ハッピーエンドに向かうには   作:内海空洞

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なぜかフィーネ捕縛RTAルートになりました


一夜が終わり、やがて朝が来るまで

――待たせたな! 優斗。

 

心の中で、何度も反芻した言葉。颯爽と現れ、囚われのお姫様であるあいつを助け出す。怯えているかもしれない優斗を安心させる完璧なシチュエーション。完璧な登場。

 

月光を背負い、最強のガングニールを纏ったあたしは、間違いなく世界で一番カッコよかったはずだ。

 

なのに。

 

目の前の光景は、あたしの思考回路ごと粉々に打ち砕いた。

 

ベッドの上。ひっくり返ったマリアとかいう女。そして、その下にいる、優斗。どう見ても、押し倒されている。あたしの大切な、誰にも触れさせたくない宝物が、今まさに、他の女に。

 

プツン。

 

頭の中で、何かが切れる音がした。

 

「……てめぇ」

 

自分でも驚くほど、低く、冷たい声が出た。

 

それよりも優斗を助けるのが先だ。はっと我に返ったあたしは、考えるより先に動いていた。床を蹴り、一瞬でベッドとの距離を詰めると、優斗の上に覆いかぶさっていたマリアの腕を掴み、力任せに引き剥がした。

 

「きゃんっ!?」

 

勢いがつきすぎたせいで、マリアは無様にも放物線を描いて宙を舞い、顔面から床に叩きつけられた。だが、そんなことはどうでもいい。

 

「優斗! 大丈夫か!? 何もされてないか!?」

 

あたしはベッドに乗り上げ、慌てて優斗の身体を隅々まで確認する。肩を掴み、胸を触り、頬を撫で、どこにも傷がないか、変な痕がついていないか、必死に探った。

 

「か、奏ちゃん!? だ、大丈夫だよ、僕は何も……! ただの事故で……!」

「本当か!? あいつに変なことされてないか!? 無理やりとか! あんなことやこんなこととか!」

「されてないから! 本当に何もされてないから落ち着いて、奏ちゃん!」

 

あたしの剣幕に、優斗は少し涙目になりながらも必死に無事を訴えてくる。その様子に、ようやくあたしの頭も少しずつ冷静さを取り戻していった。よかった、無事なんだ。本当に、よかった……。安堵と同時に、とてつもない力が全身から抜けていくのを感じた。

 

 

 

床に叩きつけられた衝撃で、一瞬、意識が飛びかけた。ジンジンと痛む顔面を押さえながら、私はゆっくりと身を起こす。

 

信じられない。どうやって、ここに。警備システムは? センサーは? 何より、このアジトの場所を、なぜ。

 

「……どうやって、ここが分かったの……!?」

 

驚愕に染まった私の問いに、目の前の女――天羽奏は、ニヤリと悪戯っぽく笑ってみせた。

 

「うちの忍者を、舐めんなよ。お前らが気づかねえうちに、発信機の一つや二つ、とっくに付けさせてもらってんだよ」

 

言うが早いか、奏は優斗の身体を、まるで手慣れた様子で、ひょいと横抱きに抱え上げた。所謂、お姫様抱っこ。その光景に、私の胸の奥がチリッと焦げるような感覚に襲われる。

 

「じゃあな。二度と、優斗に手ぇ出すんじゃねえぞ」

 

捨て台詞を残し、奏はあたしが来た時とは逆の方向、つまり彼女自身が破壊した壁の大穴から、夜の闇へと飛び出していった。

 

「待ちなさいッ!」

 

私も、即座にシンフォギアを起動させる。

優斗の料理を食べたことで、以前よりも遥かにスムーズに、そして強力にギアが身体に馴染むのを感じた。白と黒のパーツがバランスよく配置された、新たな配色のガングニール。これは、私の覚悟と、そして彼によってもたらされた、新たな力の顕現。

 

後を追いかけようとしながら、私は端末で仲間たちに敵襲を伝えようとした。だが。

 

『――……』

 

「セレナ!? 調! 切歌!」

 

応答がない。通信機から返ってくるのは、無機質なノイズだけ。

まさか。焦燥感に駆られ、私はアジト内の全ての回線に接続を試みる。マム!、ドクター・ウェル、誰でもいい、応答して!

 

しかし、結果は同じだった。全ての通信が、沈黙している。

 

「……襲撃を、返された……というわけね」

 

敵は、奏一人ではない。私たちが優斗を確保している間に、二課はすでに、このアジトそのものを制圧しにかかっていたのだ。

 

 

 

作戦は、寸分の狂いもなく進行していた。

先行していた緒川慎次が、アジトの監視カメラ、各種センサー、全ての警備システムを無力化。その手際は、諜報という名の暗殺術にも等しい、神業の域にあった。

同時に、彼は優斗の両親が保護されている部屋へと潜入し、音もなく二人を救出。二課本部への安全な移送を完了させていた。

 

『――こちら緒川。対象A及びBの保護を完了。これより、作戦フェーズ2に移行します』

 

緒川からの連絡を受け、弦十郎の指令が飛ぶ。

廃病院に潜入していた二人の装者が、闇の中を疾走する。

 

「クリス、状況は」

「問題ねえ。……しかし、先輩のその口調、やっぱ慣れねえな」

「うむ。戦場では、これが私の性分でな。其方は本懐を遂げるがいい。私が陽動を仕掛けよう」

「了解。じゃ、ちゃっちゃと終わらせて、優斗を迎えに行くぜ!」

 

翼とクリスは、緒川が示したマップを頼りに二手に分かれた。

 

クリスは、アジトの最深部にある研究室へと向かった。そこには、ドクター・ウェルがいるはずだった。

研究室の扉を蹴破ると、中は薄暗く、複数のモニターの光だけが明滅していた。その一つ、ベッドの上で、寝間着姿のウェルが呑気に寝息を立てている。その周りには、優斗の生体データや能力に関する考察が、モニターというモニターに表示されたままになっていた。

 

「……見つけたぜ、ウェル博士」

 

クリスは、イチイバルのガトリング砲を、静かにウェルへと向けた。その銃口からは、怒りという名の冷気が立ち上っている。

 

人の気配に目が覚めるウェル。

 

「……ん、んん……? 誰だね、君は……僕の安眠を妨げる無粋者は……」

「とぼけんじゃねえぞ、クソッタレが。――よくもあの時、あたしをコケにしてくれたな!」

 

クリスの怒声に、ウェルは飛び起きた。目の前の武装した少女が、かつて自分が騙した護衛対象であることに気づき、その顔がサッと青ざめる。

 

「き、君は……! い、一体何のことかな? 僕はただ、政府の依頼で……」

「あの時、ノイズの襲撃をさも予想外みてえな顔してやがったが、全部てめえの仕込みだったんだろ! あたしを利用して、まんまとソロモンの杖をこっちに運ばせたってわけだ!」

「それは…」

「もういい」

 

言い訳など聞かぬとウェルの言葉をを遮るクリスの声は、絶対零度の冷たさを帯びていた。

 

「てめえみてえな奴の戯言は、聞き飽きてんだよ。あたしの、あたしたちの覚悟を、てめえの自己満足のために利用してんじゃねえぞ!」

 

それは、ウェルだけでなく、かつてその力に溺れ、過ちを犯した自分自身への怒りでもあった。もう、迷わない。もう、間違えない。

 

「ひっ……! ま、待て! 話せば分かる!……!」

「問答無用ッ!」

 

慌てて逃げ出そうとするウェルの足元に、容赦なく弾丸を撃ち込む。悲鳴を上げて床を転がる彼を、クリスは冷ややかに見下ろし、その首根っこを掴み上げた。

 

「ソロモンの杖は、渡してもらう。……ついでに、優斗にあんまりしつこくつきまとうようだったら、次は脳天に風穴開けるから、覚えとけ」

 

有無を言わさぬ脅迫と共に、クリスはウェルの後頭部に銃床を叩きつけ、その意識を闇に沈めた。

 

一方、翼は、アジトの居住区画で囮としての使命を果たすべく、意図的に大きな物音を立てていた。その音に釣られて、真っ先に飛び出してきたのは、アガートラームを纏ったセレナだった。

 

「もう、此処に気づいたの!?」

「――月下の逢瀬、無粋であったかな」

 

闇の中から、凛とした声が響く。セレナが声のした方へ振り返った瞬間、翼の姿はすでに彼女の背後に回り込んでいた。

 

「なっ――!?」

「これ以上の狼藉は無用だ。得物を納め、投降をしてもらおう」

 

天羽々斬の刃が、セレナの首筋に寸止めで添えられる。抵抗を諦めたセレナをその場に気絶させ、翼は次の獲物を探す。

 

切歌と調。二人は、それぞれの部屋で、ぐっすりと深い眠りに落ちていた。

あまり音を立ててはいないが敵襲の最中にここまで無褒美な姿を晒す2人に、叩き起こすのも気が引けた翼は、この前のバラエティでくらったドッキリの内容を思い出した。

 

「……朝だ、起きなさい」

 

翼は音もなく二人に近づくと、まず、すやすやと寝息を立てる切歌のベッドの傍らに立った。耳元で、囁くように優しく声をかける。

 

「ん……むにゃ……あと、5分……デス……」

「それでは朝日は拝めんな。刻限は、とうに過ぎている」

 

寝ぼけ眼のまま、状況を理解できていない切歌の手足は、気づいた時には持ち込んだ特殊なワイヤーで拘束されていた。

 

隣の調も、同様だった。翼に肩を揺すられ、優しく起こされた彼女は

 

「目覚めたか?」

「……!!?」

 

目の前の光景に死ぬほど驚き、悲鳴を上げる間もなく、同じように拘束された。

 

最後に残ったのは、ナスターシャ。彼女は、突如、自室のモニターが映らなくなり、何か異変が、と感じたが、余りにも騒がしくない状況とマリア達に通信が繋がらないことから侵入者に入られましたか、と考えた。そして、彼女の部屋の扉が開き、ウェルを捕縛したクリスと、セレナたちを連行してきた翼が入ってくる。

 

敗北を確信するナスターシャ。

 

「……全て、見事な手際ですね…」

 

ナスターシャは、全てを悟ったように、静かに告げた。

 

「……私達の、負けです」

 

そして、彼女は自ら、敗北を宣言した。

 

 

 

アジトの外、月明かりが照らす廃墟の中で、二人の装者は対峙していた。

奏の腕の中から、少し離れた優斗はただ、息を詰めてその光景を見守る。

 

(――あの時、ライブ会場で、何もできなかった)

 

奏の脳裏に、優斗が攫われた瞬間の絶望が蘇る。あの無力感、そして全てを焼き尽くさんばかりの怒り。

 

(二度と、あんな思いはしねえし、させねえ…!)

 

「へぇ……仲間がやられたってのに、あたしから逃げないんだ。大した度胸じゃねえか」

「……あなたこそ。優斗を連れて、とっくに逃げているかと思ったわ」

「当たり前だろ。てめえみてえな相手に、優斗を守りながら戦えねえとでも思ったか?」

「……じゃあ、試してみなさい…よォッ!!」

 

マリアの絶叫と共に、空気が震えた。彼女はアームドギアである黒金の槍を構え、地面を蹴る。その動きは残像を伴い、常人には捉えることすらできない速度で、奏へと突き進む。

たった三歩。あと一歩。振りかぶった槍の穂先が、音速の壁を突破して無防備な奏の胸へと吸い込まれていく。

 

(――獲った!!)

 

マリアは、勝利を確信した。優斗が「奏ちゃん!!」と悲鳴を上げる。

 

だが、その槍が奏の胸に触れる、数センチ手前で。

 

ピタリ、と。世界が、止まった。

 

奏は、突き出された槍を見ることさえせず、その槍の穂先を、片手で、いとも容易く、掴んでいた。

 

「……へ?」

 

マリアの口から、間抜けな声が漏れる。優斗も、あまりの光景に「えっ」と声を上げた。

大型トラックの突進にも匹敵するはずの、凄まじい質量と速度を伴った一撃。その威力は、周囲の地面を放射状に砕き、衝撃波を発生させるほどだった。

なのに、奏は微動だにしていない。

 

「そら、いく……ぜっ!」

「しまっ……!」

 

奏が、掴んだ槍をぐいっと引き寄せる。抗う間もなく、マリアの身体はアームドギアごと、奏の方へと引きずり込まれた。

 

「おらぁぁあっ!!」

 

無防備になったマリアの腹部に、奏のアッパーカットが、下から突き上げるように叩き込まれた。その一撃で、マリアのギアの全身に、びしり、と亀裂が走った。

 

「かは……っ……!」

 

くの字に折れ曲がり、空高く打ち上げられたマリアは、奏の上空を通り過ぎ、そのまま背後の地面に、頭から叩きつけられた。

 

「か、奏ちゃん……」

「ん? ああ、大丈夫だ優斗。ちゃんと手加減はしてある」

 

実は優斗はあまりの威力にマリアを心配していた。うつ伏せに倒れたマリアは、咳き込みながら上半身を奏に向けた。痛みでひどいが、なんとか意識を保っていた。

 

「……こんな、馬鹿げた力が……ライブの時は、手加減していたというの……!? どういうことなのよ……!」

「ああ? 簡単なことだろ」

 

奏は、満面の笑みで言い放った。

 

「優斗の飯を食って、優斗を見て、優斗を思って寝る! あたしの鍛錬は、それで十分なんだよ!」

「……正気なの……!?」

「奏ちゃん……」

 

そのトンデモ理論に、マリアは思わず相手の正気を疑った。

優斗はプロポーズ紛いの言葉に流石に恥ずかしかったようで、少し照れていた。

 

実際、その理論は、かつて奏と翼が、弦十郎の強さの秘訣を尋ねた時の答えをアレンジしたものだった。若き日の二人が、どれだけ本気で挑んでも、弦十郎はそれを素手で、まるで子供をあしらうかのように、理不尽なまでに軽々と捌き続けた。

「どうすればそんなに強くなれるんだ」という二人の問いに、彼は「うむ! 飯食って、映画を見て、寝る!男の鍛錬はそれで十分だ!」と、笑顔で答えたという。二課の強さの根源は、どこか常軌を逸しているのだ。

 

その時、廃病院の入り口から、翼とクリスが、拘束されたセレナ、調、切歌、そして本性が隠しきれない不機嫌な表情のウェルを伴って現れた。

 

「少なくとも、それだけで強くなるのは奏だけだ」

「いや、やっぱその理屈はおかしいだろ。おっさんといい、先輩たちといい、二課の奴らは万国ビックリショーでも開くつもりかよ」

 

奏の非常識な発言に突っ込む2人。

 

マリアは、全てを悟った。無傷でいる二課の実力は、自分たちのそれを、常識の範疇を遥かに超えて、凌駕している。一撃。たった一撃で、自分は沈められたのだ。意識を保っている自分を、褒めてやりたいくらいだった。

 

「――ここまで、ですね」

 

その声は、覚悟を決めたナスターシャのものだった。

 

「二課の皆さんに、お聞きします」

「……何だよ」

 

ナスターシャの問いに、クリスが訝しげに答える。

 

「私たちの、投降は……受け付けていただけますか?」

 

その言葉に、その場にいたマリア以外の全員が、驚きに目を見開いた。

 

「マム!?」

「何を馬鹿なことを……!」

ウェルが何かを言いかけたが、途中で、ナスターシャの真意に気づいたのだろう。苦虫を噛み潰したような顔で彼女を睨みつけ、そして、がっくりと項垂れた。

 

ナスターシャは、静かに、自分たちの計画の全てを語り始めた。

 

「私たちの本来の目的は、F.I.S.の解体と、囚われた子供たちの解放でした。そのための最終手段として、ネフィリムの力を借り、フロンティアとソロモンの杖を以てF.I.S.本部を強襲する計画を立てていたのです。最終的な落とし所としては、フロンティアを国連に壌土する事で私達とレセプターチルドレンの安全の確保とアメリカ政府への対処をしてもらう予定でした」

 

「ネフィリムを完全に目覚めさせるには、大量のフォニックゲインが必要でした。しかし、代用品が見つかってしまったのです。……優斗さん、貴方の奇跡とも呼べる力だったのです」

 

優斗が話に出ることに疑問に思う奏達。僕?と最初はわからなかった優斗だが、前にフィーネに言われた事を思い出す。

 

彼女は、その証明として、もう動くはずのなかった自らの足で、ゆっくりと車椅子から立ち上がって見せた。

 

「マムが、立った……」

 

セレナの瞳から、涙が溢れる。

 

「うそ……マムが、自分の足で……夢じゃないデスか!?」

 

切歌が声を震わせる。

 

「……本当に……奇跡なんだ……」

 

調が、感極まったように呟いた。

 

セレナの瞳から、涙が溢れる。マリアも、調も、切歌も、血の繋がらない母親の奇跡の快復に、ただ涙ぐむことしかできなかった。クリスでさえ、その光景に感動し、もらい泣きしそうになっている。

 

「フィーネによるレポート通りなら、優斗さんの手がける食事には、聖遺物にまで干渉するほどの効果がある。生体聖遺物であるネフィリムにそれを使えば、フロンティア起動の鍵にさえなりうる、と。……誤算だったのは、その力が若返りにまで効果があると知った政府が、ご両親を人質にしてまで、貴方を意のままに操ろうとしたことでした」

 

ナスターシャは車椅子に長年座っていたとは思えないほど、凛とした立ち姿で優斗に向き直る。

 

「そうか……それで先に誘拐したのか」

 

頷き、翼が納得する。

 

「それなら、あたしたちにも話してくれりゃ、人質なんて真似しなくても……」

 

自分が言えたことではないが、棚に上げてクリスが疑いの目を向ける。

 

「それは……ごめんなさい。貴方達が優斗さんをいいように利用しているのだと、思い込んでいたから……」

 

調が沈んだ声で言う。続いて切歌が、苦々しく付け加えた。

 

「アタシたちがいた場所は、どうしようもない奴らばっかだったんデス。似たような日本の組織だから、同じだと思ってしまったんデス……」

 

セレナもあの時優斗に会っていなければネフィリムの実験で死んでいただろうと思い感じていた。

 

抵抗の意思を無くしたマリアはいつの間にかシンフォギアを解いていた。

マリアは心なしかすっきりした顔で優斗を見ながら言った。

 

「だからこそ、私たちの目的のために、恩を返すために、ひどい事をされていないか確かめるために、貴方を連れ去った」

 

覚悟を決めた顔つきのマリアは、奏の前に進み出ると、深く、深く、頭を下げた。

 

「私の…私達の望みは、叶ったわ。後は、F.I.S.のことだけ……。私の首が欲しいなら、くれてやる。言うことを聞けというなら、何でもする。だから……どうか、ここにいるこの子たちを、保護してほしいの」

 

「マリア姉さん、やめてください! そんなこと、私たちが望んでいるとでも!?」

「姉さん一人が犠牲になるなんて、私たちは認めない!」

「そうデスよ! アタシたち、みんなで一緒に幸せになるって、約束したじゃないデスか!」

 

マリアの言葉に驚き悲痛な叫びを上げる面々。中でもナスターシャが一番に驚き焦った

 

「マリア、一体何を!?」

「マムもそうするつもりだったのでしょ?…子供は親によく似るのよ」

 

マリアの言葉にナスターシャは複雑な表情お浮かべる。マリアの成長に感慨深さを持ったことと、責任者であるナスターシャが言わねばならぬ事を言わせてしまった悔しさが混じっていた。

 

奏は、複雑そうに表情を何度も変化させると、一つ大きなため息をつき、弦十郎に通信を繋いだ。

 

「――おっさん、聞いてんだろ? どうする?」

『……ああ、聞いていた。……やれやれだ。取り敢えず、フィーネの面々はこちらで拘束、保護する。全員、直ちに帰投してくれ』

 

通信の向こうで、弦十郎の疲労困憊の声が響く。

 

『これから、とんでもなく忙しくなるわねぇ』

『……了子くん。何も言うな』

 

茶化すような了子の声と、額に手を当て、天を仰ぐ司令官のため息が、これから始まるであろう、大変な事後処理を予感させていた。

 




なくてもいいと言われたらいつでも無くす、本話にぶち込む技量がない作者のQ&A

Q、奏浮かれすぎでは
A、一応年頃の女の子なんです

Q、翼もふざけすぎでは?
A、結構暴れたはずなのに、目の前でぐーすか寝ている姿に呆れといたずら心が湧きました。大体奏の影響

Q、マリアのお腹は無事?
A、めっちゃ我慢してます

Q、フロンティアの扱いが…
A、月の落下がないとフロンティアはただの厄ネタ。作者も扱いきれない

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