、どうした友里くん」
あおい「先日、二課に招かれた新城優斗さんの件ですが……彼が天羽奏さんと深く接触していたので理解できます。ですが、一緒にいた立花響さんと小日向未来さん、あの二人は明らかに一般人です。なぜ、彼女たちまで二課の内部に?」
弦十郎「う、うむ……それはだな……」
弦十郎は少しだけ答えにくそうに唸った。その時、彼の背後から、白衣を翻して現れた櫻井了子が、にこやかに会話に割って入った。
了子「それはね、あおいちゃん。あの二人に、私たちの『お宝』が反応したからよ」
あおい「お宝……まさか、聖遺物のアウフヴァッヘン波形が、ですか?」
了子「ご明察♪」
あおいは、はっと息を呑んだ。リディアン音楽院が、ただの音楽学校ではなく、聖遺物の適合者を探すための機関であることは知っている。そして、響と未来の進学先が、そのリディアンであることも。
あおい「では……あの二人は、シンフォギアの装者になり得ると、そう見ているんですね」
了子「ええ、その通りよ」
隣で黙って話を聞いていたオペレーターの藤尭朔也も、興味津々といった様子で聞き耳を立てている。あおいは、好奇心に任せて、さらに踏み込んだ質問をした。
あおい「それで、どちらの聖遺物に反応が? 」
その問いに、了子は芝居がかった様子で、人差し指を立ててみせた。
了子「ふふふ、驚かないで聞いてね? 検査に協力してもらった結果……なんと、ガングニール、そして、天羽々斬! その両方に、なのよ!」
あおい「ええっ!?」
藤尭「そ、そんな……!?」
数千、数万、あるいは。いつ見つかるかどうかという適合者が、こんなに身近に、しかも二人も。さらに、一つの聖遺物だけでなく、二つ同時に適性を示すなど、前代未聞だった。オペレーター二人が驚愕に目を見開く中、弦十郎は腕を組み、不敵な笑みを浮かべて言った。
弦十郎「まあ、あくまで今は『適性がある』というだけだ。彼女たちは、我々が守るべき一般人であることに変わりはない。それに、奏も翼も、今や前線で誰よりも元気に戦っている。そう簡単に、世代交代が起きるものではないさ」
納得して業務に戻ったオペレーター2人を尻目に、弦十郎は1人考えた
弦十郎「しかし…優斗くんにも反応があったのはなぜだ…?」
「フィーネ・レポート」
観測対象、天羽奏。当初の評価は、復讐心という不安定な燃料で稼働する、利用価値のある実験体。ガングニールのギアをその身に纏うも、リンカーという枷なくしては性能を維持できぬ、不完全な器に過ぎなかった。データ収集は順調、計画遂行における有用な駒の一つとして、その役割を全うさせる手筈であった。
だが、イレギュラーは突如として発生した。天羽奏のバイタルデータに、急激な改善が見られた。長年の戦闘で蓄積された身体的負荷の軽減、細胞レベルでの活性化、そして何より、ガングニールとの適合係数が異常な数値を叩き出した。結果、リンカーへの依存は完全に消失。これは私の予測と計算を、完全に逸脱する事象であった。
変化のターニングポイントを特定。喫茶店「コモド」の店主、新城優斗との接触後から、全ての数値が飛躍的に向上している。原因が不明。ただの一般人であるはずの男が、これほどの変化をもたらすなど、非論理的極まりない。この世界の理から外れたイレギュラーの存在は、思考の妨げとなり、苛立ちを覚えさせる。
観測を続けるうち、この異常な変化が、風鳴翼にも伝染していることが確認された。彼女の纏う天羽々斬もまた、本来設定されていたリミッターが自然解除される傾向を示し、そのフォニックゲインは増大の一途をたどっている。両名のギアに共通して見られるのは、パーソナルカラーの変質。黒の割合が減少し、代わりに光を思わせる純白の領域が拡大している。これは、理論上でしか存在しなかったシンフォギアの究極形態――エクスドライブへの兆候か?取るに足らぬと思っていた小娘たちが、日に日に厄介な存在へと変質していく。
解せないのは、装者だけではない。二課の司令、風鳴弦十郎。あの男までもが、常軌を逸した強化を示している。そもそも、人間が空中を蹴って跳躍するなど物理法則を無視しているが、奏と翼の連携攻撃を空中で受け止め、その全てを発勁の一撃で粉砕するなど、もはや語るのも馬鹿馬鹿しい。発勁とはなんだ。理解不能な技術だ。
この一連の異常の中心にいるのは、間違いなく新城優斗。
櫻井了子として彼に接触し、その「料理」と称する産物を口にした。結果、私自身の脳内にあった僅かなノイズ――数千年の時がもたらした思考の淀みが、晴れた感覚を覚えた気がした。この変化は、無視できない。彼の産物には、対象の心身を最適化する、未知の作用が存在する。
結論。あの小僧は、使える。
計画の障害となるイレギュラーではなく、利用価値のあるアセットとして再評価する。
月を破壊し、愚かなる人類を選別した後、彼の作る料理は、選ばれた者たちを管理するための「餌」として最適だろう。私の傍に置き、その力を管理下に置くのも悪くない。
……レポートは、ここで途切れている。
本編じゃないけどQ &A
Q、実際何回、弦十郎は空中ジャンプできるの?
A、体力が続くまで。弦十郎は今が全盛期となっております。優斗の料理を食べ続ければほぼ永続です。山がサンドバックです。相手はSAN値チェックです
Q、クリスちゃん馴染むの早いね
A、シンフォギア原作もそうだけど周りの人が良すぎる
Q、ひびみくはシンフォギアを纏うの?
A、調整中です
Q、ここまでわかっててなぜフィーネは動かなかった?
A、実は慢心していました。“まだ”あれくらいはどうにかなる、と