オラリオで好き勝手するのはまちがっているだろうか   作:JP_JK_Loling

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作者もアニメ二期までしか見てなくて、二次創作での知識しかないから間違いがあったら教えて欲しいです!


二話 冒険

あの壮絶な「ファミリア入団試験」という名の殺戮ショーから、早くも四ヶ月が経過した。ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアがオラリオの頂点に君臨し、その栄華の裏で闇が蠢動する時代。両ファミリア追放の日まで、あと四年と八ヶ月という頃――。

 

俺――トート、14歳。前世ではしがない高校2年生で、なんで死んだのかもよく覚えてねえが、気づいたらこのデンジの姿でダンまち世界にいた。今の俺は、タナトス・ファミリアの薄暗い拠点で、なんとか最低限の寝床と食事だけは確保できる身分。もっとも、ファミリアの他の連中からすれば、俺は依然として気味の悪い厄介者であり、主神タナトスのお気に入り(という名の特異な玩具)でなければ、とっくの昔に始末されていただろう。奴らは俺のふてぶてしい態度と、何よりあの日の常軌を逸した殺戮と不死身っぷりに、恐怖と嫌悪を隠そうともしない。まあ、俺もあいつらが好きじゃねえから、お互い様だ。

 

「こんなクソみてえな毎日、前の世界のネトゲのレベル上げ作業よりひでえぜ…」

 

そんなわけで、俺は日課のようにオラリオ・ダンジョンに潜っていた。目的は小銭稼ぎと、何よりステータス上げだ。Lv.1のままじゃ、いつまでも雑魚のままだし、何よりうめえ飯にありつけねえ。武器は、そこらで拾ったか、前にぶっ殺した雑魚から奪ったかした、刃こぼれの酷い剣一本。それでも、俺のスキル【拒却死 (タナトス・アンチ)】さえあれば、大抵のことは何とかなる。

 

「今日も一稼ぎして、市場ででけえ肉でも買うか…」

 

そんな俗な目標を胸に、俺はダンジョンの5階層あたりをうろついていた。この辺りなら、今の俺でも余裕でモンスターを狩れる。ゴブリンやコボルトを数匹血祭りにあげ、小銭と魔石を漁っていると、通路の先から微かに人の声と金属音が聞こえてきた。こんな浅い階層の、しかもあまり人が通らねえ脇道で揉め事か?

 

「ヒヒッ、大人しく身ぐるみ置いていきな!」

「くっ…お前ら、闇派閥か!」

 

やっぱりか。胸糞悪ぃ野郎どもだ。俺が知るアニメ知識でも、こいつら闇派閥ってのはロクなことしねえクズ集団だった。俺には直接関係ねえ話だが…まあ、獲物が目の前にいるなら話は別だ。

 

「おいコラ、テメーら。楽しそうなことしてんじゃねえか。俺も混ぜろよ」

 

俺はわざとガラの悪い口調で声をかけながら、通路の角から姿を現した。襲われていたのは、まだ駆け出しっぽい男女二人組の冒険者。襲っているのは、黒っぽい装備に身を包んだ三人組。見るからに闇派閥の連中だ。こいつらも一応、恩恵を受けた冒険者のはずだが、やることがチンピラ以下だ。

 

「あ? なんだテメェ。邪魔すんなら殺すぞ」

 

闇派閥の一人が、下卑た笑みを浮かべて俺に斬りかかってきた。Lv.1の雑魚だろうが、数はいる。

 

「うっせーな。死にてえ奴からかかってこいよ」

 

俺はそいつの剣をわざと左腕で受け止めた。肉を裂き、骨に達する感触。だが、痛みは一瞬。次の瞬間には、スキルが発動し、傷は見る間に塞がっていく。

 

「なっ…!?」

 

男が驚愕の表情を浮かべる隙に、俺は右手のボロ剣でそいつの喉を掻き切った。鮮血が噴き出し、男は泡を吹いてその場に崩れ落ちる。

 

「一人目、と。さあ、次だ!」

 

残りの二人も、仲間の死と俺の異常な再生能力に一瞬怯んだが、すぐに逆上して襲い掛かってきた。だが、遅い。俺はもはやダメージを恐れない。斬られようが殴られようが、致命傷でない限りは即座に再生する。その圧倒的なアドバンテージを盾に、俺は獣のように荒々しく、しかし確実に一人ずつ闇派閥の息の根を止めていった。

 

数分後。そこには、三つの惨殺死体と、返り血で全身を真っ赤に染めた俺、そして恐怖と安堵が入り混じった表情で立ち尽くす、助けられた冒険者パーティだけが残った。

 

「あ、あの…助けていただいて、ありがとうございます…!」

 

襲われていた冒険者の男の方が、震える声で礼を言ってきた。

 

「…別に。お前らのためじゃねえよ。こいつらが持ってるモン、俺がもらうだけだ」

 

俺がそう吐き捨てて、死体から金目の物を漁ろうとした、その時。

 

「…ほう、雑魚どもを始末するとは、少しはやるようだな、新顔。だが、調子に乗るのはそこまでだ」

 

物陰から、四人目の男が現れた。さっきの三人とは明らかに雰囲気が違う。鋭い目つき、そして何より、感じる圧が段違いだ。装備も、さっきの奴らより上等なものを身に着けている。

 

「…チッ、まだいやがったか。リーダー格かよ」

 

男はそう言うと、腰の長剣を抜き放ち、猛然と突っ込んできた。速い! さっきまでの奴らとは比べモンにならねえ! こいつ、Lv.2か!?

 

ガキンッ!

 

咄嗟にボロ剣でガードしたが、衝撃で剣がへし折れ、そのまま体勢を崩される。男の剣が、俺の腹を深々と貫いた。

 

「ぐおおっ…!」

 

さすがにこれは痛え! だが、スキルは発動する。傷口から溢れる血も、裂けた内臓も、急速に修復されていく。

 

「なっ…!? その再生能力…何なんだテメェは!?」

 

男の顔に初めて焦りの色が浮かぶ。そうだ、もっと驚け。俺の取り柄は、死なねえことだけだからな!

 

その後は、まさに死闘だった。Lv.2の剣技は鋭く、的確に俺の急所を狙ってくる。俺は何度も斬られ、刺され、叩き伏せられた。だが、その度に【拒却死】が俺を生へと引き戻す。俺はただひたすら、ダメージを無視して捨て身で殴りかかり、蹴りつけ、時には噛みついた。相手の剣をへし折れた自分の腕の骨で受け止め、その隙に渾身の一撃を叩き込む。そんな泥臭い、常軌を逸した戦法を繰り返した。

 

どれくらいの時間が経ったか。俺も相手も血まみれだ。だが、相手の呼吸は荒く、動きにも陰りが見え始めていた。一方の俺は、痛みには慣れねえが、スタミナだけは無限みてえに湧いてくる。

 

「…化け物が…! 何故だ…何故死なぬ…!」

 

男が忌々しげに吐き捨て、最後の大技を繰り出そうと剣を大きく振りかぶった。その一瞬の隙。俺は最後の力を振り絞り、地面を蹴って懐に飛び込む。

 

「これで…終いだァアアア!!」

 

俺の拳が、砕けた剣の柄を握りしめたまま、男の心臓めがけて突き刺さった。鈍い感触と共に、男の動きが止まる。

 

「…ぜえ…はあ…クソ…強えじゃねえか…」

 

俺はその場にへたり込んだ。助けられた冒険者二人は、完全に呆然として俺たちの戦いを見守っていた。

(こりゃあ、なんかスゲーことになってんじゃねえか? ステイタス、爆上がりしてっかもしんねえ! 早く帰って神様に更新してもらわねえと!)

格上の敵を殺したことで、自分の成長を確信したが、具体的な数値はまだ分からない。早くファミリアに戻って、あの胡散臭い神様に背中を見てもらう必要があった。

 

タナトス・ファミリアの拠点に戻った俺は、血と泥に汚れたまま、タナトスの私室へと乗り込んだ。

 

「おい神様! いるか! ちょっと背中見てくれよ! 多分、なんか色々上がってっから!」

 

部屋の奥の長椅子に寝そべり、退廃的な雰囲気で書物を読んでいたタナトスは、俺の姿を一瞥すると、面白そうに口の端を吊り上げた。

「おや、随分と威勢がいいじゃないか、僕の死を拒む者クン。どれどれ、その無様な背中でも見せてごらんよ」

 

俺が言われるがままに背を向けると、タナトスは指先に自身の血――神の血(イコル)を一滴だけ滲ませ、それを俺の背中に垂らした。ひやりとした感触の後、背中が淡く発光し、複雑な神聖文字(ヒエログリフ)が浮かび上がる。

 

タナトスはその文字を指でなぞりながら、愉悦に満ちた声で読み上げた。

「アッハッハ! こりゃすごい! 力がE470からD566、耐久がE495からC620だってさ! 器用と敏捷はEランクまで上がってるねぇ。そして、お楽しみの『偉業』も達成済みだ! どうやらLv.2への道が開かれたみたいだね、トート君!」

 

【トート】

Lv.1

力:E470→D566

耐久:E495→C620

器用:F391→E484

敏捷:E420→E496

魔力:I0→I0

 

《スキル》

拒却死(タナトス・アンチ)

 

「マジかよ! やったぜ!」

 

俺はガッツポーズを決めた。やっぱり、あの死闘は無駄じゃなかった!

 

「どうするんだい? 今すぐレベルアップしちゃう? 君ほどの逸材なら、さっさと次のステージに進んで、もっと面白いものを見せてくれるんじゃないかなぁ?」

タナトスが試すような目で俺を見る。

 

「いや、まだだ! まだステイタスがカンストしてねえ! ここでレベルアップするのは勿体ねえ! もっとギリギリまで強くしてからだ!」

 

俺はきっぱりと断言した。Lv.1のステイタスを全部Sとかにしてからじゃねえと、気が済まねえ。

 

「アハハ! 強欲だねぇ、君は! でも、そういう貪欲なところ、僕はキライじゃないよ」

タナトスは満足げに頷いた。

 

それから数週間。俺はダンジョンの浅層から中層にかけて、似たような闇派閥狩りを繰り返した。別に正義感からじゃねえ。あいつら、結構いいモン持ってやがるし、何より、俺のステイタス上げのいい糧になる。

 

そんな俺の行動が、オラリオの冒険者たちの間で、少しずつ、そして確実に噂になり始めていた。

 

ギルドの受付。

「最近、ダンジョン浅層での闇派閥による被害報告が激減しているんですが…その代わり、彼らが惨殺された状態で見つかる事件が多発しているんです」

「ええ、聞きましたわ。なんでも、正体不明の誰かが、闇討ち専門で狩っているとか…目撃情報によると、返り血で全身真っ赤な人影が、獣のような雄叫びを上げていた、ですって」

「まるで死なない化け物だ、という話も…」

 

酒場の一角。

「おい聞いたか? 最近浅層で暴れてる『血染めの亡霊』の話。闇派閥の連中を片っ端から殺してるらしいぜ」

「ああ、俺の知り合いのパーティが襲われそうになったところを助けられたらしいが…助けた奴、闇派閥を躊躇なく殺しまくってて、逆に怖かったってよ。人間とは思えなかった、ってな」

「どんな奴なんだろうな? 高レベルの冒険者が気まぐれでやってるのか、それとも…まさか、アンデッドの類か…?」

 

ファミリアの拠点に戻ると、主神タナトスが、いつものように退廃的な笑みを浮かべて俺を迎えた。

「やぁやぁ、トート君! 今日も可愛い子供たちと、たーっぷり遊んできてくれたみたいじゃないか! その血の匂い、実に芳しいねぇ! 君っていう存在は、この退屈な下界における、僕にとって最高のエンターテイメントだよ!」

 

どうやら、俺の「活躍」は、この神の耳にも筒抜けらしい。あるいは、どこかで高みの見物を決め込んでいやがったのかもしれねえ。

 

俺はそんな神の言葉を気にも留めず、今日の稼ぎを勘定しながら、次の飯の献立に思いを馳せる。

 

「へっ、次はもっと手際よく殺して、もっと金目のモン奪ってやるぜ。そんで、市場で一番デケェ肉買ってやるんだ」

 

噂も神の戯言も、今の俺にとっては大した問題じゃねえ。ただ、腹を満たし、力をつけ、このクソみてえな世界で生き汚く生き延びる。それだけが、俺の行動原理だった。




拒却死(タナトス・アンチ)】で怪我も病も呪いも治せるようにしてレベルアップを早めようかなって思ってるんだけど、強すぎるかな?チート過ぎるのはやめたいんだけど・・・
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